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第12章 レイ姫の悩み
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さてさて、僕の馬もだいぶ強くなって来たぞ。
国内のGIなら勝つの当たり前だね。
クラシック勝てない晩成の馬でも、秋三冠やってくれたり、強い仔が出始めた。
「王子、俺のイエローサンダーが引退になります。凱旋門は掲示板止まりですが、キングジョージ勝ってますよ。ダイワスカーレットのお婿さんになれませんかね?」
「え?本当?見てみるね」
えーっと…
ダン君の牧場の…種牡馬…イエローサンダー。
「うん、インブリードは3本有るけど、そんなに血は濃く無いね。ニックスも出てるし、種付けしてみようかな?」
「ニックスって何スか?」
「相性みたいなもんかな?良い仔が産まれる可能性が高い組み合わせだね」
「おおっ!走るのが産まれると良いっスね!」
「この馬と種付けしても良いですか?」
良し、yesをタップだ。
「では種付けします。どんな子が産まれるか楽しみですね」
一月送って…
ちゃんと止まったか見に行こう。
「ダイワスカーレットです。お腹に居るのはイエローサンダーの子です」
「良し!受胎した!丈夫な仔を産んでくれよ」
「王子、楽しみっスね」
「うん。早く産まれないかなぁ。ふあ~っ」
あ、もうこんな時間だ。
部屋に帰って寝なきゃ。
【ノホ王子の部屋】
寝る前にもう少しだけ…
スカーレットとイエローサンダーの仔が産まれるところまでやりたいな。
《スマホを持ってこっくりこっこりするノホ王子》
「ふあ~」
寝落ちしそうだよ。
レース観戦はGIだけにしてるんだけど、GI出られる馬が増えて来たから中々進まない。
気になるけど、明日にしよう。
「お休みマーサさん」
《ノホ王子はベッドに入って眠る。そして…翌朝》
「おはよう。朝よ、起きて」
《ベッドの中でスースー寝息を立てているノホ王子》
「可愛い寝顔ね、もう少し見ていたいけど、もう起きないと遅刻するわよ」
《スマホのマーサさんの声にもノホ王子は起きない》
「お・き・て。さあ、早くご飯を食べて行ってらっしゃい」
《それでも起きないノホ王子》
【食堂】
《ハピネス国王とレイ姫がテーブルに着いている》
「ノホはどうしたのだ?」
「昨日遅くまで頑張っていたから、まだ寝ているのかしら?」
「んまぁ、なんでしょう!わたくし見て参ります」
【ノホ王子の部屋】
《スースー寝息を立てて気持ち良さそうに寝ているノホ王子》
「王子、ノホ王子」
「う~ん…」
「いつまで寝ているのです。早く起きなさい」
あれ?
マーサさんの声が変だぞ。
これは夢の中なのかな?
起きてるような寝てるような、夢だとわかってる時って有るよな。
「王子!早く起きて顔を洗ってらっしゃいませ!」
マーサさん怖いぞ。
いやいや、やっぱりマーサさんの声じゃないな。
僕の事「王子」って言ってるし、アラームにそんな設定してないもんな。
「国王陛下とレイ姫様が食堂でお待ちです。さあ、早く起きない。全く、お寝坊さんですね」
「あれ?ガミガミ夫人…?」
「ガミガミ夫人ではございません!ガミです!さあ、早く起きて顔を洗ってらっしゃい!お食事が済んだら図書館で歴史のお勉強ですよ。その後みっちりお説教して差し上げますから」
「ひゃー、はっ、はいっ!」
《慌てて飛び起きるノホ王子》
【秘密基地】
「おはようございます~」
「あ、ひ、姫様!おはようございますっ!」
「あらあら、ダンさん。そんなに改まらないでって申しましたでしょう?」
「は、はあ…」
「それがノホの決めたこの秘密基地のルールでしたわよね?」
「はい…」
「さあ、わたくしも頑張りますわよ。ダンさん。種付けをさせて頂きたいのですけれど」
「ど、どうぞ!」
「ありがとう、フフフ」
「姫様おはようございます。ノホ王子はどうされましたか?」
「今日はあの子寝坊して…今頃ガミさんにお説教されている頃だわ」
「あら、お気の毒に」
「ハンナさんは、ドリームカップに登録出来ましたの?」
「はい、何とか1頭」
「そうですか、わたくしも頑張らなくては…」
