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5アリーは家族と食事がしたい
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アリーは火竜の寝床に入った。人間とはサイズが違うがダンジョンの石の床より、藁が敷き詰められた火竜の寝床の方が快適そうだった。
「(ねえ、寝入る前に、君のことを教えてくれないかな? 君は何故冒険者なんてしていたんだい?)」
「(うん、いいよ。話すよ。というより、愚痴になっちゃう。情けない人生だったから)」
アリーは自分の人生を語り始めた。
魔法王国、ユグドラシル。
その名の通り、魔法が国家の根幹にある王国である。
アリーはそのグラキエス男爵家に三女として生を受けた。
グラキエス男爵家は元々優れた魔法研究により、男爵を叙勲されたが、最近は強力な攻撃魔法や治癒魔法の使い手を代々輩出している。魔法では名門の一族として一目置かれていた。
グラキエス男爵家の者は魔法が使えて当然、より強力な魔法を使える者が優秀であるという家風だった。
そんな中で、魔力が極端に弱いアリーは家族からも疎まれ、蔑まれて生きて来た。
「わ、私のご飯は?」
「これがそうです。お嬢様」
手渡された籠にはかじった跡があるパンくずのようなパンと、残り物のスープを水で薄めた物。
「それにしても、口を開けば食事のことばかり、もう少し、貴族のご令嬢らしく振舞って頂きたいものです」
冷たく言い放つ使用人の言葉はとても主の娘へものではなかった。
「......はい」
痩せこけたアリーにとっては食事は命に係わる問題なのだ。
それでも、使用人に文句ひとつすら言えない。すべてはこの家の家風が原因だ。
アリーに与えられていた部屋は屋根裏部屋だった。とても実の娘に対する仕打ちとは思えない。
家族にとって、アリーは人に見られたくない、汚物だったのだ。
アリーの夢、それはいつか魔法を上手く扱えるようになって、家族と一緒に食事をとることだった。
アリーには家族と一緒に食事をとることは許されていない。
与えられた食事は使用人の残飯。時には抜かれてしまう時があった。
明るい笑い声が聞こえてきた。長女のエリザベスのものだろう。
父や母の声も聞こえる。長女のエリザベスは同世代では最大の魔力を持ち、王家からも期待を寄せられるグラキエス男爵家の宝だった。
エリザベスと会話をしたのは、魔力測定をして以来、一度もない。
いや、次女のソフィア以外と家族と話した記憶がない。
そんなアリーにも家族で食事をした経験があった。
まだ、魔力測定をしていなかった頃。
ようやく物心がついて来た頃。
アリーにとって、家族と一緒の食事は最高に幸せな時間だったと記憶している。
「みんなと......ごはんが食べたい」
ただ、そう一言呟くと、硬いゴミクズのようなパンをかじる。
それでも、アリーはまだ家族と食事を共にすることを夢見て魔法の鍛練を欠かさなかった。
あの日までは。
それは、スキルの鑑定の儀の日。
この国では16歳になると、スキルの鑑定を行う。
スキルは生まれて来た時から身に着くわけではない。
一定の年齢にならないと、発現しないのだ。
もちろん、全ての人に宿る訳でもない。
だが、アリーに現れたスキルは。
スキル【無自覚】
意味不明のスキルだった。
「この出来損ない! 貴様は追放だ!!」
冷たく、大きな声が、部屋中に響いた。
「生まれた時から落ちこぼれだとは思っていたが、よりにもよってこんなハズレスキルとはな! お前らしい!!」
怒りと嘲りの両方を含んだ声が、アリーに冷たく浴びせかけられる。
「優秀な姉たちに比べて、何の成長もないばかりか、魔法すらろくに使えないことが確定するとはな! このグラキエス家に恥をかかせおって!! 名誉あるわが家からハズレスキル持ちが現れるなぞ!! そんなお前を今まで養わなければならなかったワシの気持ちが、お前に分かるか?」
バシン! 父はアリーに近付くと、その頬を平手で叩いた。
アリーの頬が赤くなり、同時にガシャンと花瓶が割れる音が響く。
父が怒りに任せて花瓶を床に叩きつけたのだ。
こうして、アリーは実家を追放された。
