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最終章 因縁の戦い
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【フランツの丘千代子婆ちゃんの猫茶屋】
「猫まんま。これちょっと食べてみとくれ」
「お婆ちゃんこんにちは」
「おや、満。あんたも一つどうだい?」
「わあ、美味しそう。ありがとう、頂きます」
「猫まんま。こっちとどっちが美味しいね?」
「つぶつぶのも美味いけど、ツルツルのも美味いニャ」
「そうかい、そうかい。そりゃ良かったよ」
「この葉っぱは食べて良いにょかニャ?」
「それは香りを楽しむのよ」
「まあ、食べる人も食べない人も居るわな」
「私はそろそろ行くわね。早く戻らないと、ケガ人がひっきりなしに運ばれて来るの」
「フランツの町はどうなってるんだい?」
「騎士さん達が門を破って中に入れたみたい。上手く逃げ出せた人はお城で匿ってるわ」
「ここだって、いつどうなるかわかりゃしないね。あんたも気をつけるんだよ」
【餡先生の療養所】
〈満が戻って来る〉
「なあ、光、杵さんとこ行こうぜ。武器を鍛えておかねえとよ、ここだっていつあいつらが攻めて来るかわかんねえだろ?」
「そうだな。参るか」
〈療養所を出る2人を心配そうに見送る満〉
【杵さんの店】
〈中に入ると臼さんが金物屋の店番をしている〉
「いらっしゃい」
「杵さん居るかい?」
「奥に居るよ」
【店の奥の杵さんの仕事場】
「ふう、近頃は騎士達の武具の注文ばかりで大忙しだ」
「忙しついでに、俺達の剣も鍛えてくれよ」
「だから、忙しいって言ってんだろ」
「騎士達は皆んなフランツの町に行っちまってる。この丘を守れるのは俺達ぐらいだぜ」
「そうか、しょうがねえな。剣を出しな」
「水の魔法石を手に入れたんだ。付けてくれや」
「ああ、良いともよ。だけど、光の剣には魔法石は付かねえな」
「やっぱりか(まあよ、光は魔法石なんざ無くたって平気さ)」
「こりゃ本もんの水の魔法石だな。いったいどうやって手に入れたんだい?」
「猫魔に貰ったんだよ。青いドラゴンを倒した時見つけたらしいぜ」
【餡先生の療養所】
〈騎士達の治療をする餡先生と満〉
「もう、お兄ちゃんたら。こんなに忙しいのに早く帰って来てよ」
「フランツの町はどうなってるの?」
「ああ、まだザッハトルテ軍と睨み合いだ。だが俺達は負けないよ先生。隊長は先生との約束を守る為に頑張ってる。俺達だって待ってる人が居るからな」
「そうね。町の人を連れ出せたら必ずここへ連れて来てくださいね。心身ともに疲れ切っているでしょうから」
【天上界女神の泉】
〈水面にフランツの町の様子が映し出されている〉
「ザッハトルテ公爵め、いい加減にしやがれ。ヴェネツィーの騎士隊が田舎の軍隊に負けるかよ!」
〈光の天使が来る〉
「よう、爺さんはまだ起きねえのか?」
「起きるどころか、深い深い眠りの中よ」
「恐らく、負のエネルギーのせいでしょう。わたくしも具合が悪くなりそうです」
【魔界】
〈谷底から目が光っている。負のエネルギーが谷底に集まっている。黒い霊体が煙のように登って来る。霊体の目が赤く光る。その煙が蛇の様な龍の姿になる〉
「うるさい奴だ。待っていろ」
【ザッハトルテ公爵の屋敷】
〈祈祷師が呪詛をしている〉
「そうだ、呪いをかけて負のエネルギーを集めるのだ」
「はい、大魔道士様」
〈一つの体一つの顔。その顔が代わる代わる祈祷師と大魔道士の顔になって会話する〉
「蘇れ闇の龍よ」
〈黒い霊体が現れる。黒い霊体は蛇の様な龍の姿になる〉
「おお!遂に、遂に復活したか!」
「俺を呼んだのはお前だな。再び俺を呼びどうしようと言うのだ」
「決まっていよう。今度こそこの世界を征服する」
「その為にはどんな犠牲も厭わぬな」
「無論」
