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赤の森の大討伐2
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会議の後一〇〇〇私達第三中隊と第四中隊は、各六名の小隊に分かれて行動することになった。定期的に魔法通信で情報共有し、互いの情報を確認しながら移動するらしい。通信の魔法は使えるけど、高難易度魔法だったら困るので、出来るとは言わない事にした。
それぞれの小隊を指揮するフレデリク第三中隊長とクルト第四中隊長は、私達聖女三人を真ん中において行軍した。一番安全な処に私達は位置している。
最上級の扱い! 気持ちいい!
そうこうして、騎馬と馬車で赤の森に向かい、森に到着すると、今度は哨戒任務の第四中隊の小隊を先頭に第三中隊の主力第一小隊を中央、左右に第二、第三小隊、後ろを第四小隊をしんがりを務める。私達聖女は第一小隊主力と同行する。ただし、私にはアル達3人が、セシーリアさんとエリスちゃんにもそれぞれ3名の騎士が付き従う。アルは戦力外なんだけどね。
森では馬車は使えない。馬車の荷物は騎馬の馬に移すと、馬車は新人騎士達によりケルンの街まで引き返す。補給物資を乗せた馬は第四中隊が守りながら突き進む。
歩きながら、そういえば500年前にもこんな事あったなと思い出す。そうだ、500年前にも森のバランスが壊れた。あの時は森の奥の聖龍が脱皮をして弱くなった処に暴風龍が現れて聖龍が敗北してしまった。森のS級の魔物は新たに現れた暴風龍を恐れ、最奥の地から森の入り口の方へ移動した。その為、森の魔物の出現パターンが変わった。
……あっ? 他に魔物の出現パターンが変わる事ってないんじゃない?
そうなのである。500年前にも森の最奥部で聖龍に何かあった事はわかっていた。それ以外に無いのだ。そういえば聖龍は騎士団のシンボルよね? その聖龍の事会議で何も言っていないっておかしくない?
まさか……聖龍の事まで忘れられている? いや、騎士団のシンボル忘れちゃ駄目よね?
森に入って数時間。最初はゴブリンやオークが出現したけど、既にオーガ等Cクラスの魔物が出始めた。おそらくCクラス以上の魔物が出る筈だ。前回の調査の時より出現する魔物のレベルがあがっている様に思える。そして、私達は地獄の番犬ケルベロスに遭遇した。真っ赤な眼と顎と三つの頭を持つAクラスの炎の魔物だ。
「まいったな。初日からAクラスの魔物かよ、ケルベロスがこんな森から歩いて数時間の処にいるってのは、どういうことだ?」
馬鹿犬中隊長が驚いたように聞いてくる。誰に聞いているかはわからないけど、つい言ってしまったのだろう。だから、聖龍に何かあったんだよね。それと弱体化したとは言え、SSSクラスの聖龍に何か害を与える魔物が出現した可能性が高いよね。でも黙っておこう。言ったらなんで知ってるの? という事にしかならない。私は学習能力高いのだ。
ケルベロスは炎属性の魔物だ。三つの頭のそれぞれの顎から炎を吐く事がある。サラマンダーのブレスよりは弱いけど、サラマンダーと違って炎の吐く瞬間は顎にたまった炎の光だけしか手がかりがない。サラマンダーの様に数分前からブレスを予期する事はできない。顎の炎の煌めきに気がついたら数秒後には炎が飛んでくる。だから、剣も魔法も有効なこの魔物はAクラスの強力な魔物なのだ。
中隊長の指示で、第一小隊が剣でケルベロスと対峙し、第二小隊と第三小隊は魔法や弓矢で支援する。しかし、互角にしか見えない。大丈夫か?
私は聖女の立場なので、セシーリアさんやエリスちゃんと直衛の騎士(アル達含む)と傍観していた。ぶっちゃけ暇だ。魔法でもぶっ放すか?
