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41海の見える街アマルフィへ
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僕達は南の港街、アマルフィを目ざしていた。車窓には既に海が見えてきた。初めて見る海に僕は年甲斐もなくはしゃいでしまった。窓からは青い海、白い壁に赤い屋根の家々が見える。いやが上にも南国気分になってしまう。
「もう、アルったら、子供みたいにはしゃいで!」
「ヒルデ、よく君はそんな事言えるね?」
ヒルデは窓に張り付いて、正座で窓にガブリよりだった。
空にはカモメが…なんてのどかなんだ…
「下僕は海に何をしにきたのかしら? 私達の水着でも堪能しようとでも言うのかしら、全く性欲を抑えられないのだなんて、一度死んでみる?」
「いや、リーゼ、こんなにのどかな風景を見たら、仕方ないじゃないか? 僕は海を見るのが初めてなんだ」
みなもうんうんと頷く、どうも海を見た事があるのはリーゼだけなようだ。王女様のヒルデでさえ、窓際に年甲斐もなくガブリよりの様相だ。
「みな、遊びにきている訳じゃない事はわかっているわね? ここには謎のダンジョンがあり、冒険者や騎士団が謎の失踪をしているの…しかも、ダンジョンの外で、事態がわかっているのかしら?」
「わかっているけど、まずは海で遊んでからでいいんじゃないかな?」
ロッテが海を見ながら、目をキラキラと輝かせて言っている。多分、みなの意見も同じだ。まずは遊びたいよね? 海だよ。
「それにしても、下僕はいつまで私に抱きついているのかしら?」
「いや、抱きついているの、リーゼの方だろ?」
実は今リーゼは僕の膝に乗って、僕の胸に顔を埋めている。なんでこうなったかと言うと、リーゼがお尻が痛いから僕の膝を貸せと言い出したのだ。確かに華奢なリーゼには辛いと思うし、他の女の子に頼むのもどうかと思えた。膝に座らせるといくら華奢で軽いリーゼでも、お尻への圧迫が尋常ではない。しかし、
「私はお尻が痛くて、揺れるのも嫌だから最善の方法をとっているだけよ」
「いや、もっともそうな事言うけど…」
膝を貸すだけでも、膝にリーゼのお尻の感触が伝わってきて、しまった、これはエロいヤツじゃないかと気がついた時には遅かった。しかも、リーゼは僕の膝に座るだけでなく、僕に両腕で抱き着いて、顔を僕の胸に埋めている。いや、近い、近い、流石に僕もリーゼに女の子を感じぜざるを得ない。その…柔らかい肌の感触とか、押し付けられたリーゼのささやかな胸とか、いい香りとか…
「まあ、リーゼがこれでいいなら、僕に異存はないよ。普通に僕の役得だと思うから」
「ご主人様…こ、こんな可愛くない私に優しくしてくれて…あ、ありがとう」
「えっ?」
僕は驚いた。もちろん空耳なんかじゃない。聞き違えた訳じゃない…リーゼの顔は僕の直ぐ目の前の距離なんだ。リーゼが僕の目の前でこんなに殊勝な事言ったのは初めてだ。
「リーゼ。今の言葉?」
「な、なんでも無いから!」
「いや! 今、凄く素直だった!」
「素直? 何を言っているのかしら、それでは私が素直な女じゃないと? 激しい鞭が欲しいのかしら?」
「でも、リーゼが初めて『いつもありがとうって』…今、言ったよね?」
「下僕は耳の調子が悪いようね。私がお礼なんていう訳ないわ、気のせいよ」
「え、でも……」
リーゼは顔を真っ赤にしていた。目の前にいて、リーゼがこんなに可愛いと思ったのは初めてだ。
宿舎で夜、よく叫んでいるところを聞くと、リーゼは言葉とは裏腹に僕の事が好きなのはわかるけど、今まで目の前であれを叫んでくれた事はない。デレている時のリーゼはとても可愛いのだ。
「それよりも、みんな気がつかない?」
「何だ? この音? それにこの香り?」
僕とリーゼのやり取りにみな興味を持っていたので、外の事がおろそかになっていたけど、
「何? この香り? なんかむせそう」
「これ、一体どういう事? これも謎のダンジョンの影響?」
リーゼに言われて外の事が気になると、外からはむせるような香りと、大きな聞いた事がない音が聞こえた。
「何だ? 聞いた事が無い音に、不思議な香り? 魔族か?」
「ふっ、初めての経験なのね、これだから田舎者の下僕は…」
僕はリーゼの毒舌にも関わらず、興味の対象が窓の外に言った。音は大きくなり、小さくなる、ざわざわと音は何度も聞こえる。
ザザーン、ザァザァ
「これが潮騒よ」
リーゼの言葉にみな一斉に窓の外を見る。
「こ、これが…海? なのか?」
「…素敵」
「き、綺麗…」
みなめいめいに感想を漏らす。それ程初めてまじかで見る海は新鮮だった。いつの間にか、海は遠くではなく、目の前にあった。どこまでも透き通るような青、ラムネのような水色をした海、抜けるようなコバルトブルーの海、翡翠色にまどろむかのような海。ああ、なんて綺麗なんだ。
「心地良い音だな…」
浜辺に波が打ち寄せると、波が崩れて海水が音を立てていた。さっきまでは魔族の襲来か? だなんて恥ずかしい事を考えていたけど、目の前に広がる白い波の美しさと、同時に聞こえる波の音に魅了された。
「潮騒が聞こえるって、言うのよ…下僕」
