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38トゥールネの帰らずのダンジョン6
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僕が先頭に立ち、第9層の次の扉を開け放つ。
僕達は第2層でトラップに引っかかっていきなり第9層の最下層に転移していたようだ。僕の探査のスキルで、ここより下の階層が無い事がわかった。下へ降りる階段がないのだ。
扉を開けると、第8層への上がり階段が見えた。
「いきなりダンジョンの最下層から戻るのは初めての経験ね」
「誰でも初めてだよ」
「そうね。トラップで転移というのもベタだけど、普通いきなり最下層にはいかないし、あんなに巧妙に隠す事なんてあり得ないから」
いや、ヒルデ、確かに冒険者パーティが引っかかったのは巧妙に隠されたトラップだったと思う。でもヒルデが引っかかったのは、あからさまに怪しい宝箱だった。それも鑑定すらせず…
「あの、みなさん、ちょっと待って下さい。わたくし、このままでは移動が難しいので、変身します。それに、皆さんもわたくしの姿が怖いのでしょう?」
「いや、そんな事はないけど、変身って?」
「わたくしは元々新しく作られたダンジョンに配置された生まれたばかりの魔物でして、だから、移動なんてする必要がないから、下半身が蛇なのです。蛇の魔物だから当然なのですけど、不便で、やはり変身します。幸い、魔族となって、色々能力が増えて」
魔族のナーガは黒い粒子に包まれると、その蛇の下半身が消えて、人間と同じ下半身。普通の女の子のように綺麗な美脚が出現した。ちなみに生足だ。
「これで、移動も楽ですし、アルベルト様の夜伽も人と同じようにできますわ」
「え、あ、そうなの?」
僕は焦った。ナーガは魔族なので、そっちの方向は迫ってこないと安心していたけど、駄目みたい。
でも、僕は一つ確認をしたかった。
「ねえ、ナーガ、君は人を食べたり、殺したりした事はあるの?」
素朴な質問だった。今は普通の女の子みたいだけど、魔族なのである。警戒はしないと。
それに魔物時代にヒルデの顔をズタズタにしてやるとか、僕を食べるとか言っていた。
「いやですわね。生まれたばかりで、人なんて食べた事ないし、ヒルデさんの顔をズタズタになんて事もホントはびびってたのです。そうしろと命令されていたのですが、わたくしも生まれたばかりで、虫も殺した事がなかったのですよ。ハードルが高くてもう」
「それで、ナーガって何を食べているの? 本性は蛇だから、やっぱり肉食でしょう?」
「そうですよ。肉食ですけど、ねずみよりどちらかと言うと豚さんとかの方がいいです」
どうも、ナーガは僕達とあまり食生活は変わらないらしい。これが人肉食べるとか言われると流石に仲間にはできないどころか、倒さなければならないから、安心した。
「あ、先輩、魔物が出ました」
「ナディヤ、ありがとう!?」
「フニャ☆先輩、ナディヤに感謝してくれるのですね。これはナディヤルートも選んでくれるのですね!」
「いや、とにかく戦闘準備!」
「キャピーン☆ナディヤは支援しますよ!」
今はとにかくこのダンジョンから帰還しよう。
「ファイヤーボール!」
妹ロッテの火の攻撃魔法で炎が燃え盛りそこに浮かび上がったのは鋭い牙を持つ、ファイヤードラゴンだった。
「ごめんお兄ちゃん、属性があわないや!」
「大丈夫だよ。ロッテ、先ずは敵の正体だ」
ファイヤードラゴンは火の属性を持つ龍種だ。だから火はむしろ回復してしまい、ダメージはない。しかし、ダンジョンで最初にやる事は敵の正体を確認する事と明かりを手に入れる事だ。その2つは達成できている。
「ヒルデ、リーゼ、行くよ」
「うん、アル、任せて!?」
「下僕の癖に…」
リーゼの毒舌も最近スルーできる位A〇フィールドの耐性がついた。あまり気にしない。