そういえば、魔法使いって意外といるんだな。以前の赤の森の探査の時はサラマンダー戦で誰も魔法を使わなかった。いっぱい喰わされた。今は第二小隊と第三小隊の4名程度の人が魔法を使っている様だ。それに加えて馬鹿犬フレデリック中隊長。彼はユニークスキル『魔石使い』を発動していた。周囲に七色の煌めく魔石を周回させ、氷属性の魔法をガンガン放つ。ホント、サラマンダーぐらいなら余裕で倒せるんだこの人。そりゃそうだよね、と思い至る。サラマンダーも討伐できなければ、魔石の力が増大して瘴気が溢れ、より魔石が強く、増える、そうすれば、瘴気の力がケルンの街の聖石の力を上回り、魔物が街に押しよせる。
……というか、こんなところで、こんなことを考えるくらい暇していていいものだろうか? せっかく最前線にいるのに、どうよ? と思い耽ると、聖女セシーリアさんが動いた。
「聖歌を歌うわよ。クリスちゃんもエリスちゃんもこの大討伐中に聖歌覚えてもらうからね」
そうか! 聖女の力、聖歌! 聖女は治癒魔法の他、強力な雷属性の攻撃魔法、そして強力な攻防バフ、デバフの威力がある聖歌がある。強力な女神の祝福を受ける聖歌は魔物の防御を半分に減らし、攻撃力を半分に減らす。聖歌は魔物の核である魔石に直接働きかけ、魔物の力を半分以下にする。そして、聖歌を聞く人間には闘気と魔素を倍にバフを盛る。前世の時に魔王討伐に同行した聖女は聖歌が歌えなかった。理由はわからない。しかし、セシーリアさんは歌えるんだ。それに私にも歌えるものなの? かなり光魔法のレベルが上がらないと無理なんじゃ?
聖女セシーリアさんが聖歌を歌い始める。聞きなれない言語だ。確か聖歌は古代の言葉だと聞いた事がある。魔法学園で教わった。
『Μην κατεβείτε, κρατήστε το χέρι σας Με τη δύναμη αυτής της μυστηριώδους αγάπης Ελα πιο κοντά Παρασκευή της αποφασιστικής μάχης』
古代語は私も勉強していた。聖歌は未だ歌えるレベルにないけど、その準備はしていた。私は帝国の聖女だったから……
この歌は唯の恋愛の歌だ。恋する気持ち、愛する気持ち、それに女神様が答え、人に力を貸してくれる。そう、『愛覚えてますか?』なのだ。
セシーリアさんの歌が進むにつれて形勢は信じがたく有利になっていった。ケルベロスの動きは鈍くなり、吐く炎の威力も下がった。一方、フレデリック中隊長や他の魔法使い達の魔法の威力も格段にあがった。そして前線の騎士達の動きが格段に良くなる。彼らの闘気と魔力の量は倍になっているのだ。
聖女の歌で力を増した中隊長と魔法使い達は、落ち着いてケルベロスへの魔法攻撃を激しくしていった。ケルベロスの力が弱まった事を確認したからか、距離を縮めて、命中精度を上げる。ケルベロスは5mもあるが俊敏だ。中々魔法は当たらない様だが、至近距離からの攻撃魔法で、命中率を上げる事に成功しているし、魔法の威力も倍に上がっている。
そうか、聖女の聖歌があればこんなに魔物討伐は楽になるのか。この魔物は聖女がいるこの騎士団の敵ではない。Aクラスの魔物、以外と大したことはない様だ。
流石騎士団。整然と隊列を整え、ケルベロスとの距離をどんどん詰め、最後に第一小隊長がケルベロスの首の一つを刈った。痛みに仰け反るケルベロスを他の騎士が見逃す筈も無く、ケルベロスの残りの首は第一小隊の騎士達の剣であっさり、切り落とされ、致命傷を受ける。Sクラスの魔物相手でも勝てるわね。この騎士団は優秀だ。流石アクイレイア王国の精鋭。魔法が廃れた今世でも十分強い。
