19 / 26
19、エルフの集落。2
しおりを挟む(やっぱり、こういう感じなのか。)
リグは、永遠と広がる豊かな田舎の中にぽつんと建てられた、やけに近代的な建物を見上げた。
そして、目をそらし、周りへと目を向ける。
(うん、田んぼがあって、木造の家があって、なんていうか、スローライフって感じでいいよね。)
リグは、なかば思考停止のような形で、エルフの集落に関しての事を思い出していた。
ーーーーーーー
なんというか、エルフの村に来るっていうのは、今は相当なもの好きだけだから、人間っていうのは、本当に彼らにとっては珍しい筈なんだけど、話しかけられたのは検問の時だけで、他では話しかける訳でもなく、無関心、といった様子だった。
今では物好きしか来ない、といったのは、この無関心によるものもあるのだが、それ以上に、恐怖、といった感情も多くあった。
ずっと昔、エルフの存在が確認された頃、多くの学者や研究者が訪れ、人々に集落の様子の詳細を教えて回った。
エルフは、人間に対して、警戒心を持って接している訳でもなかったので、特に規制を行う訳でもなく、基本的に訪れる人間を受け入れてた。
よって、多くの冒険者も訪れるようになる。
リグが、イメージ通り、といったのもこれらから得た情報から見たものであった。
彼ら曰く、エルフは、耳が長い、絶世の美男美女であり、自給自足生活を送る、武術に長けた存在であると。
それを聞いたある国の王様が、そのエルフの女性を我が物にしようと、数千という先鋭を集めた軍を手配して向かわせた。
誰もが、エルフを気の毒に思い、憐れみの感情を向けていたのだが、
結果は…全滅だった。
全滅と記されている以上、この先の話に信憑性があるかどうかは怪しいところではあるが、
曰く、おどろおどろしい魔物達の住む森をなんとか抜けた後、エルフの集落で女性を連れていこうと制圧に乗り出すと、逆に一瞬にして全滅させられてしまったとか。
(うーん…そうとは思えないほど、平和でいいところだなあ。
木造の家と田んぼがスローライフ!って感じだし。
2回は思っちゃう程に。)
(うーん、それにしても、商会ってどこにあるんだろう。
いやー、見つからないなあ。
結構歩いたのに、不思議だなあ。
まさかこんな素晴らしい風景の中に違和感以外の何者でもないこの近代的な建造物なわけがないしなあ。)
「……………はい。入りますか。」
リグは、その重苦しい足を、商会の入り口へと向けた。
『エルフの商会』と、大きく記されたその建物へと。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
聖女も聖職者も神様の声が聞こえないって本当ですか?
ねここ
ファンタジー
この世界では3歳になると教会で職業とスキルの「鑑定の儀」を受ける義務がある。
「鑑定の儀」を受けるとスキルが開放され、スキルに関連する能力を使うことができるようになり、その瞬間からスキルや身体能力、魔力のレベルアップが可能となる。
1年前に父親を亡くしたアリアは、小さな薬店を営む母メリーアンと2人暮らし。
3歳を迎えたその日、教会で「鑑定の儀」を受けたのだが、神父からは「アリア・・・あなたの職業は・・・私には分かりません。」と言われてしまう。
けれど、アリアには神様の声がしっかりと聞こえていた。
職業とスキルを伝えられた後、神様から、
『偉大な職業と多くのスキルを与えられたが、汝に使命はない。使命を担った賢者と聖女は他の地で生まれておる。汝のステータスを全て知ることができる者はこの世には存在しない。汝は汝の思うがままに生きよ。汝の人生に幸あれ。』
と言われる。
この世界に初めて顕現する職業を与えられた3歳児。
大好きなお母さん(20歳の未亡人)を狙う悪徳領主の次男から逃れるために、お父さんの親友の手を借りて、隣国に無事逃亡。
悪徳領主の次男に軽~くざまぁしたつもりが、逃げ出した国を揺るがす大事になってしまう・・・が、結果良ければすべて良し!
逃亡先の帝国で、アリアは無自覚に魔法チートを披露して、とんでも3歳児ぶりを発揮していく。
ねここの小説を読んでくださり、ありがとうございます。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
中年剣士異世界転生無双
吉口 浩
ファンタジー
アラフォーサラリーマンの大村五郎は、道端の少年を助けようとして事故死してしまう。
身を犠牲にして少年を助けようとした褒美としてファンタジー世界へと転生する五郎。
生前の特技である剣術を超人的な腕前へと強化された五郎は、無双獅子奮迅の活躍を繰り広げる。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~
SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。
物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。
4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。
そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。
現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。
異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。
けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて……
お読みいただきありがとうございます。
のんびり不定期更新です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる