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第8章 エルフの森
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エルフの村の方から火の手だって?
まさか魔族?
「皆んな急ごう」
僕達は森の奥へと急いだ。
しばらく行くと炎が見えて来た。
「エルフさん達大丈夫かしら?」
「村は、もっと奥だよ」
「もしかして、これじゃ避難しようにも出来ないんじゃなーい?」
「とにかく火を消さないと、これじゃあ森が丸焼けになっちゃうよ」
小虎君はそう言うけど、近くに川も無いし、どうしたら良いんだ?
「大河のスキルで火を消せんか?」
「あれは、水の壁を作るだけだから…」
「あれってよう、湖の上だったよな?水の無い所で出来んのか?」
「イヤミのファイアーボールだって、火の無い所で出来んじゃん」
「あ、そうか」
「スキルとはそういう物だ」
「連君はウィザードなんだから、水の攻撃スキルが使えれば良いのに。そしたら僕の水の盾みたいにその場に壁を作るのと違って敵に投げるんだから何とかならないかな?」
「いや…まだ水のスキルは覚えて無い」
「連ちゃーん、杖が光ってるよー」
「え?あ、本当だ。覚えるなら水のスキルだ。良いな」
《連は杖に向かってそう言った》
連君の杖が青く光ってる。
杖に付いた宝石が輝いているんだ。
《連は杖を構えた》
「良し、行くぞ!ビッグウェーブ!」
《ザブーンと大波が炎を呑み込む》
「おおっ、すげー!」
「アローレイン!」
「何だよ、司もスキル覚えやがった」
「何?」
《連は横目で司をチラッと見る。涼しい顔の司》
「待ち時間か、早く回復しろ…良し、ビッグウェーブ!」
「だりぃ、アローレイン!」
《そして…》
2人の水系スキルの応酬で何とか火を消し止めたぞ。
「ふう、ちと疲れたな」
「だいぶ消耗してるわね、少し休みましょう」
「俺は腹減ったぞ」
《そう言うと翔は木の実を取って口に入れる》
「あー、それ食べちゃダメ」
「何だ?小虎。禁断の樹の実か?」
「きんだん?」
「イヤミ。子供相手に小難しい事言うなよ」
「禁断とはな、禁じられた行為の事だ」
「違うよ、それ食べると笑いが止まらなくなっちゃうんだ」
「笑いの木の実ー?普通笑い茸とかなら聞くけどさー」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ、そうだよ、まさか木の実で笑いが止まらねえなんてよう、あーっハッハッハ」
「どうやら本当のようだな」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ、何とかしてくれー」
「お前は赤子のように何でも口に入れるからそんな事になる」
「イヤミー、うひゃひゃひゃひゃひゃ、イヤミ言ってねえでうひゃひゃひゃひゃひゃ、助けてくれよ」
「解毒剤は無いのか?」
「解毒作用の有る薬草とかって、普通ゲームなら出て来るよな?」
「司はまたゲームの話しか」
「あっちに生えてるよ」
「あっちって、うひゃひゃひゃひゃひゃ、遠いのか?」
「すぐそこ」
「今度こそ本当にすぐそこなのだろうな」
「何でも良いから、うひゃひゃひゃひゃひゃ、早く取って来てくれよ。うひゃひゃひゃひゃひゃ、笑い死にすんぞ」
「こっちこっち!」
小虎君について少し先に行くと、泉が有った。
泉の周りに色々な植物が生えてるけど…
「これが毒消し草だよ」
「これを摘んで煎じれば良いのかしら?」
「うん。とーっても苦いんだよ」
「苦げーのかよ?うひゃひゃひゃひゃひゃ、はーっはっはっは」
《小虎と優里香先生は毒消し草を摘む。何かが覆い被さったように急に空が暗くなる。羽ばたく音》
「気をつけろ、モンスターだ」
「あれは怪鳥だね」
「美味そうだな、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「笑いながらでも食う事言うか」
「全くお前達は」
「って、煎じ薬飲むより戦うのが先みたいねー」
《4人はカプセルから武具を取り出す。怪鳥は上空を旋回して様子を窺っている》
「野郎、うひゃひゃひゃひゃひゃ、降りて来やがれ!」
《怪鳥は上空から大河達の頭を掠めてまた舞い上がる》
「うわっ!うひゃうひゃ、、ハッハッハ」
《大河が盾を構えて前へ出る》
「先生達は小虎君と安全な所に居て」
「敵は空から来るんだ、どこに居ても安全ではなかろう」
「なら僕が守る」
《大河は優里香先生、沙羅先生、小虎を背に庇うように盾を構える》
「大河君、気をつけて」
《大河は頷く》
来る!
