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第17章 黒い影の正体
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【闘技場】
〈栗金団は避難している人達に食べ物を配っている〉
「(何だかわかんねえけど、とんでもねえもんが近づいて来てるって事ぐらいは俺にだってわかる。猫魔の奴一人で戦う気か?)」
「くりきんとん。猫魔は?」
「俺、ちょっと見て来る」
「猫魔もお腹空かしてるだろ、これを持って行っておやり」
「婆ちゃんの菓子か」
「一個だけ残ってたんだよ」
「よっしゃ!行って来る」
〈栗金団は手に持っている料理の鍋を七都に押し付けるように渡して走る〉
「ああん、もう何よ!」
〈走って出て行く栗金団の様子を見ている光の神。剣を取って立ち上がる〉
「お兄ちゃん?」
「満、七都。皆んなを誘導して城へ入れ?」
「え?何言ってんの?光。いくらフィナンシェちゃんと友達だって、門番が入れてくれないよ」
「私が話しておく。良いな?すぐにここを出て城へ行くのだぞ」
「お城はそう遠くないけど、大丈夫かしら?」
【闘技場の門】
〈満と七都が市民を誘導している〉
「空が怖いよ」
「今度はいったい何だってんだよ」
「急いでお城に向かってください!」
「ガヤガヤ、ガヤガヤ」
【城門】
〈跳ね橋を渡り市民達が城内に入って行く〉
「早く中へ!急げ!」
「これで終わりだな?」
「待って!」
〈七都が小さな子供の手を引いて来る〉
「お母ちゃん、怖いよぉ、わあああん」
「泣かないの。お母ちゃんはきっとお城の中に居るから」
「早くしろ!橋を上げるぞ!」
〈七都達が中へ入ると鎖の音を立てて跳ね橋が上がる〉
「これで全員だな?」
「あれ?満は?満!…きっともうお城の中だね」
【ヴェネツィーの街】
〈空を見上げる猫魔〉
「来い!俺が倒してやる(だけどここで戦ったら、街が大変な事になるニャ)」
「猫魔!」
「くりきんとん、何で来たニャ?危ないニャ」
「俺だって戦える、お前一人に良いカッコさせるかよ」
「今度の相手は今までの奴とは違うニャ」
「わかってる。だから、だから(死ぬ時は一緒だ。いや、死んでたまるかよ!)俺も力を貸すぜ!」
「…わかったニャ(いざという時は俺が守るニャ)」
「そうだ、千代子婆ちゃんから預かって来たぞ」
「にゃは、婆ちゃんのお菓子ニャ」
〈猫魔はお菓子を口に入れる〉
「元気が出たニャ(ありがとう、婆ちゃん)」
〈空から大きなモンスターの羽ばたく音が聞こえる〉
「来る!死ぬにゃよ、くりきんとん」
「お前もな」
「猫魔ーー!闘技場へ行け!」
「神様ニャ」
「人々は城へ避難した!」
「了解したニャ!」
〈猫魔は建物の屋根に飛び乗り屋根から屋根へと走る。猫魔を見つけたモンスターは後を追う〉
「(良し!俺に付いて来るニャ)」
〈光の神と栗金団も通りを走る〉
【天上界】
〈天使達が慌ただしくしている〉
「何だ?どうしたんだ?」
〈振り返り後ろ向きに歩きながら飛んで行く天使達を見る紫月光〉
【女神の泉】
「女神様は居ねえのか?満の様子を見せてもらいてえのによぅ」
〈水面を覗いてみたりウロウロする光〉
「女神様!おーい!」
〈上から光の柱が現れ女神が姿を現す〉
「おっ、居た居た」
「今光の天使が様子を見に行っているのですが、魔界が大変な事になっているようなのです」
「どういう事だよ?おっと、いけねえ。どういう事ですか?」
「恐らく人間界も」
「人間界もだぁ?!何だかわかんねえけど、とにかく満の様子を見せてくれよ」
〈女神は水面に人間界の様子を映し出す〉
「何だ?軍隊か?ここは…ああ、ザッハトルテ領だ。んじゃあれはザッハトルテの軍隊か。何やってんだ?どこと戦争する気だ?」
〈次にザッハトルテの屋敷が映し出される〉
「祈祷師だ。魔物を召喚してやがる」
〈祈祷師の体から黒いエネルにー体が出て行く〉
