俺のタマゴ

さつきのいろどり

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もう一人の世楽

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茅菜と逃げるように立ち去ったあの場所に
新を残したまま、家に帰って来た。
あれからアースの事は話していない。
いや、聞きたくても聞けないってやつだ。

消えるとか、消されるとか
なんかそう言うのが、怖くなっていたから。
まだ俺、消えたくないし。

それに茅菜が消えるかもしれないなら
このまま何も知らないでクロボシを新につけて
元の生活に戻ればいいだけなんだ。

でも、何か引っかかる。
この変な引っかかりの正体は
後でわかるだろうか?

茅菜も、あれから特にタマゴや
アースについては何も話して来ない。
新はと言うと、相変わらず俺に嫌みを
言ってくるだけだった。

タマゴの試験らしき物も、何もないまま
気がつけば茅菜が夢で見たと言う
学校で強制的に登る山の、登山の行事は
次の日にひかえていた。

もしかして、この登山の行事に何かあるのか?

そんな事を考えながら俺は今日も
こりずに、世楽と仲良くなろうとしていた。



世楽「しつこいよ、君。」

改「いいじゃん、一緒に帰ろうって」

世楽「だから帰る方向、逆だってば」



こんなやり取りを毎日繰り返しながら
俺は、世楽に対して一つの違和感があった。



改「あのさ。世楽も俺と同じじゃん。」

世楽「は?君と一緒なわけないでしょ。
君みたいなストーカーと一緒に
しないでくれる?」



俺、ストーカー扱いかよ。



改「そうじゃなくて。もう一人の世楽…
秋磨だっけ?見た事ないんだけど」

世楽「え!…さぁ、俺にはさっぱり…」



ん?なんだ、この反応は。



改「いや、一緒に住んでるよな?一応
双子って事になってるし」

世楽「きっ、君には関係ないだろ!
もう、あっち行けよ!」



妖しい…。
何か、知られたくない事だったりするのか?

もしかして!



改「もう、試験終わったのか?
んで、タマゴの方は消えて…」

世楽「しーっ。声が大きいよ!タマゴとか
試験とか、誰かに聞かれたらどうするっ…」

??「お兄ちゃん!」



え?お兄ちゃん?

声の方を見ると、可愛い女の子が立っていた。
あぁコイツ、妹いたんだ。

世楽の方を見ると、何故か固まっていた。



改「ん?どうしたんだ?」

世楽「…」

改「おい、世楽?」

世楽「しゅ、秋磨…」



秋磨?…って、世楽秋磨?
男じゃなかったのか?

そういえば、双子ってだけで性別が一緒
とか、そうじゃないとか聞いてなかったな。

性別が同じとは限らないって事なのか?

つーか、どうして世楽は、動揺してるんだ?
動揺する必要、あるか?



秋磨「今日は一緒に帰ろうって
言ったじゃん!
どうして先に帰っちゃうの?」

世楽「断っただろ。それに、その格好。
俺と同じ顔だし、やめろって言ったけど!」

改「その格好って、セーラ服の事か?
女子、みんなセーラなんだし
問題ないんじゃ…」

世楽「何言ってるの?秋磨が
女子じゃないから問題なんだろ!」



え?

えぇーーーーーーーーーーーーーっ!?



改「ま、じ?」

世楽「…」



世楽は、無言でうなづいた。

俺は、少しでも可愛いと思ってしまった
自分に後悔した。






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