『魔力が極端に少ないだと? そんな馬鹿なことが』
聖剣は一人沈痛な気持ちになる。
アリーの境遇を不憫に思うも、重大な問題があった。
聖剣の適合者は聖なる心を持つこと、そして魔法に優れていることだったからだ。アリーは火竜の寝床に入った。人間とはサイズが違うがダンジョンの石の床より、藁が敷き詰められた火竜の寝床の方が快適そうだった。
「(ねえ、寝入る前に、君のことを教えてくれないかな? 君は何故冒険者なんてしていたんだい?)」
「(うん、いいよ。話すよ。というより、愚痴になっちゃう。情けない人生だったから)」
アリーは自分の人生を語り始めた。
魔法王国、ユグドラシル。
その名の通り、魔法が国家の根幹にある王国である。
アリーはそのグラキエス男爵家に三女として生を受けた。
グラキエス男爵家は元々優れた魔法研究により、男爵を叙勲されたが、最近は強力な攻撃魔法や治癒魔法の使い手を代々輩出している。魔法では名門の一族として一目置かれていた。
グラキエス男爵家の者は魔法が使えて当然、より強力な魔法を使える者が優秀であるという家風だった。
そんな中で、魔力が極端に弱いアリーは家族からも疎まれ、蔑まれて生きて来た。
「わ、私のご飯は?」
「これがそうです。お嬢様」
手渡された籠にはかじった跡があるパンくずのようなパンと、残り物のスープを水で薄めた物。
「それにしても、口を開けば食事のことばかり、もう少し、貴族のご令嬢らしく振舞って頂きたいものです」
冷たく言い放つ使用人の言葉はとても主の娘へものではなかった。
「......はい」
痩せこけたアリーにとっては食事は命に係わる問題なのだ。
それでも、使用人に文句ひとつすら言えない。すべてはこの家の家風が原因だ。
アリーに与えられていた部屋は屋根裏部屋だった。とても実の娘に対する仕打ちとは思えない。
家族にとって、アリーは人に見られたくない、汚物だったのだ。
アリーの夢、それはいつか魔法を上手く扱えるようになって、家族と一緒に食事をとることだった。
アリーには家族と一緒に食事をとることは許されていない。
与えられた食事は使用人の残飯。時には抜かれてしまう時があった。
明るい笑い声が聞こえてきた。長女のエリザベスのものだろう。
父や母の声も聞こえる。長女のエリザベスは同世代では最大の魔力を持ち、王家からも期待を寄せられるグラキエス男爵家の宝だった。
エリザベスと会話をしたのは、魔力測定をして以来、一度もない。
いや、次女のソフィア以外と家族と話した記憶がない。
そんなアリーにも家族で食事をした経験があった。
まだ、魔力測定をしていなかった頃。
ようやく物心がついて来た頃。
アリーにとって、家族と一緒の食事は最高に幸せな時間だったと記憶している。
「みんなと......ごはんが食べたい」
ただ、そう一言呟くと、硬いゴミクズのようなパンをかじる。
それでも、アリーはまだ家族と食事を共にすることを夢見て魔法の鍛練を欠かさなかった。
あの日までは。
それは、スキルの鑑定の儀の日。
この国では16歳になると、スキルの鑑定を行う。
スキルは生まれて来た時から身に着くわけではない。
一定の年齢にならないと、発現しないのだ。
もちろん、全ての人に宿る訳でもない。
だが、アリーに現れたスキルは。
スキル【無自覚】
意味不明のスキルだった。
「この出来損ない! 貴様は追放だ!!」
冷たく、大きな声が、部屋中に響いた。
「生まれた時から落ちこぼれだとは思っていたが、よりにもよってこんなハズレスキルとはな! お前らしい!!」
怒りと嘲りの両方を含んだ声が、アリーに冷たく浴びせかけられる。
「優秀な姉たちに比べて、何の成長もないばかりか、魔法すらろくに使えないことが確定するとはな! このグラキエス家に恥をかかせおって!! 名誉あるわが家からハズレスキル持ちが現れるなぞ!! そんなお前を今まで養わなければならなかったワシの気持ちが、お前に分かるか?」
バシン! 父はアリーに近付くと、その頬を平手で叩いた。
アリーの頬が赤くなり、同時にガシャンと花瓶が割れる音が響く。
父が怒りに任せて花瓶を床に叩きつけたのだ。
こうして、アリーは実家を追放された。
