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最終話 幸せな帰り道
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ついに、卒業式の日がやって来た。
ヴァンと俺は黒いガウンを着て、式に臨んだ。
この一年間、いっぱい勉強したなー。そしてヴァンと、数えきれないほどエッチをした。俺の後孔は濡れるようになった。いつでも孕める証拠だ。
俺は卒業したら、アゼルク領の学校で教壇に立つことになっている。教えるのは国語、算数、理科、社会。それに大陸共通語。どれも俺が苦戦した科目ばかりである。勉強の辛さに耐えたあと、喜びが待っていることを伝えられたらと思う。
「ヴァン。ありがとう」
「どうしたんですか、改まって」
「おまえがいなかったら俺、ただの女好きのヒヒ親父になってたと思う」
「こちらこそ、俺を選んでくれてありがとうございます。ゲームの強制力だけではなく、ご自分の意思でエドゥアール様は俺と一緒にいてくださるのですよね?」
「そうだぜ!」
俺たちは最後のキャンパスを堪能した。
マルクトくんとユーネリアさんが花束をプレゼントしてくれた。
「わたくしたちは研究科に進みますの」
「もう会えなくなっちゃうのかな、寂しいよ」
「マルクトくん、ユーネリアさん。アゼルク領に遊びにおいで」
「うん!」
元学長は先日、穏やかに息を引き取った。
彼の最期の言葉は、「マルクトとユーネリアに光あれ。そして、ラルムに平和あれ」だったという。
先人の悲しみのうえに、俺たちの幸せは成り立っている。
歴史の授業で、俺はラルムの激動の時代を教えよう。そして、もう戦わなくていいんだよと子どもたちに伝えていこう。
「エドゥアール様。それでは、アゼルク領に帰りますか」
「うん!」
俺はヴァンとともに馬車に乗った。
◇◇◇
魔法学園を卒業して数年が経った。
俺はアゼルク領の学校で教壇に立っていた。
「おしべとめしべがくっつくと、受粉っていうね。新しい命が生まれる出来事が起きるんだ」
「へーっ。人間は? どうやってできるの」
「それはね。お父さんとお母さんが、お互いを大切に想うんだ。そうして、ふたりの体がくっつくと、赤ちゃんができるんだよ」
俺は教材を使って、セックスの仕組みを教えた。
性教育って難しい。子どもにとってはショッキングな事実だろうから。でも、誰かがちゃんと教えてあげないといけない。
俺は真面目な顔で人形を操った。
子どもたちはいつもおちゃらけている俺が真剣なのに気づいて、静かに授業を聞いてくれた。
「人間はね。愛によって命を紡いでいくんだ」
授業が終わった。
俺が帰宅の準備をしていると、ヴァンがやって来た。
ヴァンの足元には俺たちの息子、レイニスがいる。
「エドゥアール様。お疲れ様です」
「ヴァン、レイニス。そっちもお疲れ様」
ヴァンは魔法騎士としてアゼルク領を守っている。そして、学校で働いている俺の代わりにレイニスの面倒をみてくれている。
レイニスは今年、5歳になる。
魔法学園を卒業後、俺たちは何度も愛を交わし、21歳の時にレイニスを授かった。今はアゼルク領に小さな屋敷を構え、家族で暮らしている。
「レイニス。お父様は今日もかっこよかった?」
「うん! 僕も魔法騎士になる」
「頼もしいなあ」
俺とヴァンは、レイニスの両脇を固めた。そして、レイニスを中心にして、家族全員で手を繋いだ。
大好きな人たちと歩く帰り道は、あっという間だった。
前世では社畜として使い捨てにされた俺であるが、今は家族に囲まれている。ヴァンとレイニスがいれば、俺はこの先、どんなことだって乗り越えることができるだろう。
自分がお馬鹿なことを理由にして、物事から逃げていた俺はもういない。可愛い女の子に目移りをしていた俺も、もういない。
俺は強くなった。
ヴァンとレイニスのおかげだ。
「誰が一番早く家に着くか、競争だよ!」
