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3アリーは気が付かない
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「ッ......いたた」
激痛で目を覚ますが、まだ意識も視界もはっきりしない。
意識が回復して来て、疑問に思う。私は夢を見ていたのかしら?
だが、夢でないことはすぐにわかった。
右手にはあの剣がすっかり握りしめられており、服はボロボロ。
だが、体は何ともなかった。あんなに高い処から落ちた筈なのに?
意識と視覚が完全に回復すると、自分が非常にまずい状況にあることがわかった。
アリーの腸を魔物が喰らっている。
「わ、私、食べられてるやん!!」
激しい痛みの正体は内臓を食われていたためだった。
「(ようやく気が付いた? さっさとそいつを倒して、血をお飲み)」
「へえ?」
「グア?」
魔物は死んでいると思っていた獲物に意識があることに気が付き、疑問を浮かべた瞬間。
グシャ
体の内部に入ったアリーの血で出来た無数の矢が体中から突然湧き出て魔物は死んだ。
「(少々、肉を食われ過ぎた。その魔物、ヘルハウンドの血を飲むといいよ。回復する)」
「(この怖い魔物の血を飲むの?)」
「(そうだよ。君は吸血鬼なのだから)」
アリーは自分の口内に鋭い犬歯が生えていることに気が付いた。
「ごめんなさい。魔物さん。かぷ」
「(そんなおよび腰じゃ奥まで届かないよ。もっと足を広げて)」
アリーはしっかりと足を広げて、腰を据えると魔物に再度食らいついた。
「かぷ」
「(ほら、もっと奥までいれるよ)」
「(うん。でも、私、初めてだから)」
おずおずとアリーの牙が魔物の喉笛に食い込んで行く。
「(一番奥まで入ったね)」
「(うん、これで血を飲めばいいのね)」
ちゅーと魔物の血を飲むアリー。
たちまち痛みが引く、と同時に。
「あん!?」
嬌声がアリーの口からこぼれる。
自分がエッチな興奮を覚えていることと自覚して恥ずかしくなるアリー。
「(初めてで驚いたと思うけど、吸血鬼にとって、吸血は生殖と同じ、人間のあれと同じなんだ)」
「う、うう~」
アリーは頬をピンクに染めた。女の子には恥ずかしい話だ。自分がエッチな気持ちになっているところを他人に認識されているのだから。
痛みはほんの数十秒で収まり。ようやく冷静になって来た。
「(私、崖から落ちたんじゃ?)」
「(間違いなく落ちたよ。羽根で飛ぶイメージを送れば良かったんだけど、考え事しててね)」
「(死にそうなときに考え事するの、止めてください!)」
「(ごめん、ごめん、僕には重要なことだったんだ。それに君は死なない体だし。そう言えば、落ちた瞬間、頭がつぶれて脳みそが飛び散るし、血まみれで手や足は変な方を向いているし、誰かに見られたら、確実にトラウマになっていたね。アハ☆)」
ギリギリギリギリギリギリ
アリーは聖剣を近くあった鉱石にのこぎりのように引きまくる。
「(ちょっ! 何すんの! 僕が刃こぼれしちゃうよ!)」
「(懲らしめです。死にそうな時に考え事禁止!)」
「(僕、一応、君の命の恩人だよね?)」
「(それとこれは話が別です。そもそも、人のこと吸血鬼にするとか、どう考えても呪われた魔剣じゃないですか!)」
「(わ、わかったから、殺人は止めて。聖剣が折れたりすると、僕は死んでしまう)」
「(うふっ♡ いい事聞いた)」
アリーはふにゃりと歪んだ笑いを浮かべた。
「(し、しまった!!)」
ガンガン
アリーが聖剣で鉱石の石を叩きまくる。
「(ひ、人殺しぃー!)」
「(人じゃないもん♡)」
「(聖剣殺しぃ!)」
「(魔剣じゃん♡)」
ガキン
嫌な音と共に、聖剣の刃に刃こぼれができる。
「んあッ!!」
アリーを激しい痛みが襲う。
「(言い忘れていたけど、僕が傷つくと、君にも痛みが伴うし、僕が折れたら、君も死ぬよ)」
「(このくそ魔剣がぁ!)」
はあはあと息が上がるアリー。
だが、再び歪んだ笑みを浮かべる。
「(魔剣さんが折れたりしなければいいのね。その辺の魔物のお尻にぶっ刺して、放置しよ♡)」
「(君は悪魔かぁ! でも、僕がいないと、吸血鬼の力を発揮できないからダンジョンから脱出できないよ)」
「う、ううううう」
涙目で聖剣を睨むアリー。
『見た目だけは清楚で、可愛い女の子なんだけどな......性格が......破綻しているような』
痩せこけていたアリーの体は魔物の血を飲んだことで、すっかり健康体になった。
アリーはかなり可愛い少女へと生まれ変わった。
本人はそれを知らない。
『知らせない方が良いよな』
聖剣の判断は妥当である。
激痛で目を覚ますが、まだ意識も視界もはっきりしない。
意識が回復して来て、疑問に思う。私は夢を見ていたのかしら?
