吸血鬼アリーは最強の魔王になりたい~実家に追放された上、騙されて命を落とした少女最強になる? 無自覚なので、何故か沈黙の大聖女になりました~

島風

文字の大きさ
上 下
43 / 51

43アリーは伝説の竜を退治する2

しおりを挟む

沢井が夏合宿の話を持ち出して3週間が経ち、その間に前期の講義のテスト期間もようやく終わりを迎えいよいよ夏休みが始まった

彰人と須田は訓練のためにサークル室ではなく朝から須田の家で2人で過ごしていた

「明日からの準備もうしたか?」

1時間の訓練が終わりいつも通り須田の膝の間でテレビを見ていると後ろから明日からのことを聞かれた

「だいたい、かな?」

「なに、まだ終わってないのあんの?」

「んー……ちょっと」

言い淀むと須田は彰人の頭上から覗き込むと聞いてきた

「海行ったことなくて、水着持ってないんですよね……」

そう言って苦笑いを見せると、そんなことかと須田は驚いた

「せっかくだし持っていくだけ持っていけば?入る入らないは行ってみてから決めればいいしさ」

須田のその言葉に悩みつつ頷くと、2人は須田の家を後にしてショッピングモールに向かった

「そっかぁ、彰人海初めてなんか」

感慨深げに横を歩く須田が呟くため、困ったように笑ってみせた

「泳ぐの苦手?」

「得意じゃないかなぁ」

「そっかそっか、まぁ海入るって言ったって足着くくらいのとこで遊ぶ程度だから怖かったら俺とビーチバレーでもしてような」

気遣うようにそう言って頭を撫でられながら歩くと、左腕をさすり喉の奥に支えるような感覚を心の奥底に押し込め明日からの夏合宿への期待で押し込めた

「これは?」

「派手すぎじゃない?!」

「目立つ方が見つけやすいなって」

「小さい子どもじゃないんだから!」

2人で彰人の水着を選んでいると、よく知った声が聞こえてきた

「相変わらず一緒にいるっすね」

「ん?お、沢井に上條じゃん。そっちも買い物?」

声に振り向くと、サークルの先輩の2人が連れ立ってその場にいた

「沢井さんが今更なって水着ないの気付いたって言い始めて」

暑い中引っ張り出され不服そうに上條がそういうと、横にいた沢井はけらけらと笑った

「いやぁ、去年遊びすぎて破けてたの忘れてて」

「事前に見るんすよ、絶対使うんすから」

「ごめんって」

パートナーとはいえDomの上條を振り回して明るく笑っている沢井の姿は、彰人にはまだまだ眩しく見えた

「山本も水着買ってるんだから俺と同じじゃん?」

「こいつはお前と違って、海行ったことないのー。一緒にすんなぁ?」

同じものを買っている彰人を仲間だと言わんばかりに沢井がそういうと、須田は一緒にするなと言い返していた

「ちぇ、まあ明日から楽しみましょう!」

拗ねた顔を一瞬作りつつ直ぐにそう明るく言って挨拶を済ませると、上條と共に会計へ歩いて行った

「あいつ、マジで嵐みたいなやつだな」

須田は2人の後ろ姿を見ながら呆れ顔でそう口にして、彰人はその言葉に小さく笑った
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。  これが全ての始まりだった。 声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。  なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。 加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。  平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。 果たして、芳乃の運命は如何に?

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──

naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。 昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。 そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。 そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。

婚約破棄されたので歴代最高の悪役令嬢になりました

Ryo-k
ファンタジー
『悪役令嬢』 それすなわち、最高の貴族令嬢の資格。 最高の貴族令嬢の資格であるがゆえに、取得難易度もはるかに高く、10年に1人取得できるかどうか。 そして王子から婚約破棄を宣言された公爵令嬢は、最高の『悪役令嬢』となりました。 さらに明らかになる王子の馬鹿っぷりとその末路――

お飾りの聖女は王太子に婚約破棄されて都を出ることにしました。

高山奥地
ファンタジー
大聖女の子孫、カミリヤは神聖力のないお飾りの聖女と呼ばれていた。ある日婚約者の王太子に婚約破棄を告げられて……。

聖女なのに王太子から婚約破棄の上、国外追放って言われたけど、どうしましょう?

もふっとしたクリームパン
ファンタジー
王城内で開かれたパーティーで王太子は宣言した。その内容に聖女は思わず声が出た、「え、どうしましょう」と。*世界観はふわっとしてます。*何番煎じ、よくある設定のざまぁ話です。*書きたいとこだけ書いた話で、あっさり終わります。*本編とオマケで完結。*カクヨム様でも公開。

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

親友に裏切られ聖女の立場を乗っ取られたけど、私はただの聖女じゃないらしい

咲貴
ファンタジー
孤児院で暮らすニーナは、聖女が触れると光る、という聖女判定の石を光らせてしまった。 新しい聖女を捜しに来ていた捜索隊に報告しようとするが、同じ孤児院で姉妹同然に育った、親友イルザに聖女の立場を乗っ取られてしまう。 「私こそが聖女なの。惨めな孤児院生活とはおさらばして、私はお城で良い生活を送るのよ」 イルザは悪びれず私に言い放った。 でも私、どうやらただの聖女じゃないらしいよ? ※こちらの作品は『小説家になろう』にも投稿しています

処理中です...