『ツインソウル物語3』“初恋”

大輝

文字の大きさ
20 / 25

第20章 シンクロする2人

しおりを挟む
【響の宿舎】

今日は璃子は学校だし、1人で行くか…

倉吉ぐらい1人でも行けるぞ。

バスに乗れば良いだけなんだからな。

【バス停】

シロの避妊手術が済んだので、倉吉の動物病院まで迎えに行くんだ。

【バスの中】

関金から小鴨川を渡ると河原町って、言ってたっけな?

かーら町(河原町)の角の菓子屋のかへいさんが、蚊に噛まれてかいー、かかあ掻いてごしぇ、かかあもかいーけ、よう掻かん。

【倉吉の町】

夕方に来てください、って言われたから、まだ少し早いか。

どうしよう?

どこか観光スポットでも行くか?

こういう時は、いつも璃子が仕切って、僕はついて行くだけだからな。

1人だと、どうして良いのかわからないぞ。

倉吉絣は、見せてもらえるのかな?

〈スマホで倉吉観光案内を調べる響〉

はあ、絣の着物を着て町を歩いて、写真撮影が出来るのか。

璃子が喜びそうだよな。

今度一緒の時にしよう。

1人で行ったら、文句言われそうだもんな。

梨っこ館に行くか。

【梨っこ館】

うわ~凄い老木が有る。

あ、ナッシーだ。

可愛いな。

世界の梨が有るぞ。

歴史も学べるようになってるんだな。

梨は、カリウムが多く含まれていて、高血圧や脳卒中の予防になるのか。

【梨っこ館前】

楽しく学べたぞ。

まだ時間が有るか。

お婆ちゃんが良く言っていた、打吹公園に行ってみるかな?

せっかくだから、白壁土蔵を回って行こう。

【白壁土蔵群】

うわ~この景色だ。

お婆ちゃんは川が流れてる、って言ってたぞ。

ああ、本当だ。

向こうに川が有る。

昔の倉が、今はレストランになってるよ、って言ってたな。

白壁土蔵群は、重要伝統的建造物群保存地区なのか。


【打吹公園】

ここが、打吹公園だ。

日本さくら名所100選、日本の都市公園100選、森林浴の森100選に選ばれているのか。

羽衣池?

羽衣を隠されて、下界の男性と結婚した天女が、羽衣を見つけて、子供を地上に残したまま天に帰ったと言う打吹山の伝説か。

あれ?

お袋が三味線で弾く常磐津の松迺羽衣って、三保の松原の漁師白竜と天女の話しだよな。

あのお袋、あれで常磐津の師範だからな。

お師匠さんは、特別無形文化財だ。

羽衣はお袋の得意な曲で、弾き唄いしてるけど、唄の意味が良くわからないもんな…

なんて言ったら「だからお稽古なさい、って言ったでしょう」って、お袋に怒られそうだけどな。

「天女の池だって、素敵!」

うん?

「あら、響」

やっぱり璃子の声だったか。

一本木先生も一緒だ。

「学校じゃなかったのか?」

「終わったから来たのよ」

はあ、またデートの邪魔してるのか?僕は…

「シロ迎えに行くから、またな」

「私も行く」

「何言ってるんだよ、デート中だろ」

「あ、そうか」

「いや、俺、はっきり断られたんだ」

「え?お前、断っといて付き合わせてるのか?」

「今は、普通にお友達よ」

「お前なあ」

「良いんだ、良いんだ、普通にする約束だから」

はあ、一本木先生は人が良いな。

断られたって、そう簡単に気持ち切り替えられるのか?

