経験値10000倍~ハズレスキル放置プレイヤーが覚醒したらレベル上限なし! 最強で最速のレベルアップ~

島風

文字の大きさ
47 / 93

47糞勇者エルヴィン

しおりを挟む
「どこかで聞いたことがある声だと思ったら、お前、足手まといのアルじゃないか?」 

「エ、エルヴィン……」 

「おいおい、何を俺の名前を呼び捨てになんてしてくれてんの? お前は今、仲間じゃないし。ましてや使いものにならない足手まといだぞ? エルヴィン様だろ?」 

俺は屈辱に耐えてエルヴィンを呼んだ。 

「エルヴィン様、何故ここに?」 

彼の真意を知りたかった。 

勇者にはスタンピードへの対応義務がある。 

……そして、勇者には。 

「決まっているだろ? スタンピードが発生したんだ。この冒険者ギルドに俺の指揮下に入ってもらう為だ。何か問題があるか?」 

「いえ、ございません。勇者法で決まっています。俺もエルヴィン様の指揮下に入ります」 

「あ、あはは!? あーおかしい!」 

突然大笑いしたのはエルヴィンと一緒にギルドに入って来た聖女ナディヤだった。 

「傑作だよ。僕、今年一番のネタと思えたよ。アルがエルヴィンの指揮下? まるで一人前の言葉だよ。君は何もしないでいいよ。全てエルヴィンに任せておけばいいんだ」 

「そうね、アルが私たちと一緒に戦うとかえって迷惑かけるしかないわね」 

ナディヤに続いて煉獄魔導士のアンネにも馬鹿にされる。 

俺はギリリと唇を噛んだ。 

前とは違う、俺は前より強くなったんだ。 

「おいおい、みんな、そんなにハッキリと言うなよ、そういうことはオブラートに包んで言うもんだぜ」 

「そうだね、エルヴィン、僕反省したよ。やっぱり君は凄いよ。それに比べてアルは、ごめん。やっぱり笑いを抑えきれない、ぷ、ぷぷ」 

俺は唇だけでなく、掌もギュと握りしめていた。 

だけど。 

戦えば、見返してやれる。 

まだ、エルヴィン程じゃなくても、以前の俺じゃないことを証明できる。 

「勇者殿、アル君が勇者パーティに属していたとは存じあげませんでしたが、アル君はこの冒険者ギルドの主力メンバーと考えております。昔、何があったのかは知りませんが、ここは彼を指揮下に加えることをおすすめします」 

ギルド長のバーニィさんがエルヴィンに進言してくれる。 

戦いたい。 

せめて、前より違うことをコイツらの前で見せてやりたい。 

「ダメだ。こんな足手まといがいたら、他の人員に被害が出る。冒険者など何人死のうと知ったことではないが、俺の仲間が怪我でもしたらどうする?」 

「し、しかし!! アル君はむしろこの冒険者ギルドの主力です! どうか再考を!」 

「クドイ。アルは邪魔にならないところで後方待機だ」 

「わ、わかりました。勇者様に逆らう訳にはいきません」 

く、くそ。 

名誉挽回の機会を失った。 

「さあ、こんなクズのことはほおっておいて、冒険者の主力は俺と来い。お前らの役目は俺が危険な時に肉壁となって俺を守ることだ。お前らにはそれしか価値がないからな」 

たちまちギルド内を怒気が立ち込める。 

冒険者を愚弄する言葉にみな、怒りを抑えきれない。 

しかし、勇者法には従うしかない。 

こうして勇者エルヴィンはギルドの主力を連れて戦場に行ってしまった。 

だが。 

「アル君、いざと言う時は頼む。あの勇者、あてにならん。悪い噂しか聞かないし、未だC級ダンジョンすら攻略出来ていないと聞いている。うちの精鋭より遥かに弱いと思う」 

「そうなんですか? このギルドはそんなにレベルが?」 

「うん? アル君、何を言ってるんだ? うちはそこそこのレベルだが、君から見れば、あれだろ?」 

あれ? あれってなんのことだ? 

「まあ、勇者が馬脚を現して撤退するか負傷して戦えなくなったら、頼む」 

「わかりました」 

ギルド長バーニィさんは訳にわからないことを言うが、俺にもチャンスがあることはわかった。 

☆☆☆ 

場所は街の郊外に移り、エルヴィンとギルドの精鋭達が布陣する。 

そこへ、魔物達の第一陣がやって来た。 

魔物の構成はゴブリン、オーク、ミノタウロスなど比較的弱い敵だ。 

だが、数が尋常じゃない。 

しかもここはただの平地だ。 

もう少し引けば斜面があって、迎撃にはうってつけなのに。 

なんでこんな互角の地理で戦わなくてはいけないんだ? 

多分、俺だけじゃなく、みんな同じ思いだと思う。 

そして、遂に勇者エルヴィンを中心とする主力と魔物達が接敵した。 

「俺に続け! 一気に蹴散らすぞぉ!」 

「え! いや、そんなに突出したら?」 

「冒険者って馬鹿なのかな? エルヴィンが言ってるんだよ。僕には理解できないな」 

「し、しかし!」 

「あんた達はエルヴィンの言う通り従えばいいのよ、全く冒険者風情が」 

そう、せせら笑ってエルヴィンと聖女ナディヤ、煉獄魔導士のアンネは突出する。 

だが、誰もついて行かない。 

あたり前だ。 

そんなの命を無駄にするだけだ。 

「エルヴィン、先頭にミノタウロスがいるわよ」 

「わかった。俺が一刀のもと、真っ二つにしてやる」 

「素敵、エルヴィン、僕、感じちゃった」 

そんな声が聞こえて来た。 

後方1kmでも俺の聴力10000倍のスキルで全部聞こえる。 

だが、エルヴィンがミノタウロスと剣と棍棒を交えると。 

……ボキ 

「は?」 

「え?」 

「へ?」 

最大強度を誇る筈の聖剣が……簡単に……折れた。 

いや、剣の扱いが雑過ぎる。 

あんな太刀筋じゃ当然だ。 

そして。 

「な、何してる? 冒険者? 早く俺の肉盾になれ」 

その時! 

「キャァ!!」 

先頭のエルヴィンを助けようと前に出た聖女ナディヤがミノタウロスの棍棒の力に押し負けて、尻もちをついてしまう。 

「エ、エルヴィン! た、助けて!!」 

ナディヤがエルヴィンに助けを求める。 

だが。 

「ナディヤ、よくやった。チャンスだ。アンネ、逃げるぞ。ナディアが喰われてる間に逃げるんだ!」 

「そ、そんなぁ! エルヴィン、僕はあなたを助けるために!」 

「うるさい。俺のために死ね! 行くぞアンネ!」 

「ごめんね。ナディヤ。ちゃんと成仏してね」 

呆れる冒険者達。 

逃げるエルヴィンとアンネ。 

そして、ナディヤにミノタウロスが迫る。 

このままだと、ナディヤはミノタウロスに殺されて、魔物のエサになるだけだろう。 

「や、やだ僕死にたくないよ。お願い! 誰か、た、助けて!」 

視力10000倍の俺には見えてしまった。 

ナディヤの涙が。 

気がつくと、俺は収納魔法から聖剣を取り出し、身体強化(極大)、瞬歩のスキルを使って、ナディヤのもとに走っていた。 
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...