目の前に広がる青い海は潮騒の音を奏でていた。そして、リーゼはまた僕の胸に顔を埋めると、
『素直じゃなくてごめんなさい』
小さな声で呟くリーゼの声を僕は聞き逃さなかった。
まったく……素直じゃないんだから。
「もう、アルったら、子供みたいにはしゃいで!」
「ヒルデ、よく君はそんな事言えるね?」
ヒルデは窓に張り付いて、正座で窓にガブリよりだった。
空にはカモメが…なんてのどかなんだ…
「下僕は海に何をしにきたのかしら? 私達の水着でも堪能しようとでも言うのかしら、全く性欲を抑えられないのだなんて、一度死んでみる?」
「いや、リーゼ、こんなにのどかな風景を見たら、仕方ないじゃないか? 僕は海を見るのが初めてなんだ」
みなもうんうんと頷く、どうも海を見た事があるのはリーゼだけなようだ。王女様のヒルデでさえ、窓際に年甲斐もなくガブリよりの様相だ。
「みな、遊びにきている訳じゃない事はわかっているわね? ここには謎のダンジョンがあり、冒険者や騎士団が謎の失踪をしているの…しかも、ダンジョンの外で、事態がわかっているのかしら?」
「わかっているけど、まずは海で遊んでからでいいんじゃないかな?」
ロッテが海を見ながら、目をキラキラと輝かせて言っている。多分、みなの意見も同じだ。まずは遊びたいよね? 海だよ。
「それにしても、下僕はいつまで私に抱きついているのかしら?」
「いや、抱きついているの、リーゼの方だろ?」
実は今リーゼは僕の膝に乗って、僕の胸に顔を埋めている。なんでこうなったかと言うと、リーゼがお尻が痛いから僕の膝を貸せと言い出したのだ。確かに華奢なリーゼには辛いと思うし、他の女の子に頼むのもどうかと思えた。膝に座らせるといくら華奢で軽いリーゼでも、お尻への圧迫が尋常ではない。しかし、
「私はお尻が痛くて、揺れるのも嫌だから最善の方法をとっているだけよ」
「いや、もっともそうな事言うけど…」
膝を貸すだけでも、膝にリーゼのお尻の感触が伝わってきて、しまった、これはエロいヤツじゃないかと気がついた時には遅かった。しかも、リーゼは僕の膝に座るだけでなく、僕に両腕で抱き着いて、顔を僕の胸に埋めている。いや、近い、近い、流石に僕もリーゼに女の子を感じぜざるを得ない。その…柔らかい肌の感触とか、押し付けられたリーゼのささやかな胸とか、いい香りとか…
「まあ、リーゼがこれでいいなら、僕に異存はないよ。普通に僕の役得だと思うから」
「ご主人様…こ、こんな可愛くない私に優しくしてくれて…あ、ありがとう」
「えっ?」
僕は驚いた。もちろん空耳なんかじゃない。聞き違えた訳じゃない…リーゼの顔は僕の直ぐ目の前の距離なんだ。リーゼが僕の目の前でこんなに殊勝な事言ったのは初めてだ。
「リーゼ。今の言葉?」
「な、なんでも無いから!」
「いや! 今、凄く素直だった!」
「素直? 何を言っているのかしら、それでは私が素直な女じゃないと? 激しい鞭が欲しいのかしら?」
「でも、リーゼが初めて『いつもありがとうって』…今、言ったよね?」
「下僕は耳の調子が悪いようね。私がお礼なんていう訳ないわ、気のせいよ」
「え、でも……」
リーゼは顔を真っ赤にしていた。目の前にいて、リーゼがこんなに可愛いと思ったのは初めてだ。
宿舎で夜、よく叫んでいるところを聞くと、リーゼは言葉とは裏腹に僕の事が好きなのはわかるけど、今まで目の前であれを叫んでくれた事はない。デレている時のリーゼはとても可愛いのだ。
「それよりも、みんな気がつかない?」
「何だ? この音? それにこの香り?」
僕とリーゼのやり取りにみな興味を持っていたので、外の事がおろそかになっていたけど、
「何? この香り? なんかむせそう」
「これ、一体どういう事? これも謎のダンジョンの影響?」
リーゼに言われて外の事が気になると、外からはむせるような香りと、大きな聞いた事がない音が聞こえた。
「何だ? 聞いた事が無い音に、不思議な香り? 魔族か?」
「ふっ、初めての経験なのね、これだから田舎者の下僕は…」
僕はリーゼの毒舌にも関わらず、興味の対象が窓の外に言った。音は大きくなり、小さくなる、ざわざわと音は何度も聞こえる。
ザザーン、ザァザァ
「これが潮騒よ」
リーゼの言葉にみな一斉に窓の外を見る。
「こ、これが…海? なのか?」
「…素敵」
「き、綺麗…」
みなめいめいに感想を漏らす。それ程初めてまじかで見る海は新鮮だった。いつの間にか、海は遠くではなく、目の前にあった。どこまでも透き通るような青、ラムネのような水色をした海、抜けるようなコバルトブルーの海、翡翠色にまどろむかのような海。ああ、なんて綺麗なんだ。
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「潮騒が聞こえるって、言うのよ…下僕」
目の前に広がる青い海は潮騒の音を奏でていた。そして、リーゼはまた僕の胸に顔を埋めると、
『素直じゃなくてごめんなさい』
小さな声で呟くリーゼの声を僕は聞き逃さなかった。
まったく……素直じゃないんだから。
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