「望み通りにしてやろう」
〈そう言うと闇の龍は祈祷師の生気を吸い取る。祈祷師はバタッと倒れ死ぬ。その体から黒い霊体が出る。大魔道士の霊である。その霊体は人の姿になる〉
「久しぶりだな、大魔道士よ。ほう、そこに有るのが俺の新しい肉体か」
「ああ、そうだとも。お前の為に用意したのだ、有難く思え。闇の龍よ、お前が復活したら話して聞かせたい事が山と有った」
「そうか。だが、その必要は無い」
「何?うぐっ…」
「お前は俺の一部になるのだからな」
〈闇の龍は大魔道士の霊体を飲み込んだ〉
【天上界女神の泉】
「まあ大変、あの者が復活したようです」
「女神さん?何でわかるんだ?」
「感じるのです」
「女神様、私人間界に行って参ります」
「そうしてください」
「お前が行ってどうなるんだよ?」
「光の神様を手伝うの。あの時と同じようにはさせない、絶対!」
〈そう言うと光の天使は飛んで行く〉
【フランツの丘千代子婆ちゃんの猫茶屋】
「よう、猫魔。良くも飽きずに婆ちゃんの菓子食ってるな」
「くりきんとんも食べるニャ」
「俺は良いや。今は甘いもん食いたい気分じゃねえからな」
「じゃあ、神様が食べるニャ」
「神様だ?」
「ひ、光ニャ」
「頂こう」
〈猫魔が立ち上がる〉
「どうした?猫魔」
「奴が来るニャ」
「奴だぁ?」
〈光の神が立ち上がり空を見上げる〉
「何だよ、二人して…?」
「この気配はあいつニャ」
「闇の龍」
〈光の神の腰の剣が紫色の光に包まれる〉
「(来たか)」
「(間に合ったわね)」
〈テレパシーのように心の中で会話する光の神と光の天使〉
「(もうわかってるでしょう。アレが復活したの)」
「(ああ)」
「(今度はあの時みたいに情けをかけたりしないでよ)」
「(わかっている)」
「来る」
「来るニャ」
「団は危ないからどこかへ」
「ふざけんなよ!俺だって!俺にだって出来る事が有るだろ?お前と一緒に戦う」
「だが、これまでの相手とは違う」
「わかってらい!お前達見てりゃそれぐらい俺にだってわかる。一人でかっこつけんなや!死ぬ時は一緒だろ?!」
「(言っても無駄なようだ。それだけの覚悟が有るのなら共に戦わん。死ぬで無いぞ団殿)」
〈北の空から黒い物が覆いかぶさるように流れて来る〉
「くりきんとん!婆ちゃんを頼むニャ!」
「任せとけ!」
【天上界女神の泉】
「来やがった。どうすんだよ?どうにかならねえのかよ?女神さんよう。爺さんが寝てやがったって、あんただって神様なんだから何とかなんねえのか?」
「わたくしにはどうする事も…」
「そんな、そんな事いうなよ。助けてやってくれよ」
「光の神に頑張って貰いましょう」
「あいつかよ、頼りねえな。おーい、そっちの俺!しっかりしやがれ!お前にかかってるんだぞ!」
【フランツの丘】
〈闇の龍が姿を表す〉
「待たせたな、猫魔。借りを返しに来たぞ」
「何度来たって同じニャ。お前はまた魔界で眠るのニャ」
「魔界の奥の深い深い谷底で、あの暗闇の中でこの日が来るのをどれ程待った事か」
「来い!闇の龍(皆んな皆んな俺が守る。必ず守ってみせるニャ)」
【天上界女神の泉】
「始まったぞ。そいつは今迄の奴とは違う。すんげえ強えーんだ。だけど猫魔、負けんなよ。絶てえ、絶ーってえ負けんなよ」
〈水面に闇の龍と戦う猫魔の姿が映し出されている。ピョンピョンと飛び回って攻撃をよける猫魔〉
「うああっ!巻き付きやがった!猫魔ーーー!!!」
【フランツの丘】
「うぐっ」
「くそう!猫魔を離しやがれ!!えーーーい!!!」
〈栗金団は剣を振り下ろし切っ先から水の魔法を繰り出す〉
「はぁはぁはぁ、くそう、これぐらいじゃびくともしねえ」
「雷(いかずち)よ」
〈光の神は闇の龍に雷を浴びせる〉
「おおっ、水に濡れた体に雷が効いたみてえだな」
〈しかし猫魔は闇の龍に巻き付かれたままである。調子に乗って攻撃を仕掛ける栗金団に闇の龍の攻撃〉
