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10初めての冒険は薬草取りからの魔族討伐4
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僕とヒルデは食事を終えると、後片付けをした。お弁当箱は僕の生活魔法の水を出す魔法(クリエイトウォーター)で洗って、テーブルや椅子と一緒にヒルデの収納魔法で全部しまった。
「ようやく食事が終わったか? 私は魔族バフォメット。12魔戦将軍第7階位である」
「ッ!?」
その言葉で、僕は理解した。つまり下から数えた方が早い弱いヤツだという事だ。
「恐怖で、竦んで、言葉も出ないか? 仕方がないだろう、ふっ」
魔族は、僕がこの魔族の事を理解した事を悟ると、ニヤリと笑った。笑う処じゃないよね?
「ええと……まだ最下層じゃないのに、何故ワザワザ出てきたんですか? もしかして親切な魔族?」
僕は呑気な声で言ってしまった。ヒルデの『あーん』で不甲斐なくもテンションが上がってしまっていたので、許して欲しい。
しかし、実はこの魔族は弱いだけでなく、親切な魔族かと問いかけたが、それは違った様だ。
「私が親切…馬鹿なのですか? 最下層直前まで来たのに、呑気に食事をしているあなた達が不愉快なので、わざわざ1階層降りてきたのです。安心しなさい。二人共、殺してくださいと懇願するまで、追いこんであげますよ。女の方は先ずたっぷり可愛がった後に、その顔をズタズタにしてあげます。」
僕は思った事を言った。
「……クズ」
「なんですと? ふっ、なかなか言いますね。壊しがいがありそうですね。勇気と無謀は違うものだと言う事をわからせてあげましょう」
この魔族が狂暴で悪辣なのは当然なのかもしれない、魔族なのだから。そして、この魔族の表情や話し方から、自身が圧倒的に強者であると自覚しており、圧倒的弱者に痛みを与える事で喜びを得る性分なのは明らかだ。
「いいでしょう。本格的に弄ぶ前に、多少痛い目に遇わせて絶望を感じてもらいましょう。安心してください。簡単に殺しはしません。まずは、私に対する態度を覚えてもらいましょう。その後に弄んであげましょう。その頃にはバフォメット様、お願いです。早く殺して下さいと懇願する様になっている事でしょう!?」
魔族は語尾を強めると、そう言って禍々しい魔力を増大させて突然攻撃魔法を使った。
「王女ブリュンヒルト、あなたのその強気な顔が、媚びるように変わるのが楽しみです」
「―――――~~~~ッ!!!!」
闇の刃が無数生まれてヒルデに迫る。以前の彼女なら、ただで済むはずがなかった。だが、
「お願いですから助けて下さい……って言えば許してくれるのかな?」
次の瞬間、僕は魔族の魔法の術式に干渉して、闇魔法の黒い刃の威力を大幅に減らして、素手で刃を振り払った。魔族の闇の刃はヒルデを切り刻む事無く、僕の前で全て四散する。
ヒルデの方に目を移すと、目に♡マークが見えた。彼女は今、多分脳内妄想で忙しいのだろう。だが、ヒルデの表情は穏やかで、恐怖など感じず、温かいものに包まれているかの様だ。
「ヒルデ、大丈夫だよ」
「ア、アル!?」
自分でも気障だなと思ったが、流石にこんな気持ち悪い魔族にあんな事を言われたら、怯えていただろう。僕はヒルデを助けてあげる事にした。いや、ホントはヒルデ一人でも十分簡単に倒せる筈だけど、僕の自意識が彼女を助ける事を選んだ。僕、外面いいんだよね。
「じゃあ、ヒルデ」
「えっ?……」
僕が今まで見せた事が無い、僕の主武器、禍々しい漆黒の剣を持ち、魔族の方へ剣を向けた。ヒルデはなんと言っていいのかわからないのか、言葉を詰まらせていた。
僕は振り返って、優しく笑を湛えて、彼女にこう言った。
「君の国、君のお父さんの敵、僕に討たせてくれ」
「―――――~~~~ッ!!!!」
つい、カッコをつけてしまったが、どうもその言葉は、ヒルデにハマってしまったらしい。頬を赤らめ、まるで吟遊詩人の語るヒロインが如く…王子様を見るかの様に僕を見つめていた。
「お前の相手は僕だ。すまんがヒルデの相手はお前では力不足だ」
