悪役令嬢が最強!伝説の魔法使いが悪役令嬢に転生。いろいろやらかして追放されて贖罪をしながらのんびり。この悪役令嬢あまり懲りてないみたい。

島風

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銀の鱗という悪徳冒険者が復讐にきましたわ 1

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 米問屋の悪者と悪徳冒険者が捕縛されたあくる日、ようやく騎士団はエリスちゃんの事を思い出して、エリスちゃんを保護しに来た。ホント、直ぐに気づかんかね。お役人はホントに...... 

「エリスちゃん。落ち着いたら、またお話ししようね」 

「はい、ありがとうございました。エリス、クリスさんには感謝しかありません」 

 そう言ってエリスちゃんは憲兵騎士団の人に連れていかれた。エリスちゃんの処遇は不明だ。米問屋が再興されれば、主として、再びやっていけるんじゃないかなと思ったが、私の刑法の法律の知識では、それは難しい事がわかっていた。でも、奴隷であんなジジイの女になるなんて、女としては死んだも同然。それにきっと酷い事されるに違いない。私のした事はいい事の筈。そう信じたかった。 

 そして、今日も冒険者教習の訓練に明け暮れるのであったが、今日はとんでもない招かれざる客が来た。 

「美少女冒険者クリスってのはどいつだ!」 

「ああ、早くそいつを殺してぇ!」 

「待てよ、殺す前に犯ろうぜ!」 

 突然、武道館(小さいよ。日本のあの武道館をイメージしないで)の扉をけ破り、3人の荒くれ男達が侵入してきた。 

 三人共、もうちょっとおしゃれに気を配ろうよと突っ込みたくなるガサガサの髪にいかつい風貌、そして常軌を逸している話の内容から、ヤバい奴らな事は明白だった。あからさまにヤバそうな人達。それには身に覚えがあった。あの元番頭の用心棒の冒険者のパーティ。自分で悪徳冒険者パーティだって言っていた……私、怖いんですけど。 

「貴様ら、誰だ! ここは冒険者ギルドの教習所だ! ここを襲うなら、全ての冒険者ギルドを敵に回す事になるぞ!」 

先生のシモンさんが私達訓練生と荒くれ者達の間に入って庇ってくれた。 

「構わねぇよ。俺達には明日はないからな」 

「どういう意味だ?」 

「その、美少女冒険者クリスて奴のおかげで、俺らのパーティは捕まる! 捕まる前に復讐してやる!」 

「そんな事をすれば、更に罪が重なるだけだぞ!」 

「へっ、後がねえんだよ。捕まったら待っているのは、どうせ死罪だ」 

「何だと? 貴様ら、一体どこのどいつだ?」 

「いいぜ、名乗ってやろう。冒険者パーティ『銀の鱗』のリーダー、エドヴィンだ」 

「ぎ、『銀の鱗』!?」 

 先生の声は狼狽したものだった。それだけヤバい奴らっていう事か? それに『銀の鱗』! やっぱりエリスちゃんを酷い目に合わせようとした元番頭の用心棒のパーティだ。 

「生徒達には指一本触れさせない!」 

先生は毅然とした態度で言った。だが、その顔には冷や汗が滲む。 

「お前なんかで、俺様達の相手になるとでもと思っているのか? 俺様はAクラス冒険者だが、Sクラスに昇格を促されているんだよ。もちろん、悪さができねぇから断っているがな!」 

「つぅ」 

先生の汗の滲みが半端ない。これはかなりの強敵、私、ピ~ンチ! 

「お前がクリスだな?」 

 銀の鱗のリーダー、エドヴィンはアンを指さしてそう言った。あれ、勘違いされてる? ラッキー☆ とぼけたら無事で済むかも! 

「わ、私は!」 

 アンが言いよどむ。止めてよアン、私を売らないで! そして、私の代わりに色々酷い事されて! 私は嫌よ。あんなのもうコリゴリだから。 

「お前じゃなきゃ誰なんだ? 他にいないだろ? 美少女が?」 

 な、なんだと、ここにいるでしょ? アンも美少女だけど、私だって十分美少女なんだから? 確かにアンは正統派の癒し系美少女だけど。私だってホントに美少女なんだからね......自称じゃないもん...... 

「彼女はクリスじゃないよ」 

嘘ぉー、まさかの幼馴染のアルに売られるパターン。 

「クリスはこの娘だよ」 

アルが私を指さす。 

「…………ッ!!!! ちょっ、待っ……アル酷い! あなた、何言っているの!? ちょっ、本当に……私、クリスじゃない!!」 

「「「「「「「「「「この人がクリスでーす」」」」」」」」」」 

…………クラスメイト全員に売られた………… 

「どこが美少女なんだ?」 

 カチン、こいつ、絶対ワザとだろう。私を煽る為にやってるでしょう? 私だって、私だって、美少女なんだもん。ああ、もう、こうなったら、破れかぶれだわ。 

「まぁ、いいだろう。お前の両手足の腱を切って、動けないようにしてたっぷり犯してやる」 

「俺たちも後で愉しませてくれるのかな?」 

「無理じゃね? リーダーはいつも壊しちまうし」 

 鬼畜な事を平然としゃべるこいつら、マジで、誰か助けて! ストーカー、いや騎士団は何やってんのよ! こんな大事な時に! 