「うるさいハエめ」
「ぐはっ」
「栗金団が吹っ飛ぶ」
「栗金団、栗金団!許さない、もう許さない。たとえ天の神様が許してもお前だけはこの俺が許さないぞ!ぐああああっ!!!」
【天上界女神の泉】
〈水面に猫魔達の姿が映し出されている〉
「よっしゃ!猫魔が変身したぞ」
〈猫魔は締め付ける闇の龍の体を振りほどく〉
「必殺桜餅ーーー!!!」
〈桜餅が舞う〉
「やったか?効いてねえのか?猫魔の必殺技だ、少しぐらい効いてんだろ?」
【フランツの丘】
「猫魔、俺は大丈夫だ、心配いらねえ。痛ててて…しっかし、猫魔の必殺技受けてもくたばりやがらねえか」
「猫魔ちゃーん。桜餅さっき二種類食べたでしょーう?」
「満、いつの間に?」
〈満が走って来る〉
「来るな!危ないから療養所に戻るのだ」
「嫌、お兄ちゃんや猫魔ちゃんが戦ってるのに」
「満ちゃん俺俺、俺も居るぜ」
「猫魔ちゃん。桜餅は二種類よー!」
「聞いてねえし」
「必殺、道明寺ーーー!!!」
「ぐはっ」
「今のはちょっと効いたみてえだな」
「だがまだだ。油断するな」
「猫魔ちゃーん、もう一つよー!」
「必殺長命寺ーーー!!!」
「ぐああああっ!!!」
〈ドスーン!!!と大きな音をたてて闇の龍が倒れる〉
「やったぞ!」
「猫魔ちゃんがまだ変身したまま…猫魔ちゃーん。もう良いの、もう良いのよー!」
【天上界女神の泉】
「満の奴…」
〈その時水面に微かに動く闇の龍の姿が映し出された〉
「己…あの…小娘…」
「うおっ!動きやがった。まだ生きてやがる。危ねえぞ!」
「こうしてくれる」
〈闇の龍は蛇のような赤く長い舌を伸ばして満を叩きつける〉
「キャー」
「満?満ーーー!!!」
【フランツの丘】
〈満を膝に抱く光の神〉
「満、満」
「お兄…ちゃん…」
「誰か!誰か餡先生を!」
「やめ…て」
「しっかりするのだ」
「こんな…危険な…所に…餡…先生を…呼ば…ないで」
「喋るな」
「餡先生は…怪我をした…騎士さんや…フランツの…人達を…」
「喋るな!」
「だから…こんな危険な…場所に…餡先生…は…来ない…で…ほしい…の…」
「何ですって?私はヒーラーよ。怪我人がいればどこへだって行くわ」
「餡先生、満が、満が」
「診せて」
〈満の胸に手を当ててヒーリングする餡先生。餡先生のエネルギーが消耗する〉
「(これは…もう…もう私には…)」
「泣かないで…お兄…ちゃん」
「ごめんなさい…私の力不足…」
「満?満、満ーーーっ!!!」
〈光の神の身体が金色の光に包まれる。紫月光の身体から光の神の霊体が抜け出る〉
「何だ?どうなっちまったんだ?」
「これが本当の光の神様の姿なのね」
【古城のバルコニー】
「今の光、あの物凄まじい光、あれは…(あの方が…そばに居たい。何もして差し上げられないけれど、そばに…)」
【フランツの丘】
〈紫月光は満の横に横たわっている。二人の亡骸を見る光の神。そして…〉
「あの時、お前に改心する猶予を与えようなどと考えた私が間違っていた。お前は私の魂の一部。父上が私を作った時、必要の無い部分を取り去った物」
「そうとも、同じ父に作られた一つの魂なのだ。それを!闇の部分はいらぬと、切って捨てられた。この屈辱がお前にわかるか?」
「お前は私の心の闇。お前と一緒に居たならば私は光の神では居られぬ」
「そうとも、わかっている。俺ももう疲れた。早く楽に、楽になりたい。お前の手で楽にしてくれ」
〈その時光の神の腰の剣から光の天使が語りかける〉
「騙されないで光の神。今アレが可哀想だと思ったでしょう?ダメよ。それがアイツの手なんだから(貴方は優し過ぎるの、でも、それが命取りになる時も有るのよ)」
〈光の神は目を伏せている〉
「満ちゃんは死んだのよ、そいつが殺したの」
「神様って何だよ?満も光も死んじまったじゃねえか!」
「満…すまぬ…」
「何なんだよ!おい!」
「団君」
