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55王子が外道の落ちたのだが?
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ダンジョンを攻略した翌日。
「違う! 違うのです陛下! 私はただ、魔法学園の生徒を助けようと、だから私は……」
「もう、調べはついておる。カールよ。ワシはお前に謹慎処分を命じた筈じゃ」
「し、しかし、未熟なアルベルト達が問題を起こすのは明白、だから私は!」
「まぁ、それではこれはどういうことかしら、カール?」
王女アンネリーゼ王女に即されて、捕縛されたゲリンが引き連れられてきた。
「も、申し訳ございません。カール様……」
「ぐっ!?」
さすがに関係者を捕縛されて勢いがなくなるカール。
「これは全てこのゲリンが勝手にやったことです!」
「そ、そんなぁ、カール様」
「……そう。それでは、この方達はどなたなのかしら?」
王の前で追及の手を緩めないアンネリーゼ王女殿下。
さすが俺のおっぱいおばけ。いや、ヤバいクリスとリーゼに思考を読まれる。
いや、それにしても、アンネリーゼ王女殿下て、てっきり天然かと思ってたけど、めっちゃ切れる人だな。
そこには白鷲教の信徒、白いローブを着こんだ数人の男が捕縛されていた。
殿下のその問いに、途端にカールはバツが悪そうに視線を泳がせながら返答する。
「そ、それは……。白鷲教の信徒だ。俺の知り合いだ……」
「……そう」
殿下の返事は簡単な相槌のみだった。
エリス教を主教とするこの国。王家は当然、主教エリス教徒だ。
それが、白鷲教の信者と関連が深いなど、あってはならないことだ。
既に白鷲教と魔物の爆発的発生との関連は周知されている。
正式に弾圧は決定されていないが、その決定は時間の問題だった。
「……分かったわ。では断罪いたしましょう」
驚くほど冷たい声。これがあの、おっぱい、いや、アンネリーゼ王女殿下のモノなのか?
「――これは一体、どういうことなのじゃ?」
「国王陛下。第一王子カールは白鷲教の信徒です。今は亡き、お母様の姿に模した魔族に心を奪われて、白鷲教の信徒と化したようです」
「――言いがかりだ! 姉上! いくら王女のあなたとは言え、私を白鷲教徒であると侮辱するとあっては、それなりの抗議をさせていただきたい!」
「――第一王子カール。身の程を知りなさい。誰の前でお前は口を聞いているのかしら? ここは尊き初代国王エルファシル様と女神エリス様の血を引く王の御前です。既にそこの白いローブを着た者が自白しています。お前のような愚か者がこの王家の尊き血筋を穢した事実。その腐った根性と同時に全て暴いてあげるわ!」
第一王子カールの独善は魔族の手引きだったのか。だが、この男の本質は限りなく悪だ。
カールは全ての都合が悪い正義に目をつむり、都合の良い正義のみを見てきた。
それが、傲慢であり、偽善でなくてなんと言うのか?
