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19、エルフの集落。2

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(やっぱり、こういう感じなのか。)

リグは、永遠と広がる豊かな田舎の中にぽつんと建てられた、やけに近代的な建物を見上げた。

そして、目をそらし、周りへと目を向ける。

(うん、田んぼがあって、木造の家があって、なんていうか、スローライフって感じでいいよね。)

リグは、なかば思考停止のような形で、エルフの集落に関しての事を思い出していた。

ーーーーーーー

なんというか、エルフの村に来るっていうのは、今は相当なもの好きだけだから、人間っていうのは、本当に彼らにとっては珍しい筈なんだけど、話しかけられたのは検問の時だけで、他では話しかける訳でもなく、無関心、といった様子だった。

今では物好きしか来ない、といったのは、この無関心によるものもあるのだが、それ以上に、恐怖、といった感情も多くあった。

ずっと昔、エルフの存在が確認された頃、多くの学者や研究者が訪れ、人々に集落の様子の詳細を教えて回った。

エルフは、人間に対して、警戒心を持って接している訳でもなかったので、特に規制を行う訳でもなく、基本的に訪れる人間を受け入れてた。

よって、多くの冒険者も訪れるようになる。

リグが、イメージ通り、といったのもこれらから得た情報から見たものであった。

彼ら曰く、エルフは、耳が長い、絶世の美男美女であり、自給自足生活を送る、武術に長けた存在であると。

それを聞いたある国の王様が、そのエルフの女性を我が物にしようと、数千という先鋭を集めた軍を手配して向かわせた。

誰もが、エルフを気の毒に思い、憐れみの感情を向けていたのだが、



結果は…全滅だった。


全滅と記されている以上、この先の話に信憑性があるかどうかは怪しいところではあるが、

曰く、おどろおどろしい魔物達の住む森をなんとか抜けた後、エルフの集落で女性を連れていこうと制圧に乗り出すと、逆に一瞬にして全滅させられてしまったとか。

(うーん…そうとは思えないほど、平和でいいところだなあ。

木造の家と田んぼがスローライフ!って感じだし。

2回は思っちゃう程に。)

(うーん、それにしても、商会ってどこにあるんだろう。

いやー、見つからないなあ。

結構歩いたのに、不思議だなあ。

まさかこんな素晴らしい風景の中に違和感以外の何者でもないこの近代的な建造物なわけがないしなあ。)




「……………はい。入りますか。」


リグは、その重苦しい足を、商会の入り口へと向けた。

『エルフの商会』と、大きく記されたその建物へと。




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