〈光の神に掴みかかろうとする栗金団を餡先生が止める。そこへ闇の龍が光の神に蛇のような体を巻き付ける〉
「甘いな、甘い甘い、甘いわ!」
「神様!神様を離せ!」
〈猫魔が突っ込んで行く〉
「猫魔!!」
〈光の神の体が金色の光に包まれる〉
「うおおおおぉ!眩しい眩しいぞ!」
「猫魔今だ!やっちまえ!」
「必殺道明寺!!長命寺!!」
「ぐああああーーーっ!!!」
「光の神様、今度こそ完全に消滅させるのよ!」
「ゆくぞ光の天使!」
「はい!」
「でーーーぃ!!!」
〈光の神が剣を振り下ろす。緑色の風が竜巻を起こし闇の龍を飲み込んで行く〉
「猫魔!」
「花の舞い桜餅ーーー!!!」
「ぐあっ!ぐああああーーーっ!!!」
「やったぞ!」
【古城】
「姫様!いえ、女王陛下!猫魔様がやりましたぞ!」
「騎士達もです!フランツの町が解放されました!ザッハトルテ軍が引き上げて行きました!」
「そうですか(あの方はどうしていらっしゃるかしら?きっと…天に戻られるのだわ…)」
【墓地】
〈紫月光と紫月満が同じ墓の中に埋葬された〉
「くそ!あの野郎。光の神!帰っちまいやがった。猫魔も一緒に。寂しいじゃねえかよ!」
「団君。詳しい話しを聞かせてあげるわ。今晩は夜通し飲み明かしましょう」
「ああ、いつまでもメソメソしてたってあいつらは喜ばねえもんな」
【天上界女神の泉】
「お兄ちゃーん」
「満!」
「こっちが本物のお兄ちゃんね」
「ああ、正真正銘本物の紫月光だ」
「光の神様も優しくて良かったけど」
「おい!」
「フフフ」
「満、兄ちゃんに会えたニャ。これで良かったみたいにゃニャ」
「猫魔ちゃんはこれからどうするの?」
「俺は普通の猫に生まれてみたいのニャ。だから、神様にお願いしてみるニャ」
ーLa finー
「猫まんま。これちょっと食べてみとくれ」
「お婆ちゃんこんにちは」
「おや、満。あんたも一つどうだい?」
「わあ、美味しそう。ありがとう、頂きます」
「猫まんま。こっちとどっちが美味しいね?」
「つぶつぶのも美味いけど、ツルツルのも美味いニャ」
「そうかい、そうかい。そりゃ良かったよ」
「この葉っぱは食べて良いにょかニャ?」
「それは香りを楽しむのよ」
「まあ、食べる人も食べない人も居るわな」
「私はそろそろ行くわね。早く戻らないと、ケガ人がひっきりなしに運ばれて来るの」
「フランツの町はどうなってるんだい?」
「騎士さん達が門を破って中に入れたみたい。上手く逃げ出せた人はお城で匿ってるわ」
「ここだって、いつどうなるかわかりゃしないね。あんたも気をつけるんだよ」
【餡先生の療養所】
〈満が戻って来る〉
「なあ、光、杵さんとこ行こうぜ。武器を鍛えておかねえとよ、ここだっていつあいつらが攻めて来るかわかんねえだろ?」
「そうだな。参るか」
〈療養所を出る2人を心配そうに見送る満〉
【杵さんの店】
〈中に入ると臼さんが金物屋の店番をしている〉
「いらっしゃい」
「杵さん居るかい?」
「奥に居るよ」
【店の奥の杵さんの仕事場】
「ふう、近頃は騎士達の武具の注文ばかりで大忙しだ」
「忙しついでに、俺達の剣も鍛えてくれよ」
「だから、忙しいって言ってんだろ」
「騎士達は皆んなフランツの町に行っちまってる。この丘を守れるのは俺達ぐらいだぜ」
「そうか、しょうがねえな。剣を出しな」
「水の魔法石を手に入れたんだ。付けてくれや」
「ああ、良いともよ。だけど、光の剣には魔法石は付かねえな」
「やっぱりか(まあよ、光は魔法石なんざ無くたって平気さ)」
「こりゃ本もんの水の魔法石だな。いったいどうやって手に入れたんだい?」
「猫魔に貰ったんだよ。青いドラゴンを倒した時見つけたらしいぜ」
【餡先生の療養所】
〈騎士達の治療をする餡先生と満〉
「もう、お兄ちゃんたら。こんなに忙しいのに早く帰って来てよ」
「フランツの町はどうなってるの?」
