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第13章 頑張れハポネス王国の馬達

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「始まったぞ!まずはスプリントからか。我が国の馬は出ているか?」

「将軍、ほら、このノーブルフラワーがそうよ」

「おお、そうか」

イカリ将軍スマホ壊さないでよ。

麗華さんは楽しそうだな。

あの夫婦仲良いもんな。

こうして一緒に何か出来るって良いよね。

まあ、これは戦争なんだけど。

【サロン】

「ノーブルフラワー頑張るのじゃ!」

「もう少しよ!頑張って!」

《タブレットを覗き込むハピネス国王とシェリー》

「前の馬が止まらんな」

「ゴール!3着です陛下」

「負けてしまったか」

「でも、掲示板に載りましたので、ポイントは貰えますよ」

【秘密基地】

ハンナさんの馬はダートで入着。

「うおー!私の馬が着外だとー?!」

イカリ将軍と麗華さんの馬は掲示板を外しちゃった。

「やはりフランツの国やスコット王国の馬は強いですわね」

「姉上の馬は、次の牝馬限定戦だね。何て名前?」

「ホワイトフェアリーよ」

その次のマイル戦に出るのはダン君の馬だね。

スタート!

「頑張って~無事に回って来るのよ~」

お姉様、馬の心配してる。

そうなんだよな。

ゲームなんだけど、怪我をしたり、最悪予後不良も有るんだよね。

僕は、晩成の仔で、やっと活躍出来ると思った矢先予後不良になって泣いた事が有るんだ。

「もう少しよ!頑張って~」

「頑張れ!ホワイトフェアリー!」

凄い足で追い込んで来たぞ。

届くのか?

ゴール!

どっちだ?

掲示板が挙がった。

ホワイトフェアリーは2着。

「残念、もう少しだったのに…でも、怪我をしなくて良かったわ」

マイル戦が始まった。

あれ?お姉様?

《キョロキョロと見回すノホ王子》

居た居た。

いつの間にかダン君のタブレット覗いてる。

「もう少しよ!頑張って!そのまま逃げ切るのよ!」

「やった!やりました!姫様の応援のおかげです」

「頑張ったわね、良い子よ」

ハハ、姉上、ダン君の馬を褒めてる。

さて、いよいよ僕の馬の番だ。

「私ちょっと簡単に計算してみたんですけど…トップはフランツの国ですね、次がスコット王国で…」

「ハンナ、我が国はどの辺りなのだ?」

「お待ち下さい…ざっと計算したところ…メリケン国と我が国で3位を争っているようです」

「逆転は有りそうか?」

「確かな数字ではないので何とも言えませんが…」

そうか…

ここはとにかく、レッドアローに頑張ってもらわないとね。

「登録…」

《レイ姫は出走登録する》

「あら、登録出来ましたわ。同じ馬で登録出来ますのね」

ああ、そうなんだ。

実際の競馬だと有り得ないんだけど、ゲームだからね。

ドリームカップだけは、調子落ちや疲労が無いから、距離や馬場適性が合えば同じ馬でいくつものレースに出走可能なんだよな。

って、ホワイトフェアリーがパドックに居る!

登録って、僕のレッドアローと同じレース?

「そうか、ホワイトフェアリーはオークス勝ってるから、クラシックディスタンス走れるもんね」

「三冠牝馬っスよね?姫?」

「ええ、そうです」

《嬉しそうに答えるレイ姫にポーっとするダン》

さーて、ゲートインだ。

スタート!

レッドアローは前の方につけているな。

「ホワイトフェアリーそんなに後ろで良いのかしら?」

ああ、姉上の馬は一番後ろを走ってるな、追い込みだっけ?

あ!うちの馬が押し出されてハナに立った。

ここ直線長いんだよな、大丈夫か?

あれあれ?

いつの間にか大逃げになってるぞ。

第3コーナーでもまだ1頭だけ大逃げしてる。

3、4コーナー中間、ホワイトフェアリーが動いた。

まくり気味に上がって来るぞ。

ここ直線長いのに大丈夫か?

って!

レッドアローもだよ。

うちの国2頭出しで、2頭とも潰れたらどうしょうもないぞ。

大逃げのまま直線に向いた。

後ろ来ないぞ、そのまま行けーーー!