そして、いつもの様にロッテのデバフ、ナディヤの強化魔法と続く。しかし、龍種は魔族に次ぎ強力な魔物だ。簡単には倒せない。龍種には強力な鱗があり、魔法も剣も簡単に通らないのだ。
がきん、がきん
重い音が響く、僕とヒルデの剣戟が龍の鱗に当たる音だ。
「聖剣や魔剣でも簡単にダメージが通らない」
「まあ、時間がかかるだけだよ、気にしない」
僕はヒルデに声をかけた。しかし、僕はリーゼが気になった。未だレベルが低いリーゼは動きが悪い。時々龍に隙を見せてしまう。
「危ない、リーゼ!?」
「きゃぁああああああ」
うっかり隙を見せてしまったリーゼを龍は見逃さず、すかさずその鋭い牙でリーゼを襲う。
「くぅっ!」
「下僕、その、ありがとうは言っておくわ」
流石にリーゼも毒舌はない。龍にあぶなく喰われそうになったリーゼを助ける為、無理やりリーゼと龍の間に割り込んだ僕を龍の牙が襲った。
「大丈夫だよ。これ位の傷」
「……」
その時、
「神聖流星剣!?」
ヒルデの必殺の一撃が隙を見せた龍の首を落とす。流石勇者だ、スピード、威力申し分ない。
しかし、リーゼはパーティを抜けた方がいいかもしれない。彼女は元々貴族のお嬢様で、僕が奴隷として購入したから戦いに参加してもらっている。彼女は底辺戦士という僕と同じ低い才能を持つ戦士だ。僕は奈落でレベルの上限を突破してレベル999になったけど、彼女は違う。レベル99でカンストしても、ヒルデ達の様に十分なステータスを得られないかもしれない。
そもそも、僕は彼女を性奴隷から解放してあげて、元の貴族に復帰させてあげたい。彼女はやたらと僕に性奴隷として扱うよう勧めるが、それは多分、僕が支払った奴隷への金銭に対する対価を払う為なんだろう。彼女は毒舌だけど、真面目で、経済に秀でた家系の貴族だ。彼女の倫理では、リーゼは僕に性奴隷としての職務を実行する事を欲しているのだ。でも、そんな事は止めて欲しい。
何とか彼女を貴族に復帰させよう。僕は彼女のパーティからの離脱と元々の身分に復帰させてあげる事を誓った。
最後にナーガが気になる事を言った。
「主様の剣…魔剣でございますね…それは悪魔の力を宿す剣、しかし悪魔の力を宿す高位魔族や魔王には効きません。お気をつけてくださいまし」
そして、それから8時間程かけて、僕達はこのダンジョンから生還した。
僕達は第2層でトラップに引っかかっていきなり第9層の最下層に転移していたようだ。僕の探査のスキルで、ここより下の階層が無い事がわかった。下へ降りる階段がないのだ。
扉を開けると、第8層への上がり階段が見えた。
「いきなりダンジョンの最下層から戻るのは初めての経験ね」
「誰でも初めてだよ」
「そうね。トラップで転移というのもベタだけど、普通いきなり最下層にはいかないし、あんなに巧妙に隠す事なんてあり得ないから」
いや、ヒルデ、確かに冒険者パーティが引っかかったのは巧妙に隠されたトラップだったと思う。でもヒルデが引っかかったのは、あからさまに怪しい宝箱だった。それも鑑定すらせず…
「あの、みなさん、ちょっと待って下さい。わたくし、このままでは移動が難しいので、変身します。それに、皆さんもわたくしの姿が怖いのでしょう?」
「いや、そんな事はないけど、変身って?」
「わたくしは元々新しく作られたダンジョンに配置された生まれたばかりの魔物でして、だから、移動なんてする必要がないから、下半身が蛇なのです。蛇の魔物だから当然なのですけど、不便で、やはり変身します。幸い、魔族となって、色々能力が増えて」
魔族のナーガは黒い粒子に包まれると、その蛇の下半身が消えて、人間と同じ下半身。普通の女の子のように綺麗な美脚が出現した。ちなみに生足だ。
「これで、移動も楽ですし、アルベルト様の夜伽も人と同じようにできますわ」
「え、あ、そうなの?」
僕は焦った。ナーガは魔族なので、そっちの方向は迫ってこないと安心していたけど、駄目みたい。
でも、僕は一つ確認をしたかった。
「ねえ、ナーガ、君は人を食べたり、殺したりした事はあるの?」
