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33アリーはお姉ちゃんを助けたい
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「アリーの言う通りだわ。ええ、きっとそうですとも、そうに違いないわ」
「お姉ちゃん? 信じてくれるんだ!」
「当たり前よ。可愛い妹の言うことなんですでも、間違いなんてある筈がないわ」
「じゃあ、これを飲んでくれる?」
アリーはひとしお冒険譚を話した後、例のアネモネのポーションのことを話した。
なんの躊躇いもなく、妹のアリーから手渡されたポーションの瓶の封を切り、少しずつ飲み干していく。
「あ! なんでしょう? いえ、アリーのポーションのおかげかも、いえ、そうに違いないわ!」
「どう? お姉ちゃん?」
「なんと言うのかしら? 今まで体の奥の方に感じていた何かが、今はすぐ近くに感じることができるわ。きっとポーションのおかげよ。ありがとうね。アリー」
そう言って満面の笑みを浮かべる。姉ソフィアの天使のような笑顔にぽーっと見惚れてしまうアリー。
「(お姉ちゃん。何て天使なんだろう? いや、きっと、本当は天使に違いないの)」
勝手に姉を天使と断定して、姉を見つめるアリー、するとソフィアは唐突にアリーに抱きついてきた。
「ああ! もう、どうやってお礼をしたらいいのかしら。ええ、そうよ、この恩は一生かかって返さなければいけないわ。だから、アリーは私のそばにずっといてね」
「もちろんだよ。お姉ちゃん、アリーは一生お姉ちゃんのそばにいる!」
「アリー、ええ、そうよ、ずっと一緒がいいのよ」
そう言うと、アリーの顔をぎゅっと抱きしめた。例によって、アリーと違って育ちが良い胸に圧殺されそうになるアリー。
「お、お姉ちゃん、ギブ、ギブ」
「あら、いやだ。ごめんなさい。苦しかった?」
「ちょ、ちょっとね、えへ」
本当は窒息しそうだったとは言わず、だらしない笑みを浮かべるアリー。
アリーは一生で一番楽しい時間を過ごしていると感じていた。
「そうだ。アリーのためにね。お姉ちゃん、プレゼントを用意したの、うふ」
「え? お姉ちゃんからプレゼント? う、嬉しい!」
「ちょっと待っててね」
そういうとソフィアはタンスから綺麗に包装された一包の箱を取り出した。
「ほんとは、アリーの誕生日に渡そうと思っていたの、でも」
アリーは16歳の誕生日の日にスキル鑑定の儀の後、追放された、だから。
「ありがとう! お姉ちゃん!」
「喜んでくれるといいわね」
「お姉ちゃんからもらったんだんだもん、嬉しいよ!」
そう言うと、ぎゅっと姉からのプレゼントを抱きしめるアリー。
アリーは16年分の幸せが今一瞬、凝縮されているんじゃないかとさえ思った。
目から少し涙が出る。
「あら......涙が......きっと辛い旅だったのね。これからはいつもお姉ちゃんが一緒よ」
「......お、お姉ちゃん」
再びアリーを抱きしめるソフィア。今度は優しくそっと抱きしめる。
ふわふわの姉の髪や肌の感触に心地よくなるアリー。
「お姉ちゃん、えへへ」
「さあ、箱を開けて見て。あなたの白いドレスにきっと合うと思うの」
「う、うん」
がさがさと箱を開けるアリー。箱から出て来たのは青いジャケットだった。
「アリーは白っぽい服しか持ってなかったから、アクセントに青いジャケットが似合うんじゃないかと思って。それになんてことでしょう! 旅先から帰って来た時の白いドレスにぴったりじゃないかしら?」
「ありがとう。私、ファッションのこと良くわからないけど、きっと似合うんだ。お姉ちゃんが言うなら間違いないよ」
「明日、着て見せてね!」
「ううん、今すぐ着る!」
アリーは薄汚れた自分の寝間着を脱いで、神装のドレスを着て、ワインレッドのリボンで髪を結え、胸元に青いリボンタイを結んだ。そして青いジャケットを羽織った。
「まあ、なんて可愛いのかしら!」
「そ、そうかな? お姉ちゃんの方が似合うんじゃないかな?」
