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さつきのいろどり

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⑨行ってはいけない場所

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オカルト好きの友人が今日も
心霊スポットへ撮影に行くと言い出した。

Ａはオカルト系のネタを、よく投稿していて
その撮影に行くのだという。

それに、私はいつも付き合う。
なぜなら、私もオカルト好きだから。

今夜は、私とＡ、そしてＢとＣ子と
四人で行くことになった。

前回行った心霊スポットでは、あまり上手く
映らなかったらしく、今回は
とんでもない場所へ、行くと言い出した。

火葬場だ。

やめた方がいいと言ったけど、Ａは
言い出したら聞かない。

その場所まで運転をするＢも
面白がりはじめてた。

Ｃ子は、迷っていたけど結局行く事になった。

この後、とんでもない事が起こるとも知らずに
私達はＢの運転する車に乗った。

助手席にはＡ。私とＣ子は、後ろの
座席に乗った。

真っ暗で街灯もない登り坂の細道を
進んで行く。車のライトの灯りだけが頼りだ。

少し開けた場所に出た。火葬場の駐車場だ。

駐車場に入る前に車を止めたＢが
急にこんな事を言い出した。

Ｂ「無理。これ以上行きたくない」

何か見たのかと聞くと、どうやら
そうではないらしい。
これ以上進むと、危険な気がするのだと言う。

私も何か嫌な感じがしたので、いつもは
一緒におりて撮影に同行する事を拒否した。
当然、Ｃ子もだ。

Ａ「仕方ないな」

と、Ａは一人だけ車を降りた。

Ａの開けた扉から生温い空気がスッと
入ってきた。
おかしいな。今夜は少し肌寒かったはずなのに。

Ａは、駐車場に向かって歩いて行った。

霊感の全くないＡは、何も感じないらしい。
それは、それで好都合なのだとか言っていた。
何も感じないからこそ恐怖感もなく
どこでも撮影出来るのだとか。

しばらくして、一通り撮影し終わったであろう
Ａが車に向かって歩いて来た。

Ａが助手席に座る。

たった今、撮影したばかりの映像を確認する。
Ａを待っている間は、何もなかったのにＣ子が
突然、気持ち悪くなってきたと言いだした。

Ｃ子「早く、帰ろう」

Ｂ「あのさ、言いずらいんだけど…
さっきからエンジンかけてる。
でも、かからないんだよ！」

こういう話は、よく聞くけど心霊系の
テレビ番組やホラー映画の話だと思ってた。
まさか、本当に起きるなんて！

しかも、さっきから流れていた音楽が
変な音と雑音で、聞いた事もない奇怪な
音になっていた。

何度かエンジンをかけなおす。

Ｂ「かかった！」

そのまま、バックで坂道をくだる。
道が細く、Uターン出来ないからだ。
あまりスピードが出せないので、ゆっくりと。

Ｃ子「やだ、怖い、なんかいる！」

そんな声を聞いたら私も怖くなってきた。

『バン！バン！』

私とＣ子が乗っている後部座席の窓から
大きな音がした！

Ｃ「キャァァァッ！」

同時にＣ子が悲鳴をあげた！

だけど、真っ暗で何も見えない。

Ａ「おい、今の音なんだ？」

私「わかんない」

Ｂ「枝とかぶつかったのか？」

Ｃ「違う！誰か叩いた！」

Ａ「誰かって、誰だよ！」

車内は一度、パニック状態になったけど
何とか、細道から抜け出した車は
そのまま、一般道へ出た。

その後は、何事も無かったかのように
変な現象は何も起きず、それぞれ家に帰った。

翌朝、電話の音で目が覚めた。Ｂからだった。
少し声の震えたＢが、話し始めた。

Ｂ「昨日の事だけど…後部座席の窓
枝かと思ってたんだけどさ。あれ、違った」

昨日の、あの音の事か。

私「…な、なんだったの？」

Ｂ「ペンキみたいな、べっとりしたやつがさ
拭いても、取れなくて、何だろうと思って
よくみた見たらさ…」

私「うん」

Ｂ「て、手形が二つ付いてた。」

私「！」

電話を切った後、Ｂが「ごめんなさい」と
言いながら何度も拭いていたら、その手形は
いつの間にか消えていたそう。

きっと、そこにいた人達の霊が
怒ったんだろうな。
火葬場なんて場所には、遊び半分で
行くのは絶対に辞めようと誓った。

Ａの撮影した物には、幾つかのオーブのような、物が映り込んでいた。
その場所に眠る怒った霊達だと思う。

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