「なんて馬鹿なのでしょう。その女よりは簡単に殺してあげたものを…」
自身の魔法をあっさり無効にされた為か、怒りに満ちた顔で僕を見据える魔族バフォメット。人ならざる魔族の表情というものは僕にはわからない。しかし、魔族は獰猛な笑みを浮かべているのだろう。
「流石にこのダンジョンの最下層まで来ただけの事はあります。その力を認めてあげましょう。……どうです? 今なら、その女を差し出せば、魔族の仲間に加えてあげましょう」
魔族は狡猾だ。強敵と認識したとたん裏切りを持ちかける。強敵と戦うより、仲間に引き込んだ方が得だ。だが、僕の決断が揺らぐ筈もなかった。僕は魔王を倒したいのだ。当然この魔族も…
「いや、断固断る。ヒルデは僕の仲間だ。それに僕はお前ら魔族の考え方には同意できない」
これはカッコつけているだけではない。僕の目標は魔王討伐。従って、全ての魔族は僕の敵だ。味方になる事はあり得無い。
「大変残念です。もちろん、本気で味方にするつもりはありませんでしたが、少しでもそこの勇者の女ブリュンヒルトを嬲る事が出来たなら、良かったのですが…どちらにせよあなたは殺して差し上げます」
魔族バフォメットはそう言うと、全身に魔力を漲ぎらせる。そして右腕を上に上げ、左腕を下に下げる。
「ふふふふふっ!? 右手を上げ、溶解させ、左手を下げて凝固させよう…」
山羊の頭を持つ魔族はその姿を変えて、スライムの様に液体へとその姿を変えて行った。
「魔族の力、思い知らせてあげます。私の力、錬金術の神髄、死に行くあなたに刻み込んであげます」
キシン! と凄まじい勢いで闇の魔法の刃が無数襲い掛かってきた。禍々しく黒く光る刃は鈍く光っている。全く予備動作を見せずに襲い掛かってきたことから、無詠唱の魔法だろう。大抵の人なら不意を突かれて一撃で死んでしまうだろう。だが、戦いに慣れた僕は一気にバックステップでかわす、後ろに一気に飛ぶことによって、その刃の脅威から逃れた、筈だった。
更に僕に襲いかかる黒い刃を魔剣で受けると、黒い刃は僕の剣に触れた瞬間に僕の剣を支点に軌道を突然変えて、ぐにゃりと折れ曲がるように曲がり僕の身体を襲った。
「なんだと……」
魔族の無数の黒い刃が僕の身体を貫いた。
「ようやく食事が終わったか? 私は魔族バフォメット。12魔戦将軍第7階位である」
「ッ!?」
その言葉で、僕は理解した。つまり下から数えた方が早い弱いヤツだという事だ。
「恐怖で、竦んで、言葉も出ないか? 仕方がないだろう、ふっ」
魔族は、僕がこの魔族の事を理解した事を悟ると、ニヤリと笑った。笑う処じゃないよね?
「ええと……まだ最下層じゃないのに、何故ワザワザ出てきたんですか? もしかして親切な魔族?」
僕は呑気な声で言ってしまった。ヒルデの『あーん』で不甲斐なくもテンションが上がってしまっていたので、許して欲しい。
しかし、実はこの魔族は弱いだけでなく、親切な魔族かと問いかけたが、それは違った様だ。
「私が親切…馬鹿なのですか? 最下層直前まで来たのに、呑気に食事をしているあなた達が不愉快なので、わざわざ1階層降りてきたのです。安心しなさい。二人共、殺してくださいと懇願するまで、追いこんであげますよ。女の方は先ずたっぷり可愛がった後に、その顔をズタズタにしてあげます。」
僕は思った事を言った。
「……クズ」
「なんですと? ふっ、なかなか言いますね。壊しがいがありそうですね。勇気と無謀は違うものだと言う事をわからせてあげましょう」
この魔族が狂暴で悪辣なのは当然なのかもしれない、魔族なのだから。そして、この魔族の表情や話し方から、自身が圧倒的に強者であると自覚しており、圧倒的弱者に痛みを与える事で喜びを得る性分なのは明らかだ。
「いいでしょう。本格的に弄ぶ前に、多少痛い目に遇わせて絶望を感じてもらいましょう。安心してください。簡単に殺しはしません。まずは、私に対する態度を覚えてもらいましょう。その後に弄んであげましょう。その頃にはバフォメット様、お願いです。早く殺して下さいと懇願する様になっている事でしょう!?」