「何だ?ありゃ?」
「あれは魔道士の霊、やはりまたあの時のように…」
「あの時?まあ、良いや。満はどこだ?」
〈水面にヴェネツィーの街が映し出される〉
「なんだ?あの空は…?薄暗くて不気味な色してやがる。ここに満が居るのか?あいつ怖がって泣いてんじゃねえか?俺がそばに居てやらねえと…」
〈屋根の上を走る猫魔が映し出される。黒い大きな影が近づいている〉
「猫魔だ。何だありゃ?あの黒くてでっかいのは…?ドラゴンだ!まさか猫魔を追いかけてるのか?おい、逃げろ!いくらお前だってそいつが相手じゃ勝ち目はねえ!逃げろ!食われちまうぞ!」
〈裏通りが映し出される〉
「あれか?!そうだ!満!お前そんなとこで何やってんだよ?!早く逃げろ!ったくそっちの俺はどこだよ?!」
【ヴェネツィーの裏通り】
「お兄ちゃん!お兄ちゃんどこ?(胸騒ぎがするの。またこの前みたいになったら…お兄ちゃんが死んだりしたら私…)」
〈ヴェネツィーの街の中光の神を探し回る満〉
「私…私も生きていられない」
【天上界の女神の泉】
「バカヤロー!俺はここに居る!そっちに居るのは光の神だ、だから心配すんな!ま、まあ、体は俺のもんだけどよ」
〈屋根の上を飛び回る猫魔を追いかける黒いドラゴン〉
「あれは堕天使」
「え?どう見てもドラゴンだろ、まあ、どっちも羽は生えてるけどよ」
「堕天使の化身です」
「堕天使っちゃ、一番悪い奴じゃねえのか?」
「いいえ、それはまだ他に居ます。堕天使が人間界に…もはやあの者の復活も近いでしょう」
「復活?あの者ってどの者だ?魔道士の事か?」
「いいえ、昔あの魔道士があの者を人間界に召喚したのです」
「ややこしいなあ」
「あんなの「アレ」で充分だわ。私達天使の間では「大堕天使」と呼んでるけど」
「戻りましたか、光の天使」
「はい、女神様」
「それで、魔界の様子はどうでした?」
「あの者の所に負のエネルギーが集まっています。人間達の憎しみや妬みなどのネガティブなエネルギーを餌に膨れ上がっています」
「何とかなんねえのか?女神様なら出来るだろ?神様なんだからよぅ」
「もう誰も止める事は出来ません」
「んじゃ、爺さん、大神様ならどうだ?」
「大神様は大変お疲れになって、今は眠っていらっしゃるのよ」
「んなもん叩き起こせ!」
「起こして起きるものなら、とっくにそうしてるけど…」
「じゃあ、どうすんだよ?」
「アレが復活したらもう一度退治するしかないわね」
「って!いったい誰がやるんだよ?」
【ザッハトルテ領】
〈兵士達が兵舎から出て来る〉
「ドラゴンが派手にやってくれたら、俺達が占拠するのも楽なもんだな」
「ああ、ザッハトルテ公爵様の天下も近いぞ」
「ヴェネツィーには美味いもんが有る」
「良い女も居るぞ」
「そこ!黙って歩きなさいよね!」
【ヴェネツィーの街】
〈猫魔が屋根の上を渡り歩き闘技場へ向かう〉
「(こっちニャ、付いて来い)」
【闘技場】
〈猫魔が闘技場に飛び込む〉
「本当に誰も居にゃいにゃろニャ?」
〈試合場の真ん中まで歩いて行く猫魔。ドラゴンの影が近づいて来る〉
「やっと来たニャ」
〈羽音が聞こえる。ドラゴンは翼で風を起こし近づいて来る〉
「待ちくたびれたぞ、早く降りて来るニャ」
【街の通り】
〈光の神と栗金団が走っている〉
「ハアハアハア、もう、ハアハア闘技場に着いたかな?」
〈光の神の胸がズキン!!と痛む〉
「どうした?光」
「(何だこの胸の痛みは…?尋常ではない…これは…これは私ではないな。では紫月光か?)」
「光?」
〈ハッとして立ち止まる光の神〉
「満!!」
「え?満がどうしたってんだよ?」
「この胸騒ぎは何だ?満が街に出ていると言うのか?」
「まさかだろ?」
【北の城門】
〈兄を探しながら街を歩く満。その先には北の城門が有る〉
「お兄ちゃん、どこに居るの?」
〈満はふと城門に目をやる〉
「まさか、外?」
〈小走りに城門の所へ行く満〉