《怪鳥は大きく羽ばたいて突風を起こす》
「くそう!うひゃひゃひゃひゃひゃ、攻撃がうひゃひゃひゃひゃひゃ届かねえ」
《司が怪鳥の足に矢を射掛ける。矢が当たって怪鳥は落下する》
「ギャーギャー」
「怒ってるみたいだけど」
《そう言うと大河は盾を構え直す》
「だりぃからとっとと倒す」
「おおっ、俺の剣がうひゃひゃひゃひゃひゃ、赤く光ってるぜ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
本当だ。
翔の剣についている赤い宝石が輝いてる。
「ファイアーソード!うひゃひゃひゃひゃひゃ、丸焼きにして食ってやる!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「翔の奴、まだ食べる事を言ってるのか」
「まあ、笑いの木の実よりマシだろ」
「司も食べる気?」
「大河は食わないのか?」
「食べる」
「全くお前達は。戦闘中だ、油断するな」
《怪鳥が突進して来る。大河は盾で止める》
「くっ」
「今日の晩飯。うひゃひゃひゃひゃひゃ、ファイアーソード!」
「俺も行く!ファイアーアロー」
司も炎のスキルを覚えた。
「イヤミもファイアーボール叩き込んでやれよ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「言われなくてもやってやる。ファイアーボール!」
「だりぃから一斉に行くぞ」
「おっしゃ!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「スキル回復した。行くぞお前達」
「イヤミ仕切んなよ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「誰かが仕切らねば埒が明かんだろう」
「だりぃ、仕切らせてやれよ」
「まあ、良いけどよ。うひゃひゃひゃひゃひゃ、いつもの事だしな」
「ならば行くぞ!」
「おう!」
「ファイアーボール!」
「ファイアーアロー!」
「ファイアーソード!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
《ドスーーン!》
「やったぞ」
「あらあ、良い具合に焦げてるわねー」
「沙羅先生、ジェムを回収しました」
「偉ーい。さすがイヤミ」
「ここのモンスターからもジェムが出るんだね」
「これは中々旨えぞ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
もう食べてるし。
「翔君。煎じ薬が出来たわよ」
「んなの後後、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「笑いながら食べるより良いでしょう?はい、あーん」
「うわっ、苦げぇ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「連兄ちゃんも食べなよ」
「うん?(イヤミと言わなかったか)どれ?」
連君文句を言わずに食べたぞ。
「ほう、これは中々の美味」
「怪鳥も鳥だもんねー。普通に鶏肉の味だわー」
「でも、僕達の世界の鶏肉より美味しい気がする」
「野生だからな、ブロイラーとは違うだろう」
「自然の中で放し飼いのとか美味しいよね」
「ああ、だが、こっちの方がもっと美味だ」
「薬物や添加物は無いものね」
「ジビエだね、美味しい」
「大河君腕…診せて」
「え?ああ、大した事無いから」
「ダメよ、ちゃんと処置しておかないと」
《優里香先生は大河の袖をまくる》
「ほら、やっぱり」
《手当てを始める》
「(この子、私達を守ろうと、いつも無茶をするのだわ)」
「痛っ」
「ほら、ご覧なさい。あ、じっとして」
「エルフの村の人達大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、魔族なんかに負けたりしないもん」
「そうだな、エルフは弓の名手だ」
「うん、だから負けないもん」
なんだか、小虎君連君に懐いてるね。
「さあ、食べ終わったのなら先を急ごう」