素朴な質問だった。今は普通の女の子みたいだけど、魔族なのである。警戒はしないと。
それに魔物時代にヒルデの顔をズタズタにしてやるとか、僕を食べるとか言っていた。
「いやですわね。生まれたばかりで、人なんて食べた事ないし、ヒルデさんの顔をズタズタになんて事もホントはびびってたのです。そうしろと命令されていたのですが、わたくしも生まれたばかりで、虫も殺した事がなかったのですよ。ハードルが高くてもう」
「それで、ナーガって何を食べているの? 本性は蛇だから、やっぱり肉食でしょう?」
「そうですよ。肉食ですけど、ねずみよりどちらかと言うと豚さんとかの方がいいです」
どうも、ナーガは僕達とあまり食生活は変わらないらしい。これが人肉食べるとか言われると流石に仲間にはできないどころか、倒さなければならないから、安心した。
「あ、先輩、魔物が出ました」
「ナディヤ、ありがとう!?」
「フニャ☆先輩、ナディヤに感謝してくれるのですね。これはナディヤルートも選んでくれるのですね!」
「いや、とにかく戦闘準備!」
「キャピーン☆ナディヤは支援しますよ!」
今はとにかくこのダンジョンから帰還しよう。
「ファイヤーボール!」
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「ごめんお兄ちゃん、属性があわないや!」
「大丈夫だよ。ロッテ、先ずは敵の正体だ」
ファイヤードラゴンは火の属性を持つ龍種だ。だから火はむしろ回復してしまい、ダメージはない。しかし、ダンジョンで最初にやる事は敵の正体を確認する事と明かりを手に入れる事だ。その2つは達成できている。
「ヒルデ、リーゼ、行くよ」
「うん、アル、任せて!?」
「下僕の癖に…」
リーゼの毒舌も最近スルーできる位A〇フィールドの耐性がついた。あまり気にしない。
そして、いつもの様にロッテのデバフ、ナディヤの強化魔法と続く。しかし、龍種は魔族に次ぎ強力な魔物だ。簡単には倒せない。龍種には強力な鱗があり、魔法も剣も簡単に通らないのだ。
がきん、がきん
重い音が響く、僕とヒルデの剣戟が龍の鱗に当たる音だ。
「聖剣や魔剣でも簡単にダメージが通らない」
「まあ、時間がかかるだけだよ、気にしない」
僕はヒルデに声をかけた。しかし、僕はリーゼが気になった。未だレベルが低いリーゼは動きが悪い。時々龍に隙を見せてしまう。
「危ない、リーゼ!?」
「きゃぁああああああ」
うっかり隙を見せてしまったリーゼを龍は見逃さず、すかさずその鋭い牙でリーゼを襲う。
「くぅっ!」
「下僕、その、ありがとうは言っておくわ」
流石にリーゼも毒舌はない。龍にあぶなく喰われそうになったリーゼを助ける為、無理やりリーゼと龍の間に割り込んだ僕を龍の牙が襲った。
「大丈夫だよ。これ位の傷」
「……」
その時、
「神聖流星剣!?」
ヒルデの必殺の一撃が隙を見せた龍の首を落とす。流石勇者だ、スピード、威力申し分ない。
しかし、リーゼはパーティを抜けた方がいいかもしれない。彼女は元々貴族のお嬢様で、僕が奴隷として購入したから戦いに参加してもらっている。彼女は底辺戦士という僕と同じ低い才能を持つ戦士だ。僕は奈落でレベルの上限を突破してレベル999になったけど、彼女は違う。レベル99でカンストしても、ヒルデ達の様に十分なステータスを得られないかもしれない。
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何とか彼女を貴族に復帰させよう。僕は彼女のパーティからの離脱と元々の身分に復帰させてあげる事を誓った。
最後にナーガが気になる事を言った。
「主様の剣…魔剣でございますね…それは悪魔の力を宿す剣、しかし悪魔の力を宿す高位魔族や魔王には効きません。お気をつけてくださいまし」
そして、それから8時間程かけて、僕達はこのダンジョンから生還した。
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