魔族は語尾を強めると、そう言って禍々しい魔力を増大させて突然攻撃魔法を使った。
「王女ブリュンヒルト、あなたのその強気な顔が、媚びるように変わるのが楽しみです」
「―――――~~~~ッ!!!!」
闇の刃が無数生まれてヒルデに迫る。以前の彼女なら、ただで済むはずがなかった。だが、
「お願いですから助けて下さい……って言えば許してくれるのかな?」
次の瞬間、僕は魔族の魔法の術式に干渉して、闇魔法の黒い刃の威力を大幅に減らして、素手で刃を振り払った。魔族の闇の刃はヒルデを切り刻む事無く、僕の前で全て四散する。
ヒルデの方に目を移すと、目に♡マークが見えた。彼女は今、多分脳内妄想で忙しいのだろう。だが、ヒルデの表情は穏やかで、恐怖など感じず、温かいものに包まれているかの様だ。
「ヒルデ、大丈夫だよ」
「ア、アル!?」
自分でも気障だなと思ったが、流石にこんな気持ち悪い魔族にあんな事を言われたら、怯えていただろう。僕はヒルデを助けてあげる事にした。いや、ホントはヒルデ一人でも十分簡単に倒せる筈だけど、僕の自意識が彼女を助ける事を選んだ。僕、外面いいんだよね。
「じゃあ、ヒルデ」
「えっ?……」
僕が今まで見せた事が無い、僕の主武器、禍々しい漆黒の剣を持ち、魔族の方へ剣を向けた。ヒルデはなんと言っていいのかわからないのか、言葉を詰まらせていた。
僕は振り返って、優しく笑を湛えて、彼女にこう言った。
「君の国、君のお父さんの敵、僕に討たせてくれ」
「―――――~~~~ッ!!!!」
つい、カッコをつけてしまったが、どうもその言葉は、ヒルデにハマってしまったらしい。頬を赤らめ、まるで吟遊詩人の語るヒロインが如く…王子様を見るかの様に僕を見つめていた。
「お前の相手は僕だ。すまんがヒルデの相手はお前では力不足だ」
「なんて馬鹿なのでしょう。その女よりは簡単に殺してあげたものを…」
自身の魔法をあっさり無効にされた為か、怒りに満ちた顔で僕を見据える魔族バフォメット。人ならざる魔族の表情というものは僕にはわからない。しかし、魔族は獰猛な笑みを浮かべているのだろう。
「流石にこのダンジョンの最下層まで来ただけの事はあります。その力を認めてあげましょう。……どうです? 今なら、その女を差し出せば、魔族の仲間に加えてあげましょう」
魔族は狡猾だ。強敵と認識したとたん裏切りを持ちかける。強敵と戦うより、仲間に引き込んだ方が得だ。だが、僕の決断が揺らぐ筈もなかった。僕は魔王を倒したいのだ。当然この魔族も…
「いや、断固断る。ヒルデは僕の仲間だ。それに僕はお前ら魔族の考え方には同意できない」
これはカッコつけているだけではない。僕の目標は魔王討伐。従って、全ての魔族は僕の敵だ。味方になる事はあり得無い。
「大変残念です。もちろん、本気で味方にするつもりはありませんでしたが、少しでもそこの勇者の女ブリュンヒルトを嬲る事が出来たなら、良かったのですが…どちらにせよあなたは殺して差し上げます」
魔族バフォメットはそう言うと、全身に魔力を漲ぎらせる。そして右腕を上に上げ、左腕を下に下げる。
「ふふふふふっ!? 右手を上げ、溶解させ、左手を下げて凝固させよう…」
山羊の頭を持つ魔族はその姿を変えて、スライムの様に液体へとその姿を変えて行った。
「魔族の力、思い知らせてあげます。私の力、錬金術の神髄、死に行くあなたに刻み込んであげます」
キシン! と凄まじい勢いで闇の魔法の刃が無数襲い掛かってきた。禍々しく黒く光る刃は鈍く光っている。全く予備動作を見せずに襲い掛かってきたことから、無詠唱の魔法だろう。大抵の人なら不意を突かれて一撃で死んでしまうだろう。だが、戦いに慣れた僕は一気にバックステップでかわす、後ろに一気に飛ぶことによって、その刃の脅威から逃れた、筈だった。
更に僕に襲いかかる黒い刃を魔剣で受けると、黒い刃は僕の剣に触れた瞬間に僕の剣を支点に軌道を突然変えて、ぐにゃりと折れ曲がるように曲がり僕の身体を襲った。
「なんだと……」
魔族の無数の黒い刃が僕の身体を貫いた。
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