「暗くなるのが怖いんだろイヤミ」
「うるさいぞ翔」
「あれ?翔笑わない」
「あ、本当だ、助かったぜ」
「毒消し草が効いたのね、良かったわ」
「すんげー苦かったけどな」
「これに懲りて、もう何でも口に入れるのはよせ」
それは食いしん坊の翔には無理そうだね。
「だってよう、ここにコンビニねえし」
「当たり前だ、森の中なのだからな」
「コンビニって?」
「こっちの世界には無いの?」
「小虎の好きな猫缶とか売ってるとこだ」
「無いよ。有れば良いのになぁ」
小虎君猫缶大好きだもんね。
「そんな事より、エルフの村はまだなのか?」
「そこが入り口だよ」
「え?どこ?」
「ほら、そこから入るんだよ」
【エルフの村】
小虎君について行くと、そこは村の中だった。
「あれ?森の中じゃ村なんて見えなかったのにー、不思議ー」
「魔族に襲われた様子は無いようだな」
「良かったね」
「うん」
「獣人族の長老さんは、どちらにいらっしゃるのかしら?」
「こういう時は、エルフの長老の家だろ」
「さすがゲーム好きの司ー。行ってみよー」
「こっちだよ」
【エルフの長老の家】
「誰も居ないようだな」
「そう言えば、ここに来るまでも誰とも会わなかったよね」
「皆んなどこ行っちゃったのかな?」
《不安そうな顔をする小虎》
「村の中をもっと探してみましょう」
【村の中】
《人の気配を探して歩く》
「あそこから明かりが漏れてるよ。誰か居るんじゃない?」
「でっかい建物だな、何だありゃ?」
「あそこは、皆んなが集まってお仕事する所だよ」
【でっかい建物の中】
「皆んな居た!」
「坊主、無事だったか」
「長老!」
《小虎は獣人族の長老に駆け寄って飛び付く》
「坊主じゃないよ。小虎って名前になったんだ。あのおば、じゃない、お姉さんかつけてくれたんだよ」
「おうそうか、そうか。中々良い名前じゃのぅ」
何の作業をしてるんだろう?
皆んなで何かを縫っているみたいだけど…
「これかい?新しい戦闘服を作ってるんだよ」
「戦闘服?」
「ああ、そうさ。今のよりもっと動きやすいのをね」
「意外とカッコいいじゃん。なあ司」
「おう、動きやすそうだ」
「あんたも弓を使うのかい?」
「ああ、使う」
「だったら、あたし達の戦闘服を参考にすると良いよ」
「俺達に戦闘服なんてねえよ。司は弓だけどよ、俺は大剣だしな」
「司君、エルフさん達の戦闘服を、キラキラした目で見てるわね」
「あの子達も戦闘服欲しいのかねー?」
「普段は制服のまま戦っているものね」
「まあさ、私服の時も有るけどー」
【エルフの長老の家】
《エルフの長老と獣人族の長老が居る。何故か小虎は大河と手を繋いでいる》
「ここに居れば安心じゃよ。この村の入り口は森の中からだとわかりづらくなっておるからな」
「坊主どうした?こっちへ来んか」
《小虎は俯いて動かない》
「小虎君」
《小虎はそっと大河の手を放して獣人族の長老の所へ行く》
「坊主寂しいのか?」
「坊主じゃなくて、小虎」
「そうじゃった、そうじゃった」
「大河兄ちゃん達帰っちゃうんだね」
「もう勝手に人間の世界に行ってはいかんぞ」
「……うん」
「あれを」
《エルフの長老がそう言うと、エルフの女性が何か包を持って来る》
「どうぞお持ちください」
「頂いて宜しいのですか?」
「あの子達のも作ってあげたかったんだけどね、弓を使う子はあの子だけだって言うから…これは生地だよ。何かに使ってくださいな」
「ありがとうございます」
【長老の家の前】
《大輝達が家から出て来る》
「さあ、帰りましょう。貴方達は特別だけれど、いつまでも学校をお休みするわけにはいかないわ」
「ちぇ、帰ったら授業かよ」
「こっちは面白かったな」
翔と司はこっちの世界が好きみたいだね。
僕も楽しかったけど。
「大河兄ちゃん!兄ちゃん達!」
小虎君だ。
「お姉ちゃん達、ありがとう。またね」
「うん、またね」
「こら、大河「また」なんて言って良いのか?子供に嘘はいかんぞ」
「良いじゃねえかよイヤミ」
「いつかまた会えるよね」
「うん、いつかね」
《大河がそう言うと不安そうな小虎の顔が段々と笑顔になった》
まさか魔族?