『魔力が極端に少ないだと? そんな馬鹿なことが』
聖剣は一人沈痛な気持ちになる。
アリーの境遇を不憫に思うも、重大な問題があった。
聖剣の適合者は聖なる心を持つこと、そして魔法に優れていることだったからだ。
「(ねえ、寝入る前に、君のことを教えてくれないかな? 君は何故冒険者なんてしていたんだい?)」
「(うん、いいよ。話すよ。というより、愚痴になっちゃう。情けない人生だったから)」
アリーは自分の人生を語り始めた。
魔法王国、ユグドラシル。
その名の通り、魔法が国家の根幹にある王国である。
アリーはそのグラキエス男爵家に三女として生を受けた。
グラキエス男爵家は元々優れた魔法研究により、男爵を叙勲されたが、最近は強力な攻撃魔法や治癒魔法の使い手を代々輩出している。魔法では名門の一族として一目置かれていた。
グラキエス男爵家の者は魔法が使えて当然、より強力な魔法を使える者が優秀であるという家風だった。
そんな中で、魔力が極端に弱いアリーは家族からも疎まれ、蔑まれて生きて来た。
「わ、私のご飯は?」
「これがそうです。お嬢様」
手渡された籠にはかじった跡があるパンくずのようなパンと、残り物のスープを水で薄めた物。
「それにしても、口を開けば食事のことばかり、もう少し、貴族のご令嬢らしく振舞って頂きたいものです」
冷たく言い放つ使用人の言葉はとても主の娘へものではなかった。
「......はい」
痩せこけたアリーにとっては食事は命に係わる問題なのだ。
それでも、使用人に文句ひとつすら言えない。すべてはこの家の家風が原因だ。
アリーに与えられていた部屋は屋根裏部屋だった。とても実の娘に対する仕打ちとは思えない。
家族にとって、アリーは人に見られたくない、汚物だったのだ。
アリーの夢、それはいつか魔法を上手く扱えるようになって、家族と一緒に食事をとることだった。
アリーには家族と一緒に食事をとることは許されていない。
与えられた食事は使用人の残飯。時には抜かれてしまう時があった。
明るい笑い声が聞こえてきた。長女のエリザベスのものだろう。
父や母の声も聞こえる。長女のエリザベスは同世代では最大の魔力を持ち、王家からも期待を寄せられるグラキエス男爵家の宝だった。
エリザベスと会話をしたのは、魔力測定をして以来、一度もない。
いや、次女のソフィア以外と家族と話した記憶がない。
そんなアリーにも家族で食事をした経験があった。
まだ、魔力測定をしていなかった頃。
ようやく物心がついて来た頃。
アリーにとって、家族と一緒の食事は最高に幸せな時間だったと記憶している。
「みんなと......ごはんが食べたい」
ただ、そう一言呟くと、硬いゴミクズのようなパンをかじる。
それでも、アリーはまだ家族と食事を共にすることを夢見て魔法の鍛練を欠かさなかった。
あの日までは。
それは、スキルの鑑定の儀の日。
この国では16歳になると、スキルの鑑定を行う。
スキルは生まれて来た時から身に着くわけではない。
一定の年齢にならないと、発現しないのだ。
もちろん、全ての人に宿る訳でもない。
だが、アリーに現れたスキルは。
スキル【無自覚】
意味不明のスキルだった。
「この出来損ない! 貴様は追放だ!!」
冷たく、大きな声が、部屋中に響いた。
「生まれた時から落ちこぼれだとは思っていたが、よりにもよってこんなハズレスキルとはな! お前らしい!!」
怒りと嘲りの両方を含んだ声が、アリーに冷たく浴びせかけられる。
「優秀な姉たちに比べて、何の成長もないばかりか、魔法すらろくに使えないことが確定するとはな! このグラキエス家に恥をかかせおって!! 名誉あるわが家からハズレスキル持ちが現れるなぞ!! そんなお前を今まで養わなければならなかったワシの気持ちが、お前に分かるか?」
バシン! 父はアリーに近付くと、その頬を平手で叩いた。
アリーの頬が赤くなり、同時にガシャンと花瓶が割れる音が響く。
父が怒りに任せて花瓶を床に叩きつけたのだ。
こうして、アリーは実家を追放された。
『魔力が極端に少ないだと? そんな馬鹿なことが』
聖剣は一人沈痛な気持ちになる。
アリーの境遇を不憫に思うも、重大な問題があった。