レイニスが走り出した。
俺とヴァンは愛しい息子の小さな背中を追いかけた。
(完)
ヴァンと俺は黒いガウンを着て、式に臨んだ。
この一年間、いっぱい勉強したなー。そしてヴァンと、数えきれないほどエッチをした。俺の後孔は濡れるようになった。いつでも孕める証拠だ。
俺は卒業したら、アゼルク領の学校で教壇に立つことになっている。教えるのは国語、算数、理科、社会。それに大陸共通語。どれも俺が苦戦した科目ばかりである。勉強の辛さに耐えたあと、喜びが待っていることを伝えられたらと思う。
「ヴァン。ありがとう」
「どうしたんですか、改まって」
「おまえがいなかったら俺、ただの女好きのヒヒ親父になってたと思う」
「こちらこそ、俺を選んでくれてありがとうございます。ゲームの強制力だけではなく、ご自分の意思でエドゥアール様は俺と一緒にいてくださるのですよね?」
「そうだぜ!」
俺たちは最後のキャンパスを堪能した。
マルクトくんとユーネリアさんが花束をプレゼントしてくれた。
「わたくしたちは研究科に進みますの」
「もう会えなくなっちゃうのかな、寂しいよ」
「マルクトくん、ユーネリアさん。アゼルク領に遊びにおいで」
「うん!」
元学長は先日、穏やかに息を引き取った。
彼の最期の言葉は、「マルクトとユーネリアに光あれ。そして、ラルムに平和あれ」だったという。
先人の悲しみのうえに、俺たちの幸せは成り立っている。
歴史の授業で、俺はラルムの激動の時代を教えよう。そして、もう戦わなくていいんだよと子どもたちに伝えていこう。
「エドゥアール様。それでは、アゼルク領に帰りますか」
「うん!」
俺はヴァンとともに馬車に乗った。
◇◇◇
魔法学園を卒業して数年が経った。
俺はアゼルク領の学校で教壇に立っていた。
「おしべとめしべがくっつくと、受粉っていうね。新しい命が生まれる出来事が起きるんだ」
「へーっ。人間は? どうやってできるの」
「それはね。お父さんとお母さんが、お互いを大切に想うんだ。そうして、ふたりの体がくっつくと、赤ちゃんができるんだよ」
俺は教材を使って、セックスの仕組みを教えた。
性教育って難しい。子どもにとってはショッキングな事実だろうから。でも、誰かがちゃんと教えてあげないといけない。
俺は真面目な顔で人形を操った。
子どもたちはいつもおちゃらけている俺が真剣なのに気づいて、静かに授業を聞いてくれた。
「人間はね。愛によって命を紡いでいくんだ」
授業が終わった。
俺が帰宅の準備をしていると、ヴァンがやって来た。
ヴァンの足元には俺たちの息子、レイニスがいる。
「エドゥアール様。お疲れ様です」
「ヴァン、レイニス。そっちもお疲れ様」
ヴァンは魔法騎士としてアゼルク領を守っている。そして、学校で働いている俺の代わりにレイニスの面倒をみてくれている。
レイニスは今年、5歳になる。
魔法学園を卒業後、俺たちは何度も愛を交わし、21歳の時にレイニスを授かった。今はアゼルク領に小さな屋敷を構え、家族で暮らしている。
「レイニス。お父様は今日もかっこよかった?」
「うん! 僕も魔法騎士になる」
「頼もしいなあ」
俺とヴァンは、レイニスの両脇を固めた。そして、レイニスを中心にして、家族全員で手を繋いだ。
大好きな人たちと歩く帰り道は、あっという間だった。
前世では社畜として使い捨てにされた俺であるが、今は家族に囲まれている。ヴァンとレイニスがいれば、俺はこの先、どんなことだって乗り越えることができるだろう。
自分がお馬鹿なことを理由にして、物事から逃げていた俺はもういない。可愛い女の子に目移りをしていた俺も、もういない。
俺は強くなった。
ヴァンとレイニスのおかげだ。
「誰が一番早く家に着くか、競争だよ!」
レイニスが走り出した。
俺とヴァンは愛しい息子の小さな背中を追いかけた。
(完)
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