【裏通り】
「満!!」
「おーい、どこだ?!」
「満!!」
「城に居る筈だろ、本当に街に出てるのか?」
「わからん。わからんが兎に角探す」
「俺は城に行ってみる。猫魔が心配だしな、その足で闘技場に向かうぜ」
「ああ、私も後から行く」
【闘技場】
〈黒い煙を吐くドラゴン〉
「ぐはっ(毒ガスニャ。吸い込んだら死ぬニャ)」
「臭いニャ、歯磨きぐらいしとけよニャ」
〈ドラゴンの攻撃を避けて飛び回る猫魔〉
【王宮の庭園】
「満はどこだ?」
〈避難して来た大勢の市民達の中満を探して歩く栗金団〉
「母ちゃん!」
「団。帰って来たのかい?」
「満はどうしてる?」
「七都ちゃん達と一緒じゃないのかい?」
「七都はどこだ?」
「噴水のとこで見たよ」
【噴水】
「居た居た。おい、アンドーナツ、満はどこだ?」
「それが居ないのよ。どこ行っちゃったんだろ?」
「居ないっていつからだよ?」
「二人で皆んなをここに誘導して来て、小さい子が泣いてたから、私が手を繋いで連れて来たんだけど、戻ったら居なかった」
「まじか?(じゃあ本当に街に出てるってか?)」
【北の城門】
「門は閉まってるわね」
〈上から砂のような物が落ちて来る。満は城壁を見上げる〉
「あっ」
〈ザッハトルテの兵士達が城壁を登って入って来る。立ち竦む満〉
「おおっ、女が居たぞ」
「ヴェネツィーには良い女が居るって噂も、満更嘘じゃねえな」
【天上界の女神の泉】
「あ!!てめぇ!!何しやがる?!ぶっ殺すぞ!!!」
〈水面には嫌らしい目つきで満に近づく兵士の姿が映し出されている〉
【北の城門の外】
「何してるの?早くしなさい!」
「中の様子を見て来ました」
「人っ子一人居ません」
「おっと、この娘が」
〈驚き見開く小倉杏〉
「(満ちゃん!いいえ、ここは知らないフリをしないと)」
〈小倉杏は満に目で合図する〉
「(杏さん…)」
「そんな娘を連れて来てどうするつもり?」
「なに、酒の酌でもさせようと思ってな」
「何を呑気な事を言ってる?!騎士が腑抜けになってる今が攻め時だ」
「今街に入ってもムダよ。ここはドラゴンに派手に暴れてもらいましょう」
「くっ、隊長がそう言うなら…」
「あら、随分素直になったわね」
「俺達ゃ、逆らって死にたかねえからな」
「あっ」
〈街の方を見る満〉
「(今お兄ちゃんが呼んだ気がした)」
【王宮のティラミス伯爵の部屋】
〈餡先生がベッドの脇に座っている。看病に疲れて眠ってしまっている〉
「うっ…う…」
〈騎士隊長が目を開ける〉
「うん(私は…そうか…毒矢にやられて…どれ程眠っていたのだろう?)」
〈動こうとしてベッドに顔を伏せて眠っている餡先生に気づく〉
「(ずっとそばに居てくれたのだろうか?)」
〈手を伸ばし餡先生の髪に触れようとして手を止める〉
「(餡どの…すまぬ)」
〈騎士隊長は餡先生を起こさないようにそっとベッドを出て鎧を取る)
【騎士隊の詰所】
「ザッハトルテ軍の兵が北門まで迫って来ている」
「何だと?!」
「籠城するか」
「食料は豊富だ。それも良かろう」
「市民にもやらねば」
「足りなくなったら、畑仕事をさせれば良い」
「出動する!」
〈騎士達が振り返ると鎧を着て武器を持った騎士隊長が立っている〉
「隊長!」
「しかし、ドラゴンが」
「ドラゴンだと?」
「はい、今猫魔殿が戦っています」
「お前達はフィナンシェ様をお守りしろ、いざとなったら抜け道を通って南の古城にお連れするのだ」
「はっ!」
〈栗金団は避難している人達に食べ物を配っている〉
「(何だかわかんねえけど、とんでもねえもんが近づいて来てるって事ぐらいは俺にだってわかる。猫魔の奴一人で戦う気か?)」
「くりきんとん。猫魔は?」
「俺、ちょっと見て来る」
「猫魔もお腹空かしてるだろ、これを持って行っておやり」
「婆ちゃんの菓子か」
「一個だけ残ってたんだよ」
「よっしゃ!行って来る」
〈栗金団は手に持っている料理の鍋を七都に押し付けるように渡して走る〉
