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8初めての冒険は薬草取りからの魔族討伐2
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ダンジョンで最初に出くわした上半身が女、下半身が蛇の魔物ナーガがクネクネと首を曲げながら気持ちの悪い言葉を吐くので、僕は内心震え上がっていた。気持ちが悪い魔物は嫌いなんだ。
「あなたは……くくっ、可愛い顔をしているわね。本当に美味しそう……頭から頂こうかしら? それとも足の方から少しずつ死んで逝く仕方で食べようかしら?」
え、僕の顔を見てそんな事言うの? 可愛い顔といったらヒルデの方だよね? 僕の事じゃないよね?
僕はナーガの恐ろしい言葉に、更に縮みあがった。なんで、僕の方を見て舌なめずりするの? 多分、ヒルデの方が美味しいよ、根拠はないけど。やはり、ヒルデの方が適切だと思うよ。
「アルさんを食べさせたりはしない!?」
ヒルデが剣を鞘から引き抜き、光り輝く聖剣を構える。
「情けをかけてやろう、その男を斬れ、そうすればお前は許してやろう」
「許すって、どうせ楽に殺してやるとかそんなヤツでしょ?」
「苦しまずに死ねるんだったら、それは許しだろう?」
こいつ、鬼畜だ…
「ふふふふふふふっ!」
笑い方が気持ち悪い…
「私が前衛を務めます。アルさんは回復をお願いします」
「いや、魔法で普通に攻撃するよ」
「ええっ? アルさん、回復術士でしょう?」
「ヒルデ、人を見かけで判断しては駄目だよ」
「えっ? いや、別に見かけで判断した訳では…」
「人の本質は良くみないとわからないものだよ。僕が魔法を使ったっていいじゃないか? 僕が回復術士だからといって、回復魔法しか使えないと思うのは偏見だよ」
「わかりました、ヒルデ、目が覚めました。人の本質を見るようにします」
ナーガは僕の方を見て、舌なめずりしながら薄ら笑いを浮かべる。
「今すぐ、そこの女を置いて逃げ出したら、追わないであげるわ。できるだけ、みっともなく逃げだす姿を見せてくれたなら、ね」
魅力的な提案だが、流石に体裁が悪い。
「お断りだな。きさまを倒し、ヒルデを守る」
「ア、アルさん……」
僕は外面がいいので、つい格好つけてしまったが、ヒルデが僕を見る目が熱い。これ以上ドツボにハマりたくはないが、僕の虚栄心が逃げるという選択肢を邪魔した。
「その女の顔をズタズタにした後、両手足の腱を切ってお人形さんにしてあげるわ。あなたはやはり、足から苦しませて食べてあげるわ。想像して、お人形さんと自分の足や胴体が食べられる処を見ながら死ねるのよぉ!」
こいつは頭おかしいじゃないか? この魔物……。倫理の授業をもう一度勉強し直した方がいいと思う。倫理観は大事だと思う。
「ヒルデ、安心して。君は僕が必ず守るから」
「え?……あわわわわわ! そ、そ、そんな! 私の為には命なんていらないだなんて、そんな! ア、アルさん! 直球過ぎる!? え!? そ、そ、そんなに私を愛おしそうな目で見つめないで! い、いくら私が未来の嫁としてふさわしいと思ったからっていったって!?」
うん、そんな事一言も言っていません。最近ヒルデのこの故障にも慣れて可愛く思えてきた。最初はヤバい子だと思ったが、意外と知的で普段はクールでさえある。普段は割と無口であまり喋らない子だけど…まさか脳内でこんなに妄想を繰り広げていたとは思わなかった。むっつりなんだね、ヒルデ。
ヒルデが頬を赤らめて僕を見上げるのけど、ナーガも歪んだ笑を浮かべながら涎をながして僕を見ていた。
ナーガは僕の嫌悪感に遠慮することもなく、蛇の身体を地面に近づけてぐぐぐっと身を低くする。あからさまに身体をバネにして襲い掛かるつもりだろう。
「美味しく……頂きまーす……!!」
次の瞬間、ナーガの身体が凄い勢いで僕の眼前に迫ってきた。
なんで? 僕の方? と目を丸くした後、僕は鞘からただの鉄の剣を抜き放ち、ナーガを真っ二つに切り裂いた。
「ぎゃあああああああああああああ!?」
ドスン! という音が響いた。ナーガが真っ二つになって身体が落ちる音だった。目の前のナーガの恨めし気な表情に、僕はちびりそうになる。
ナーガは真っ二つになっても、尚も話し続けた。
「ど、どうして……剣を……魔法使いでは?」
ドクドクとあちらこちらから血を吹き出しながら、更に喋り続けるナーガ。真っ二つになっているのに、どうして喋れるんだろう? 唇も真っ二つなんだよ。
「だから言っただろう、人を見かけで判断するなと…」
「いや、お前が自分の事魔法使いだと言っただろう?」
そうだったっけ?