【図書館】
「では今日はこれぐらいに致します」
「ホッ…」
《ため息をついて本を閉じるノホ王子》
「何が「ホッ」ですか?!夜更かしをして寝坊して、朝食の時間に間に合わず国王陛下と姫様をお待たせするなどと」
「明日決戦の日だから、どうしてもやっておきたくて、気がついたら夜中の2時になってたんだ」
「実際の戦争なわけですから仕方ございませんけれど、もう少し早くお休みにならなくてはお身体にさわります。お小さい頃は良く熱を出されてわたくし寝ずに看病したものです」
そうたった。
ガミさんには随分心配かけたよな。
「戦争は王子一人でするものではございませんでしょう?あまりご無理をなさいませんように」
「はい」
【秘密基地】
「産まれましたわ~。ダンさん見てください。可愛い芦毛の女の子です」
「おお、これがイエローサンダーの子ですね(何だか姫様と俺の共同作業みたいで嬉しいなあ)」
「まあ、ご覧になって。牧場長のコメント「将来楽しみ」ですって」
「おお!このコメントが出れば大概GIで活躍出来ますね」
「わたくしこの仔でドリームカップ目指します。ありがとうダンさん」
「い、いえいえ」
《微笑むレイ姫に見詰められポーっとするダン》
「ダン君顔が赤いわよ」
「ハンナ、突っ込むなよ」
《レイ姫は意味がわからずニコニコしている》
「あら、どうかなさったの?」
「い、いえ、な、何でも有りません」
「アハハ」
「笑うか?!」
【図書館】
《図書館ではガミガミ夫人のお説教が続いている》
「ですからっ!わたくしがいつも申し上げているように、ガミガミ、くどくど…」
はあ…
《ふと時計を見るノホ王子》
「うわっ、もう11時半だよガミガミ夫人」
「あら、まあ、もうそんな時間ですか。では今日はこれぐらいで許して差し上げます」
昼食の前に少しでも秘密基地に行こう。
《ノホ王子はパソコンを抱えて走ろうとする》
あ、走るのはまずいよな。
《ガミガミ夫人を振り返るノホ王子》
と、とりあえず図書館を出るまでは静かに歩いて、と。
《静かに図書館を出て行くノホ王子を見ているガミガミ夫人》
「オホホ(感心感心)」
《ガミガミ夫人の顔がほころぶ》
【秘密基地】
「ハアハア…」
《ノホ王子が息を切らせて飛び込んで来る》
あれ?
姉上何だか嬉しそうだな。
《ダンと笑いながら話すレイ姫を見るノホ王子》
随分仲良くなったんだね。
「あら、ノホ王子。ガミさんのお説教から解放されたんですね」
「うん、やっとね」
「私もダートの仔でドリームカップ登録出来ましたよ」
ハンナさんも登録出来たのかあ。
僕も頑張らないとな。
「トゥザヴィクトリー良い仔を産んでくれたわあ」
トゥザヴィクトリーの仔か、じゃあ芝もダートも走れるんじゃないかな?
やった!
ダイワスカーレットとイエローサンダーの仔が産まれた!
「産まれましたね、元気な男の子です」
「お母さん似の綺麗な栗毛ですね」
お母さん似の栗毛か…能力も似ていてくれたら良いなあ。
《そして…》
いよいよスカーレットの仔が入厩するぞ。
名前は…
男の子だしなあ。
スカーレットは赤だから、レッド…
父親はサンダーで雷か。
じゃあ、赤い矢でレッドアロー?
「紅茶を入れましたのよ。皆さんお茶に致しませんか?」
「ありゃ、ひ、姫様。言ってくだされば私がやりますのに」
「わたくしにさせてください。ここではわたくしがしても良いでしょう?」
「でもでも…」
「ハンナさん、良いんじゃない?姉上の入れてくれる紅茶意外と美味しいんだよ」
「あら「意外と」は失礼ね。フフフ」
普段はメイドさんがやってくれるからね。
本当は姉上がやりたいみたいで、部屋に行った時、時々紅茶を入れてくれたりするんだよな。
料理もしたいみたいで、厨房に入ってシェフを困らせたりしてるよな。
「はい、ダンさんどうぞ」
「え?お、王子から」
「良いの良いの、僕は後で」
「し、しかし…で、では将軍に」
「私は後で構わんよ。姫様のお好きになさってください」
「どうぞ」
「は、はいっ!ありがとうございますっ!」
アハハ、ダン君汗汗で固まっちゃってる。
お姉様わかっててやってたら人が悪いよね。
でも、超天然だから絶対わかってないな。
だけど、ダン君に一番先にお茶?