「ああん、もう何よ!」
〈走って出て行く栗金団の様子を見ている光の神。剣を取って立ち上がる〉
「お兄ちゃん?」
「満、七都。皆んなを誘導して城へ入れ?」
「え?何言ってんの?光。いくらフィナンシェちゃんと友達だって、門番が入れてくれないよ」
「私が話しておく。良いな?すぐにここを出て城へ行くのだぞ」
「お城はそう遠くないけど、大丈夫かしら?」
【闘技場の門】
〈満と七都が市民を誘導している〉
「空が怖いよ」
「今度はいったい何だってんだよ」
「急いでお城に向かってください!」
「ガヤガヤ、ガヤガヤ」
【城門】
〈跳ね橋を渡り市民達が城内に入って行く〉
「早く中へ!急げ!」
「これで終わりだな?」
「待って!」
〈七都が小さな子供の手を引いて来る〉
「お母ちゃん、怖いよぉ、わあああん」
「泣かないの。お母ちゃんはきっとお城の中に居るから」
「早くしろ!橋を上げるぞ!」
〈七都達が中へ入ると鎖の音を立てて跳ね橋が上がる〉
「これで全員だな?」
「あれ?満は?満!…きっともうお城の中だね」
【ヴェネツィーの街】
〈空を見上げる猫魔〉
「来い!俺が倒してやる(だけどここで戦ったら、街が大変な事になるニャ)」
「猫魔!」
「くりきんとん、何で来たニャ?危ないニャ」
「俺だって戦える、お前一人に良いカッコさせるかよ」
「今度の相手は今までの奴とは違うニャ」
「わかってる。だから、だから(死ぬ時は一緒だ。いや、死んでたまるかよ!)俺も力を貸すぜ!」
「…わかったニャ(いざという時は俺が守るニャ)」
「そうだ、千代子婆ちゃんから預かって来たぞ」
「にゃは、婆ちゃんのお菓子ニャ」
〈猫魔はお菓子を口に入れる〉
「元気が出たニャ(ありがとう、婆ちゃん)」
〈空から大きなモンスターの羽ばたく音が聞こえる〉
「来る!死ぬにゃよ、くりきんとん」
「お前もな」
「猫魔ーー!闘技場へ行け!」
「神様ニャ」
「人々は城へ避難した!」
「了解したニャ!」
〈猫魔は建物の屋根に飛び乗り屋根から屋根へと走る。猫魔を見つけたモンスターは後を追う〉
「(良し!俺に付いて来るニャ)」
〈光の神と栗金団も通りを走る〉
【天上界】
〈天使達が慌ただしくしている〉
「何だ?どうしたんだ?」
〈振り返り後ろ向きに歩きながら飛んで行く天使達を見る紫月光〉
【女神の泉】
「女神様は居ねえのか?満の様子を見せてもらいてえのによぅ」
〈水面を覗いてみたりウロウロする光〉
「女神様!おーい!」
〈上から光の柱が現れ女神が姿を現す〉
「おっ、居た居た」
「今光の天使が様子を見に行っているのですが、魔界が大変な事になっているようなのです」
「どういう事だよ?おっと、いけねえ。どういう事ですか?」
「恐らく人間界も」
「人間界もだぁ?!何だかわかんねえけど、とにかく満の様子を見せてくれよ」
〈女神は水面に人間界の様子を映し出す〉
「何だ?軍隊か?ここは…ああ、ザッハトルテ領だ。んじゃあれはザッハトルテの軍隊か。何やってんだ?どこと戦争する気だ?」
〈次にザッハトルテの屋敷が映し出される〉
「祈祷師だ。魔物を召喚してやがる」
〈祈祷師の体から黒いエネルにー体が出て行く〉
「何だ?ありゃ?」
「あれは魔道士の霊、やはりまたあの時のように…」
「あの時?まあ、良いや。満はどこだ?」
〈水面にヴェネツィーの街が映し出される〉
「なんだ?あの空は…?薄暗くて不気味な色してやがる。ここに満が居るのか?あいつ怖がって泣いてんじゃねえか?俺がそばに居てやらねえと…」
〈屋根の上を走る猫魔が映し出される。黒い大きな影が近づいている〉
「猫魔だ。何だありゃ?あの黒くてでっかいのは…?ドラゴンだ!まさか猫魔を追いかけてるのか?おい、逃げろ!いくらお前だってそいつが相手じゃ勝ち目はねえ!逃げろ!食われちまうぞ!」
〈裏通りが映し出される〉
「あれか?!そうだ!満!お前そんなとこで何やってんだよ?!早く逃げろ!ったくそっちの俺はどこだよ?!」