「皆んな急ごう」
僕達は森の奥へと急いだ。
しばらく行くと炎が見えて来た。
「エルフさん達大丈夫かしら?」
「村は、もっと奥だよ」
「もしかして、これじゃ避難しようにも出来ないんじゃなーい?」
「とにかく火を消さないと、これじゃあ森が丸焼けになっちゃうよ」
小虎君はそう言うけど、近くに川も無いし、どうしたら良いんだ?
「大河のスキルで火を消せんか?」
「あれは、水の壁を作るだけだから…」
「あれってよう、湖の上だったよな?水の無い所で出来んのか?」
「イヤミのファイアーボールだって、火の無い所で出来んじゃん」
「あ、そうか」
「スキルとはそういう物だ」
「連君はウィザードなんだから、水の攻撃スキルが使えれば良いのに。そしたら僕の水の盾みたいにその場に壁を作るのと違って敵に投げるんだから何とかならないかな?」
「いや…まだ水のスキルは覚えて無い」
「連ちゃーん、杖が光ってるよー」
「え?あ、本当だ。覚えるなら水のスキルだ。良いな」
《連は杖に向かってそう言った》
連君の杖が青く光ってる。
杖に付いた宝石が輝いているんだ。
《連は杖を構えた》
「良し、行くぞ!ビッグウェーブ!」
《ザブーンと大波が炎を呑み込む》
「おおっ、すげー!」
「アローレイン!」
「何だよ、司もスキル覚えやがった」
「何?」
《連は横目で司をチラッと見る。涼しい顔の司》
「待ち時間か、早く回復しろ…良し、ビッグウェーブ!」
「だりぃ、アローレイン!」
《そして…》
2人の水系スキルの応酬で何とか火を消し止めたぞ。
「ふう、ちと疲れたな」
「だいぶ消耗してるわね、少し休みましょう」
「俺は腹減ったぞ」
《そう言うと翔は木の実を取って口に入れる》
「あー、それ食べちゃダメ」
「何だ?小虎。禁断の樹の実か?」
「きんだん?」
「イヤミ。子供相手に小難しい事言うなよ」
「禁断とはな、禁じられた行為の事だ」
「違うよ、それ食べると笑いが止まらなくなっちゃうんだ」
「笑いの木の実ー?普通笑い茸とかなら聞くけどさー」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ、そうだよ、まさか木の実で笑いが止まらねえなんてよう、あーっハッハッハ」
「どうやら本当のようだな」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ、何とかしてくれー」
「お前は赤子のように何でも口に入れるからそんな事になる」
「イヤミー、うひゃひゃひゃひゃひゃ、イヤミ言ってねえでうひゃひゃひゃひゃひゃ、助けてくれよ」
「解毒剤は無いのか?」
「解毒作用の有る薬草とかって、普通ゲームなら出て来るよな?」
「司はまたゲームの話しか」
「あっちに生えてるよ」
「あっちって、うひゃひゃひゃひゃひゃ、遠いのか?」
「すぐそこ」
「今度こそ本当にすぐそこなのだろうな」
「何でも良いから、うひゃひゃひゃひゃひゃ、早く取って来てくれよ。うひゃひゃひゃひゃひゃ、笑い死にすんぞ」
「こっちこっち!」
小虎君について少し先に行くと、泉が有った。
泉の周りに色々な植物が生えてるけど…
「これが毒消し草だよ」
「これを摘んで煎じれば良いのかしら?」
「うん。とーっても苦いんだよ」
「苦げーのかよ?うひゃひゃひゃひゃひゃ、はーっはっはっは」
《小虎と優里香先生は毒消し草を摘む。何かが覆い被さったように急に空が暗くなる。羽ばたく音》
「気をつけろ、モンスターだ」
「あれは怪鳥だね」
「美味そうだな、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「笑いながらでも食う事言うか」
「全くお前達は」
「って、煎じ薬飲むより戦うのが先みたいねー」
《4人はカプセルから武具を取り出す。怪鳥は上空を旋回して様子を窺っている》
「野郎、うひゃひゃひゃひゃひゃ、降りて来やがれ!」
《怪鳥は上空から大河達の頭を掠めてまた舞い上がる》
「うわっ!うひゃうひゃ、、ハッハッハ」
《大河が盾を構えて前へ出る》
「先生達は小虎君と安全な所に居て」
「敵は空から来るんだ、どこに居ても安全ではなかろう」
「なら僕が守る」
《大河は優里香先生、沙羅先生、小虎を背に庇うように盾を構える》
「大河君、気をつけて」
《大河は頷く》
来る!
