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89チャリティパーティ
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僕達はエミリアさんの孤児院でチャリティパーティを開いた。パーティの開催にはクラウスさんの名前は借りた。貴族を呼ぶのに聖女と呼ばれる…ほんとは性女の方がぴったりなんだけどね…エミリアさんの名前では不十分だった。しかし、クラウスさんの子爵の名を借りての恵まれない孤児へのチャリティという事もあり、たくさんの参加者がパーティに参加してくれた。
そこに、変化の指輪の力を解いたリーゼとエミリアさんを登場させる。エーリヒは必ず二人を殺しにくるか、奪いとりに来るはずだ。そこを捉えて、ケーニスマルク家の悪事を暴く。リーゼとエミリアさんを危険に晒す事にはなるが、リーゼのプランではこれが最善だという事だ。
大勢の招待客に対応する教会の人達とヒルデ達。招待客は上級貴族や大富豪の商人、王女のヒルデがとても役にたってくれた。貴族への接し方なんて教会の人も他のみなをしらない。リーゼやエミリアさんは知っているのだろうが、あの二人はここぞで投入する切り札だ。エーリヒが現れるまで姿を隠す必要があった。
そして遂に渦中の人物が現れた。
「エーリヒ・ケーニスマルクです。今日はお招きありがとうございます」
「これはケーニスマルク家の次期ご当主様! お待ちしておりました!」
全てはリーゼのエミリアさんの復讐の為に僕は心にもなく、エーリヒを歓待した。今の僕はパーティの主催者クラウス・ミューラー子爵の名代だ、英雄である事は伏せた。
パーティに参加するため僕が着ているのは黒を基調とした礼服、まるで貴族のような装いだ。そしてヒルデ達が着ているのは黒を基調としたメイド服だ、みなすごい似合ってる。
「げ、下僕……ううん、ご主人様、リーゼは綺麗でしょうか?」
不安げに聞いて来るのは白いドレスに身を包んだリーゼだ。肩紐のあるイブニングドレスを身に纏い、恥ずかしそうに胸の辺りを手で隠そうとしている。久しぶりの貴族風の出たちに自信がないのだろう。いや、リーゼがそんな心配するのなら、ほとんどの女の子はみな心配で心配で仕方がないよ。
「リ、リーゼのご主人様…リーゼが無事本懐を遂げられるよう…見届けてね」
「いざとなったら、僕が力ずくで何とかするよ、それとリーゼはいつも、き、綺麗だよ」
最期の方の言葉は僕も恥ずかしくてちょっと、噛みそうだった。こういう時には男の子が女の子を守ってあげないと。
「……さて、行こうか」
僕はリーゼの手を取って、抱き寄せてエーリヒのいる席の方へ歩き出した。リーゼと目が遇うと、お互い頷きあった。
エーリヒは女性達に囲まれていた。エルフには多い、青い髪、陶磁のように真っ白な肌、優雅な瞳…これがリーゼを裏切った男…エーリヒ。
「……エーリヒ」
自分を裏切った婚約者の名を呼ぶリーゼ…
「うん、誰だ? な、そんな? リ、リーゼか? リーゼなのか? し、心配していたんだぞ! リーゼ! 今まで一体どうしていたんだ?」
僕はあまりにつまらない返事に吹き出しそうになった。自分で陥れた相手に何を言うかと思えば、『心配していた』なんだ。これで少しでも思いやる気持ちがあれば、楽しく女性陣とおしゃべりなどしていないだろう。彼が欠片も心配などしていなかったのは一目瞭然だ。
「馬車が賊に襲われて、奴隷商人に売られたの」
「何だって! ど、奴隷?」
エーリヒの表情がこわばる。当然だろう? 自分のした事を思い出したんだ。
「酷い目にあったの。リーゼが生意気だから、奴隷商の手下に殴る蹴るされて、危うく売れ残って、処分されそうになったの……それでも、リーゼはエーリヒがいつか助けに来てくれると信じていた。そう、リーゼは夢見がちな世間を知らない少女だったの…」
エーリヒはぽかんと口を開けていたが、喜色を湛えてリーゼに言った。
「で、でも、信じられないけど、君は無事助かったんだろ?」
「ええ、でもリーゼは性奴隷として買われたの…」
「よ、良かった! その人にお礼を言って、君を取り戻さなければ!」
僕はあまりに滑稽なこの男の芝居に吹き出しそうになった。
「エーリヒはリーゼを愛せるの? 今のリーゼはその人のものよ。リーゼの全てがあの方のモノ…リーゼは性奴隷…そのままの意味よ。リーゼの〇と言う〇は全てあの人に汚されたわ。何度も何度も犯されて、ベッドに縛り付けられて恥ずかしい恰好をさせられた事もあるわ」
「……」
エーリヒは顔を朱にして…怒っているのか? 婚約者を寝取られて? 自分で性奴隷にしておいてか?