【ヴェネツィーの裏通り】
「お兄ちゃん!お兄ちゃんどこ?(胸騒ぎがするの。またこの前みたいになったら…お兄ちゃんが死んだりしたら私…)」
〈ヴェネツィーの街の中光の神を探し回る満〉
「私…私も生きていられない」
【天上界の女神の泉】
「バカヤロー!俺はここに居る!そっちに居るのは光の神だ、だから心配すんな!ま、まあ、体は俺のもんだけどよ」
〈屋根の上を飛び回る猫魔を追いかける黒いドラゴン〉
「あれは堕天使」
「え?どう見てもドラゴンだろ、まあ、どっちも羽は生えてるけどよ」
「堕天使の化身です」
「堕天使っちゃ、一番悪い奴じゃねえのか?」
「いいえ、それはまだ他に居ます。堕天使が人間界に…もはやあの者の復活も近いでしょう」
「復活?あの者ってどの者だ?魔道士の事か?」
「いいえ、昔あの魔道士があの者を人間界に召喚したのです」
「ややこしいなあ」
「あんなの「アレ」で充分だわ。私達天使の間では「大堕天使」と呼んでるけど」
「戻りましたか、光の天使」
「はい、女神様」
「それで、魔界の様子はどうでした?」
「あの者の所に負のエネルギーが集まっています。人間達の憎しみや妬みなどのネガティブなエネルギーを餌に膨れ上がっています」
「何とかなんねえのか?女神様なら出来るだろ?神様なんだからよぅ」
「もう誰も止める事は出来ません」
「んじゃ、爺さん、大神様ならどうだ?」
「大神様は大変お疲れになって、今は眠っていらっしゃるのよ」
「んなもん叩き起こせ!」
「起こして起きるものなら、とっくにそうしてるけど…」
「じゃあ、どうすんだよ?」
「アレが復活したらもう一度退治するしかないわね」
「って!いったい誰がやるんだよ?」
【ザッハトルテ領】
〈兵士達が兵舎から出て来る〉
「ドラゴンが派手にやってくれたら、俺達が占拠するのも楽なもんだな」
「ああ、ザッハトルテ公爵様の天下も近いぞ」
「ヴェネツィーには美味いもんが有る」
「良い女も居るぞ」
「そこ!黙って歩きなさいよね!」
【ヴェネツィーの街】
〈猫魔が屋根の上を渡り歩き闘技場へ向かう〉
「(こっちニャ、付いて来い)」
【闘技場】
〈猫魔が闘技場に飛び込む〉
「本当に誰も居にゃいにゃろニャ?」
〈試合場の真ん中まで歩いて行く猫魔。ドラゴンの影が近づいて来る〉
「やっと来たニャ」
〈羽音が聞こえる。ドラゴンは翼で風を起こし近づいて来る〉
「待ちくたびれたぞ、早く降りて来るニャ」
【街の通り】
〈光の神と栗金団が走っている〉
「ハアハアハア、もう、ハアハア闘技場に着いたかな?」
〈光の神の胸がズキン!!と痛む〉
「どうした?光」
「(何だこの胸の痛みは…?尋常ではない…これは…これは私ではないな。では紫月光か?)」
「光?」
〈ハッとして立ち止まる光の神〉
「満!!」
「え?満がどうしたってんだよ?」
「この胸騒ぎは何だ?満が街に出ていると言うのか?」
「まさかだろ?」
【北の城門】
〈兄を探しながら街を歩く満。その先には北の城門が有る〉
「お兄ちゃん、どこに居るの?」
〈満はふと城門に目をやる〉
「まさか、外?」
〈小走りに城門の所へ行く満〉
【裏通り】
「満!!」
「おーい、どこだ?!」
「満!!」
「城に居る筈だろ、本当に街に出てるのか?」
「わからん。わからんが兎に角探す」
「俺は城に行ってみる。猫魔が心配だしな、その足で闘技場に向かうぜ」
「ああ、私も後から行く」
【闘技場】
〈黒い煙を吐くドラゴン〉
「ぐはっ(毒ガスニャ。吸い込んだら死ぬニャ)」
「臭いニャ、歯磨きぐらいしとけよニャ」
〈ドラゴンの攻撃を避けて飛び回る猫魔〉
【王宮の庭園】
「満はどこだ?」
〈避難して来た大勢の市民達の中満を探して歩く栗金団〉
「母ちゃん!」
「団。帰って来たのかい?」
「満はどうしてる?」
「七都ちゃん達と一緒じゃないのかい?」
「七都はどこだ?」
「噴水のとこで見たよ」
【噴水】