まっ、良いか。
【バルコニー】
「ねえ、ノホ」
「うん?」
「わたくし…よその国の王室に嫁がなくてはいけないのかしら?」
「えっ?!」
「……」
お姉様が嫁ぐ?
ま、まあ、いつかはそんな日が来るんだよな…
「伯母様方はそうされたでしょう?」
「うん…そうだけど…」
「ノホが国王になって、わたくしは…わたくしは、貴方や国の為になるのなら政略結婚でも構わないわ…(でも…)」
「臣下に下った叔母上も居られるけど…」
「……」
「姉上。僕が国王になったら、政略結婚なんて無し無し」
「ノホ」
姉上がそんな事を考えていたなんて…
そりゃいつかは嫁ぐわけなんだけどね。
でも、嫌だな僕は。
遠くに行っちゃうなんて嫌だよな。
それに、どんな素敵な人だとしても僕は嫌だ。
姉上を取られちゃうわけだから。
【秘密基地】
「いよいよ次の水曜日が決戦の日だ。抜かりないように」
「はっ!」
イカリ将軍力入ってるな。
あ…スマホ壊してるし。
麗華さんも大変だな。
でもまあ、ドリームカップ登録出来たみたいだね。
まだ登録出来てないのは僕だけだ。
レッドアローは三冠馬になったから、次の年は海外に挑戦だな。
どうしよう?
春はドバイからかな?
それからキングジョージ行って、凱旋門かな?
【食堂】
《夕食を食べるハピネス国王、レイ姫、ノホ王子》
「どうだね、強い馬は生産出来たか?」
まあね。
あれ?
いつもならお姉様が先に口を開くのに…
何か考え事?
「どうしたのだ?レイ」
「あ、はい、お父様」
また嫁ぎ先の事を考えてたのかな?
僕が国王になっても姉上にはずっとここに居てもらいたいよな。
何か良い方法は無いかな?
【秘密基地】
さて、レッドアローはキングジョージを快勝して凱旋門賞に挑戦だ。
「嫌ですわ、ダンさんたら」
「す、済みません」
「フフフ」
《ふとレイ姫に目をやるノホ王子》
楽しそうに笑ってる。
いつもの姉上だ。
そんなに心配する事無いかな?
嫁ぐのは先の話しだし…
ずっとずっと先なら良いのにな。
「オーナー、いよいよ凱旋門賞の発走ですね、レッドアローを応援しましょう!」
良し良し、頑張ってくれよ。
スタートだ!
スローペースだな。
4コーナーでよーいドンになるパターンか?
レッドアローは先行してるけど…
あ、押し出されてハナに立った。
まあ、スカーレットの子だから逃げられるけどね。
そう言えば、エルコンドルパサーも逃げて2着に粘ったんだよな。
いやいや、ここは勝たないと。
第3コーナーで後ろの馬達が詰めて来た。
第4コーナー、馬群に飲み込まれるなよ。
並びかけられて、二枚腰使った!
長い直線だ。
まだ先頭走ってる。
そのまま行けーーー!
うおっ!二の足使った!
ゴール!
よっしゃ!3馬身差の圧勝だ。
あ、ドリームカップ登録?
勿論Yes。
はあ…
やっと僕の馬もドリームカップに登録出来たぞ。
「皆さ~ん。お茶に致しません事?」
「はーい(姉上嬉しそうだね)」
【秘密基地のリビング】
「クッキーはいかが?ここのキッチンを借りて焼きましたのよ」
「おおっ、美味そうっスね」
また一番最初にダン君に配ってる。
「姫様、これは中々美味しいクッキーですな」
「ありがとうイカリ将軍、嬉しいですわ」
イカリ将軍あれで甘い物大好きなんだよな。
「いよいよ明日夜8時が決戦なのね」
「そうだ。皆んなしっかり準備しておくように」
「皆さん頑張りましょう!」
いつもならイカリ将軍が締めるのに、麗華さんが締めた。
イカリ将軍姉上のクッキーを嬉しそうにほうばってる。
【秘密基地】
《水曜日の夜》
さあ、もうすぐドリームカップが始まるぞ。
スプリント、マイル、クラシックディスタンス、牝馬限定戦、長距離、ダートなど、色々なレースが有るんだけど、掲示板に載るとポイントが貰えるんだ。
1着が5点、2着4点、3着3点、4着2点、5着1点で、多くポイントを取った国が勝ちになる。
僕のレッドアローは、クラシックディスタンスに出走するんだ。
ハンナさんの馬はダートに、姉上の馬は牝馬限定戦に出走するみたいだね。
