無能と追放されたおっさん、ハズレスキルゲームプレイヤーで世界最強になった上、王女様や聖女様にグイグイ迫られる。え?追放したの誰?知らんがな

島風

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31おっさん、新戦術を考案する

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「王都のラインハルト元帥は沈黙を貫いている。おそらく、どちらの側でもないというアピールじゃな」 

「ええ、お父様。あの方は生粋の武人とお見受けします。謀略や政治には疎い方かと……」 

「そうじゃな。それに元帥麾下の中央即応集団は帝国からの侵略に備えるため、動くに動けんのじゃろう」 

「先日のロック鳥襲来の件もありますね」 

「そうじゃ。ワシの耳にも既に帝国は100頭もの飛竜……じゃなかった、ロック鳥を前線に投入可能とのことじゃ。その対策にも頭が痛いのに、この始末じゃ」 

まあ。王族……と、いうより王子達を陰で操る貴族達のおかげで国が存亡の危機に瀕しているということか……。 

ここは俺のwikiやchatの知識の使い処だ。 

「教皇様、ミア様、俺に考えがごぜえやす」 

「なんだ? どんな考えだ?」 

「へい。これまでどの国も戦列歩兵という戦い方をしていやしたよね?」 

「ああ、戦いの常識だ。マスケット銃を持った兵で戦列を作り、ひたすら前進して、削り合い、最後に削り負けた方が負けだ」 

「あ! でも、この国はたくさんの魔道弓兵や魔法兵の支援があるから強いんだよ」 

うむ、と俺は腑に落ちた。 

そんな古い戦い方をしていたら、兵が無駄死になる。 

「西方戦線の布陣はどうなっていやす?」 

「国境守備隊は既に壊滅しおるじゃろう。今は後方のアルデンヌ辺境領の城の兵力をかき集めて前進の準備をしておる所じゃ」 

「それはすぐに中止してくだせえ!」 

「なに? では、むざむざ侵略者を領土内に引き込むと言うのか?」 

「おじさま。そんなこと、聞いたことがないよ? それにどうせ前進するなら何処でも同じだよ」 

「……違えやす」 

「「え?」」 

教皇様とミア様は驚いた顔をした。 

当然だろう、wikiにもchatにも書いてあった。 

この世界の基本戦術は戦列歩兵。 

マスケット銃という原始的な銃で戦列を組み、ひたすら前進する。 

それが違いに激突し、最後は白兵戦となり、斬り殺し合いになる。 

騎士団が突入するのはこのタイミングだ。 

そして、ポイントは、この国には他国の3倍もの人員の練度の高い魔道弓兵がいるということだ。 

「確か辺境領の城に続く平原はなだらかな坂になっていて、城の方が高い位置にある? 違えやすか?」 

「その通りじゃが、それが一体どう左右するというのだ?」 

「上からなら、前線の様子が丸わかりでやす。逆に相手は自軍の状態がわかりやせん。ここは塹壕を掘って、一般兵は塹壕からマスケット銃を撃って頂きやす。そして魔道弓兵の皆さんはその後方にやはり塹壕を掘ってもらって、そこから敵軍の前列を狙撃して頂きやす」 

教皇とミアさんは顔を見合わせて、不思議そうに聞いて来た。 

「「塹壕ってなんだ?/なに?」 

そこからか! 

「穴でやす。穴を掘って身を隠して、そこからマスケット銃を撃つんでやす。弾込めの最中も安心でやす」 

「……なるほど……それだと兵の消耗が少ないな」 

「おじさま! 天才!」 

「塹壕は城の近くの農民に協力してもらえば、簡単にできやす。それと、冒険者ギルドの盗賊を雇ってくだせえ。盗賊は隠密のスキルが使えやす。連絡員になりやす。それに冒険者も複数のパーティで連携して討伐する時は狼煙で連絡を取り合いやす。その役割はたいてい盗賊でさ」 

「なるほど。広い範囲で兵を塹壕に潜ませたら、連絡ができんから、指揮系統に問題が生じるな」 

「狼煙って、どんな風に使うんですか?」 

聖女ちゃんが聞いて来た。 

盗賊の俺の知識の見せ所だ。 

「黄色は敵発見。赤はピンチで救援要請。青は敵撃破でやす」 

「なるほど、後方の魔道弓兵はピンチのところを優先して攻撃すべきと言うことか」 

「そうでやす。それと、発砲は100m位になるまで待った方がいいでやす。それ位だと、狙ってない所にでも偶然あたりやす。魔道弓兵の方なら100発100中じゃねえですかい?」 

「まさしくそうじゃ! ……じゃが、それだと騎士団の出番なくないか?」 

ああ! メンドクサイ! 弱りきった敵軍を騎馬で駆けつけて止めをさすだけの騎士団なんて、元々、名誉はあっても、戦の主戦力じゃねえ!  

しかし、騎士団は能力は高く、魔法剣や魔法が使える。 

何より騎兵は必要な所に迅速に兵を送れる。 

「騎士団の皆さんには、魔道弓兵の皆さんですらピンチに陥った時の増援として活躍して頂きやす」 

「なるほど、それなら騎士団の貴族の子弟から文句も言われぬな」 

「お父様、あのね、教皇の身で、アストレイ王国の貴族の心配する必要はないのでは?」 

「そうは行かんのだよ。あーちゃん、いやアーサー王の今後の統治にも影響するからの」 

……なるほど。 

貴族が地位を失脚したら、王国自体の運営に支障をきたす……という訳ですかい。 

「おっさん。ありがとう。早速魔法伝文で、辺境領に指示を出す」 

「へい。俺はお嬢様を必ず救出して来ます」 

こうして、教皇様と聖女ちゃんは西方戦線へ。 

俺は一路王都の広場の噴水から王城の中へ、お嬢様を救出するために出発した。 
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