「ヒルデ、止めを…」
「えっ? 私がですか?」
「君の経験値になる。僕はレベルがもう上限だから」
ヒルデがナーガに止めを刺すが、ナーガが気持ち悪い事を言う。
「こ、こんなに強い人間は初めて…惚れた。絶対にあなたの恋人になるぅー」
「ヒルデ、お願い」
早く殺っちゃって。
ヒルデが聖剣を振りかざし、ナーガの首を落とす。血しぶきがあがりヒルデの頬に血がつく。美少女は得だ。それですら絵になる。僕は前から思っていた事を言った。
「ヒルデ、僕の事をアルと呼び捨てにして、これからもよろしくね」
「えっ? わ、私ともっと親密になりたいから名前を呼び捨てにしろって! えっ? 夫婦なら当然じゃないかって! そんな、アル、気が早すぎるわ! 私達未だ、婚約もしていないのよ! え、そんな、婚前でも、事実婚があるじゃないかだなんて! 大丈夫、いつでも結婚できるよう、婚姻届けに署名済よ。ええっ!! ぶ、無事、か、か、帰ったら、婚姻届けをだそうだなんて…ご、強引すぎます! あ、でも、私、強引なアルも好きです!!」
ぽっと頬を赤らめるヒルデだったが、僕の言った事はほとんど入っていない。脳に捏造機能を多数有している様だ。
ヒルデはいやんいやんのポーズで、多分、脳内でいけない事を想像していると思う…涎垂れてるから…
ヒルデは可愛いな。脳が故障していても魅力的だ。でも、僕には婚約者がいる。勇者エルヴィンに寝取られてしまったが、フィーネは今でも僕の婚約者の筈だ。彼女は僕の命を守る為に身体をエルヴィンに差し出してしまったのか? それなら、エルヴィンを見返してフィーネを取り戻したい。例え、汚されてしまったとしても、彼女は僕の婚約者であり、長い間連れ添った幼馴染なのだ。子供の頃からの付き合いなのだ。ヒルデの気持ちは嬉しいが、脳に故障がある欠陥品だし、婚約者がいる身としてはヒルデの愛情には答えられない。
勇者エルヴィンを見返して魔王討伐部隊に選抜されたい。しかし、どうすれば魔王討伐部隊に入れるのだろうか?
「あなたは……くくっ、可愛い顔をしているわね。本当に美味しそう……頭から頂こうかしら? それとも足の方から少しずつ死んで逝く仕方で食べようかしら?」
え、僕の顔を見てそんな事言うの? 可愛い顔といったらヒルデの方だよね? 僕の事じゃないよね?
僕はナーガの恐ろしい言葉に、更に縮みあがった。なんで、僕の方を見て舌なめずりするの? 多分、ヒルデの方が美味しいよ、根拠はないけど。やはり、ヒルデの方が適切だと思うよ。
「アルさんを食べさせたりはしない!?」
ヒルデが剣を鞘から引き抜き、光り輝く聖剣を構える。
「情けをかけてやろう、その男を斬れ、そうすればお前は許してやろう」
「許すって、どうせ楽に殺してやるとかそんなヤツでしょ?」
「苦しまずに死ねるんだったら、それは許しだろう?」
こいつ、鬼畜だ…
「ふふふふふふふっ!」
笑い方が気持ち悪い…
「私が前衛を務めます。アルさんは回復をお願いします」
「いや、魔法で普通に攻撃するよ」
「ええっ? アルさん、回復術士でしょう?」
「ヒルデ、人を見かけで判断しては駄目だよ」
「えっ? いや、別に見かけで判断した訳では…」
「人の本質は良くみないとわからないものだよ。僕が魔法を使ったっていいじゃないか? 僕が回復術士だからといって、回復魔法しか使えないと思うのは偏見だよ」
「わかりました、ヒルデ、目が覚めました。人の本質を見るようにします」
ナーガは僕の方を見て、舌なめずりしながら薄ら笑いを浮かべる。
「今すぐ、そこの女を置いて逃げ出したら、追わないであげるわ。できるだけ、みっともなく逃げだす姿を見せてくれたなら、ね」
魅力的な提案だが、流石に体裁が悪い。
「お断りだな。きさまを倒し、ヒルデを守る」
「ア、アルさん……」
僕は外面がいいので、つい格好つけてしまったが、ヒルデが僕を見る目が熱い。これ以上ドツボにハマりたくはないが、僕の虚栄心が逃げるという選択肢を邪魔した。
「その女の顔をズタズタにした後、両手足の腱を切ってお人形さんにしてあげるわ。あなたはやはり、足から苦しませて食べてあげるわ。想像して、お人形さんと自分の足や胴体が食べられる処を見ながら死ねるのよぉ!」
