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48王女クリスティーナ再び
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僕達はアマルフィのダンジョン最下層を攻略した。結論から言うと、最下層に魔族はいなかった。魔族が作ったばかりのダンジョンに魔族がいない…という前代未聞の事態だ。
僕達は宿で今後の対策を話しあっていた。宿の僕の部屋で、僕が椅子に座って、みなは僕のベッドに腰掛けていた。
「リーゼの言う通りだった。魔族はダンジョンにいなかった。つまり、市中に魔族が…」
「浜辺で魔物が出た時、あの浜辺の何処かに魔族が潜んでいたという推測はほぼ当たったと言うべきね。問題は魔族がどこに潜んでいるのかね」
頭脳派のリーゼは冷静に分析する。しかし、難問は魔族の居場所を探し出す事だ。このアマルフィの人口は軽く10万人を超える。つまり、容疑者が10万人いるのだ。ナーガを見る限り、魔族は人そっくりに化ける事ができる。
そんな、みな真剣な顔をして悩んでいる最中、珍客が僕を訪れた。
コンコンとドアをノックする音と共に、来客の知らせだ。
「アルベルトさん、お客様がいらしております。その…かなり高貴な身分な方の様でして」
「わかりました。至急、お会いします。カフェに通してください。直ぐに伺います」
僕は来客を受け入れた。プロイセン王国かフランク王国、あるいはアルザス王国の使者だろう。正式な勇者パーティの僕達に使者が訪れるのは珍しい事ではない。
「じゃ、ヒルデとリーゼは僕と一緒に、みなは自室に戻ってくれるかな?」
「わかっているわよ、お兄ちゃん、こんな大勢じゃね」
「先輩と離れ離れは、ナディヤ寂しいです」
「主様の仰せなら、例え食べられても」
ロッテとナディヤとナーガが自室に戻ったところ、ヒルデとリーゼと三人で1Fのカフェに向かう。客人はカフェに招いてもらうよう、宿の人に頼んだんだ。
「げっ!?」
「ア、アルベルト様!!」
「アル様、何で逃げたんですか!!」
客人は前に僕がまいたプロイセン王国のちょっと頭のねじが飛んだ王女クリスティーナとその従者アンナだ。
実はあの時は逃げて、宿も直ぐに移して、完全にまいたのだ。
「その、勇者パーティも忙しく、入れ違いで移動していたんです。殿下」
「まぁ、そうでしたか!? ティーナ、嫌われてしまったのかと心配になりましてよ」
いや、別にティーナ殿下は嫌いじゃないけど、これ以上押しかける女の子は遠慮願いたい。ヒルデと違って、戦力にならないし、ヒルデとキャラ被ってるんだもん。
「それはそうと、今日はどうされたのですか? 殿下にそれ程お暇があるとは…」
ホントは暇なんじゃないかなと思っているが、意外とそうでもなかった。
「アルベルト様がわたくしのことをだいすきなのはわかっていまふが……はぅ……」
「殿下、自分で言っておいて恥ずかしがらないでください。大丈夫です。ティーナ殿下とアル様は相思相愛ですので、何も心配する事はありません。それより練習通り言うのですよ」
「い、一体、何を?」
何故か僕とティーナ殿下が相思相愛になっているという妄想に強い突っ込みをいれたい衝動に駆られるが、どうも、二人は何か重要な案件をもってきたように見える。
「アルベルド様、明日の晩餐会にわたくしと一緒に出席して頂いて、わたくしを手込めにしたと白状してください!!」
「えっと、先ずは殴った方がいいのかな?」
この子はヒルデと同じで脳内に現実捏造機能を有しているのだろうか? 僕はこの子に指一本触れてさえいない。とんだ言いがかりだ。
「アルベルド様、こまりまふ。そんなに真剣な顔をされたら、ティーナ照れてしまいますョ」
「いや、一体何言ってんの? いくら殿下でも怒りますヨ!!」
僕が怒ると、二人共、びくっとすると、泣き出した。
「え~ん。アル様が怒ったぁ」
「アル様が怖いよおぉ」
「ちょっと、泣かないでください」
この二人、やりにくいな。
「下僕、この二人はどうも何か目的があって、明日の晩餐会に一緒に出席して欲しいのね」
「リーゼの言う通りだと思うけど、僕達そんな時間はないし、つき合う理由がないよ」
「では、二人に理由を聞きましょう」
僕達は二人から仔細を聞こうとすると、それまで黙っていたヒルデが壊れだした。
「ア、アルがティーナ王女を、て、手込めに!? ヒルデだって、未だなのに、ズルい!!」
そこ? ヒルデ…
「い、いや、僕には身に覚えがないから…」
「ヒルデ、騙されないわ。ヒルデが馬鹿だからって騙そうとしているのね。じゃ、今すぐヒルデを手込めにしてください。そうすれば信用できます!!」
「えいっ!」
僕はヒルデの頭にチョップを入れた。
「えへへ、アルにチョップされちゃった。これで二人の距離は0に、今日の夜にはもう0どころか!? ああ、いけないわ、アル! そんなに求められたら、壊れちゃいまふ……」
どうもチョップが足らないようなので、もう一発入れると、本気で痛かったのか、ヒルデが頭を押さえてしゃがみ込む。
「それで、一体どういう事ですか? 説明してください、殿下?」
「実はお父様がわたくしの婚約者として、このアマルフィの貴族シュミット様との縁談を進めてしまいまして、それで、わたくしが既にアル様に手込めにされてしまっている事を大勢の前で、言って、い、痛い!?」
思わず手が出た。僕はつい、相手が一国の王女だと言う事を忘れて、チョップを入れてしまった。だって、勝手に僕を強姦魔みたいに言うんだもん。
「殿下、いいなぁ。アンナもチョップされたい…」
もう、この二人はやりにくい。
「アル、この二人を助けましょう。シュミット様は評判の悪い女たらしです」
「その通りです。私の住んでいたアルザス王国でも噂は聞いています。女たらしの上、女性を暴力で屈服させるとんでもない性癖の持ち主です。殿下が可愛そうです」
ええっと、ヒルデとリーゼまでこの二人の味方するの?