王女アンネローゼはこの時のため、天然を装い、この断罪の時を待っていたのだろう。
「ち、違う! 母上は本当に母上なのだ! 魔族などではない! 最高神ヘル様が! 私が優秀過ぎるが故に、特別に私にだけ与えた特権なんだ……決して、魔族なんかじゃ!」
「そんなっ! カール様」
ゲリンが驚きの声を上げる。何故なら、カールの独白は間違いなく白鷲教徒の証を自白したようなものだから。
もう、今のカールの感覚は既に麻痺していたのだろう。ありえない魔力、ありえない才能魔法を授かり、多くの国民から寄せられる信頼。次第に集まってくる権力を前にカールは、自分だけは何をしても許される存在なのだと思い込んでいた。
「それでは国王陛下――お願い申し上げます。私はこの国の王女として、わが弟、第一王子カールの然るべき処分をご注進いたします」
凛々しいとさえ言える顔を上げ、国王陛下へそうアンネリーゼ王女は進言した。
「――第一王子カールよ。お前がよりにもよって、白鷲教徒となってしまったこと、誠に残念に思う。お前は長い間、この国を守護してくれた。だが、国民を裏切り、国を欺いたお前の罪を放置する訳にはいかない。お前の王位継承権をはく奪し、明日までに王宮から追放とする」
その言葉にカールは目を見開き、絶叫した。
「お……おおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
☆
王宮の自室に帰ってきたカールは、自室に戻るなり椅子やテーブルを床に叩きつけた。
「おのれぇ!!!」
一日の猶予を与えられたカールは自室の私物を持ち出すことを許された。
だが、その怒りを発散させる方が先だった。
しかし、こんなことで収まる筈もなかった。
「こうなったら、伝説の聖剣を……」
カールはそう決意する。
そのままカールは王宮の地下へと向かった。
もちろん、監視の騎士が随伴している。
「で、殿下!? 何故こんなところに向かい――」
監視の騎士が王族でも簡単には近づけない地下へ向かっていることに気が付き。
殺された。
カールの手には血のついた短剣が握りしめられていた。
密かに地下の通路を進んでいくと、大きな扉に行きついた。
扉を開けると、部屋の中央に祭壇があり、そこには一本の剣が突き刺さっていた。
「……せ、聖剣!!」
それは王家が代々受け継いできた【聖剣】であった。
その存在は王家の人間にしか知らされておらず、王室の人間であってもむやみに触れることは許されていない。
初代国王にして勇者エルファシルがかの魔王を討った剣とされている。
絶大な力を持つこの剣も、魔王の血で呪われている。故に何人たりとも触れてはならない。
しかし、その漆黒の聖剣をカールは――引き抜いてしまった。
剣を手に掴んだ途端――
カールは全身に力がみなぎるのを感じた。
「……ふふッ ふふっふ!!!」
思わずこぼれる笑い声。
カールは圧倒的な力を得たことを感じた。
「これで私は元の英雄に返り咲ける……」
それが魔族たちを封印していた聖剣だとも知らずに。
「違う! 違うのです陛下! 私はただ、魔法学園の生徒を助けようと、だから私は……」
「もう、調べはついておる。カールよ。ワシはお前に謹慎処分を命じた筈じゃ」
「し、しかし、未熟なアルベルト達が問題を起こすのは明白、だから私は!」
「まぁ、それではこれはどういうことかしら、カール?」
王女アンネリーゼ王女に即されて、捕縛されたゲリンが引き連れられてきた。
「も、申し訳ございません。カール様……」
「ぐっ!?」
さすがに関係者を捕縛されて勢いがなくなるカール。
「これは全てこのゲリンが勝手にやったことです!」
「そ、そんなぁ、カール様」
「……そう。それでは、この方達はどなたなのかしら?」
王の前で追及の手を緩めないアンネリーゼ王女殿下。
さすが俺のおっぱいおばけ。いや、ヤバいクリスとリーゼに思考を読まれる。
いや、それにしても、アンネリーゼ王女殿下て、てっきり天然かと思ってたけど、めっちゃ切れる人だな。
そこには白鷲教の信徒、白いローブを着こんだ数人の男が捕縛されていた。
殿下のその問いに、途端にカールはバツが悪そうに視線を泳がせながら返答する。
「そ、それは……。白鷲教の信徒だ。俺の知り合いだ……」
「……そう」
殿下の返事は簡単な相槌のみだった。
エリス教を主教とするこの国。王家は当然、主教エリス教徒だ。
それが、白鷲教の信者と関連が深いなど、あってはならないことだ。
既に白鷲教と魔物の爆発的発生との関連は周知されている。
正式に弾圧は決定されていないが、その決定は時間の問題だった。
「……分かったわ。では断罪いたしましょう」
驚くほど冷たい声。これがあの、おっぱい、いや、アンネリーゼ王女殿下のモノなのか?