「ああ、まだザッハトルテ軍と睨み合いだ。だが俺達は負けないよ先生。隊長は先生との約束を守る為に頑張ってる。俺達だって待ってる人が居るからな」
「そうね。町の人を連れ出せたら必ずここへ連れて来てくださいね。心身ともに疲れ切っているでしょうから」
【天上界女神の泉】
〈水面にフランツの町の様子が映し出されている〉
「ザッハトルテ公爵め、いい加減にしやがれ。ヴェネツィーの騎士隊が田舎の軍隊に負けるかよ!」
〈光の天使が来る〉
「よう、爺さんはまだ起きねえのか?」
「起きるどころか、深い深い眠りの中よ」
「恐らく、負のエネルギーのせいでしょう。わたくしも具合が悪くなりそうです」
【魔界】
〈谷底から目が光っている。負のエネルギーが谷底に集まっている。黒い霊体が煙のように登って来る。霊体の目が赤く光る。その煙が蛇の様な龍の姿になる〉
「うるさい奴だ。待っていろ」
【ザッハトルテ公爵の屋敷】
〈祈祷師が呪詛をしている〉
「そうだ、呪いをかけて負のエネルギーを集めるのだ」
「はい、大魔道士様」
〈一つの体一つの顔。その顔が代わる代わる祈祷師と大魔道士の顔になって会話する〉
「蘇れ闇の龍よ」
〈黒い霊体が現れる。黒い霊体は蛇の様な龍の姿になる〉
「おお!遂に、遂に復活したか!」
「俺を呼んだのはお前だな。再び俺を呼びどうしようと言うのだ」
「決まっていよう。今度こそこの世界を征服する」
「その為にはどんな犠牲も厭わぬな」
「無論」
「望み通りにしてやろう」
〈そう言うと闇の龍は祈祷師の生気を吸い取る。祈祷師はバタッと倒れ死ぬ。その体から黒い霊体が出る。大魔道士の霊である。その霊体は人の姿になる〉
「久しぶりだな、大魔道士よ。ほう、そこに有るのが俺の新しい肉体か」
「ああ、そうだとも。お前の為に用意したのだ、有難く思え。闇の龍よ、お前が復活したら話して聞かせたい事が山と有った」
「そうか。だが、その必要は無い」
「何?うぐっ…」
「お前は俺の一部になるのだからな」
〈闇の龍は大魔道士の霊体を飲み込んだ〉
【天上界女神の泉】
「まあ大変、あの者が復活したようです」
「女神さん?何でわかるんだ?」
「感じるのです」
「女神様、私人間界に行って参ります」
「そうしてください」
「お前が行ってどうなるんだよ?」
「光の神様を手伝うの。あの時と同じようにはさせない、絶対!」
〈そう言うと光の天使は飛んで行く〉
【フランツの丘千代子婆ちゃんの猫茶屋】
「よう、猫魔。良くも飽きずに婆ちゃんの菓子食ってるな」
「くりきんとんも食べるニャ」
「俺は良いや。今は甘いもん食いたい気分じゃねえからな」
「じゃあ、神様が食べるニャ」
「神様だ?」
「ひ、光ニャ」
「頂こう」
〈猫魔が立ち上がる〉
「どうした?猫魔」
「奴が来るニャ」
「奴だぁ?」
〈光の神が立ち上がり空を見上げる〉
「何だよ、二人して…?」
「この気配はあいつニャ」
「闇の龍」
〈光の神の腰の剣が紫色の光に包まれる〉
「(来たか)」
「(間に合ったわね)」
〈テレパシーのように心の中で会話する光の神と光の天使〉
「(もうわかってるでしょう。アレが復活したの)」
「(ああ)」
「(今度はあの時みたいに情けをかけたりしないでよ)」
「(わかっている)」
「来る」
「来るニャ」
「団は危ないからどこかへ」
「ふざけんなよ!俺だって!俺にだって出来る事が有るだろ?お前と一緒に戦う」
「だが、これまでの相手とは違う」
「わかってらい!お前達見てりゃそれぐらい俺にだってわかる。一人でかっこつけんなや!死ぬ時は一緒だろ?!」
「(言っても無駄なようだ。それだけの覚悟が有るのなら共に戦わん。死ぬで無いぞ団殿)」
〈北の空から黒い物が覆いかぶさるように流れて来る〉
「くりきんとん!婆ちゃんを頼むニャ!」
「任せとけ!」
【天上界女神の泉】