だが、夢でないことはすぐにわかった。
右手にはあの剣がすっかり握りしめられており、服はボロボロ。
だが、体は何ともなかった。あんなに高い処から落ちた筈なのに?
意識と視覚が完全に回復すると、自分が非常にまずい状況にあることがわかった。
アリーの腸を魔物が喰らっている。
「わ、私、食べられてるやん!!」
激しい痛みの正体は内臓を食われていたためだった。
「(ようやく気が付いた? さっさとそいつを倒して、血をお飲み)」
「へえ?」
「グア?」
魔物は死んでいると思っていた獲物に意識があることに気が付き、疑問を浮かべた瞬間。
グシャ
体の内部に入ったアリーの血で出来た無数の矢が体中から突然湧き出て魔物は死んだ。
「(少々、肉を食われ過ぎた。その魔物、ヘルハウンドの血を飲むといいよ。回復する)」
「(この怖い魔物の血を飲むの?)」
「(そうだよ。君は吸血鬼なのだから)」
アリーは自分の口内に鋭い犬歯が生えていることに気が付いた。
「ごめんなさい。魔物さん。かぷ」
「(そんなおよび腰じゃ奥まで届かないよ。もっと足を広げて)」
アリーはしっかりと足を広げて、腰を据えると魔物に再度食らいついた。
「かぷ」
「(ほら、もっと奥までいれるよ)」
「(うん。でも、私、初めてだから)」
おずおずとアリーの牙が魔物の喉笛に食い込んで行く。
「(一番奥まで入ったね)」
「(うん、これで血を飲めばいいのね)」
ちゅーと魔物の血を飲むアリー。
たちまち痛みが引く、と同時に。
「あん!?」
嬌声がアリーの口からこぼれる。
自分がエッチな興奮を覚えていることと自覚して恥ずかしくなるアリー。
「(初めてで驚いたと思うけど、吸血鬼にとって、吸血は生殖と同じ、人間のあれと同じなんだ)」
「う、うう~」
アリーは頬をピンクに染めた。女の子には恥ずかしい話だ。自分がエッチな気持ちになっているところを他人に認識されているのだから。
痛みはほんの数十秒で収まり。ようやく冷静になって来た。
「(私、崖から落ちたんじゃ?)」
「(間違いなく落ちたよ。羽根で飛ぶイメージを送れば良かったんだけど、考え事しててね)」
「(死にそうなときに考え事するの、止めてください!)」
「(ごめん、ごめん、僕には重要なことだったんだ。それに君は死なない体だし。そう言えば、落ちた瞬間、頭がつぶれて脳みそが飛び散るし、血まみれで手や足は変な方を向いているし、誰かに見られたら、確実にトラウマになっていたね。アハ☆)」
ギリギリギリギリギリギリ
アリーは聖剣を近くあった鉱石にのこぎりのように引きまくる。
「(ちょっ! 何すんの! 僕が刃こぼれしちゃうよ!)」
「(懲らしめです。死にそうな時に考え事禁止!)」
「(僕、一応、君の命の恩人だよね?)」
「(それとこれは話が別です。そもそも、人のこと吸血鬼にするとか、どう考えても呪われた魔剣じゃないですか!)」
「(わ、わかったから、殺人は止めて。聖剣が折れたりすると、僕は死んでしまう)」
「(うふっ♡ いい事聞いた)」
アリーはふにゃりと歪んだ笑いを浮かべた。
「(し、しまった!!)」
ガンガン
アリーが聖剣で鉱石の石を叩きまくる。
「(ひ、人殺しぃー!)」
「(人じゃないもん♡)」
「(聖剣殺しぃ!)」
「(魔剣じゃん♡)」
ガキン
嫌な音と共に、聖剣の刃に刃こぼれができる。
「んあッ!!」
アリーを激しい痛みが襲う。
「(言い忘れていたけど、僕が傷つくと、君にも痛みが伴うし、僕が折れたら、君も死ぬよ)」
「(このくそ魔剣がぁ!)」
はあはあと息が上がるアリー。
だが、再び歪んだ笑みを浮かべる。
「(魔剣さんが折れたりしなければいいのね。その辺の魔物のお尻にぶっ刺して、放置しよ♡)」
「(君は悪魔かぁ! でも、僕がいないと、吸血鬼の力を発揮できないからダンジョンから脱出できないよ)」
「う、ううううう」
涙目で聖剣を睨むアリー。
『見た目だけは清楚で、可愛い女の子なんだけどな......性格が......破綻しているような』
痩せこけていたアリーの体は魔物の血を飲んだことで、すっかり健康体になった。
アリーはかなり可愛い少女へと生まれ変わった。
本人はそれを知らない。
『知らせない方が良いよな』
聖剣の判断は妥当である。
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