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第11章 今度は競馬〜

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【ノホ王子の部屋】

《朝6時スマホから声が》

「おはよう、朝よ。起きて」

「う、う~ん」

「お・き・て。遅刻するわよ~」

《ノホ王子はベッドの中からもぞもぞと手を伸ばしてスマホを取る》

「おはよう、マーサさん」

マーサさんの声で起きられるって幸せだよな。

ずっと聞いていたい。

《ノホ王子はアプリを開く》

「おはようございますオーナー。来週の水曜日はドリームカップが開催されます。強い馬を生産して、絶対に勝ちましょうね!」

あ、今度の戦争は競馬だった。

次の国際会議をどこの国でやるかを決めるらしい。

父上が、今回はハポネスに来てほしいみたいだから、頑張らないとね。

戦争の時だけは、普段遊べるダービードリームとは別になっているんだよな。

普通に皆んなが遊んでる時の牧場とは別に生産牧場が有って、そこで生産する事になる。

セリでも、外国産馬や海外の繁殖牝馬、種牡馬などは買えないんだ。

全て現実世界で今自国に居る馬達でやらないといけない。

ドリームカップに出るには、まず国内のGIを軽く勝てるレベルで、海外のGIに挑戦する。

海外の主要なGIを勝てたら、ドリームカップに登録許可が出るんだ。

そして、凱旋門賞を強い勝ち方で勝てるぐらいじゃないと、ドリームカップに出られても勝つ事は出来ないね。

牝馬好きの僕は、つい女の子の生産に力を入れちゃうんだけど、普通に考えると牡馬の方が強いから不利だよな。

だけど、その牡馬をやっつけちゃうような女傑が生まれたら嬉しいんだよね。

まあさ、実際の競馬でも凱旋門賞は3歳牝馬が結構勝ってるし、頑張りましょう。

ただ、ドリームカップは凱旋門賞程の斤量差(ハンデ)が無いからな、そうなると古馬の方が強いかもね。

早熟な仔より、古馬になっても伸びしろの有る仔が良いよな。

うーん、どうしよう?

3歳クラシックを勝てる仔って、早熟な仔が多いけど…

でも、本当に強い馬は3歳時が成長のピークじゃなくても勝っちゃうんだよね。

彼女みたいに。

僕の一番好きなきな馬、エアグルーヴ。

そういう馬を生産しよう。

「あっ!と」

早く食事をして図書館に行かないと、またガミガミ夫人のお説教もらうぞ!

【秘密基地】

《タブレットを持って汗汗のイカリ将軍の周りに士官達が集まって何やら相談している》

「うーむ、競走馬の事はさっぱりわからんわい。軍馬ならわかるのだが」

「国王陛下はお詳しいのでしょうね」

「競走馬を持って居られるからな」

「それなら、ノホ王子もお詳しいかしら?」

「どうだろう?詳しいかもな」

「皆さん。おはようございます」

「姫様。おはようございます」

「そうだ!姫様もお詳しいのでは?」

《士官達が一斉にレイ姫を取り囲む》

「え?馬ですか?わたくしはわかりませんけれど、ノホなら」

「まだいらっしゃらないわね」

「ノホは今、ガミさんのお勉強の時間です」

「今日はお説教無いと良いけどな」

【図書館】

「わかりましたか?王子」

「はい」

「宜しい。では、今日はこのぐらいにしておきましょう」

やった!終わった~

「ありがとうございました」

《ノホ王子はパソコンを抱えて走り出す》

「王子!」

「はいっ!」

今日はちゃんと集中して勉強したんだ。

お説教は無しにしてよね、ガミガミ夫人。

「図書館では静かにお歩きなさい」

そ、そうだった。

「はい」

《ノホ王子は静かに出口に向かう》

【庭園】

《図書館を出ると庭園を走るノホ王子》

早く秘密基地に行って、クルーを立ち上げないと!