「おねがいしまふ!」
「お、お願いします。どうか殿下の為に!!」
いきなり殿下とアンナが土下座した。王女様の土下座って聞いた事も見た事もないな。
「わ、わかりました。殿下の仰せのままにします」
二人はぱあ~と笑顔になると、
「と、とりあえず、もう一回チョップをくらさい!」
「ア、アンナにも、アンナはまだ一度もしてもらっていなくて!」
僕は二人に軽いチョップを入れると、ヒルデとリーゼが僕を上目遣いで見る。
「わかったよ。ヒルデもリーゼもチョップでしょ?」
「アル、チョップください」
「下僕、私の為にチョップをしなさい」
二人にチョップを入れると、
「アルが、チョップをぉ! えっ! えっ? お詫びに今日は僕と一緒に夜を過ごそうだなんて! アルの部屋で二人っきりだなんて! ああっ! 今日の夜、アルに迫られて、抱きしめられて、『今夜ヒルデは僕のもの』だなんて言われて、良くわからない成分を流し込まれて、天国にいっちゃうのかしら! 駄目よ、未だ早すぎるわ! でも、アルが望むなら! お父様、お母様、私、今日いよいよ大人の階段を上ります!」
「えへへ……ふへへへっ やっちゃったぁ! またやっちゃったよぉぉぉぉ! ご主人様からチョップだよぉ! 初めてチョップしてもらちゃったぁぁぁ! ご主人様がいけないんだもん! チョップする時すごぃ優しくするんだもん、私、もうだ めぇぇぇぇ!」
もうどうしようもないカオス状態になった。
僕達は宿で今後の対策を話しあっていた。宿の僕の部屋で、僕が椅子に座って、みなは僕のベッドに腰掛けていた。
「リーゼの言う通りだった。魔族はダンジョンにいなかった。つまり、市中に魔族が…」
「浜辺で魔物が出た時、あの浜辺の何処かに魔族が潜んでいたという推測はほぼ当たったと言うべきね。問題は魔族がどこに潜んでいるのかね」
頭脳派のリーゼは冷静に分析する。しかし、難問は魔族の居場所を探し出す事だ。このアマルフィの人口は軽く10万人を超える。つまり、容疑者が10万人いるのだ。ナーガを見る限り、魔族は人そっくりに化ける事ができる。
そんな、みな真剣な顔をして悩んでいる最中、珍客が僕を訪れた。
コンコンとドアをノックする音と共に、来客の知らせだ。
「アルベルトさん、お客様がいらしております。その…かなり高貴な身分な方の様でして」
「わかりました。至急、お会いします。カフェに通してください。直ぐに伺います」
僕は来客を受け入れた。プロイセン王国かフランク王国、あるいはアルザス王国の使者だろう。正式な勇者パーティの僕達に使者が訪れるのは珍しい事ではない。
「じゃ、ヒルデとリーゼは僕と一緒に、みなは自室に戻ってくれるかな?」
「わかっているわよ、お兄ちゃん、こんな大勢じゃね」
「先輩と離れ離れは、ナディヤ寂しいです」
「主様の仰せなら、例え食べられても」
ロッテとナディヤとナーガが自室に戻ったところ、ヒルデとリーゼと三人で1Fのカフェに向かう。客人はカフェに招いてもらうよう、宿の人に頼んだんだ。
「げっ!?」
「ア、アルベルト様!!」
「アル様、何で逃げたんですか!!」
客人は前に僕がまいたプロイセン王国のちょっと頭のねじが飛んだ王女クリスティーナとその従者アンナだ。
実はあの時は逃げて、宿も直ぐに移して、完全にまいたのだ。
「その、勇者パーティも忙しく、入れ違いで移動していたんです。殿下」
「まぁ、そうでしたか!? ティーナ、嫌われてしまったのかと心配になりましてよ」
いや、別にティーナ殿下は嫌いじゃないけど、これ以上押しかける女の子は遠慮願いたい。ヒルデと違って、戦力にならないし、ヒルデとキャラ被ってるんだもん。
「それはそうと、今日はどうされたのですか? 殿下にそれ程お暇があるとは…」
ホントは暇なんじゃないかなと思っているが、意外とそうでもなかった。
「アルベルト様がわたくしのことをだいすきなのはわかっていまふが……はぅ……」
「殿下、自分で言っておいて恥ずかしがらないでください。大丈夫です。ティーナ殿下とアル様は相思相愛ですので、何も心配する事はありません。それより練習通り言うのですよ」
「い、一体、何を?」
何故か僕とティーナ殿下が相思相愛になっているという妄想に強い突っ込みをいれたい衝動に駆られるが、どうも、二人は何か重要な案件をもってきたように見える。