「来やがった。どうすんだよ?どうにかならねえのかよ?女神さんよう。爺さんが寝てやがったって、あんただって神様なんだから何とかなんねえのか?」
「わたくしにはどうする事も…」
「そんな、そんな事いうなよ。助けてやってくれよ」
「光の神に頑張って貰いましょう」
「あいつかよ、頼りねえな。おーい、そっちの俺!しっかりしやがれ!お前にかかってるんだぞ!」
【フランツの丘】
〈闇の龍が姿を表す〉
「待たせたな、猫魔。借りを返しに来たぞ」
「何度来たって同じニャ。お前はまた魔界で眠るのニャ」
「魔界の奥の深い深い谷底で、あの暗闇の中でこの日が来るのをどれ程待った事か」
「来い!闇の龍(皆んな皆んな俺が守る。必ず守ってみせるニャ)」
【天上界女神の泉】
「始まったぞ。そいつは今迄の奴とは違う。すんげえ強えーんだ。だけど猫魔、負けんなよ。絶てえ、絶ーってえ負けんなよ」
〈水面に闇の龍と戦う猫魔の姿が映し出されている。ピョンピョンと飛び回って攻撃をよける猫魔〉
「うああっ!巻き付きやがった!猫魔ーーー!!!」
【フランツの丘】
「うぐっ」
「くそう!猫魔を離しやがれ!!えーーーい!!!」
〈栗金団は剣を振り下ろし切っ先から水の魔法を繰り出す〉
「はぁはぁはぁ、くそう、これぐらいじゃびくともしねえ」
「雷(いかずち)よ」
〈光の神は闇の龍に雷を浴びせる〉
「おおっ、水に濡れた体に雷が効いたみてえだな」
〈しかし猫魔は闇の龍に巻き付かれたままである。調子に乗って攻撃を仕掛ける栗金団に闇の龍の攻撃〉
「うるさいハエめ」
「ぐはっ」
「栗金団が吹っ飛ぶ」
「栗金団、栗金団!許さない、もう許さない。たとえ天の神様が許してもお前だけはこの俺が許さないぞ!ぐああああっ!!!」
【天上界女神の泉】
〈水面に猫魔達の姿が映し出されている〉
「よっしゃ!猫魔が変身したぞ」
〈猫魔は締め付ける闇の龍の体を振りほどく〉
「必殺桜餅ーーー!!!」
〈桜餅が舞う〉
「やったか?効いてねえのか?猫魔の必殺技だ、少しぐらい効いてんだろ?」
【フランツの丘】
「猫魔、俺は大丈夫だ、心配いらねえ。痛ててて…しっかし、猫魔の必殺技受けてもくたばりやがらねえか」
「猫魔ちゃーん。桜餅さっき二種類食べたでしょーう?」
「満、いつの間に?」
〈満が走って来る〉
「来るな!危ないから療養所に戻るのだ」
「嫌、お兄ちゃんや猫魔ちゃんが戦ってるのに」
「満ちゃん俺俺、俺も居るぜ」
「猫魔ちゃん。桜餅は二種類よー!」
「聞いてねえし」
「必殺、道明寺ーーー!!!」
「ぐはっ」
「今のはちょっと効いたみてえだな」
「だがまだだ。油断するな」
「猫魔ちゃーん、もう一つよー!」
「必殺長命寺ーーー!!!」
「ぐああああっ!!!」
〈ドスーン!!!と大きな音をたてて闇の龍が倒れる〉
「やったぞ!」
「猫魔ちゃんがまだ変身したまま…猫魔ちゃーん。もう良いの、もう良いのよー!」
【天上界女神の泉】
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〈その時水面に微かに動く闇の龍の姿が映し出された〉
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「うおっ!動きやがった。まだ生きてやがる。危ねえぞ!」
「こうしてくれる」
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「お兄…ちゃん…」
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「やめ…て」
「しっかりするのだ」
「こんな…危険な…所に…餡…先生を…呼ば…ないで」
「喋るな」
「餡先生は…怪我をした…騎士さんや…フランツの…人達を…」
「喋るな!」
「だから…こんな危険な…場所に…餡先生…は…来ない…で…ほしい…の…」
「何ですって?私はヒーラーよ。怪我人がいればどこへだって行くわ」