後ろは団子だ。

と、思ったら1頭凄い足で追い上げて来た。

頑張れ、レッドアロー!

え?あの馬…

ホワイトフェアリーだ。

ホワイトフェアリーが凄い足で来てる。

並びかけられた。

ゴール!

やった!

「姉上!ワンツーフィニッシュ!」

「ええ、頑張ったわね」

「おお!やりましたな」

「これで9ポイント追加されたっスね」

「今、国ごとのポイントが集計されてるようです」

逆転出来たかな?

「出ました!僅差で勝ってます!我が国の勝利です!」

「わー!」

「おー!」

これで、父上の望み通り次の国際会議はハポネスで開催されるね。

「皆んな良くやった。次のカンの国との戦争はまたワールドだが、いつもの地域戦ではなく釣り大会に決まったぞ」

釣大会かあ、釣りゲーとか結構好きなんだよな。

まあさ、カンの国とはお魚さんを捕る漁場にどっちの国が入るかを争ってるわけだしね。

良いんしゃない?釣り大会。

でも、あの世界は全部自分達で作り出さなきゃいけないからな。

それは大変だけど、だから面白いんだよね。

まずはルアー作らないとかぁ?

色々集めたくなるよな。

虫とか餌に出来そうだけど…

竿やリールも作らないといけないな。

「ノホ、お部屋に帰って休みなさいね。また遅くまて起きていたら、朝起きられなくて、ガミさんに叱られるわよ」

「そ、そうだね」

マーサさんの優しい声で気持ち良く目覚める筈が、いつの間にかガミガミ夫人のお説教になってたなんて、考えただけで((´д`)) ブルブル…

【ノホ王子の部屋】

アラームはセットした~

寝るにはまだ早いから、少しやっておこう。

まずは、竹を切って来て竿を作ろうかな?

あ、ギルドに店が出来てる。

釣り道具が作れるようになってるぞ。

なるほどね、次の釣り大会が決まったからか。

えーっと、竿を作る材料は…やっぱり竹だ。

あの辺に竹やぶが有ったな、行ってみよう。

竹ゲット!

ギルドに帰って作ってもらおう。

良し、取り敢えず竿は出来たぞ。

リールは…何だかわからないけど、釘とか色々集めてたので作れるな。

出来た。

釣りに行ってみよう。

取り敢えず近くの海か?

餌は虫だな。

何が釣れるんだろう?

《糸を垂れて魚が近づくと魚の目線になる》

ほうほう、これルアーだと、ちゃんと動かして誘わないと食いつかない感じ?

凄いリアル。

ヒット!

竿を左右に動かして…と。

ミノカサゴが釣れた!

釣った魚はそのまま売るより、池で育ててから売った方が高く売れるから、入れとこ。

うわっ、もう寝なきゃ。

《慌ててベッドに潜り込むノホ王子。そして、翌朝》

「おはようございます」

う、う~ん…

「さあ出かけましょう。今日は釣り日和ですよ」

「おはよう、マーサさん」

釣り日和ですか。

そんなセリフも有ったんだね。

【秘密基地】

「今日は良いお天気ですわね~。お庭に出ませんか?」

「え?」

《微笑むレイ姫》

「は、はいっ!」

「フフフ」

【庭園】

《図書館からノホ王子が出て走る》

今日は珍しくガミガミ夫人のお説教が無かったから遅くならなくて良かったよ。

でも、早く秘密基地に行ってゲームしたいから、やっぱりいつもみたいに走っちゃうんだよな。

あれ?