【秘密基地】

「これは、繁殖牝馬の代を重ねた方が良いわね」

「強い男馬を種馬に出来れば良いな」

僕が秘密基地に来てみると、皆んなで生産について相談しているところだった。

「自分の牧場だけでは種付けが難しいわね」

「フレの牧場なら、種付けさせてもらえるよ。繁殖牝馬も売ってもらえるんじゃないかな?「良い」って言えばだけど」

種牡馬リストbook fullになっていてもフレの牧場なら大丈夫みたいだ。

さて、僕も頑張ろう。

良し、クルーを立ち上げたぞ。

クルーメンバーがドリームカップに出られたら、着順でポイントになるから、そのポイントが多い国が勝ちなんだ。

皆んな頑張ってくれよ。

「オーナー、種付けのシーズンになりました」

ああ、良い声だなあ。

このゲーム、秘書が何人か居るけど変えられないよね。

だって、マーサさんの声だもん。

他の人に出来ないでしょう。

さて、種付けだけど、繁殖牝馬の良いのを買いに行ってみようかな?

フレの牧場に…うーん、イカリ将軍の牧場には僕が欲しい馬は居ないね。

あ、フレンド申請。

あれ?

イクメンパパさんて、あのイクメンパパさん?

レースの時一緒だった人かな?

フレンド承認してと…

ちょっと牧場覗いてみるか。

えーーーっ?!

ダイワスカーレットが居る!!!

まさか、売ってくれたりしないよね?

ダメ元で一応交渉しておこう。

後で連絡来るの待つんだけど、ドキドキするよね。

エアグルーヴの次に好きな馬だもんな。

「王子、インブリードって何です?」

「血統表の中に同じ馬が入ってると、インブリードになるんだよ。極端な近親配合だと、体質の弱い仔や、気性の悪い仔が生まれたりする。疲れやすいとかね」

「なるほど、俺このゲームハマりそうっス。種付けが、奥が深くて面白い」

そうそう。

僕もそれで馬が好きになったんだよな。

ダン君、どんな馬を生産するのか楽しみだね。

あ!!

ダイワスカーレット売ってくれるって!!!

良ーし!

スカーレットの仔でドリームカップ出るぞ!

良いお婿さん探してあげないとね。

《ノホ王子は種牡馬ページを開いて配合を研究する》

はあ、スカーレットって、メジャーな血の集合体みたいな仔だから、インブリードが濃くなり過ぎて、中々相手が居ないんだよな。

これは、オリジナル種牡馬しか無いかな?

ノーザンもサンデーも入って無い種牡馬だな。

これは大変だぞ。

そして、僕がその事を話すと、皆んなが協力してくれた。

サンデーもノーザンも入っていない強い牡馬を生産するのはとても大変だけど、皆んなで頑張ろうって事になったんだ。

繁殖牝馬は、状態の良い悪いが有るから、とりあえず今年種付けしておいて、次の年はどうかな?配合次第かな?

良い男馬が種牡馬入り出来た時、スカーレットの状態を◎にしたいからね。

今年は、アウトブリードで丈夫な仔を産んでもらいますか。

でも、そのアウトブリードの種牡馬を探すのがまた大変だったりするけど。

種牡馬リストを上から見て行くしかないね。

うーん、スカーレットの相手には能力的に不足だけど、この仔しか居ないか。

アウトブリードだし、とにかく健康な仔を産んでほしいから、この仔に種付けしよう。

まあ、いきなり走る仔は出ないだろうけど、牝馬なら、代を重ねて良い仔が産まれると良いね。

【食堂】

《夕食を食べるハピネス国王、レイ姫、ノホ王子。料理が運ばれて来る》

「失礼致します。エリンギのブルゴーニュ風でございます」

「ありがとう」

《微笑むレイ姫》

「どうじゃ?強い馬は生産出来たか?」

あれ?

今回の戦争は競馬だって、父上に話したっけ?

お姉様から聞いたのかな?

「わたくしの馬は、国内のGIを勝てるぐらいにはなりましたけれど、まだまだです」

「僕もそうだね」

「ダイワスカーレットは、良い仔を産んだか?」

あれあれ?

やっぱりおかしいよね?

「父上が何故、ダイワスカーレットが私の牧場に居るとご存知なのです?」

「おっ!そ、それは…」

「お父様は馬がお好きですもの、ノホの好きな馬もご存知ですわね?」

「も、勿論じゃ。ホッホッホッ」

何か変だよね?