胸のサイズ以外、ほとんど背格好が同じアリーとソフィアは服をとっかえひっかえして、気が付くと、真夜中のパジャマパーティは延々と続いた。
「お姉ちゃん? 信じてくれるんだ!」
「当たり前よ。可愛い妹の言うことなんですでも、間違いなんてある筈がないわ」
「じゃあ、これを飲んでくれる?」
アリーはひとしお冒険譚を話した後、例のアネモネのポーションのことを話した。
なんの躊躇いもなく、妹のアリーから手渡されたポーションの瓶の封を切り、少しずつ飲み干していく。
「あ! なんでしょう? いえ、アリーのポーションのおかげかも、いえ、そうに違いないわ!」
「どう? お姉ちゃん?」
「なんと言うのかしら? 今まで体の奥の方に感じていた何かが、今はすぐ近くに感じることができるわ。きっとポーションのおかげよ。ありがとうね。アリー」
そう言って満面の笑みを浮かべる。姉ソフィアの天使のような笑顔にぽーっと見惚れてしまうアリー。
「(お姉ちゃん。何て天使なんだろう? いや、きっと、本当は天使に違いないの)」
勝手に姉を天使と断定して、姉を見つめるアリー、するとソフィアは唐突にアリーに抱きついてきた。
「ああ! もう、どうやってお礼をしたらいいのかしら。ええ、そうよ、この恩は一生かかって返さなければいけないわ。だから、アリーは私のそばにずっといてね」
「もちろんだよ。お姉ちゃん、アリーは一生お姉ちゃんのそばにいる!」
「アリー、ええ、そうよ、ずっと一緒がいいのよ」
そう言うと、アリーの顔をぎゅっと抱きしめた。例によって、アリーと違って育ちが良い胸に圧殺されそうになるアリー。
「お、お姉ちゃん、ギブ、ギブ」
「あら、いやだ。ごめんなさい。苦しかった?」
「ちょ、ちょっとね、えへ」
本当は窒息しそうだったとは言わず、だらしない笑みを浮かべるアリー。
アリーは一生で一番楽しい時間を過ごしていると感じていた。
「そうだ。アリーのためにね。お姉ちゃん、プレゼントを用意したの、うふ」
「え? お姉ちゃんからプレゼント? う、嬉しい!」
「ちょっと待っててね」
そういうとソフィアはタンスから綺麗に包装された一包の箱を取り出した。
「ほんとは、アリーの誕生日に渡そうと思っていたの、でも」
アリーは16歳の誕生日の日にスキル鑑定の儀の後、追放された、だから。
「ありがとう! お姉ちゃん!」
「喜んでくれるといいわね」
「お姉ちゃんからもらったんだんだもん、嬉しいよ!」
そう言うと、ぎゅっと姉からのプレゼントを抱きしめるアリー。
アリーは16年分の幸せが今一瞬、凝縮されているんじゃないかとさえ思った。
目から少し涙が出る。
「あら......涙が......きっと辛い旅だったのね。これからはいつもお姉ちゃんが一緒よ」
「......お、お姉ちゃん」
再びアリーを抱きしめるソフィア。今度は優しくそっと抱きしめる。
ふわふわの姉の髪や肌の感触に心地よくなるアリー。
「お姉ちゃん、えへへ」
「さあ、箱を開けて見て。あなたの白いドレスにきっと合うと思うの」
「う、うん」
がさがさと箱を開けるアリー。箱から出て来たのは青いジャケットだった。
「アリーは白っぽい服しか持ってなかったから、アクセントに青いジャケットが似合うんじゃないかと思って。それになんてことでしょう! 旅先から帰って来た時の白いドレスにぴったりじゃないかしら?」
「ありがとう。私、ファッションのこと良くわからないけど、きっと似合うんだ。お姉ちゃんが言うなら間違いないよ」
「明日、着て見せてね!」
「ううん、今すぐ着る!」
アリーは薄汚れた自分の寝間着を脱いで、神装のドレスを着て、ワインレッドのリボンで髪を結え、胸元に青いリボンタイを結んだ。そして青いジャケットを羽織った。
「まあ、なんて可愛いのかしら!」
「そ、そうかな? お姉ちゃんの方が似合うんじゃないかな?」
胸のサイズ以外、ほとんど背格好が同じアリーとソフィアは服をとっかえひっかえして、気が付くと、真夜中のパジャマパーティは延々と続いた。
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