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16おっさんは貴族様にされる——無理やり

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俺とお嬢様は魔の森から帰還すると、入り口で待っていた伝令に火竜の件とフェンリル狼の件を伝えた。 

そして、そのまま俺の常宿へ馬車で向かった、お嬢様と。 

「あの、お嬢様……何で俺の部屋へ一緒に来るんでさ?」 

「な、何って…….か、勘違いだからな! いつも一緒にいたいとか、泥棒猫から守らなきゃとか、あわよくば間違いが起こって既成事実を作りたいとか思ってないからね!」 

「はあ、そんな勘違いはしやせん」 

まあ、あれだな。 

俺は思い至った。 

「これが食べたいんじゃないですかい?」 

「た、食べさせてくれるのか?」 

「ええ、もちろんでさ」 

「わぁい」 

ふふ、お嬢様も可愛いところもあるもんだ。 

お城じゃさぞかし美味いものを食ってるんだろうが、こんな、チンでできるよし○やの牛丼が食べたいなんてな。 

「でだ。ワシの分はまだなのかな?」 

「へい、少々お待ちくだせえ」 

何故かお嬢様父も来た。 

て、言うか、王様って、こんな簡単に庶民の家に来て良いのか? 

「まあ、遠慮せず食すが良い、苦しゅうない」 

「へい」 

いや、俺の部屋だし、俺の牛丼なんだが? 

何故かお嬢様父に牛丼を食べる許可を頂いて牛丼を食べる。 

「美味いな、これ」 

「父上も? アリスも箸が止まらないぞ」 

二人はガツガツと牛丼をかっ込んだ。 

この人達って、本当に王族かな? 

大規模なドッキリじゃないか? 

「食った、食った」 

「美味しかったぁ」 

ちゃっかり、お代わりまで要求して俺のストックを全部食い尽くしやがった。 

「まあ、要件は済んだが、ついでの用事も済ませておかんとな」 

「王様、用事ってなんですかい?」 

「ああ、魔の森で1000年ぶりに竜が討伐されたからな——褒美を取らさんとな」 

「へえ?」 

え? 確かに竜を倒したけど、あれってそんなに強いのか? 

俺でも倒せたぞ? 

俺の実力じゃ、サラマンダーさえ倒せない筈だぞ? 

は!? 

そうか、1000年ぶりだから、竜はまだ復活したばかりで、十分な力を発揮できなかったんだ。 

それか、老衰で死ぬ寸前だったに違いない。 

危ない危ない。 

とんでもない勘違いをするところだった。 

「まあ、おすすめセットを用意したから、選ぶといい」 

なんか、定食屋のランチセットみたいだな。 

1ハーレムコース 奴隷の美女12人と金貨1000枚 

2栄誉コース 男爵位の受勲と金貨1000枚 

3成金コース 金貨100000枚 

俺は迷うことなく答え——— 

「栄誉コースでお願いするぞ、父上」 

なんで? 何でお嬢様が決めるの? 

俺はハーレムコースを選ぼうとしたのに、なんで? 

「うむ、ワシも後々のことを考えるとそれが良いと思うぞ」 

「何でですかい? ハーレムコースとか、成金コースの方も捨てがたいですぜ?」 

「んん? お前は欲が無いのう。ワシが爵位を叙勲するということは、一生おっさんを後見することになる。つまり、おっさんは一生ワシの加護を受けることになる」 

「へえ、そういうもんですかい?」 

「そう言うわけで、やっぱり栄誉コースでお願いするぞ、父上!」 

いや、だからなんでお嬢様が決めるの? 

「しかし、何かチャンスを与えたら、何か成し遂げるとは思っておったが、こんなに早くとはな」 

「お父様、おっさんを舐めてます。このおっさんは私が認めた男だぞ!」 

は? 俺がお嬢様に認められた男? 

「お嬢様、俺は忠義を尽くして職務に就かせて頂いておりやすが、所詮新参の身、どうしてそんなに評価して頂けるのですかい?」 

「良いか? ワシの娘に本気で決闘して、ケガ一つしなかった者など、この国でおっさんくらいのものじゃぞ? それ以前に娘が全力で戦ったら、サラマンダ―だって軽くミンチにできるんだからな?」 

「平民の盗賊になんてことしてくれてるんですかい!」 

「「わっはっはははははッ」」 

二人共そっくりに笑う。 

そこ笑うとこじゃねえ! 
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