国内のGIなら勝つの当たり前だね。
クラシック勝てない晩成の馬でも、秋三冠やってくれたり、強い仔が出始めた。
「王子、俺のイエローサンダーが引退になります。凱旋門は掲示板止まりですが、キングジョージ勝ってますよ。ダイワスカーレットのお婿さんになれませんかね?」
「え?本当?見てみるね」
えーっと…
ダン君の牧場の…種牡馬…イエローサンダー。
「うん、インブリードは3本有るけど、そんなに血は濃く無いね。ニックスも出てるし、種付けしてみようかな?」
「ニックスって何スか?」
「相性みたいなもんかな?良い仔が産まれる可能性が高い組み合わせだね」
「おおっ!走るのが産まれると良いっスね!」
「この馬と種付けしても良いですか?」
良し、yesをタップだ。
「では種付けします。どんな子が産まれるか楽しみですね」
一月送って…
ちゃんと止まったか見に行こう。
「ダイワスカーレットです。お腹に居るのはイエローサンダーの子です」
「良し!受胎した!丈夫な仔を産んでくれよ」
「王子、楽しみっスね」
「うん。早く産まれないかなぁ。ふあ~っ」
あ、もうこんな時間だ。
部屋に帰って寝なきゃ。
【ノホ王子の部屋】
寝る前にもう少しだけ…
スカーレットとイエローサンダーの仔が産まれるところまでやりたいな。
《スマホを持ってこっくりこっこりするノホ王子》
「ふあ~」
寝落ちしそうだよ。
レース観戦はGIだけにしてるんだけど、GI出られる馬が増えて来たから中々進まない。
気になるけど、明日にしよう。
「お休みマーサさん」
《ノホ王子はベッドに入って眠る。そして…翌朝》
「おはよう。朝よ、起きて」
《ベッドの中でスースー寝息を立てているノホ王子》
「可愛い寝顔ね、もう少し見ていたいけど、もう起きないと遅刻するわよ」
《スマホのマーサさんの声にもノホ王子は起きない》
「お・き・て。さあ、早くご飯を食べて行ってらっしゃい」
《それでも起きないノホ王子》
【食堂】
《ハピネス国王とレイ姫がテーブルに着いている》
「ノホはどうしたのだ?」
「昨日遅くまで頑張っていたから、まだ寝ているのかしら?」
「んまぁ、なんでしょう!わたくし見て参ります」
【ノホ王子の部屋】
《スースー寝息を立てて気持ち良さそうに寝ているノホ王子》
「王子、ノホ王子」
「う~ん…」
「いつまで寝ているのです。早く起きなさい」
あれ?
マーサさんの声が変だぞ。
これは夢の中なのかな?
起きてるような寝てるような、夢だとわかってる時って有るよな。
「王子!早く起きて顔を洗ってらっしゃいませ!」
マーサさん怖いぞ。
いやいや、やっぱりマーサさんの声じゃないな。
僕の事「王子」って言ってるし、アラームにそんな設定してないもんな。
「国王陛下とレイ姫様が食堂でお待ちです。さあ、早く起きない。全く、お寝坊さんですね」
「あれ?ガミガミ夫人…?」
「ガミガミ夫人ではございません!ガミです!さあ、早く起きて顔を洗ってらっしゃい!お食事が済んだら図書館で歴史のお勉強ですよ。その後みっちりお説教して差し上げますから」
「ひゃー、はっ、はいっ!」
《慌てて飛び起きるノホ王子》
【秘密基地】
「おはようございます~」
「あ、ひ、姫様!おはようございますっ!」
「あらあら、ダンさん。そんなに改まらないでって申しましたでしょう?」
「は、はあ…」
「それがノホの決めたこの秘密基地のルールでしたわよね?」
「はい…」
「さあ、わたくしも頑張りますわよ。ダンさん。種付けをさせて頂きたいのですけれど」
「ど、どうぞ!」
「ありがとう、フフフ」
「姫様おはようございます。ノホ王子はどうされましたか?」
「今日はあの子寝坊して…今頃ガミさんにお説教されている頃だわ」
「あら、お気の毒に」
「ハンナさんは、ドリームカップに登録出来ましたの?」
「はい、何とか1頭」
「そうですか、わたくしも頑張らなくては…」
【図書館】
「では今日はこれぐらいに致します」
「ホッ…」
《ため息をついて本を閉じるノホ王子》