こいつは頭おかしいじゃないか? この魔物……。倫理の授業をもう一度勉強し直した方がいいと思う。倫理観は大事だと思う。
「ヒルデ、安心して。君は僕が必ず守るから」
「え?……あわわわわわ! そ、そ、そんな! 私の為には命なんていらないだなんて、そんな! ア、アルさん! 直球過ぎる!? え!? そ、そ、そんなに私を愛おしそうな目で見つめないで! い、いくら私が未来の嫁としてふさわしいと思ったからっていったって!?」
うん、そんな事一言も言っていません。最近ヒルデのこの故障にも慣れて可愛く思えてきた。最初はヤバい子だと思ったが、意外と知的で普段はクールでさえある。普段は割と無口であまり喋らない子だけど…まさか脳内でこんなに妄想を繰り広げていたとは思わなかった。むっつりなんだね、ヒルデ。
ヒルデが頬を赤らめて僕を見上げるのけど、ナーガも歪んだ笑を浮かべながら涎をながして僕を見ていた。
ナーガは僕の嫌悪感に遠慮することもなく、蛇の身体を地面に近づけてぐぐぐっと身を低くする。あからさまに身体をバネにして襲い掛かるつもりだろう。
「美味しく……頂きまーす……!!」
次の瞬間、ナーガの身体が凄い勢いで僕の眼前に迫ってきた。
なんで? 僕の方? と目を丸くした後、僕は鞘からただの鉄の剣を抜き放ち、ナーガを真っ二つに切り裂いた。
「ぎゃあああああああああああああ!?」
ドスン! という音が響いた。ナーガが真っ二つになって身体が落ちる音だった。目の前のナーガの恨めし気な表情に、僕はちびりそうになる。
ナーガは真っ二つになっても、尚も話し続けた。
「ど、どうして……剣を……魔法使いでは?」
ドクドクとあちらこちらから血を吹き出しながら、更に喋り続けるナーガ。真っ二つになっているのに、どうして喋れるんだろう? 唇も真っ二つなんだよ。
「だから言っただろう、人を見かけで判断するなと…」
「いや、お前が自分の事魔法使いだと言っただろう?」
そうだったっけ?
「ヒルデ、止めを…」
「えっ? 私がですか?」
「君の経験値になる。僕はレベルがもう上限だから」
ヒルデがナーガに止めを刺すが、ナーガが気持ち悪い事を言う。
「こ、こんなに強い人間は初めて…惚れた。絶対にあなたの恋人になるぅー」
「ヒルデ、お願い」
早く殺っちゃって。
ヒルデが聖剣を振りかざし、ナーガの首を落とす。血しぶきがあがりヒルデの頬に血がつく。美少女は得だ。それですら絵になる。僕は前から思っていた事を言った。
「ヒルデ、僕の事をアルと呼び捨てにして、これからもよろしくね」
「えっ? わ、私ともっと親密になりたいから名前を呼び捨てにしろって! えっ? 夫婦なら当然じゃないかって! そんな、アル、気が早すぎるわ! 私達未だ、婚約もしていないのよ! え、そんな、婚前でも、事実婚があるじゃないかだなんて! 大丈夫、いつでも結婚できるよう、婚姻届けに署名済よ。ええっ!! ぶ、無事、か、か、帰ったら、婚姻届けをだそうだなんて…ご、強引すぎます! あ、でも、私、強引なアルも好きです!!」
ぽっと頬を赤らめるヒルデだったが、僕の言った事はほとんど入っていない。脳に捏造機能を多数有している様だ。
ヒルデはいやんいやんのポーズで、多分、脳内でいけない事を想像していると思う…涎垂れてるから…
ヒルデは可愛いな。脳が故障していても魅力的だ。でも、僕には婚約者がいる。勇者エルヴィンに寝取られてしまったが、フィーネは今でも僕の婚約者の筈だ。彼女は僕の命を守る為に身体をエルヴィンに差し出してしまったのか? それなら、エルヴィンを見返してフィーネを取り戻したい。例え、汚されてしまったとしても、彼女は僕の婚約者であり、長い間連れ添った幼馴染なのだ。子供の頃からの付き合いなのだ。ヒルデの気持ちは嬉しいが、脳に故障がある欠陥品だし、婚約者がいる身としてはヒルデの愛情には答えられない。
勇者エルヴィンを見返して魔王討伐部隊に選抜されたい。しかし、どうすれば魔王討伐部隊に入れるのだろうか?
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