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37トゥールネの帰らずのダンジョン5
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「ぐはっ……!?」
僕は血を吐いた。僕の身体は、目玉が集まって形勢された剣によって貫かれていた。幸い、急所は外れている。スピードを重視した為か、かなり無理があったのか、それほど長くも太くもないので、致命傷とはならなかった。もちろん貫かれた場所が心臓や頭なら今頃、僕の命はなかったかもしれない。ただ言える事は、間違いなく僕は重傷だ。
「くっ……!?」
「アルベルト様」
ナーガが心配そうにしている。何故かヒルダもロッテも生暖かい目で見ている。僕が苦痛で呻く。僕がこんなに苦戦するなんて予想していなかった。最大出力の魔法剣でも滅ぼす事ができないなんて……
僕の身体には、剣で貫かれた出血が多量に見て取ることができ、動くたびにポタポタと地面に血の滴を垂らしていた。
「アル、まずいです……! 回復しないと!」
他人事みたいに見ていたヒルデも流石にまずいと思ったのか、僕を助けようとしてくれる。だけど、これは決闘なのだ。
「駄目だよ、ヒルデ、これは決闘なんだ」
魔族とは言え、僕は決闘の約束をした。それを破るつもりはない。そもそもこれ位の魔族相手に勝てないで、魔王なんて倒せない。
しかし、僕の目は虚ろで見えにくくなっているし、身体はフラフラとし始めている。もう、限界だ。体力的にも、HP的にも、精神的にも……何もかもが僕の限界を示していた。
「下僕は馬鹿なのかしら? 魔族に有効なのは聖剣か魔剣だけ! 思い出しなさい、それは魔族でしてよ!」
そうか、そうだった。僕は何故この魔族相手に魔剣の力を使わなかったんだ。
「ズルいですね。決闘で味方からの助言だなんて、しかし、聖剣や魔剣なんてある訳が!」
「なるほど、魔眼では無く、催眠魔法だったんだね。いっぱい喰わされたよ」
「…………な?」
みなの視界から、僕が姿を消した。重症を負っていた筈の僕は、ふっと、突然、何の兆しもなく泡沫のように消えたように見えた筈だ。
「な、何?」
僕は一旦魔族の前から姿をくらまし、自身の身体を鑑定した。
「流石魔族。魔眼の術式を展開する一方で、詠唱破棄呪文で催眠魔法をかけていたとはね」
「気がつきましたか、あなたは私の催眠魔法にかかって…あなたが見ていた目玉の大半が幻です。しかし…いや、まさか、そんなまさか!?」
魔族は話している途中で気がついたのだ。僕の魔剣に悪魔の魔力が渦巻き始めた事を! 魔族の表情に焦りが見える。魔法を使う彼には魔力の流れがわかるのだろう。尋常ではない異質の魔力が渦巻いている事に気がついたのだろう。彼だけではない、それまで静観していたヒルデ達も恐怖の悲鳴をあげる。僕から暗黒の悪魔の魔力がほとばしる、魔力が無いものでも、その暗黒の魔力の奔流に、恐怖するだろう。
魔族に勝ちうる手段は聖剣か魔剣しかない。そして、僕は魔剣の使い手なのだ。
「今度は僕の番だ!?」
「いやなんなんですかこれは!?」
魔族は声を上げる。魔族の彼でさえ見た事のない魔剣の斬撃、それを僕は繰り出すつもりだ。
魔族の顔が恐怖に染まる。それほど、僕の持つ剣から溢れ出す悪魔の魔力の奔流に魔族に言い知れぬ恐怖を与えていた。
「そ、そんな馬鹿な! 人間が悪魔の力を使うのだなんて!?」
「お前に殺された冒険者の仇、いまとらせてもらう!」
ゴゴゴゴゴと魔力の量と勢いが増し、これから僕がとんでも無い一撃を繰り出す事明らかだ。その場にいる皆の髪をなびかせ、畏怖を与え、僕の魔剣の奥義が繰り出される。
「闇黒灰燼‐宵闇!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!?」
魔族にあまりにも大きすぎるダメージが襲う、だが、直前に魔族は防御魔法を唱えた。しかし、僕の魔剣の奥義は信じられない事に彼の防御魔法すら貫通し、減衰無く魔族を襲った。
こうして勝負がついた。僕が放った魔剣の斬撃で魔族は消えていった。
そして、
「流石アルベルト様!」
「アル、これはどういう事かしら?」
「お兄ちゃん、一体これはどういう事?」
「い、いや、僕も良くわからないんだ!」
僕はヒルデとロッテが僕を責めるけど、僕だって、事態が良くわからないんだ。魔族って人に恋するものなの?