聖剣の適合者は聖なる心を持つこと、そして魔法に優れていることだったからだ。アリーは火竜の寝床に入った。人間とはサイズが違うがダンジョンの石の床より、藁が敷き詰められた火竜の寝床の方が快適そうだった。
「(ねえ、寝入る前に、君のことを教えてくれないかな? 君は何故冒険者なんてしていたんだい?)」
「(うん、いいよ。話すよ。というより、愚痴になっちゃう。情けない人生だったから)」
アリーは自分の人生を語り始めた。
魔法王国、ユグドラシル。
その名の通り、魔法が国家の根幹にある王国である。
アリーはそのグラキエス男爵家に三女として生を受けた。
グラキエス男爵家は元々優れた魔法研究により、男爵を叙勲されたが、最近は強力な攻撃魔法や治癒魔法の使い手を代々輩出している。魔法では名門の一族として一目置かれていた。
グラキエス男爵家の者は魔法が使えて当然、より強力な魔法を使える者が優秀であるという家風だった。
そんな中で、魔力が極端に弱いアリーは家族からも疎まれ、蔑まれて生きて来た。
「わ、私のご飯は?」
「これがそうです。お嬢様」
手渡された籠にはかじった跡があるパンくずのようなパンと、残り物のスープを水で薄めた物。
「それにしても、口を開けば食事のことばかり、もう少し、貴族のご令嬢らしく振舞って頂きたいものです」
冷たく言い放つ使用人の言葉はとても主の娘へものではなかった。
「......はい」
痩せこけたアリーにとっては食事は命に係わる問題なのだ。
それでも、使用人に文句ひとつすら言えない。すべてはこの家の家風が原因だ。
アリーに与えられていた部屋は屋根裏部屋だった。とても実の娘に対する仕打ちとは思えない。
家族にとって、アリーは人に見られたくない、汚物だったのだ。
アリーの夢、それはいつか魔法を上手く扱えるようになって、家族と一緒に食事をとることだった。
アリーには家族と一緒に食事をとることは許されていない。
与えられた食事は使用人の残飯。時には抜かれてしまう時があった。
明るい笑い声が聞こえてきた。長女のエリザベスのものだろう。
父や母の声も聞こえる。長女のエリザベスは同世代では最大の魔力を持ち、王家からも期待を寄せられるグラキエス男爵家の宝だった。
エリザベスと会話をしたのは、魔力測定をして以来、一度もない。
いや、次女のソフィア以外と家族と話した記憶がない。
そんなアリーにも家族で食事をした経験があった。
まだ、魔力測定をしていなかった頃。
ようやく物心がついて来た頃。
アリーにとって、家族と一緒の食事は最高に幸せな時間だったと記憶している。
「みんなと......ごはんが食べたい」
ただ、そう一言呟くと、硬いゴミクズのようなパンをかじる。
それでも、アリーはまだ家族と食事を共にすることを夢見て魔法の鍛練を欠かさなかった。
あの日までは。
それは、スキルの鑑定の儀の日。
この国では16歳になると、スキルの鑑定を行う。
スキルは生まれて来た時から身に着くわけではない。
一定の年齢にならないと、発現しないのだ。
もちろん、全ての人に宿る訳でもない。
だが、アリーに現れたスキルは。
スキル【無自覚】
意味不明のスキルだった。
「この出来損ない! 貴様は追放だ!!」
冷たく、大きな声が、部屋中に響いた。
「生まれた時から落ちこぼれだとは思っていたが、よりにもよってこんなハズレスキルとはな! お前らしい!!」
怒りと嘲りの両方を含んだ声が、アリーに冷たく浴びせかけられる。
「優秀な姉たちに比べて、何の成長もないばかりか、魔法すらろくに使えないことが確定するとはな! このグラキエス家に恥をかかせおって!! 名誉あるわが家からハズレスキル持ちが現れるなぞ!! そんなお前を今まで養わなければならなかったワシの気持ちが、お前に分かるか?」
バシン! 父はアリーに近付くと、その頬を平手で叩いた。
アリーの頬が赤くなり、同時にガシャンと花瓶が割れる音が響く。
父が怒りに任せて花瓶を床に叩きつけたのだ。
こうして、アリーは実家を追放された。
『魔力が極端に少ないだと? そんな馬鹿なことが』
聖剣は一人沈痛な気持ちになる。
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