ハズレスキルがぶっ壊れなんだが? ~俺の才能に気付いて今さら戻って来いと言われてもな~

島風

文字の大きさ
上 下
30 / 66

30スライム美少女が変態なのだが?

しおりを挟む
「ここは何処だ? お前は誰? それにこれはどうなっているんだ?」   

「相変わらず、質問がベタね……」   

他にどんな質問するのだ? ここで、突然スライムから美少女に変わったヤツに彼氏いるのか? とか、バストは何センチなんだ? て、聞けばいいのか? いや、俺は突然真っ白な空間で、この女と相対しているという、今の状況の方を確認したい。 

例え目の前に美少女がいたとしても、普通そうだろ?    

「相変わらずって? 変な事言っていないで、答えてくれ」   

「私とじゃんけんして、あなたが負けたら、教えてあげる」   

「俺が負けたら教えてくれるのか? 普通逆じゃないか?」   

「いいの。その代わり、貴方が勝ったら、私はおしっこ我慢1時間ね」   

何なんなのだ? この女? そもそもじゃんけんに俺が困る要素がない。 

それにこの女のおしっこ我慢て、そんなに大した罰ゲームじゃないよな? 

この時、俺はこの女のおかしさに気がつかなかった。    

俺は女とじゃんけんをした。そして俺は中々負ける事ができなかった。勝ってばかりだった。 

だが、ようやく10回目にして負けた。 

こうして、この女からいきさつを聞けた。なんか、このじゃんけん意味無くね? って、思ったのは俺が浅はかだった。   

女は今の状況を説明してくれた。   

「ここは時間が停止した時空のはざまです。あなたは【スライム召喚】を見事使いこなし、遂にスライムのレベルアップに成功して、私に人格と、この姿を取り戻すことができたのです。運悪く、女神から極端なハズレスキルを与えられてしまったあなたにはチャンスが与えられたのです。私という美少女を獲得するというチャンスが」   

俺は女をじと~と見た。さっきから、この女は俺のことを知っているような話し方だ。それに、運悪く女神にハズレスキルをだと? この女の姿は見たことがあった。協会に飾られている肖像画や彫刻の姿と瓜二つだ。 

「あのな、お前、女神だろ?」   

「ええっ! なんでわかったの? 完璧な犯行だったのに!」   

簡単に認めたな、この女神。それに完璧な犯行ってなんだ?  

「もう、いいから、教えろ。お前、俺のこと知っているんだろ? そういう口ぶりだった」   

「あら、随分と物分かりがいい子ね。物分かりが悪い子だったら……」  

物分かり悪いとどうなるんだよ? 怖い女神だな!!  

「じゃあ、説明するわね。私達女神とか神様って、不老不死で、それはそれはもう暇で暇で、それで、人の人生を狂わせたり、世界の均衡を崩したりして楽しむしか生きる術がないの」  

迷惑な神だな!?  ていうか発言が悪魔サイド!!  

「それで、なんで俺はお前と会っているんだ?」   

「あなたには世界を救ってもらうため。ハズレスキルのお詫びに」   

 なんで、お詫びに困難を押し付けられるのだ? 

「世界を救うって?」   

「今はまだ言えないわ。ただ、あなたの能力は世界を救うためのもの。そう理解して」   

俺は思案した。どうやらこの女神は全てを話してくれそうにない。だが、俺も最小限の情報が欲しい。 

と、すると。 

「じゃあ、話を戻すが、お前、俺のことを知っているのか? どんな経緯があるんだ?」   

「それも今は言えないわ。レベルアップする度に少しずつ話すから。だから頑張ってね、私のために」   

いや、おかしい。私のために頑張って? あまりにも自分勝手な言いぐさだろ? 

俺はかなり不安になってきた。   

「おい、私のために頑張っていうの、詳しく教えろ?」   

「それも駄目。禁則事項です。ただ、300年前の魔王との争いに関係している……ことだけは教えておくわ。悪いけど、過剰に未来の知識は教えられないの。全ては300年前のあなたとの約束だから我慢してね。その代わりに私が後8時間おしゃべりに付き合ってあげるわ」   

コイツって、暇? いや、暇って公言してたか。それにしても8時間って? 俺は不思議に感じた。8時間おしゃべりするんなら、もう少し意義のあることを話しあうべきだろう。いくら暇でも、何故そんな事をするのか? 全くさっぱりわからん。 

俺にこの女神の魂胆がわかったのは、それから8時間後だった。どうでもいい女神の愚痴を散々聞いて、突然、女神の目に狂気の光が宿った様な気がした。    

「あん! 私、も、もう限界!?」   

「はあ? どうしたんだ?」   

何が限界? 何言ってんの、この女神? でも俺はようやくわかった。この女神、10時間もトイレ行ってないんだ。女神はぷるぷるとまるで生まれたての小鹿のように震え始めた。ギリギリを楽しんでいる様な感じだ。俺は嫌な予感がした。   

「ああ、もよおしてから、もう18時間も我慢を! この膀胱の圧迫感で壊れてしまいそうな感覚と、力まないと漏れ出してしまいそうな尿意は……ごほうびです!」  

いや、最初から尿意があったのだなんて、計画的過ぎる!   

「……ちょっと待って! 尿意って?」   

「ん、もう、むり、れす……」   

「おい! 駄女神! トイレ、早くトイレ!」   

「あ、あん、お腹が圧迫しゃれてぇ、しゅ、しゅごい…」   

「だから、急いで、トイレへ!」   

「んぁああああああ、らめれす! もう漏らしちゃいますよぉぉ!」   

な、何なんだ、この女神?   

「んんっ! お腹の中が、もう、全部、押し出されちゃいます……もう、ぁぁ……駄目」   

そういうと、女神の膀胱は限界に達した様で。長時間我慢した事で体に力が入らなくなっていき、なんとかギリギリのところで保たれていた堰が、一機に決壊した。一度決壊してしまえばそこから漏れ出す水の勢いは止まらず、当然途中で抑える気力などとっくにない女神は、そこ場でダムの中の水を全て出し切った。    

「ん、ああ、もう大丈夫れすよ。もう、すべて終わりましたから……」   

確かに全部終わった様な感覚だ。それはこの女神の大切な何かが終わってしまった様な気がした。   

女神の言葉を聞いて恐る恐る女神の下半身の方に目を向けると、そこは大洪水となっていた。下半身から漏れ出した液体は服を、そして床をも全てを濡らし、今もなお浸食を続けている。そして全てを出し切った女神は、何かをやり遂げた様な清々しい顔になっていた。   

「……女神……大丈夫か?」   

「はい、大、丈夫れす。ただその、体に、力が入らないので、しばらく待ってもらえるかしら……」   

「……」   

こうして、全く無駄というか、見たくないものを見せられた俺は、ようやく女神が回復すると現実世界に帰還した。
しおりを挟む
読んで頂いててありがとうございます! 第14回ファンタジー小説大賞 参加作品 投票していただけると嬉しいです! ブックマークもね(__)
感想 58

あなたにおすすめの小説

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し
ファンタジー
道具屋の店主モルネトは、ある日訪れてきた勇者パーティーから一方的に因縁をつけられた挙句、理不尽なリンチを受ける。さらに道具屋を燃やされ、何もかも失ったモルネトだったが、神様から同じ一日を無限に繰り返すカードを授かったことで開き直り、善人から悪人へと変貌を遂げる。最早怖い者知らずとなったモルネトは、どうしようもない人生を最高にハッピーなものに変えていく。綺麗事一切なしの底辺道具屋成り上がり物語。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる

名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。 冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。 味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。 死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

処理中です...