「先輩、それはおいておいて…」
「えっと、なんだっけ? ナディヤ?」
僕は不覚にも、ナディヤがついさっき告白した事を失念していた。
「わ、私、先輩の5号さんになります」
「えっ?」
何かまた増えたような気がする。もしかして、僕は女の子をおかしくするウィルスを保菌しているのかな? 今度、お医者さんにみてもらおう。どう考えても女の子がおかしくなる奇病が蔓延しているとしか思えない。
「下僕は何か言う事は無いのかしら?」
「ありがとう。よくやってくれた。全部リーゼのおかげだよ」
「何をもっともそうな事を言っているのかしら? ホントはまた性欲の処理係が増えて喜々としていたのでしょう? 変態もたいがいにしなさい」
ええ、そんな事言う? 僕本気で感謝してたんだよ。
「リーゼ、僕は本当にみんなをそんな風に扱う気はないから、許して!」
「全く愛人を5人も囲うのだなんて、生意気ね。仕方ないわね。帰ったら、足でお尻を散々蹴ってあげるから、期待してなさい」
いや、僕、そんなの期待していないから……
「流石はアルベルト様、既に愛人を所有されているなんて。まさに英雄は色を好むです」
忘れていた、魔族の女の子ナーガだ。
「ナーガも6人目の愛人となります。もちろん正妻にだなんて生意気な事はいいません」
「でも、君は魔族なのだろう? 僕は一体どうすれば?」
僕はホントに困った。
「あら、簡単ですわ。私が卵を産むので、そこになさって頂ければ…」
この下等動物め!…という言葉は流石に飲み込んだ。
僕は血を吐いた。僕の身体は、目玉が集まって形勢された剣によって貫かれていた。幸い、急所は外れている。スピードを重視した為か、かなり無理があったのか、それほど長くも太くもないので、致命傷とはならなかった。もちろん貫かれた場所が心臓や頭なら今頃、僕の命はなかったかもしれない。ただ言える事は、間違いなく僕は重傷だ。
「くっ……!?」
「アルベルト様」
ナーガが心配そうにしている。何故かヒルダもロッテも生暖かい目で見ている。僕が苦痛で呻く。僕がこんなに苦戦するなんて予想していなかった。最大出力の魔法剣でも滅ぼす事ができないなんて……
僕の身体には、剣で貫かれた出血が多量に見て取ることができ、動くたびにポタポタと地面に血の滴を垂らしていた。
「アル、まずいです……! 回復しないと!」
他人事みたいに見ていたヒルデも流石にまずいと思ったのか、僕を助けようとしてくれる。だけど、これは決闘なのだ。
「駄目だよ、ヒルデ、これは決闘なんだ」
魔族とは言え、僕は決闘の約束をした。それを破るつもりはない。そもそもこれ位の魔族相手に勝てないで、魔王なんて倒せない。
しかし、僕の目は虚ろで見えにくくなっているし、身体はフラフラとし始めている。もう、限界だ。体力的にも、HP的にも、精神的にも……何もかもが僕の限界を示していた。
「下僕は馬鹿なのかしら? 魔族に有効なのは聖剣か魔剣だけ! 思い出しなさい、それは魔族でしてよ!」
そうか、そうだった。僕は何故この魔族相手に魔剣の力を使わなかったんだ。
「ズルいですね。決闘で味方からの助言だなんて、しかし、聖剣や魔剣なんてある訳が!」
「なるほど、魔眼では無く、催眠魔法だったんだね。いっぱい喰わされたよ」
「…………な?」
みなの視界から、僕が姿を消した。重症を負っていた筈の僕は、ふっと、突然、何の兆しもなく泡沫のように消えたように見えた筈だ。
「な、何?」
僕は一旦魔族の前から姿をくらまし、自身の身体を鑑定した。
「流石魔族。魔眼の術式を展開する一方で、詠唱破棄呪文で催眠魔法をかけていたとはね」
