経験値10000倍~ハズレスキル放置プレイヤーが覚醒したらレベル上限なし! 最強で最速のレベルアップ~

島風

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23俺は天使様が嫌いだ

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まあ、この手の手合いは一度やりあうとなかなか見逃してくれない。        

だからと言って、ほおってはおけなかった。多分、この子の涙とあのなんとも言えない表情を見てしまったからだ。        

俺、女嫌いなのに、ほんと、女の子の涙に弱いのね。      

「……」         

戦いは終わったけど、そんな俺の顔を彼女は何故かポカーンと見つめていた。         

俺、おかしいことしてないよな?         

まあ、俺が予想外に強いから驚いたんだろう。        

俺レベル1000だもんな。        

まあ、そんなことより。        

俺は怯えている女の子の傍に近づく。        

「大丈夫?」        

「は、はい……助けて頂いてありがとうございます。あ、私はアリシアと言います」        

女の子は怯えてはいたものの、何とか返事をしてくれた。        

俺のこと怖がったりしたら、俺、泣いちゃうからね。        

「酷い目にあったね。あんなガラの悪いヤツらに絡まれて」        

「は、はい……でも、きっと何か事情があったのだと思います。根っから悪い人たちなんていないと私は思うのです。でも、先程はちょっと困ってました……」        

この子はさっきのガラの悪いヤツですら根っからの悪人ではないと信じている?        

今も怯えて震えている癖に?        

俺はムカついた。そう、この女の子が振られていた時にも感じたこと。        

優しい女の子? 嘘だ。そんな女の子はいない。        

断言できる。        

何故なら、振られた後、後ろを向いたこの子の顔は天使とは程遠い醜い顔。        

情けない、人を恨んでいる顔だった。        

この天使のような女の子はひたすら自身の心を殺して天使として振舞っているんだろう。        

それが悪いことだとは言わない。        

だが、俺は嫌いだ。        

そんな生き方。        

「それにしても、お強いのですね? 冒険者の方ですか?」        

そう言って、天使様は最高の笑顔で俺を見つめる。        

何故か雲の切れ目から日が差して照らされた彼女の笑顔はまさしく天使だった。        

雲とか天候とかも味方につけるとか、この天使すげぇな。        

ちょっとドキドキしちゃったじゃないか。       

でも、俺は冒険者じゃないんだよね。      

勇者パーティは国王直轄で、冒険者ギルドには属さない。      

「えっと、冒険者じゃないけど、腕に自信はあるんだ。俺はアル。まぁ、とにかく無事でよかったな。気を付けて帰るんだぞ。じゃ、ここで」        

そう言って、俺は天使様と別れて帰ろうとする。        

だけど。        

「ま、待ってください!」        

すると、天使様が立ち去ろうとする俺の腕を掴んできた。        

「あ、あの! 助けていただいた、お礼をさせてください!」         

「はあっ……?」        

俺は思わずため息が出た。        

お礼がしたいだって?        

この天使様は勘違いをしている。        

俺が天使様を助けたのは彼女の涙もあるけど、あのガラの悪い奴らの顔色が、あのクソ勇者エルヴィンに重なったからだ。エルヴィンへの腹いせにガラの悪いヤツにあたっただけだ。そうじゃなきゃ人を呼んで終わりだ。        

俺はこの天使様みたいな聖人君子じゃない。        

別に天使様のお礼には全く興味がない。       

それに何より、俺は————        

この天使様が嫌いだ。        

「あのな、。俺はお前のことが嫌いだ。人の顔色ばかり伺って、いい子に徹してるお前を見ていると腹が立つんだ。———お前は、さっき振られた時にあんなに相手のこと気遣ったくせに、振り返った時のあの顔はなんだ? お前は本当に優しいヤツなのかもしれんがな、自分の気持ちを殺して人のことを気遣ってばかりで笑顔でいるお前が————俺は嫌いだ」        

「―――――!!!!」        

「俺の一方的な感情だから気にするな。ただ、俺はそう思ってしまうんだ。だから、別に今のことはお礼なんてしなくていい。ていうか、俺もムシャクシャしててな、あいつらに八つ当たりしただけなんだ。だから恩義を感じる必要なんてないから」        

俺は天使様に冷たく言い放った。別に天使様の生き方にケチをつける気はなかった。        

むしろ、天使様の生き方の方が良いことなのかもしれない。        

俺のようなクズが天使様に向かって八つ当たりしただけに過ぎないのかもしれない。        

でも、あの、彼女が振られて振り返った時の表情が俺には忘れられない。        

悔しかった筈だ。情けなかった筈だ。なのに、相手を祝福して、配慮して……        

その癖……振り返った時の表情は醜いモノだった。         

この天使様はもしかして、人から嫌われたの初めて聞いたとも言わんばかりの表情で俺を見つめていた。        

「あの時、あそこにいたの……ハルさんだったのですね……」        

すまん、俺の名前……アルだ。        

「まあ、俺も振られたなんてことがあってな。言いすぎた。すまん。俺は振られてお前とさっきのヤツラに八つ当たりしただけだから、このことは忘れてくれ」        

「私のことが嫌いなんですか?」  

彼女はそう言った。
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