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13. アンデッドの謎
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御前試合を控えているのに、ジェラルドは冒険者ギルドに出勤して、書類仕事を行なっていた。
リスティがギルド長の部屋に冒険者台帳を運び込んでいる。俺も手伝った。
ジェラルドは執務机の上に冒険者台帳を広げると、腕組みをした。
「やはり、現国王の御世になってからアンデッド化した者の数が増えている」
「そもそもアンデッドって、どうやって生まれるんですか?」
リスティが小首を傾げる。
「死霊術を用いて、本来ならば死者がくぐるはずだった転生の門を塞いだ場合に生まれるらしい」
「じゃあ、人為的なものじゃないですか! もしかして、ヴェリテアード教団は浄化ではなく、アンデッドを生み出しているのかしら……?」
「俺も彼らの動きは怪しいと感じている。だが、魔女メイリーンの魂が悪さをしているのだと言われて、それ以上追及できなかった」
ジェラルドは俺とリスティに、「ひとりにしてくれ」と言った。
「すまないが、台帳の調査に集中したい」
「分かった」
「行きましょう、アリーズさん」
ギルド長の部屋を出ると、リスティがうなだれた。
「レインさんのお母さん以外にも、夢で家族が苦しんでいると訴える人は多いんです」
「そうなのか……。ヴェリテアード教団め、尻尾を掴めればいいんだが」
「レイゲン王国は世俗主義だったんです。特定の宗教を国教に定めることはありませんでした」
「現国王はヴェリテアード教に入れ込んでいるんだな」
「唯一神ヴェリテアードに選ばれし勇者だけが永遠の命を手に入れるだなんて教義、私には受け入れられません。命に優劣なんてないでしょう?」
リスティはカウンターに座った。彼女を待っていた冒険者たちが笑顔を見せる。
俺もリスティの隣に腰かけて、仕事を手伝った。
「お兄さん、ハディク人だよね? すごく綺麗だ……。今夜どう?」
「アリーズさんはジェラルド様と交際中ですよ」
「リスティ。俺たちはまだ、そういうんじゃない。兄弟のような関係だ」
「……じれったいなあ」
そうこうしているうちに時が流れて、御前試合の日がやって来た。
リスティがギルド長の部屋に冒険者台帳を運び込んでいる。俺も手伝った。
ジェラルドは執務机の上に冒険者台帳を広げると、腕組みをした。
「やはり、現国王の御世になってからアンデッド化した者の数が増えている」
「そもそもアンデッドって、どうやって生まれるんですか?」
リスティが小首を傾げる。
「死霊術を用いて、本来ならば死者がくぐるはずだった転生の門を塞いだ場合に生まれるらしい」
「じゃあ、人為的なものじゃないですか! もしかして、ヴェリテアード教団は浄化ではなく、アンデッドを生み出しているのかしら……?」
「俺も彼らの動きは怪しいと感じている。だが、魔女メイリーンの魂が悪さをしているのだと言われて、それ以上追及できなかった」
ジェラルドは俺とリスティに、「ひとりにしてくれ」と言った。
「すまないが、台帳の調査に集中したい」
「分かった」
「行きましょう、アリーズさん」
ギルド長の部屋を出ると、リスティがうなだれた。
「レインさんのお母さん以外にも、夢で家族が苦しんでいると訴える人は多いんです」
「そうなのか……。ヴェリテアード教団め、尻尾を掴めればいいんだが」
「レイゲン王国は世俗主義だったんです。特定の宗教を国教に定めることはありませんでした」
「現国王はヴェリテアード教に入れ込んでいるんだな」
「唯一神ヴェリテアードに選ばれし勇者だけが永遠の命を手に入れるだなんて教義、私には受け入れられません。命に優劣なんてないでしょう?」
リスティはカウンターに座った。彼女を待っていた冒険者たちが笑顔を見せる。
俺もリスティの隣に腰かけて、仕事を手伝った。
「お兄さん、ハディク人だよね? すごく綺麗だ……。今夜どう?」
「アリーズさんはジェラルド様と交際中ですよ」
「リスティ。俺たちはまだ、そういうんじゃない。兄弟のような関係だ」
「……じれったいなあ」
そうこうしているうちに時が流れて、御前試合の日がやって来た。
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