「そ、それは…」とか「も、勿論」て、ちょっと慌てたりして。

ま、良いか。

食事が終わったら、早く秘密基地に行ってゲームしなきゃ。

【秘密基地】

「オーナー、いよいよダービーてすね。きっと頑張ってくれます。私達も精一杯応援しましょう」

「はーい」

つい返事しちゃう。

マーサさんの声だもんね、僕の秘書。

【サロン】

《ハピネス国王がパソコンを開いている》

「シェリー。これはチャットはどうするのじゃ?」

「チャットは、ここをクリックです陛下」

「フムフム」

「そろそろイクメンパパさんの正体を明かされてはいかがですか?」

「いやいや、こうして内緒で手伝うのも楽しいものじゃ」

「足長おじさんみたいですね」

「そうじゃ、そうじゃ」

【秘密基地】

「先日のカンの国との戦争は敗北した。今度もまた負けというわけにはいかんからな」

そうだね。

カンの国の人達~今のうちに沢山美味しい魚を食べてね~

次の海域戦は僕達ハポネスが勝つからね~

っと、その前に、競馬だね。

GI勝たないと海外挑戦出来ないからな。

幼駒見てみよう。

「中々バネが有って将来が楽しみですね」

牧場長のコメントだ。

このコメントが出たら、重賞は勝てる感じ。

当歳だから2年後のデビューが楽しみだね。

牝馬だから桜花賞か、間に合えばジュベナイルフィリーズ。

早熟でジュべナイル勝つより、ギリで桜花賞間に合うか、トライアルでオークスぐらいの馬が僕は好き。

まあ、ダイワスカーレットみたいな怪物なら成長まだでもジュべナイル勝っちゃうけどね。

「オーナー、ダイワスカーレットの出産が始まります。行ってみましょう」

あ、スカーレットがうちの牧場で初めて産んでくれる赤ちゃんだ。

「産まれましたね、元気な女の子です」

「お母さんに良く似た美しい栗毛ですね」

うわぁ、本当だ。

可愛いなあ。

アウトブリードだし、丈夫そうだね。

この仔を基礎繁殖牝馬に出来たら良いな。

そして…

ダイワスカーレットの仔がデビューの年になった。

「いよいよ入厩ですね、素敵な名前を付けてあげてください」

そうだ、名前を決めなくちゃ。

うーん、どうしよう?

何にしようかな?

フェアリーファースト。

女の子の冠名がフェアリーで、スカーレットが初めて産んでくれた仔だからファースト。

うん、これにしよう。

「フェアリーファーストで良いですか?」

OKをタップして…

「それでは入厩させます。活躍してくれると良いですね」

そうそう、このゲームPCじゃなくてスマホなんだけど…

《部屋を見回すノホ王子》

居た居た。

イカリ将軍スマホ壊したりしないよね?

まあ、これはアクション系とかと違うから大丈夫だと思うけど。

「パパ、そんなに力を入れたらスマホが壊れちゃうわ」

「ここではパパはやめろと言っただろう」

「ごめんなさい、スマホが壊れそうだからつい」

はあ…

麗華さんに言われてる。

やっぱり汗汗でスマホ握ってるし。

まあ、麗華さんが居るから大丈夫か。

【サロン】

「陛下、いよいよ凱旋門賞挑戦ですね」

「うんうん、良くここまで成長してくれたものじゃ」

「陛下は血統にお詳しいから、良い馬が生産出来たのですわ」

「このゲームは中々良く出来ておる。余の血統の知識を活かせるので良かったわい。シェリーも随分勉強したようじゃな」

「私はただの知りたがりです。でも、血統は奥が深くて夢中になりますね」

「ふおっ、ふおっ、ふおっ、そうじゃろう?」

「陛下、凱旋門賞の発走です!」

「頑張るのじゃぞ」

《ゲートが開きスタート!ハピネス国王の馬ノーブルブルーがロンシャンのコースを走る》

「あんなに後ろを走っておって良いのかのう?」

「大丈夫ですよ、あの仔はきっと、長い直線を追い込んで来ます」

《第4コーナー、ノーブルブルーはまだ後ろ》

「頑張ってー!ノーブルブルー!」

「そこじゃ!」

《直線に向いて団子状態》

「それ行け!」

《ノーブルブルーは弾けるように追い上げる》

「もう少しよ!」

《ノーブルブルーの猛追!ゴール!!》

「やりおった!」

「3馬身も突き放して見事勝ちましたね、陛下」

「種牡馬になるのが楽しみじゃわい」

「おや?何じゃ?このウィンドウは?」

「ドリームカップに登録しますか?ですって!」

「おう、そうか、そうか」

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