「あの? あなたはリーゼの事がそんなに?」
僕が質問すると、エーリヒは狂った様に叫んだ!
「リーゼは私が性奴隷として所有する筈だったんだ! あの小汚い奴隷商め! 折角の処で、ミスをしやがって!」
「それがあなたの本性ですか?」
「お前は一体だれだ? ミュラー家にお前の顔など見た事はない! 本当は誰なんだ?」
「誰も彼も…リーゼの横にいるのですから、わかりそうなものなのに、リーゼのご主人様よ」
そう言うと、リーゼは僕の首に腕を回して口づけをしてきた。そして、唇が離れると、唾液が糸を引いた…わざとだろう、淫猥な印象を強く与える為に…
「ふん! もう、躾け済って事か? その汚らしい女を飼う事ができて良かったなぁ!」
リーゼのアドリブに僕はびっくりしているけど、意外と効果があったようだ。エーリヒは本気で悔しがっていた。この男はリーゼの家を陥れたが、リーゼの事はそれなりに好きだったのだろう。しかし、女の子を躾けるとか、飼うとか…人間性が最悪だ、エミリアさんを殺そうとした位だから当然か? そんな時、エーリヒを追い詰める、次の一手!
「お久しぶりですね? エーリヒ様?」
「だ、誰ッ!?」
エーリヒの顔色は一瞬で変わった。当然だろう、自身が殺害した筈の人物が目の前に現れたら、誰もがこのようなリアクションになるだろう。
「あら、せめて名前位呼んでくださらないのですか? あの頃はあんなにわたくしにご執心でしたのに? それとも、わたくしが死者だとでも思ってらっしゃいますの?」
「ク、クローディアか? い、生きてたのか? あ、あれは事故だったんだ! 本当なんだ! あんな事になるなんて思いもしなかったんだ! 信じてくれ!」
「信じる? 息を止められて、地面に埋められて…その相手を信じる人がいるとでも?」
僕は狼狽するエーリヒの顔色を見て、リーゼのようにこの男を揶揄いたくなった。
「紹介が遅れましたが、彼女も僕の性奴隷です。名をエミリアと言います」
僕はにっこりと笑って、エーリヒに微笑む。すると、
「ご主人様! 今日もエミリアの〇と言う〇を全部塞いでください! エミリアはご主人様のものです!」
「な、何だと? クローディアまで? き、貴様ぁ!?」
エミリアさんが僕に抱き着いてきて、僕の腕にその胸をぐいぐい押し当てる、ちょっとやりすぎじゃない? こんなの台本にないよ?