「餡先生、満が、満が」
「診せて」
〈満の胸に手を当ててヒーリングする餡先生。餡先生のエネルギーが消耗する〉
「(これは…もう…もう私には…)」
「泣かないで…お兄…ちゃん」
「ごめんなさい…私の力不足…」
「満?満、満ーーーっ!!!」
〈光の神の身体が金色の光に包まれる。紫月光の身体から光の神の霊体が抜け出る〉
「何だ?どうなっちまったんだ?」
「これが本当の光の神様の姿なのね」
【古城のバルコニー】
「今の光、あの物凄まじい光、あれは…(あの方が…そばに居たい。何もして差し上げられないけれど、そばに…)」
【フランツの丘】
〈紫月光は満の横に横たわっている。二人の亡骸を見る光の神。そして…〉
「あの時、お前に改心する猶予を与えようなどと考えた私が間違っていた。お前は私の魂の一部。父上が私を作った時、必要の無い部分を取り去った物」
「そうとも、同じ父に作られた一つの魂なのだ。それを!闇の部分はいらぬと、切って捨てられた。この屈辱がお前にわかるか?」
「お前は私の心の闇。お前と一緒に居たならば私は光の神では居られぬ」
「そうとも、わかっている。俺ももう疲れた。早く楽に、楽になりたい。お前の手で楽にしてくれ」
〈その時光の神の腰の剣から光の天使が語りかける〉
「騙されないで光の神。今アレが可哀想だと思ったでしょう?ダメよ。それがアイツの手なんだから(貴方は優し過ぎるの、でも、それが命取りになる時も有るのよ)」
〈光の神は目を伏せている〉
「満ちゃんは死んだのよ、そいつが殺したの」
「神様って何だよ?満も光も死んじまったじゃねえか!」
「満…すまぬ…」
「何なんだよ!おい!」
「団君」
〈光の神に掴みかかろうとする栗金団を餡先生が止める。そこへ闇の龍が光の神に蛇のような体を巻き付ける〉
「甘いな、甘い甘い、甘いわ!」
「神様!神様を離せ!」
〈猫魔が突っ込んで行く〉
「猫魔!!」
〈光の神の体が金色の光に包まれる〉
「うおおおおぉ!眩しい眩しいぞ!」
「猫魔今だ!やっちまえ!」
「必殺道明寺!!長命寺!!」
「ぐああああーーーっ!!!」
「光の神様、今度こそ完全に消滅させるのよ!」
「ゆくぞ光の天使!」
「はい!」
「でーーーぃ!!!」
〈光の神が剣を振り下ろす。緑色の風が竜巻を起こし闇の龍を飲み込んで行く〉
「猫魔!」
「花の舞い桜餅ーーー!!!」
「ぐあっ!ぐああああーーーっ!!!」
「やったぞ!」
【古城】
「姫様!いえ、女王陛下!猫魔様がやりましたぞ!」
「騎士達もです!フランツの町が解放されました!ザッハトルテ軍が引き上げて行きました!」
「そうですか(あの方はどうしていらっしゃるかしら?きっと…天に戻られるのだわ…)」
【墓地】
〈紫月光と紫月満が同じ墓の中に埋葬された〉
「くそ!あの野郎。光の神!帰っちまいやがった。猫魔も一緒に。寂しいじゃねえかよ!」
「団君。詳しい話しを聞かせてあげるわ。今晩は夜通し飲み明かしましょう」
「ああ、いつまでもメソメソしてたってあいつらは喜ばねえもんな」
【天上界女神の泉】
「お兄ちゃーん」
「満!」
「こっちが本物のお兄ちゃんね」
「ああ、正真正銘本物の紫月光だ」
「光の神様も優しくて良かったけど」
「おい!」
「フフフ」
「満、兄ちゃんに会えたニャ。これで良かったみたいにゃニャ」
「猫魔ちゃんはこれからどうするの?」
「俺は普通の猫に生まれてみたいのニャ。だから、神様にお願いしてみるニャ」
ーLa finー
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神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
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