「クリスにそんな酷い事はさせません!」 

アンが毅然とした態度で、私を庇ってくれる。アン、いい子、いい子ぉぉぉお!!!!! 

「私もむざむざ教習生に惨い事をさせる訳にはいかん」 

 アンとシモン先生が前に出る、そして他の生徒は後ずさる。アル? お前はなんで後ずさる? 

「(アル、あなたも戦いなさいよ!)」 

「(僕は知性派だから、ここは君に任せるよ)」 

「(そんな事言っている場合じゃないでしょ!)」 

「(頑張ってね☆)」 

「…………ッ!!」 

アルとアイコンタクトで話すが、見捨てられた...... 

「アンはあなたと戦います」 

「私はお前と戦おう」 

 えっ? 消去法で、私、あの一番怖いリーダーのエドヴィンと戦う事になるんじゃ? 先生とアンが目を逸らす。目を合わせてもらえない。微妙......私はあきらめて、前に出ると、リーダーのエドヴィンを見る。 

「(見た目がキモイ。どっか行って!)」 

「良かったな。リーダーは腱斬るのうまいぜ! 一生体が動かないぜ」 

「いや、苦しまずに後でちゃんと殺してやる方が、慈悲深いだろう?」 

「きひひひひっ! 流石リーダーだぜ!」  

「ふはははははっ!」 

「(頭おかしい、こいつら……。もう死んであの世で更生した方がいいよね?)」 

「何処が美少女だ? クリス! お前をいたぶっててやる!」 

「(私のことをコケにするなんて許せない。ウジ虫風情のくせに……チキショウ、生きてきたことを後悔させてやる……!)」  

「プライド高いね、クリスは......」 

アルの呟きがムカつく。私の考えてる事わかったな? 私は先制攻撃する事にした。 

「フリーズ・ブリット!」 

そして、アンとシモン先生も戦い始める、しかし、 

「なっ!」 

エドヴィンはシュンという残音を残して、姿が消えた。 

「が、がふっ!」 

 情けない声をあげてしまった。気がつくと腹に一撃もらった。腹から血は出ていない。剣の柄で殴ったな。痛みは酷いが致命傷ではない。しかし、衝撃で、口の中を切ってしまった。血が口から滴り落ちる。 

「しゅ、『瞬歩』のスキルね?」 

「ああ、そうだ。絶望したか?」 

 スキル『瞬歩』、身体速度の速度を数十倍に増大させて俊敏さを劇的に上げるスキル。常人には瞬間移動した様にしか見えない。これを持っている剣士はほぼ無敵だ。 

剣を構え直すと、又、シュンと残音を残すと 

「きゃぁぁぁぁぁ!」 

 又、激しい衝撃。今度は背中から蹴られた。突き飛ばされ、激しく地面に顔を打ち付けられた。顔に痣と傷ができる。口の中に血の味がする。そして...... 

 そしてエドヴィンは私のか細い首を掴んで持ち上げた。片腕で私を高く持ち上げることができるのは、ひとえに私が美少女なだけでなく、スレンダーで、体重が軽いからだ。こいつの腕力が強いだけじゃないもん。 

「おら、どうした? 大人しく俺様に股をひらくんなら、優しくしてやるぜ。何せ、俺様は優しいからな」 

「ひぃ!! ひぃぃいいいいいい!!」 

 情けない。情けない悲鳴を上げる私、でも、私に勝機がありそうになかった。ここ性犯罪の現場になるのかな? 教習所なのに? それに、ここで亡き者にされんの私? 主人公なのに? 

「なあ、お前、いつまで僕のクリスに、その薄汚い手で触っているんだ?」 

「(えっ? これアルの声?)」 

 アルが凄い形相で前に出て来ていた。どすん。私は落とされてしまった。 

「この女はお前の女か? いいな、お前は殺しはしない、痛めつけて、お前の目の前でこの女をなぶって、犯してやる」 

「できるものならやってみろ!」 

 シュン、エドヴィンが残音を残して消える。だがアルもまた、残音を残して消えた! 

「…………え? マジ?」 

 嘘ぉー、まさかあのアルが私を助けてくれるの? 嘘でしょ? こんなアル見た事無い! 私の頬は赤くなっているだろう。痛めつけられて打ち付けられて腫れて赤く染まっただけでなく、アルにときめいてしまって、赤くなった私の頬...... 

いいのかしら? こんな展開で...... 
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