ケルベロスを倒すと、騎士達が魔物の解体に入った。魔石を取り出し、魔石を浄化する必要がある。魔石の浄化は通常治癒魔法が使われる。従って水魔法の治癒魔法リカバリーも有効だ。しかし、光魔法のヒールや上位魔法のハイヒール、メガヒールがあればより少ない魔力で浄化できる。しかし、聖女セシーリアさんが行った方法は違う方法だった。
「聖歌で浄化するわね。魔力使わなくてもいいから」
私はぎょっとした。セシーリアさんは魔力を使わないと言った。そんなの聞いた事が無い。聖女の聖歌って魔力が高く、光魔法レベルが上がらないと難しい筈だ。魔力は私の場合は魔素で何とかなるが、光魔法のレベルが低い私には難しいのではないだろうか? 光魔法のレベルが上がるという事は魔素を光魔法に変換する効率を上げてくれる。光魔法レベルが上がらないと力ずくの魔力と魔素だけでは難しい筈。
「セ、セシーリアさん、聖歌に魔力いらないって、どういう事ですか?」
「え? ああ、魔力や光魔法レベルが上がらないと聖歌が発動しないと思われている様だけど、違うわよ。聖歌は女神様が答えてくれるだけだから、想いがあれば、魔力も光魔法レベルも関係ないの。想いだけよ」
それ、セシーリアさんが苦手そうなやつじゃないですか? と突っ込みたいが、流石に喧嘩売る気にはなれなかった。それに私も苦手よね。邪な気持ちならいい勝負できると思うけど……
「クリスちゃん、古代語は話せる?」
「はい、話せます、帝国で勉強しました」
「じゃ、クリスちゃんに聖歌を歌ってもらって、魔石を浄化しましょう」
「ええっ? わ、私が?」
「そうよ、簡単よ。こう想えばいいの。この人が私を愛してくれたら、高級バックとか高級レストランで食事とか貢いでくれるだろうなと少し考えて、その人の事を想うの」
欲望にまみれた想いだな……
「クリスちゃんなら得意でしょ?」
「い、いや、認めたくないです!」
「じゃぁ、行ってみよう!?」
私は聖歌の歌詞を教えてもらって聖歌を歌った。簡単に魔石を浄化できた。ちなみに何を思ったかというと、叔父様が私に惚れて高級バックとか高級レストランで食事とか貢いでくれる事を期待して叔父様を想った。こんなにちょろくていいんだろうか? 聖歌って? それにこれに答える女神様って、一体?
「まあ、女神様も女性だからなんでしょうね」
聖女セシーリアさんが事も無げに女神様を冒とくした様な気がする。しかし、確かに女神様って……ちょろい……
それぞれの小隊を指揮するフレデリク第三中隊長とクルト第四中隊長は、私達聖女三人を真ん中において行軍した。一番安全な処に私達は位置している。
最上級の扱い! 気持ちいい!
そうこうして、騎馬と馬車で赤の森に向かい、森に到着すると、今度は哨戒任務の第四中隊の小隊を先頭に第三中隊の主力第一小隊を中央、左右に第二、第三小隊、後ろを第四小隊をしんがりを務める。私達聖女は第一小隊主力と同行する。ただし、私にはアル達3人が、セシーリアさんとエリスちゃんにもそれぞれ3名の騎士が付き従う。アルは戦力外なんだけどね。
森では馬車は使えない。馬車の荷物は騎馬の馬に移すと、馬車は新人騎士達によりケルンの街まで引き返す。補給物資を乗せた馬は第四中隊が守りながら突き進む。
歩きながら、そういえば500年前にもこんな事あったなと思い出す。そうだ、500年前にも森のバランスが壊れた。あの時は森の奥の聖龍が脱皮をして弱くなった処に暴風龍が現れて聖龍が敗北してしまった。森のS級の魔物は新たに現れた暴風龍を恐れ、最奥の地から森の入り口の方へ移動した。その為、森の魔物の出現パターンが変わった。
……あっ? 他に魔物の出現パターンが変わる事ってないんじゃない?
そうなのである。500年前にも森の最奥部で聖龍に何かあった事はわかっていた。それ以外に無いのだ。そういえば聖龍は騎士団のシンボルよね? その聖龍の事会議で何も言っていないっておかしくない?
まさか……聖龍の事まで忘れられている? いや、騎士団のシンボル忘れちゃ駄目よね?