「何が「ホッ」ですか?!夜更かしをして寝坊して、朝食の時間に間に合わず国王陛下と姫様をお待たせするなどと」
「明日決戦の日だから、どうしてもやっておきたくて、気がついたら夜中の2時になってたんだ」
「実際の戦争なわけですから仕方ございませんけれど、もう少し早くお休みにならなくてはお身体にさわります。お小さい頃は良く熱を出されてわたくし寝ずに看病したものです」
そうたった。
ガミさんには随分心配かけたよな。
「戦争は王子一人でするものではございませんでしょう?あまりご無理をなさいませんように」
「はい」
【秘密基地】
「産まれましたわ~。ダンさん見てください。可愛い芦毛の女の子です」
「おお、これがイエローサンダーの子ですね(何だか姫様と俺の共同作業みたいで嬉しいなあ)」
「まあ、ご覧になって。牧場長のコメント「将来楽しみ」ですって」
「おお!このコメントが出れば大概GIで活躍出来ますね」
「わたくしこの仔でドリームカップ目指します。ありがとうダンさん」
「い、いえいえ」
《微笑むレイ姫に見詰められポーっとするダン》
「ダン君顔が赤いわよ」
「ハンナ、突っ込むなよ」
《レイ姫は意味がわからずニコニコしている》
「あら、どうかなさったの?」
「い、いえ、な、何でも有りません」
「アハハ」
「笑うか?!」
【図書館】
《図書館ではガミガミ夫人のお説教が続いている》
「ですからっ!わたくしがいつも申し上げているように、ガミガミ、くどくど…」
はあ…
《ふと時計を見るノホ王子》
「うわっ、もう11時半だよガミガミ夫人」
「あら、まあ、もうそんな時間ですか。では今日はこれぐらいで許して差し上げます」
昼食の前に少しでも秘密基地に行こう。
《ノホ王子はパソコンを抱えて走ろうとする》
あ、走るのはまずいよな。
《ガミガミ夫人を振り返るノホ王子》
と、とりあえず図書館を出るまでは静かに歩いて、と。
《静かに図書館を出て行くノホ王子を見ているガミガミ夫人》
「オホホ(感心感心)」
《ガミガミ夫人の顔がほころぶ》
【秘密基地】
「ハアハア…」
《ノホ王子が息を切らせて飛び込んで来る》
あれ?
姉上何だか嬉しそうだな。
《ダンと笑いながら話すレイ姫を見るノホ王子》
随分仲良くなったんだね。
「あら、ノホ王子。ガミさんのお説教から解放されたんですね」
「うん、やっとね」
「私もダートの仔でドリームカップ登録出来ましたよ」
ハンナさんも登録出来たのかあ。
僕も頑張らないとな。
「トゥザヴィクトリー良い仔を産んでくれたわあ」
トゥザヴィクトリーの仔か、じゃあ芝もダートも走れるんじゃないかな?
やった!
ダイワスカーレットとイエローサンダーの仔が産まれた!
「産まれましたね、元気な男の子です」
「お母さん似の綺麗な栗毛ですね」
お母さん似の栗毛か…能力も似ていてくれたら良いなあ。
《そして…》
いよいよスカーレットの仔が入厩するぞ。
名前は…
男の子だしなあ。
スカーレットは赤だから、レッド…
父親はサンダーで雷か。
じゃあ、赤い矢でレッドアロー?
「紅茶を入れましたのよ。皆さんお茶に致しませんか?」
「ありゃ、ひ、姫様。言ってくだされば私がやりますのに」
「わたくしにさせてください。ここではわたくしがしても良いでしょう?」
「でもでも…」
「ハンナさん、良いんじゃない?姉上の入れてくれる紅茶意外と美味しいんだよ」
「あら「意外と」は失礼ね。フフフ」
普段はメイドさんがやってくれるからね。
本当は姉上がやりたいみたいで、部屋に行った時、時々紅茶を入れてくれたりするんだよな。
料理もしたいみたいで、厨房に入ってシェフを困らせたりしてるよな。
「はい、ダンさんどうぞ」
「え?お、王子から」
「良いの良いの、僕は後で」
「し、しかし…で、では将軍に」
「私は後で構わんよ。姫様のお好きになさってください」
「どうぞ」
「は、はいっ!ありがとうございますっ!」
アハハ、ダン君汗汗で固まっちゃってる。
お姉様わかっててやってたら人が悪いよね。
でも、超天然だから絶対わかってないな。
だけど、ダン君に一番先にお茶?