「アルベルド様、明日の晩餐会にわたくしと一緒に出席して頂いて、わたくしを手込めにしたと白状してください!!」
「えっと、先ずは殴った方がいいのかな?」
この子はヒルデと同じで脳内に現実捏造機能を有しているのだろうか? 僕はこの子に指一本触れてさえいない。とんだ言いがかりだ。
「アルベルド様、こまりまふ。そんなに真剣な顔をされたら、ティーナ照れてしまいますョ」
「いや、一体何言ってんの? いくら殿下でも怒りますヨ!!」
僕が怒ると、二人共、びくっとすると、泣き出した。
「え~ん。アル様が怒ったぁ」
「アル様が怖いよおぉ」
「ちょっと、泣かないでください」
この二人、やりにくいな。
「下僕、この二人はどうも何か目的があって、明日の晩餐会に一緒に出席して欲しいのね」
「リーゼの言う通りだと思うけど、僕達そんな時間はないし、つき合う理由がないよ」
「では、二人に理由を聞きましょう」
僕達は二人から仔細を聞こうとすると、それまで黙っていたヒルデが壊れだした。
「ア、アルがティーナ王女を、て、手込めに!? ヒルデだって、未だなのに、ズルい!!」
そこ? ヒルデ…
「い、いや、僕には身に覚えがないから…」
「ヒルデ、騙されないわ。ヒルデが馬鹿だからって騙そうとしているのね。じゃ、今すぐヒルデを手込めにしてください。そうすれば信用できます!!」
「えいっ!」
僕はヒルデの頭にチョップを入れた。
「えへへ、アルにチョップされちゃった。これで二人の距離は0に、今日の夜にはもう0どころか!? ああ、いけないわ、アル! そんなに求められたら、壊れちゃいまふ……」
どうもチョップが足らないようなので、もう一発入れると、本気で痛かったのか、ヒルデが頭を押さえてしゃがみ込む。
「それで、一体どういう事ですか? 説明してください、殿下?」
「実はお父様がわたくしの婚約者として、このアマルフィの貴族シュミット様との縁談を進めてしまいまして、それで、わたくしが既にアル様に手込めにされてしまっている事を大勢の前で、言って、い、痛い!?」
思わず手が出た。僕はつい、相手が一国の王女だと言う事を忘れて、チョップを入れてしまった。だって、勝手に僕を強姦魔みたいに言うんだもん。
「殿下、いいなぁ。アンナもチョップされたい…」
もう、この二人はやりにくい。
「アル、この二人を助けましょう。シュミット様は評判の悪い女たらしです」
「その通りです。私の住んでいたアルザス王国でも噂は聞いています。女たらしの上、女性を暴力で屈服させるとんでもない性癖の持ち主です。殿下が可愛そうです」
ええっと、ヒルデとリーゼまでこの二人の味方するの?
「おねがいしまふ!」
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いきなり殿下とアンナが土下座した。王女様の土下座って聞いた事も見た事もないな。
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二人はぱあ~と笑顔になると、
「と、とりあえず、もう一回チョップをくらさい!」
「ア、アンナにも、アンナはまだ一度もしてもらっていなくて!」
僕は二人に軽いチョップを入れると、ヒルデとリーゼが僕を上目遣いで見る。
「わかったよ。ヒルデもリーゼもチョップでしょ?」
「アル、チョップください」
「下僕、私の為にチョップをしなさい」
二人にチョップを入れると、
「アルが、チョップをぉ! えっ! えっ? お詫びに今日は僕と一緒に夜を過ごそうだなんて! アルの部屋で二人っきりだなんて! ああっ! 今日の夜、アルに迫られて、抱きしめられて、『今夜ヒルデは僕のもの』だなんて言われて、良くわからない成分を流し込まれて、天国にいっちゃうのかしら! 駄目よ、未だ早すぎるわ! でも、アルが望むなら! お父様、お母様、私、今日いよいよ大人の階段を上ります!」
「えへへ……ふへへへっ やっちゃったぁ! またやっちゃったよぉぉぉぉ! ご主人様からチョップだよぉ! 初めてチョップしてもらちゃったぁぁぁ! ご主人様がいけないんだもん! チョップする時すごぃ優しくするんだもん、私、もうだ めぇぇぇぇ!」
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