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③水のある場所に集まってくる
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これは昔、私が友達に聞いた実話です。
オレが一人暮らしを始めてから最初の夏休み。
北国のせいか、この部屋にはエアコンがない。
扇風機も置いてない。
だから、仕方なく窓を開ける。
風が入ると、少しだけ涼しくなるからだ。
窓の外には、公園の噴水が見える。
「キャッキャ」と遊ぶ子供の声。
だけどそれは、昼間だけの話で
夜になれば、ガラリと雰囲気は変わり
誰もいなくなった公園に
『ちゃぽちゃぽ』と言う噴水から吹き出る水の音が
何だか不気味に聞こえる。
熱帯夜の夜
今日もオレは窓をあけて寝る。
北国だろうとなんだろうと
真夏の夜は、流石に暑い。
窓からすーっと、冷たい風が入って来て
カーテンが揺れた。
「今日は涼しいな」
ここ何日か暑苦しくて
寝たのか寝てないのか
よくわからない日が続いていた。
今日は、ぐっすり眠れるかもしれない
そう思いながら窓の外を見たら
余計な事を思い出してしまった。
《 水のある場所は、霊が集まって来るんだよ》
霊感のある友達の言葉だった。
この部屋からは噴水が見える。
「水…」
「いやいやいやいや、ないないないない!」
オレは怖くなって
少し涼しくなった部屋の
ど真ん中に敷いていた布団に潜った
いつの間にか眠っていたようで
外が、うっすらと明るくなっていた。
まだ、起きるには早い時間だ。
もう少し寝よう。そう思った時
『ちゃぽちゃぽちゃぽ…』
噴水の音が聞こえる。
そうしたらまた
友達の、あの言葉を思い出してしまった!
『ちゃぽちゃぽちゃぽ…』
気になり出したら耳をすませている
わけでは無いのに、耳が勝手に聴いてしまう。
『がばっ!』
怖くなって、布団を頭まで被ったら
噴水の音が聞こえなくなった。
これで眠れるだろう。
そう思った時…
『かちゃかちゃりっ』
畳の上に、何か小さな物が
落ちてきたような
降りてきたような、そんな音がした。
「ポッポーポッポーポッポー」
鳩?!
音の正体は
鳥が着地した音だったのか?
マジか?
鳩、入って来ちゃったよ…
追い出そうか迷った。
どうやって追い出したらいいだろうか、とか
暴れられたらどうしよう、とか
そんな事を考えていたから。
それに、さっきから気になっている噴水の音も聞きたくなかった。
だからそのまま、布団に潜って寝ることにした。
そのうち、出ていくだろう。なんて、適当な理由を付けて。
しかし、その鳩らしきものは
出ていく気配はなく
オレの寝ている布団の周りを回り出した
「ポッポーポッポー」
「カチャリ カチャリ」
「ポッポーポッポー…」
鳴き声と、歩く鳥の爪の音。
あー。うるせぇなぁ
仕方なく追い出そうと思い被っていた布団から
顔を出そうとした時
ふとまた、あの友達の言葉がよぎる
《 水のある場所は、霊が集まってくるんだよ》
……もしかして、鳩じゃなかったりして…
よく考えてみたら網戸の付いた窓から鳩が入ってくるなんて、ありえないだろ。
それに万が一、入って来ていたとしても布団の周りをグルグルと回るだろうか?
「ポッポーポッポーポッポー…」
『かちゃり かちゃり…』
じゃぁ、この鳴き声と音は何だ?
……
………!!
いやいやいやいや
まてまてまて、落ち着けオレ!
次第に音は、少しづつ大きくなる。
「!?」
『ずずずずず…ずずずずず…』
『ずるずる…ずるずるずる…』
何か引きずっているような
そんな音に聞こえてきた。
『ずずず…ずるずるずる…ずずず…』
オレの寝ている布団の周りを
まだ回っているようだ。
更に、引きずったような音は大きくなり
「あぁーーーー…ぅあーーーー…あぁー…」
呻き声に変わった!
やべぇ
何かヤバイやつだ!!
オレは耳を塞いで『ガタガタ』と布団の中で震えていた。
『ずずずずず…ずるずるずる…ずずず…』
怖い
怖い
怖い
怖い!!
「あぁーーーー…ぅあーーーー…あぁー…」
出て行け!
早く出ていってくれーーっ!!
『ずずずずず…ずるずるずる…ずず…』
だけど、部屋の中は少しづつ暑くなって来ていて
布団中でじっとしているのは、そろそろ限界だった。
とにかくこの息苦しい布団から出たい!
と、ほんの少しだけ布団から手を出した。
しかし、手を出した場所が悪かった。
調度、隙間から布団の外が見えてしまう。
「あぁーーー…ぅあー…あぁー…ぅああ…」
オレの周りをグルグル回る“何か”は
足元から上の方へ向かって上がって来る!
すぐに手を引っ込めればいいものを
その時のオレは怖くて固まってしまっていた。
来るな
来るな!
来るなーーーーっ!!
『ずず…ずるずる…ずずずず…ずずっっ』
引きずったような音を
立てる“なにか”は、急に止まった
俺の目の前で!!