まっ、良いか。
【バルコニー】
「ねえ、ノホ」
「うん?」
「わたくし…よその国の王室に嫁がなくてはいけないのかしら?」
「えっ?!」
「……」
お姉様が嫁ぐ?
ま、まあ、いつかはそんな日が来るんだよな…
「伯母様方はそうされたでしょう?」
「うん…そうだけど…」
「ノホが国王になって、わたくしは…わたくしは、貴方や国の為になるのなら政略結婚でも構わないわ…(でも…)」
「臣下に下った叔母上も居られるけど…」
「……」
「姉上。僕が国王になったら、政略結婚なんて無し無し」
「ノホ」
姉上がそんな事を考えていたなんて…
そりゃいつかは嫁ぐわけなんだけどね。
でも、嫌だな僕は。
遠くに行っちゃうなんて嫌だよな。
それに、どんな素敵な人だとしても僕は嫌だ。
姉上を取られちゃうわけだから。
【秘密基地】
「いよいよ次の水曜日が決戦の日だ。抜かりないように」
「はっ!」
イカリ将軍力入ってるな。
あ…スマホ壊してるし。
麗華さんも大変だな。
でもまあ、ドリームカップ登録出来たみたいだね。
まだ登録出来てないのは僕だけだ。
レッドアローは三冠馬になったから、次の年は海外に挑戦だな。
どうしよう?
春はドバイからかな?
それからキングジョージ行って、凱旋門かな?
【食堂】
《夕食を食べるハピネス国王、レイ姫、ノホ王子》
「どうだね、強い馬は生産出来たか?」
まあね。
あれ?
いつもならお姉様が先に口を開くのに…
何か考え事?
「どうしたのだ?レイ」
「あ、はい、お父様」
また嫁ぎ先の事を考えてたのかな?
僕が国王になっても姉上にはずっとここに居てもらいたいよな。
何か良い方法は無いかな?
【秘密基地】
さて、レッドアローはキングジョージを快勝して凱旋門賞に挑戦だ。
「嫌ですわ、ダンさんたら」
「す、済みません」
「フフフ」
《ふとレイ姫に目をやるノホ王子》
楽しそうに笑ってる。
いつもの姉上だ。
そんなに心配する事無いかな?
嫁ぐのは先の話しだし…
ずっとずっと先なら良いのにな。
「オーナー、いよいよ凱旋門賞の発走ですね、レッドアローを応援しましょう!」
良し良し、頑張ってくれよ。
スタートだ!
スローペースだな。
4コーナーでよーいドンになるパターンか?
レッドアローは先行してるけど…
あ、押し出されてハナに立った。
まあ、スカーレットの子だから逃げられるけどね。
そう言えば、エルコンドルパサーも逃げて2着に粘ったんだよな。
いやいや、ここは勝たないと。
第3コーナーで後ろの馬達が詰めて来た。
第4コーナー、馬群に飲み込まれるなよ。
並びかけられて、二枚腰使った!
長い直線だ。
まだ先頭走ってる。
そのまま行けーーー!
うおっ!二の足使った!
ゴール!
よっしゃ!3馬身差の圧勝だ。
あ、ドリームカップ登録?
勿論Yes。
はあ…
やっと僕の馬もドリームカップに登録出来たぞ。
「皆さ~ん。お茶に致しません事?」
「はーい(姉上嬉しそうだね)」
【秘密基地のリビング】
「クッキーはいかが?ここのキッチンを借りて焼きましたのよ」
「おおっ、美味そうっスね」
また一番最初にダン君に配ってる。
「姫様、これは中々美味しいクッキーですな」
「ありがとうイカリ将軍、嬉しいですわ」
イカリ将軍あれで甘い物大好きなんだよな。
「いよいよ明日夜8時が決戦なのね」
「そうだ。皆んなしっかり準備しておくように」
「皆さん頑張りましょう!」
いつもならイカリ将軍が締めるのに、麗華さんが締めた。
イカリ将軍姉上のクッキーを嬉しそうにほうばってる。
【秘密基地】
《水曜日の夜》
さあ、もうすぐドリームカップが始まるぞ。
スプリント、マイル、クラシックディスタンス、牝馬限定戦、長距離、ダートなど、色々なレースが有るんだけど、掲示板に載るとポイントが貰えるんだ。
1着が5点、2着4点、3着3点、4着2点、5着1点で、多くポイントを取った国が勝ちになる。
僕のレッドアローは、クラシックディスタンスに出走するんだ。
ハンナさんの馬はダートに、姉上の馬は牝馬限定戦に出走するみたいだね。
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