《ノホ王子は離宮近くで走るのをやめる》

姉上とダン君だ。

「わたくし釣りは良くわかりませんの、教えて下さいませんか?」

「は、はい。俺で良ければ」

「では、パテお願いします」

「了解です。まず釣り道具を作る材料を集めに行きましょう」

「はい」

姉上、前はいつも僕に聞いてたのに…

《楽しそうに笑うレイ姫とダン。ノホ王子は離宮に入って行く》

【離宮(秘密基地)】

「あら、ノホ王子。今日は早いですね」

「あ…うん」

「どうしたんですか?何だか元気が無いみたいですけど」

「いやぁ…」

ハンナさんがお茶を入れてくれた。

ここでは僕が一番年下で、他の人は皆んな大人なんだよな…

姉上だって僕より3つ上だから、来年は20歳だし。

ここに居る人達は軍の中でも選りすぐりの士官。

ちょっと前までは、本当に戦地に行ってたんだ。

もしかしたら命を落としていたかも知れない。

そんなの嫌だよ。

本当に、戦争がゲームで決着つけるようになって良かった。

もう誰も死んだりしないし、ケガだってしない。

「うおー!糸が切れた!大物を逃がしたぞ!」

「パパ!またスマホを握り潰して…ちょっと手を見せてご覧なさい」

「麗華、ここではパパと呼ぶなと言っただろ」

あちゃー、居たよ。

戦争がゲームになってもケガする人が…

まあ、麗華さんが居るから大丈夫か。

看護師さんだもんな。

《レイ姫とダンが話しながら入って来る。二人に目をやるノホ王子》

あの二人楽しそうだな。

もしかして良い感じ?

ハハ…まさかね。

でも、ダン君なら…

そりゃ姉上に恋人が出来たりしたら、ちょっと嫌かな?

結婚なんて考えたくないけど…

でも、ダン君なら…

そんなに嫌じゃないかも?

あ、パテ誘われた。

パテ茶
/美味しいメロンパン/ヨロシクです♪d(*'-^*)b♪

ハンナさんだ。

/聖騎士/宜しくです~
/美味しいメロンパン/あそこ、焼肉さんかしら?
/聖騎士/あ、そうみたいだね
/美味しいメロンパン/誘ってみますね(^_-)-☆
/焼肉定食ご飯大盛り/宜しくお願いします
/美味しいメロンパン/よろしくっ(´∇`)
/聖騎士/宜しくです(=^^=)

「ダンさん。急に釣れなくなりましたの?どうしてでしょう?」

「この時間魚は底の方に居ますので、餌を変えた方が良いです」

「まあ、そうなんですのね?どれが良いのかしら?」

「虫よりもミミズが良いです」

「釣れましたわ!凄いです!ダンさんの言う通りにしたら釣れました!」

姉上嬉しそうだな。

ダン君と結婚したら兄上になるわけか。

それは嬉しいかも。

でもまだそうと決まったわけじゃないし。

だけど、そうなったら遠くに嫁ぐ心配が無くなるんだよな。

ここはダン君に頑張ってもらいますか。

姉上がダン君に恋してるかどうかはわからないけど、好意を持ってる事は確かだしね。

「わたくしお茶を入れて参りますわ」

あ、チャンス?

「ダン君」

「王子。何スか?」

「あのね、姉上と正式に付き合う気無い?」

「えーーーっ!?」

「お、俺は、その、お付き合いだなんてとんでもない事です」

「好きじゃないの?」

「憧れの人っスけど、まさかそんな…」

「じゃあ、姉上がよその国の王室に嫁いでも良いの?」

「えっ?」

やっぱり青くなってる。

好きなんじゃないか。

「ダン君?」

ダメだ、固まってるよ。

アニメだと青くなって魂口から出ちゃってる感じ?

ちょっと触ったら粉々に砕けそうだね。

どうしたもんかなあ?

何とかデートさせる方法を考えるか。

と、言っても城から出たりは出来ないし…

そうだ!

今度の公務の時ダン君を姉上の護衛にすれば良いんだ。

僕も一緒に行くから、上手く二人だけに出来れば…

って、大丈夫かあ?

ま、まあ、前ほど緊張しなくなったよな。

二人でゲームしたりしてるし。

「イカリ将軍」

「はっ」

「今度の公務だけど、僕達の護衛にダン君も入れといて」

「ダンをですか?わかりました。そのように計らいます」

近くに良い所が有ったかな?

えーっと…

《ノホ王子はスマホで調べる》

ああ、ここが良いや。

お花畑とか有るから姉上が喜びそうだね。

平日だし、貸し切りにしてもらおう。

「お茶にしましょう」

ありゃ、ダン君まだ青くなって固まってるよ。

「ダンさん?どうなさいましたの?」

「ひ、姫様が…」

「わたくしが?」

「よその国の王室に嫁がれるなんて…」

「え?」

「そんなの嫌ですー…わーん」

「な、泣かないで下さい。わたくしはどこへも参りません」

「わーん…」

「ぐすん」

ありゃ…

二人で泣いてるし。

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