森に入って数時間。最初はゴブリンやオークが出現したけど、既にオーガ等Cクラスの魔物が出始めた。おそらくCクラス以上の魔物が出る筈だ。前回の調査の時より出現する魔物のレベルがあがっている様に思える。そして、私達は地獄の番犬ケルベロスに遭遇した。真っ赤な眼と顎と三つの頭を持つAクラスの炎の魔物だ。
「まいったな。初日からAクラスの魔物かよ、ケルベロスがこんな森から歩いて数時間の処にいるってのは、どういうことだ?」
馬鹿犬中隊長が驚いたように聞いてくる。誰に聞いているかはわからないけど、つい言ってしまったのだろう。だから、聖龍に何かあったんだよね。それと弱体化したとは言え、SSSクラスの聖龍に何か害を与える魔物が出現した可能性が高いよね。でも黙っておこう。言ったらなんで知ってるの? という事にしかならない。私は学習能力高いのだ。
ケルベロスは炎属性の魔物だ。三つの頭のそれぞれの顎から炎を吐く事がある。サラマンダーのブレスよりは弱いけど、サラマンダーと違って炎の吐く瞬間は顎にたまった炎の光だけしか手がかりがない。サラマンダーの様に数分前からブレスを予期する事はできない。顎の炎の煌めきに気がついたら数秒後には炎が飛んでくる。だから、剣も魔法も有効なこの魔物はAクラスの強力な魔物なのだ。
中隊長の指示で、第一小隊が剣でケルベロスと対峙し、第二小隊と第三小隊は魔法や弓矢で支援する。しかし、互角にしか見えない。大丈夫か?
私は聖女の立場なので、セシーリアさんやエリスちゃんと直衛の騎士(アル達含む)と傍観していた。ぶっちゃけ暇だ。魔法でもぶっ放すか?
そういえば、魔法使いって意外といるんだな。以前の赤の森の探査の時はサラマンダー戦で誰も魔法を使わなかった。いっぱい喰わされた。今は第二小隊と第三小隊の4名程度の人が魔法を使っている様だ。それに加えて馬鹿犬フレデリック中隊長。彼はユニークスキル『魔石使い』を発動していた。周囲に七色の煌めく魔石を周回させ、氷属性の魔法をガンガン放つ。ホント、サラマンダーぐらいなら余裕で倒せるんだこの人。そりゃそうだよね、と思い至る。サラマンダーも討伐できなければ、魔石の力が増大して瘴気が溢れ、より魔石が強く、増える、そうすれば、瘴気の力がケルンの街の聖石の力を上回り、魔物が街に押しよせる。
……というか、こんなところで、こんなことを考えるくらい暇していていいものだろうか? せっかく最前線にいるのに、どうよ? と思い耽ると、聖女セシーリアさんが動いた。
「聖歌を歌うわよ。クリスちゃんもエリスちゃんもこの大討伐中に聖歌覚えてもらうからね」
そうか! 聖女の力、聖歌! 聖女は治癒魔法の他、強力な雷属性の攻撃魔法、そして強力な攻防バフ、デバフの威力がある聖歌がある。強力な女神の祝福を受ける聖歌は魔物の防御を半分に減らし、攻撃力を半分に減らす。聖歌は魔物の核である魔石に直接働きかけ、魔物の力を半分以下にする。そして、聖歌を聞く人間には闘気と魔素を倍にバフを盛る。前世の時に魔王討伐に同行した聖女は聖歌が歌えなかった。理由はわからない。しかし、セシーリアさんは歌えるんだ。それに私にも歌えるものなの? かなり光魔法のレベルが上がらないと無理なんじゃ?