《怪鳥は大きく羽ばたいて突風を起こす》
「くそう!うひゃひゃひゃひゃひゃ、攻撃がうひゃひゃひゃひゃひゃ届かねえ」
《司が怪鳥の足に矢を射掛ける。矢が当たって怪鳥は落下する》
「ギャーギャー」
「怒ってるみたいだけど」
《そう言うと大河は盾を構え直す》
「だりぃからとっとと倒す」
「おおっ、俺の剣がうひゃひゃひゃひゃひゃ、赤く光ってるぜ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
本当だ。
翔の剣についている赤い宝石が輝いてる。
「ファイアーソード!うひゃひゃひゃひゃひゃ、丸焼きにして食ってやる!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「翔の奴、まだ食べる事を言ってるのか」
「まあ、笑いの木の実よりマシだろ」
「司も食べる気?」
「大河は食わないのか?」
「食べる」
「全くお前達は。戦闘中だ、油断するな」
《怪鳥が突進して来る。大河は盾で止める》
「くっ」
「今日の晩飯。うひゃひゃひゃひゃひゃ、ファイアーソード!」
「俺も行く!ファイアーアロー」
司も炎のスキルを覚えた。
「イヤミもファイアーボール叩き込んでやれよ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「言われなくてもやってやる。ファイアーボール!」
「だりぃから一斉に行くぞ」
「おっしゃ!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「スキル回復した。行くぞお前達」
「イヤミ仕切んなよ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「誰かが仕切らねば埒が明かんだろう」
「だりぃ、仕切らせてやれよ」
「まあ、良いけどよ。うひゃひゃひゃひゃひゃ、いつもの事だしな」
「ならば行くぞ!」
「おう!」
「ファイアーボール!」
「ファイアーアロー!」
「ファイアーソード!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
《ドスーーン!》
「やったぞ」
「あらあ、良い具合に焦げてるわねー」
「沙羅先生、ジェムを回収しました」
「偉ーい。さすがイヤミ」
「ここのモンスターからもジェムが出るんだね」
「これは中々旨えぞ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
もう食べてるし。
「翔君。煎じ薬が出来たわよ」
「んなの後後、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「笑いながら食べるより良いでしょう?はい、あーん」
「うわっ、苦げぇ、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「連兄ちゃんも食べなよ」
「うん?(イヤミと言わなかったか)どれ?」
連君文句を言わずに食べたぞ。
「ほう、これは中々の美味」
「怪鳥も鳥だもんねー。普通に鶏肉の味だわー」
「でも、僕達の世界の鶏肉より美味しい気がする」
「野生だからな、ブロイラーとは違うだろう」
「自然の中で放し飼いのとか美味しいよね」
「ああ、だが、こっちの方がもっと美味だ」
「薬物や添加物は無いものね」
「ジビエだね、美味しい」
「大河君腕…診せて」
「え?ああ、大した事無いから」
「ダメよ、ちゃんと処置しておかないと」
《優里香先生は大河の袖をまくる》
「ほら、やっぱり」
《手当てを始める》
「(この子、私達を守ろうと、いつも無茶をするのだわ)」
「痛っ」
「ほら、ご覧なさい。あ、じっとして」
「エルフの村の人達大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、魔族なんかに負けたりしないもん」
「そうだな、エルフは弓の名手だ」
「うん、だから負けないもん」
なんだか、小虎君連君に懐いてるね。
「さあ、食べ終わったのなら先を急ごう」
「暗くなるのが怖いんだろイヤミ」
「うるさいぞ翔」
「あれ?翔笑わない」
「あ、本当だ、助かったぜ」
「毒消し草が効いたのね、良かったわ」
「すんげー苦かったけどな」
「これに懲りて、もう何でも口に入れるのはよせ」
それは食いしん坊の翔には無理そうだね。