まあ、気まずくなるより良いけどな。

【倉吉の町】

結局3人でシロを迎えに行った。

早く連れて帰ってやろう。

マエストロは、浅田が見てくれてるけどな。


【響の宿舎】

〈シロの尻尾にじゃれて飛び回るマエストロ〉

「ニャニャ、ニャ」

シロの避妊もしたし、チャコは町猫なので、ボランティアの人が去勢してくれたから、もう赤ちゃんが生まれる事は無い。

こんなに可愛いの、もう見られないんだな。

「マエストロ」

「ミュー」

「出かけて来るから、ママと良い子にしてるんだぞ」

シロとマエストロは、浅田が見ててくれるから、お盆休みは東京に帰るんだ。

【東京の鐘城家】

「ただいま」

「お帰り」

【キッチン】

「お婆ちゃんは?」

「もう寝てるんじゃない?」

「そうか」

「明日、大学に行って来る」

【横浜のマンション】

「せっかく来たのに、パパは明日も仕事なのね」

「病気は待ってくれないからな。香も医者になるなら、覚悟しておけよ」

「そうね」

「涼子はどうしてる?」

「お姉ちゃんの神社、もうすぐ盆踊りだから」

「そうか」

【川原家】

「お婆ちゃんの煮物は、やっぱり美味しい」

「響、お嫁さんが料理を作ってくれたら、お母さんの味と違うとか、お婆ちゃんの方が美味しいとか、言ったらダメよ」

「うん、お袋もそう言ってた」

けど…

お嫁さんは、まだだから。

「ごちそうさま。大学行って来るね」

私が生きてる間に、結婚してよ。

響は、100まで生きろ、って言ってくれるけど…

まあ、丁度100まで生きた姉も居るから、頑張りますか。

【オルフェウス音楽院正門前】

ああ、久々に来たぞ。

秋は、学内コンクールとオルフェウス音楽祭だな。


【裏庭】

ピアノが聞こえる。

今日は、城咲先生か?

国際コンクールをいくつも優勝して、ショパンコンクール1位無しの2位になった翌年帰国して講師になったんだ。

今は、助教授だけどな。

ここの卒業生だけど、彼女がこの学校に居たのは小学校までで、ヨーロッパに留学したんだ。

ここは中学までは普通科で、高校から普通科と音楽院のどちらか選べるようになっていて、大学は音楽院だけだ。

元々音楽院だったところに、後から普通科が出来たんだよな。

【正門前】

ここが、オルフェウス音楽院。

響先生は、ここに通ってたのね。

こんなに近くに居たの。

本当に、すれ違っていたかも知れないわね。

【並木道】

温室で野菜を作っていて、カフェで食べられるんだけど、音楽を聴かせて育てた野菜なんだよな。

僕はピアノだからやらなかったけど、オルフェウス・アカデミー・オーケストラの人達が交代で演奏しているんだ。

今日は、誰か居るかな?

ちょっと寄ってみるか。

【温室】

誰も居ないか。

さすがに夏は暑いから皆んな嫌がってたもんな。

【正門前】

〈夕方〉

さて、お腹が空いたな。

何か食べに行くか。

【中華街】

お買い物もしたし、帰ろうかな?

〈店から響が出て来る〉

「あれ?」

「え?」

〈しばらく固まる2人〉

「どうして?先生の家東京でしょう?」

「大学に用が有って」

「じゃあ、さっきまで大学に?」

「うん、居た」

もしかして…私が通りかかった時も?

「香は、どうして横浜に居るんだ?」

「父に会いに来たんです」

「そうか、オルフェウスの近くだったな」

「先生の家は、東京のどこですか?」

「中野だよ。中央線の中野駅から15分ぐらい」


「そうだ、私行きたい所が有るんです」

「気をつけてな」

「あ、知らない町で生徒を1人にして心配じゃないんですか?」

「え?だって昔住んでただろ」

「7才までです」

「お父さんの家近いし」

「心配じゃないのね」

「いや、心配。凄ーく心配」

「ウフフ」

【遊園地入り口】

で、結局一緒に来てしまった。

まあ、保護者だな。

「初めてのデートね」

「違う違う、僕は保護者だから」

「フフフ」

何を言っても嬉しそうに笑っている。

本当に、いつも、香の笑顔は輝いているな。

【遊園地の中】

「乗りましょう」

「え?これ…乗るのか?」

「どうしてそんな嫌な顔するんですか?」

「……」

「先生はこの白い馬ね、私は馬車」

女の子は、好きだよな…

メリーゴーランド。

ああ、恥ずかしい。

〈夜になると、遊園地はライトアップされて、星空の中に浮かび上がる〉

「次は、あれに乗りましょう」

「え?」

「もしかして、怖いんですか?」

「いや…」

乗りました。

観覧車。

怖いのは、高い所じゃなくて狭い所です。

そして、こんな所で、君と2人っきりになる事だよ、はあ…。

「夜は綺麗ね」

「そうだな」

「あ、夜に誰かと乗った事有るんですか?」

「無い無い」

「本当かしら?」

「本当だよ…たぶん」

「たぶん?」

「無いです」(汗)

そんなの忘れちゃったけどな…

だから、たぶん。

「私は、小さい頃父と良く乗りました。でも、夜は初めて」

そうなのか。

「ロマンチックね」

ロマンチックになられても…

困るんですけどね…

ドキドキするな、落ち着け、相手は生徒だぞ。

「あ、そうだ。先生の切らさない食材って、何ですか?」

「うーん、ミルクと卵かな?」

コッコちゃんが産んでくれるし、昔から毎日食べてたぞ。

「覚えておきます」

って、嬉しそうに笑ってるな。

人の気も知らないで…


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...