「居た居た。おい、アンドーナツ、満はどこだ?」
「それが居ないのよ。どこ行っちゃったんだろ?」
「居ないっていつからだよ?」
「二人で皆んなをここに誘導して来て、小さい子が泣いてたから、私が手を繋いで連れて来たんだけど、戻ったら居なかった」
「まじか?(じゃあ本当に街に出てるってか?)」
【北の城門】
「門は閉まってるわね」
〈上から砂のような物が落ちて来る。満は城壁を見上げる〉
「あっ」
〈ザッハトルテの兵士達が城壁を登って入って来る。立ち竦む満〉
「おおっ、女が居たぞ」
「ヴェネツィーには良い女が居るって噂も、満更嘘じゃねえな」
【天上界の女神の泉】
「あ!!てめぇ!!何しやがる?!ぶっ殺すぞ!!!」
〈水面には嫌らしい目つきで満に近づく兵士の姿が映し出されている〉
【北の城門の外】
「何してるの?早くしなさい!」
「中の様子を見て来ました」
「人っ子一人居ません」
「おっと、この娘が」
〈驚き見開く小倉杏〉
「(満ちゃん!いいえ、ここは知らないフリをしないと)」
〈小倉杏は満に目で合図する〉
「(杏さん…)」
「そんな娘を連れて来てどうするつもり?」
「なに、酒の酌でもさせようと思ってな」
「何を呑気な事を言ってる?!騎士が腑抜けになってる今が攻め時だ」
「今街に入ってもムダよ。ここはドラゴンに派手に暴れてもらいましょう」
「くっ、隊長がそう言うなら…」
「あら、随分素直になったわね」
「俺達ゃ、逆らって死にたかねえからな」
「あっ」
〈街の方を見る満〉
「(今お兄ちゃんが呼んだ気がした)」
【王宮のティラミス伯爵の部屋】
〈餡先生がベッドの脇に座っている。看病に疲れて眠ってしまっている〉
「うっ…う…」
〈騎士隊長が目を開ける〉
「うん(私は…そうか…毒矢にやられて…どれ程眠っていたのだろう?)」
〈動こうとしてベッドに顔を伏せて眠っている餡先生に気づく〉
「(ずっとそばに居てくれたのだろうか?)」
〈手を伸ばし餡先生の髪に触れようとして手を止める〉
「(餡どの…すまぬ)」
〈騎士隊長は餡先生を起こさないようにそっとベッドを出て鎧を取る)
【騎士隊の詰所】
「ザッハトルテ軍の兵が北門まで迫って来ている」
「何だと?!」
「籠城するか」
「食料は豊富だ。それも良かろう」
「市民にもやらねば」
「足りなくなったら、畑仕事をさせれば良い」
「出動する!」
〈騎士達が振り返ると鎧を着て武器を持った騎士隊長が立っている〉
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「しかし、ドラゴンが」
「ドラゴンだと?」
「はい、今猫魔殿が戦っています」
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アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
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タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
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※※※
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※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
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ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
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