聖女セシーリアさんが聖歌を歌い始める。聞きなれない言語だ。確か聖歌は古代の言葉だと聞いた事がある。魔法学園で教わった。
『Μην κατεβείτε, κρατήστε το χέρι σας Με τη δύναμη αυτής της μυστηριώδους αγάπης Ελα πιο κοντά Παρασκευή της αποφασιστικής μάχης』
古代語は私も勉強していた。聖歌は未だ歌えるレベルにないけど、その準備はしていた。私は帝国の聖女だったから……
この歌は唯の恋愛の歌だ。恋する気持ち、愛する気持ち、それに女神様が答え、人に力を貸してくれる。そう、『愛覚えてますか?』なのだ。
セシーリアさんの歌が進むにつれて形勢は信じがたく有利になっていった。ケルベロスの動きは鈍くなり、吐く炎の威力も下がった。一方、フレデリック中隊長や他の魔法使い達の魔法の威力も格段にあがった。そして前線の騎士達の動きが格段に良くなる。彼らの闘気と魔力の量は倍になっているのだ。
聖女の歌で力を増した中隊長と魔法使い達は、落ち着いてケルベロスへの魔法攻撃を激しくしていった。ケルベロスの力が弱まった事を確認したからか、距離を縮めて、命中精度を上げる。ケルベロスは5mもあるが俊敏だ。中々魔法は当たらない様だが、至近距離からの攻撃魔法で、命中率を上げる事に成功しているし、魔法の威力も倍に上がっている。
そうか、聖女の聖歌があればこんなに魔物討伐は楽になるのか。この魔物は聖女がいるこの騎士団の敵ではない。Aクラスの魔物、以外と大したことはない様だ。
流石騎士団。整然と隊列を整え、ケルベロスとの距離をどんどん詰め、最後に第一小隊長がケルベロスの首の一つを刈った。痛みに仰け反るケルベロスを他の騎士が見逃す筈も無く、ケルベロスの残りの首は第一小隊の騎士達の剣であっさり、切り落とされ、致命傷を受ける。Sクラスの魔物相手でも勝てるわね。この騎士団は優秀だ。流石アクイレイア王国の精鋭。魔法が廃れた今世でも十分強い。
ケルベロスを倒すと、騎士達が魔物の解体に入った。魔石を取り出し、魔石を浄化する必要がある。魔石の浄化は通常治癒魔法が使われる。従って水魔法の治癒魔法リカバリーも有効だ。しかし、光魔法のヒールや上位魔法のハイヒール、メガヒールがあればより少ない魔力で浄化できる。しかし、聖女セシーリアさんが行った方法は違う方法だった。
「聖歌で浄化するわね。魔力使わなくてもいいから」
私はぎょっとした。セシーリアさんは魔力を使わないと言った。そんなの聞いた事が無い。聖女の聖歌って魔力が高く、光魔法レベルが上がらないと難しい筈だ。魔力は私の場合は魔素で何とかなるが、光魔法のレベルが低い私には難しいのではないだろうか? 光魔法のレベルが上がるという事は魔素を光魔法に変換する効率を上げてくれる。光魔法レベルが上がらないと力ずくの魔力と魔素だけでは難しい筈。
「セ、セシーリアさん、聖歌に魔力いらないって、どういう事ですか?」
「え? ああ、魔力や光魔法レベルが上がらないと聖歌が発動しないと思われている様だけど、違うわよ。聖歌は女神様が答えてくれるだけだから、想いがあれば、魔力も光魔法レベルも関係ないの。想いだけよ」
それ、セシーリアさんが苦手そうなやつじゃないですか? と突っ込みたいが、流石に喧嘩売る気にはなれなかった。それに私も苦手よね。邪な気持ちならいい勝負できると思うけど……
「クリスちゃん、古代語は話せる?」
「はい、話せます、帝国で勉強しました」
「じゃ、クリスちゃんに聖歌を歌ってもらって、魔石を浄化しましょう」
「ええっ? わ、私が?」
「そうよ、簡単よ。こう想えばいいの。この人が私を愛してくれたら、高級バックとか高級レストランで食事とか貢いでくれるだろうなと少し考えて、その人の事を想うの」
欲望にまみれた想いだな……
「クリスちゃんなら得意でしょ?」
「い、いや、認めたくないです!」
「じゃぁ、行ってみよう!?」
私は聖歌の歌詞を教えてもらって聖歌を歌った。簡単に魔石を浄化できた。ちなみに何を思ったかというと、叔父様が私に惚れて高級バックとか高級レストランで食事とか貢いでくれる事を期待して叔父様を想った。こんなにちょろくていいんだろうか? 聖歌って? それにこれに答える女神様って、一体?
「まあ、女神様も女性だからなんでしょうね」
聖女セシーリアさんが事も無げに女神様を冒とくした様な気がする。しかし、確かに女神様って……ちょろい……
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