黒くて長い…
髪の毛の塊のような物体が
ずるずると髪の毛らしき物を引きずり
ゆっくりと、オレの方を向いた
「うっうわあぁぁぁーっっ!!」
それは、黒い髪の毛の
首から下のない女の生首だった…
…そのまま、気絶してしまったのか
窓からは朝日が差し込んでいた。
オレが見た、女の生首が
何だったのかは不明。
すぐに扇風機を買いに行き
夜眠る時は、必ず窓を閉めて
眠るようになった…
オレが一人暮らしを始めてから最初の夏休み。
北国のせいか、この部屋にはエアコンがない。
扇風機も置いてない。
だから、仕方なく窓を開ける。
風が入ると、少しだけ涼しくなるからだ。
窓の外には、公園の噴水が見える。
「キャッキャ」と遊ぶ子供の声。
だけどそれは、昼間だけの話で
夜になれば、ガラリと雰囲気は変わり
誰もいなくなった公園に
『ちゃぽちゃぽ』と言う噴水から吹き出る水の音が
何だか不気味に聞こえる。
熱帯夜の夜
今日もオレは窓をあけて寝る。
北国だろうとなんだろうと
真夏の夜は、流石に暑い。
窓からすーっと、冷たい風が入って来て
カーテンが揺れた。
「今日は涼しいな」
ここ何日か暑苦しくて
寝たのか寝てないのか
よくわからない日が続いていた。
今日は、ぐっすり眠れるかもしれない
そう思いながら窓の外を見たら
余計な事を思い出してしまった。
《 水のある場所は、霊が集まって来るんだよ》
霊感のある友達の言葉だった。
この部屋からは噴水が見える。
「水…」
「いやいやいやいや、ないないないない!」
オレは怖くなって
少し涼しくなった部屋の
ど真ん中に敷いていた布団に潜った
いつの間にか眠っていたようで
外が、うっすらと明るくなっていた。
まだ、起きるには早い時間だ。
もう少し寝よう。そう思った時
『ちゃぽちゃぽちゃぽ…』
噴水の音が聞こえる。
そうしたらまた
友達の、あの言葉を思い出してしまった!
『ちゃぽちゃぽちゃぽ…』
気になり出したら耳をすませている
わけでは無いのに、耳が勝手に聴いてしまう。
『がばっ!』
怖くなって、布団を頭まで被ったら
噴水の音が聞こえなくなった。
これで眠れるだろう。
そう思った時…
『かちゃかちゃりっ』
畳の上に、何か小さな物が
落ちてきたような
降りてきたような、そんな音がした。
「ポッポーポッポーポッポー」
鳩?!
音の正体は
鳥が着地した音だったのか?
マジか?
鳩、入って来ちゃったよ…
追い出そうか迷った。
どうやって追い出したらいいだろうか、とか
暴れられたらどうしよう、とか
そんな事を考えていたから。
それに、さっきから気になっている噴水の音も聞きたくなかった。
だからそのまま、布団に潜って寝ることにした。
そのうち、出ていくだろう。なんて、適当な理由を付けて。
しかし、その鳩らしきものは
出ていく気配はなく
オレの寝ている布団の周りを回り出した
「ポッポーポッポー」
「カチャリ カチャリ」
「ポッポーポッポー…」
鳴き声と、歩く鳥の爪の音。
あー。うるせぇなぁ
仕方なく追い出そうと思い被っていた布団から
顔を出そうとした時
ふとまた、あの友達の言葉がよぎる
《 水のある場所は、霊が集まってくるんだよ》
……もしかして、鳩じゃなかったりして…
よく考えてみたら網戸の付いた窓から鳩が入ってくるなんて、ありえないだろ。
それに万が一、入って来ていたとしても布団の周りをグルグルと回るだろうか?
「ポッポーポッポーポッポー…」
『かちゃり かちゃり…』
じゃぁ、この鳴き声と音は何だ?
……
………!!
いやいやいやいや
まてまてまて、落ち着けオレ!
次第に音は、少しづつ大きくなる。
「!?」
『ずずずずず…ずずずずず…』
『ずるずる…ずるずるずる…』
何か引きずっているような
そんな音に聞こえてきた。
『ずずず…ずるずるずる…ずずず…』
オレの寝ている布団の周りを
まだ回っているようだ。
更に、引きずったような音は大きくなり
「あぁーーーー…ぅあーーーー…あぁー…」
呻き声に変わった!
やべぇ
何かヤバイやつだ!!
オレは耳を塞いで『ガタガタ』と布団の中で震えていた。
『ずずずずず…ずるずるずる…ずずず…』
怖い
怖い
怖い
怖い!!
「あぁーーーー…ぅあーーーー…あぁー…」
出て行け!
早く出ていってくれーーっ!!
『ずずずずず…ずるずるずる…ずず…』
だけど、部屋の中は少しづつ暑くなって来ていて
布団中でじっとしているのは、そろそろ限界だった。
とにかくこの息苦しい布団から出たい!
と、ほんの少しだけ布団から手を出した。
しかし、手を出した場所が悪かった。
調度、隙間から布団の外が見えてしまう。
「あぁーーー…ぅあー…あぁー…ぅああ…」
オレの周りをグルグル回る“何か”は
足元から上の方へ向かって上がって来る!
すぐに手を引っ込めればいいものを
その時のオレは怖くて固まってしまっていた。
来るな
来るな!
来るなーーーーっ!!
『ずず…ずるずる…ずずずず…ずずっっ』
引きずったような音を
立てる“なにか”は、急に止まった
俺の目の前で!!
黒くて長い…
髪の毛の塊のような物体が
ずるずると髪の毛らしき物を引きずり
ゆっくりと、オレの方を向いた
「うっうわあぁぁぁーっっ!!」
それは、黒い髪の毛の
首から下のない女の生首だった…
…そのまま、気絶してしまったのか
窓からは朝日が差し込んでいた。
オレが見た、女の生首が
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すぐに扇風機を買いに行き
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