俺のタマゴ

さつきのいろどり

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もう一人の世楽・2

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世楽の妹…じゃなくてタマゴの中身の
世楽秋磨は スカートの裾を掴むと
ヒラヒラさせた。
そして、俺に向かって話しかけてきた。



秋磨「付いてるよ。見る?」

改「見ねぇよ!」

秋磨「冗談♡
ところで、この女子の制服。似合ってるなら
いいと思うけど君は、どう思う?」

改「え?あ…えっと…」



女子の制服を来た世楽秋磨は
全く違和感がなかった。

どっからどう見ても、女子にしか見えない。

でも、ここで似合ってるとか答えたら
今、仲良くなろうとしている世楽に
もっと嫌われるんじゃないのか?

いや、逆にここで似合わないって答えても
タマゴの方の世楽…秋磨に目を
つけられるんじゃないか?

新みたいに、何かムカつく嫌味とか
嫌がらせっぽい事とか。
そう言うの面倒臭ぇし。

それにもしかしたら、新とも何かしら
関わりがあるかも知れない。
同じタマゴ同士な訳だし。

ここは、無難に答えるか
話、そらすとかだな。



改「学校の規則とか、大丈夫なのか?」

秋磨「え?」

改「男子が女子の制服着てるし。」


秋磨「あぁ、うん。洗脳済み」

改「せっ…」



洗脳!?


な、なんだそれ!
タマゴの中身って、洗脳してんの?

ん?
そういやぁ新は出てきた瞬間から
俺の弟になってたよな?

これって、洗脳だったのか?
俺以外の、周りの人間を洗脳してたって事?

いや、でも生まれた時からの写真にも
新は、写ってた。
それを洗脳の一言で、片付けられるはずねぇよな!



改「洗脳って、どうやって?」

秋磨「さぁ?私がやったわけじゃないから
わかんない。アースでしょ。」

改「アースだって?」



アースか。またこの名前。
いったい、アースって何なんだ?
どんな存在なんだろう?
そもそも、生き物なのか?それとも…



秋磨「これ以上は、ナイショ☆
あ!待ってよ、お兄ちゃん!」



俺達の事を無視して帰る世楽の背中を
秋磨が追いかけて行ってしまった。

タマゴの方の世楽。
見ないなと思ってたら、こういう事だったのか。
気が付かないわけだよな。
まさか女装してるなんて思わねぇし。

でも、どうして女装してるんだろう?
女装って言うより、周りを洗脳して
“女だと思わせてる”って感じだよな。

何か、理由があるんだろうけど…

まぁ、どうでもいいか。興味ねぇし。

これ以上、クロボシが付かないように
する事が優先だな!うん。





家に着くと、リビングに二つのリュックが
置いてあった。母ちゃんが用意したんだろう。

あぁ、そう言えば明日だっけ、登山。



新「次、クロボシ付くの
お前だからな。改!」



いつの間にか、リビングにいた新が
久しぶりに鋭い目を俺に向けた。

この目付き、本当にゾッとする。
背筋が凍りそうなくらい恐ろしいっつうか
明らかに人間には出来ない表情だ。



改「や、やっぱり、この登山。試験なのか?」

新「さぁね。俺も知らない。
知ってても教えないけど…」



それだけ言うと、リュックを一つ持って
リビングを出て行った。

本当に、アイツも知らないのか?
まぁでも、何かある事は間違いないな。
茅菜の夢の事もあるし。

俺はリビングに残されたもう一つの
リュックを持って明日の準備を始めた。









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