エーリヒは余程怒ったのか、自分のグラスのワインを僕にぶちまける。
「私は失礼させてもらう!!」
「どうぞ、お引き取りください。お気をつけてお帰りください」
「さよなら、エーリヒ…リーゼの婚約者だった人…」
「さようなら、わたくしの人生を曲げてしまった人」
僕達は慇懃無礼に挨拶をすると、目的を達成して、袖に引っ込む。
「これで、いいの? リーゼ? こんな回りくどいことをする必要があるの?」
「殺すなんて簡単すぎるの、あの男にも地獄を見せてやりたいの」
僕はリーゼの心の中の闇を目の前にして…守ってあげたいと思った。この人には人の優しさが必要だ…僕にできるだろうか? 僕は自身に自問自答して、その日のパーティは無事お開きになった。
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「これはケーニスマルク家の次期ご当主様! お待ちしておりました!」
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パーティに参加するため僕が着ているのは黒を基調とした礼服、まるで貴族のような装いだ。そしてヒルデ達が着ているのは黒を基調としたメイド服だ、みなすごい似合ってる。
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不安げに聞いて来るのは白いドレスに身を包んだリーゼだ。肩紐のあるイブニングドレスを身に纏い、恥ずかしそうに胸の辺りを手で隠そうとしている。久しぶりの貴族風の出たちに自信がないのだろう。いや、リーゼがそんな心配するのなら、ほとんどの女の子はみな心配で心配で仕方がないよ。
「リ、リーゼのご主人様…リーゼが無事本懐を遂げられるよう…見届けてね」
「いざとなったら、僕が力ずくで何とかするよ、それとリーゼはいつも、き、綺麗だよ」
最期の方の言葉は僕も恥ずかしくてちょっと、噛みそうだった。こういう時には男の子が女の子を守ってあげないと。
「……さて、行こうか」
僕はリーゼの手を取って、抱き寄せてエーリヒのいる席の方へ歩き出した。リーゼと目が遇うと、お互い頷きあった。
エーリヒは女性達に囲まれていた。エルフには多い、青い髪、陶磁のように真っ白な肌、優雅な瞳…これがリーゼを裏切った男…エーリヒ。
「……エーリヒ」
自分を裏切った婚約者の名を呼ぶリーゼ…
「うん、誰だ? な、そんな? リ、リーゼか? リーゼなのか? し、心配していたんだぞ! リーゼ! 今まで一体どうしていたんだ?」
僕はあまりにつまらない返事に吹き出しそうになった。自分で陥れた相手に何を言うかと思えば、『心配していた』なんだ。これで少しでも思いやる気持ちがあれば、楽しく女性陣とおしゃべりなどしていないだろう。彼が欠片も心配などしていなかったのは一目瞭然だ。
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「何だって! ど、奴隷?」
エーリヒの表情がこわばる。当然だろう? 自分のした事を思い出したんだ。
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エーリヒはぽかんと口を開けていたが、喜色を湛えてリーゼに言った。
「で、でも、信じられないけど、君は無事助かったんだろ?」
「ええ、でもリーゼは性奴隷として買われたの…」
「よ、良かった! その人にお礼を言って、君を取り戻さなければ!」
僕はあまりに滑稽なこの男の芝居に吹き出しそうになった。
「エーリヒはリーゼを愛せるの? 今のリーゼはその人のものよ。リーゼの全てがあの方のモノ…リーゼは性奴隷…そのままの意味よ。リーゼの〇と言う〇は全てあの人に汚されたわ。何度も何度も犯されて、ベッドに縛り付けられて恥ずかしい恰好をさせられた事もあるわ」
「……」
エーリヒは顔を朱にして…怒っているのか? 婚約者を寝取られて? 自分で性奴隷にしておいてか?
「あの? あなたはリーゼの事がそんなに?」
僕が質問すると、エーリヒは狂った様に叫んだ!
「リーゼは私が性奴隷として所有する筈だったんだ! あの小汚い奴隷商め! 折角の処で、ミスをしやがって!」
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そう言うと、リーゼは僕の首に腕を回して口づけをしてきた。そして、唇が離れると、唾液が糸を引いた…わざとだろう、淫猥な印象を強く与える為に…
「ふん! もう、躾け済って事か? その汚らしい女を飼う事ができて良かったなぁ!」
リーゼのアドリブに僕はびっくりしているけど、意外と効果があったようだ。エーリヒは本気で悔しがっていた。この男はリーゼの家を陥れたが、リーゼの事はそれなりに好きだったのだろう。しかし、女の子を躾けるとか、飼うとか…人間性が最悪だ、エミリアさんを殺そうとした位だから当然か? そんな時、エーリヒを追い詰める、次の一手!
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「だ、誰ッ!?」
エーリヒの顔色は一瞬で変わった。当然だろう、自身が殺害した筈の人物が目の前に現れたら、誰もがこのようなリアクションになるだろう。
「あら、せめて名前位呼んでくださらないのですか? あの頃はあんなにわたくしにご執心でしたのに? それとも、わたくしが死者だとでも思ってらっしゃいますの?」
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