「――これは一体、どういうことなのじゃ?」
「国王陛下。第一王子カールは白鷲教の信徒です。今は亡き、お母様の姿に模した魔族に心を奪われて、白鷲教の信徒と化したようです」
「――言いがかりだ! 姉上! いくら王女のあなたとは言え、私を白鷲教徒であると侮辱するとあっては、それなりの抗議をさせていただきたい!」
「――第一王子カール。身の程を知りなさい。誰の前でお前は口を聞いているのかしら? ここは尊き初代国王エルファシル様と女神エリス様の血を引く王の御前です。既にそこの白いローブを着た者が自白しています。お前のような愚か者がこの王家の尊き血筋を穢した事実。その腐った根性と同時に全て暴いてあげるわ!」
第一王子カールの独善は魔族の手引きだったのか。だが、この男の本質は限りなく悪だ。
カールは全ての都合が悪い正義に目をつむり、都合の良い正義のみを見てきた。
それが、傲慢であり、偽善でなくてなんと言うのか?
王女アンネローゼはこの時のため、天然を装い、この断罪の時を待っていたのだろう。
「ち、違う! 母上は本当に母上なのだ! 魔族などではない! 最高神ヘル様が! 私が優秀過ぎるが故に、特別に私にだけ与えた特権なんだ……決して、魔族なんかじゃ!」
「そんなっ! カール様」
ゲリンが驚きの声を上げる。何故なら、カールの独白は間違いなく白鷲教徒の証を自白したようなものだから。
もう、今のカールの感覚は既に麻痺していたのだろう。ありえない魔力、ありえない才能魔法を授かり、多くの国民から寄せられる信頼。次第に集まってくる権力を前にカールは、自分だけは何をしても許される存在なのだと思い込んでいた。
「それでは国王陛下――お願い申し上げます。私はこの国の王女として、わが弟、第一王子カールの然るべき処分をご注進いたします」
凛々しいとさえ言える顔を上げ、国王陛下へそうアンネリーゼ王女は進言した。
「――第一王子カールよ。お前がよりにもよって、白鷲教徒となってしまったこと、誠に残念に思う。お前は長い間、この国を守護してくれた。だが、国民を裏切り、国を欺いたお前の罪を放置する訳にはいかない。お前の王位継承権をはく奪し、明日までに王宮から追放とする」
その言葉にカールは目を見開き、絶叫した。
「お……おおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
☆
王宮の自室に帰ってきたカールは、自室に戻るなり椅子やテーブルを床に叩きつけた。
「おのれぇ!!!」
一日の猶予を与えられたカールは自室の私物を持ち出すことを許された。
だが、その怒りを発散させる方が先だった。
しかし、こんなことで収まる筈もなかった。
「こうなったら、伝説の聖剣を……」
カールはそう決意する。
そのままカールは王宮の地下へと向かった。
もちろん、監視の騎士が随伴している。
「で、殿下!? 何故こんなところに向かい――」
監視の騎士が王族でも簡単には近づけない地下へ向かっていることに気が付き。
殺された。
カールの手には血のついた短剣が握りしめられていた。
密かに地下の通路を進んでいくと、大きな扉に行きついた。
扉を開けると、部屋の中央に祭壇があり、そこには一本の剣が突き刺さっていた。
「……せ、聖剣!!」
それは王家が代々受け継いできた【聖剣】であった。
その存在は王家の人間にしか知らされておらず、王室の人間であってもむやみに触れることは許されていない。
初代国王にして勇者エルファシルがかの魔王を討った剣とされている。
絶大な力を持つこの剣も、魔王の血で呪われている。故に何人たりとも触れてはならない。
しかし、その漆黒の聖剣をカールは――引き抜いてしまった。
剣を手に掴んだ途端――
カールは全身に力がみなぎるのを感じた。
「……ふふッ ふふっふ!!!」
思わずこぼれる笑い声。
カールは圧倒的な力を得たことを感じた。
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それが魔族たちを封印していた聖剣だとも知らずに。
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