「だってよう、ここにコンビニねえし」
「当たり前だ、森の中なのだからな」
「コンビニって?」
「こっちの世界には無いの?」
「小虎の好きな猫缶とか売ってるとこだ」
「無いよ。有れば良いのになぁ」
小虎君猫缶大好きだもんね。
「そんな事より、エルフの村はまだなのか?」
「そこが入り口だよ」
「え?どこ?」
「ほら、そこから入るんだよ」
【エルフの村】
小虎君について行くと、そこは村の中だった。
「あれ?森の中じゃ村なんて見えなかったのにー、不思議ー」
「魔族に襲われた様子は無いようだな」
「良かったね」
「うん」
「獣人族の長老さんは、どちらにいらっしゃるのかしら?」
「こういう時は、エルフの長老の家だろ」
「さすがゲーム好きの司ー。行ってみよー」
「こっちだよ」
【エルフの長老の家】
「誰も居ないようだな」
「そう言えば、ここに来るまでも誰とも会わなかったよね」
「皆んなどこ行っちゃったのかな?」
《不安そうな顔をする小虎》
「村の中をもっと探してみましょう」
【村の中】
《人の気配を探して歩く》
「あそこから明かりが漏れてるよ。誰か居るんじゃない?」
「でっかい建物だな、何だありゃ?」
「あそこは、皆んなが集まってお仕事する所だよ」
【でっかい建物の中】
「皆んな居た!」
「坊主、無事だったか」
「長老!」
《小虎は獣人族の長老に駆け寄って飛び付く》
「坊主じゃないよ。小虎って名前になったんだ。あのおば、じゃない、お姉さんかつけてくれたんだよ」
「おうそうか、そうか。中々良い名前じゃのぅ」
何の作業をしてるんだろう?
皆んなで何かを縫っているみたいだけど…
「これかい?新しい戦闘服を作ってるんだよ」
「戦闘服?」
「ああ、そうさ。今のよりもっと動きやすいのをね」
「意外とカッコいいじゃん。なあ司」
「おう、動きやすそうだ」
「あんたも弓を使うのかい?」
「ああ、使う」
「だったら、あたし達の戦闘服を参考にすると良いよ」
「俺達に戦闘服なんてねえよ。司は弓だけどよ、俺は大剣だしな」
「司君、エルフさん達の戦闘服を、キラキラした目で見てるわね」
「あの子達も戦闘服欲しいのかねー?」
「普段は制服のまま戦っているものね」
「まあさ、私服の時も有るけどー」
【エルフの長老の家】
《エルフの長老と獣人族の長老が居る。何故か小虎は大河と手を繋いでいる》
「ここに居れば安心じゃよ。この村の入り口は森の中からだとわかりづらくなっておるからな」
「坊主どうした?こっちへ来んか」
《小虎は俯いて動かない》
「小虎君」
《小虎はそっと大河の手を放して獣人族の長老の所へ行く》
「坊主寂しいのか?」
「坊主じゃなくて、小虎」
「そうじゃった、そうじゃった」
「大河兄ちゃん達帰っちゃうんだね」
「もう勝手に人間の世界に行ってはいかんぞ」
「……うん」
「あれを」
《エルフの長老がそう言うと、エルフの女性が何か包を持って来る》
「どうぞお持ちください」
「頂いて宜しいのですか?」
「あの子達のも作ってあげたかったんだけどね、弓を使う子はあの子だけだって言うから…これは生地だよ。何かに使ってくださいな」
「ありがとうございます」
【長老の家の前】
《大輝達が家から出て来る》
「さあ、帰りましょう。貴方達は特別だけれど、いつまでも学校をお休みするわけにはいかないわ」
「ちぇ、帰ったら授業かよ」
「こっちは面白かったな」
翔と司はこっちの世界が好きみたいだね。
僕も楽しかったけど。
「大河兄ちゃん!兄ちゃん達!」
小虎君だ。
「お姉ちゃん達、ありがとう。またね」
「うん、またね」
「こら、大河「また」なんて言って良いのか?子供に嘘はいかんぞ」
「良いじゃねえかよイヤミ」
「いつかまた会えるよね」
「うん、いつかね」
《大河がそう言うと不安そうな小虎の顔が段々と笑顔になった》
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アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
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以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
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