「気がつきましたか、あなたは私の催眠魔法にかかって…あなたが見ていた目玉の大半が幻です。しかし…いや、まさか、そんなまさか!?」
魔族は話している途中で気がついたのだ。僕の魔剣に悪魔の魔力が渦巻き始めた事を! 魔族の表情に焦りが見える。魔法を使う彼には魔力の流れがわかるのだろう。尋常ではない異質の魔力が渦巻いている事に気がついたのだろう。彼だけではない、それまで静観していたヒルデ達も恐怖の悲鳴をあげる。僕から暗黒の悪魔の魔力がほとばしる、魔力が無いものでも、その暗黒の魔力の奔流に、恐怖するだろう。
魔族に勝ちうる手段は聖剣か魔剣しかない。そして、僕は魔剣の使い手なのだ。
「今度は僕の番だ!?」
「いやなんなんですかこれは!?」
魔族は声を上げる。魔族の彼でさえ見た事のない魔剣の斬撃、それを僕は繰り出すつもりだ。
魔族の顔が恐怖に染まる。それほど、僕の持つ剣から溢れ出す悪魔の魔力の奔流に魔族に言い知れぬ恐怖を与えていた。
「そ、そんな馬鹿な! 人間が悪魔の力を使うのだなんて!?」
「お前に殺された冒険者の仇、いまとらせてもらう!」
ゴゴゴゴゴと魔力の量と勢いが増し、これから僕がとんでも無い一撃を繰り出す事明らかだ。その場にいる皆の髪をなびかせ、畏怖を与え、僕の魔剣の奥義が繰り出される。
「闇黒灰燼‐宵闇!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!?」
魔族にあまりにも大きすぎるダメージが襲う、だが、直前に魔族は防御魔法を唱えた。しかし、僕の魔剣の奥義は信じられない事に彼の防御魔法すら貫通し、減衰無く魔族を襲った。
こうして勝負がついた。僕が放った魔剣の斬撃で魔族は消えていった。
そして、
「流石アルベルト様!」
「アル、これはどういう事かしら?」
「お兄ちゃん、一体これはどういう事?」
「い、いや、僕も良くわからないんだ!」
僕はヒルデとロッテが僕を責めるけど、僕だって、事態が良くわからないんだ。魔族って人に恋するものなの?
「先輩、それはおいておいて…」
「えっと、なんだっけ? ナディヤ?」
僕は不覚にも、ナディヤがついさっき告白した事を失念していた。
「わ、私、先輩の5号さんになります」
「えっ?」
何かまた増えたような気がする。もしかして、僕は女の子をおかしくするウィルスを保菌しているのかな? 今度、お医者さんにみてもらおう。どう考えても女の子がおかしくなる奇病が蔓延しているとしか思えない。
「下僕は何か言う事は無いのかしら?」
「ありがとう。よくやってくれた。全部リーゼのおかげだよ」
「何をもっともそうな事を言っているのかしら? ホントはまた性欲の処理係が増えて喜々としていたのでしょう? 変態もたいがいにしなさい」
ええ、そんな事言う? 僕本気で感謝してたんだよ。
「リーゼ、僕は本当にみんなをそんな風に扱う気はないから、許して!」
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いや、僕、そんなの期待していないから……
「流石はアルベルト様、既に愛人を所有されているなんて。まさに英雄は色を好むです」
忘れていた、魔族の女の子ナーガだ。
「ナーガも6人目の愛人となります。もちろん正妻にだなんて生意気な事はいいません」
「でも、君は魔族なのだろう? 僕は一体どうすれば?」
僕はホントに困った。
「あら、簡単ですわ。私が卵を産むので、そこになさって頂ければ…」
この下等動物め!…という言葉は流石に飲み込んだ。
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