18 / 18
最終話 願い
しおりを挟む
自由都市となったシーニュの街には、寒い季節にも関わらず多くの人々が詰めかけていた。
冒険者ギルドのみんなの活躍により、珍しい材料が市場に持ち込まれた。おかげで交易が活発になり、ますます財と人が集まってくる。
俺はシーフとして<廃妃の庭>に日参している。メイリーンの魂はいまだに健在らしくて、モンスターと罠が消え去ることはない。もっとも、冒険者にとって挑戦できるダンジョンがなくなるのは寂しいことだからな。死なない程度に、<廃妃の庭>に挑むのがいいのかもしれない。
市長となったジェラルドもまた忙しく過ごしていた。でも、夜の付き合いには絶対に参加しなかった。
「ただいま、アリーズ」
「おかえり」
俺が欲しかったもの。
帰るべき家、そしてともに暮らす家族。長年の夢がついに叶ったんだ。
「今日もあっという間だったなあ」
「昼休みにはちゃんと仮眠をとったのか?」
「ああ。夜の分まで体力を残しておかないといけないからな」
「夜って……今日もその、するのか? 五日間連続じゃないか」
「ふふっ。アリーズったら照れてる」
「もう。絶倫すぎだろ……」
俺はジェラルドと抱擁を交わした。
優しくて頼りになる俺の伴侶。これから俺たちはたくさんの時を過ごし、ふたりの歴史を紡いでいく。
窓の外には、冬の星空が輝いていた。
俺とジェラルドは肩を並べて、流れ星に願いをかけた。
「これからも一緒にいられますように」
ふたりの声が重なった。
(完)
冒険者ギルドのみんなの活躍により、珍しい材料が市場に持ち込まれた。おかげで交易が活発になり、ますます財と人が集まってくる。
俺はシーフとして<廃妃の庭>に日参している。メイリーンの魂はいまだに健在らしくて、モンスターと罠が消え去ることはない。もっとも、冒険者にとって挑戦できるダンジョンがなくなるのは寂しいことだからな。死なない程度に、<廃妃の庭>に挑むのがいいのかもしれない。
市長となったジェラルドもまた忙しく過ごしていた。でも、夜の付き合いには絶対に参加しなかった。
「ただいま、アリーズ」
「おかえり」
俺が欲しかったもの。
帰るべき家、そしてともに暮らす家族。長年の夢がついに叶ったんだ。
「今日もあっという間だったなあ」
「昼休みにはちゃんと仮眠をとったのか?」
「ああ。夜の分まで体力を残しておかないといけないからな」
「夜って……今日もその、するのか? 五日間連続じゃないか」
「ふふっ。アリーズったら照れてる」
「もう。絶倫すぎだろ……」
俺はジェラルドと抱擁を交わした。
優しくて頼りになる俺の伴侶。これから俺たちはたくさんの時を過ごし、ふたりの歴史を紡いでいく。
窓の外には、冬の星空が輝いていた。
俺とジェラルドは肩を並べて、流れ星に願いをかけた。
「これからも一緒にいられますように」
ふたりの声が重なった。
(完)
276
お気に入りに追加
306
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩
ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。
※現在、加筆修正中です。投稿当日と比較して内容に改変がありますが、ご了承ください。
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞

魅了魔力ほぼゼロなインキュバスの俺ですが、魔族公爵に溺愛されています。
mana.
BL
魔界の生き物は産み落とされた時からある程度の魔力を備え、力のない者は自然淘汰されていく。
偶然魔獣の生体バランスの調整に来ていた公爵が俺を見つけて気紛れで拾われ生き延びた。
インキュバスで魅了の魔力がほぼない俺は、試験に落ちたものの剣の素質はあったので従者として屋敷に留まる事ができた。
*********************
今回のお話は短編です。
剣術に長けると書きながら、お話には全く出てきません。
楽しんで読んで頂けると嬉しいです。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる