【完結】守銭奴ポーション販売員ですが、イケメン騎士団長に溺愛されてます!?

古井重箱

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最終話 愛し愛されて *

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 ゲルトシュタットで初雪が観測された翌日。
 港が見える大聖堂で、俺とリヒターは式を挙げた。多くの人が集まって、俺たちを祝福してくれた。

「団長、おめでとうございます!」
「お兄ちゃん、幸せになってねー!」

 すっかり元気になったリーザが、晴れ着姿で俺に手を振っている。俺はヴェール越しに微笑みを返した。
 リヒターは終始笑顔である。

「ティノ、綺麗だよ」
「そっちだって、すごくカッコいいぜ」
「ずっと一緒にいよう」
「うん……」

 披露宴はあっという間に終わって、初夜がやって来た。




◇◇◇



 広いベッドの上で、リヒターが俺に口づける。
 機嫌を伺うような優しいキスはやがて、口内を支配する激しいものへと変わった。

「あっ、んっ」

 俺はシーツをぎゅっと握り締めた。リヒターが俺の下着を素早く剥ぎ取っていく。俺とリヒターは恋人だった間は、最後までしなかった。リヒターにアヌスを見られるのは今日が初めてである。

「可愛いな……」

 リヒターが俺のアヌスを指先でほぐしていく。香油をまぶされた蕾は、ぬちゅぬちゅと粘ついた音を立てた。後ろをいじられながら、前も触られる。俺はあまりの刺激にのけ反った。
 熱っぽい手のひらが俺の胸をまさぐる。
 シャツはすでに脱がされていた。
 裸の胸にちょこんと色づいた突起を、リヒターが口に含んだ。ちろちろと舐められているうちに、俺は多幸感に満たされていった。
 やっぱり俺は、この人が好きだ。
 この人になら何をされてもいい。

「拡げてみせてくれ」

 甘い声で囁かれれば、俺は四つん這いになって尻を突き上げて、アヌスを指で拡げた。くちゅ、と窄まりから香油が垂れる。リヒターは自らの昂りを俺のアヌスにこすりつけた。雄の存在感が俺の本能を刺激する。
 喰われる。
 でも、それが嫌ではない。
 俺は尻を高く持ち上げたまま、リヒターの情熱を待った。

「あ、ああーっ!」

 切っ先がナカに入ってきた。
 俺の狭い肉筒を押し広げて、リヒターの剛直が奥へと進んでいく。トンと最奥を突かれれば、快感が弾けて俺は濡れた声を上げた。リヒターは俺を後ろから突いたあと、一旦、ペニスを引き抜いた。

「きみの顔が見たい」
「んッ!」

 俺の両足を開いたあと、リヒターは肉の楔を打ち込んできた。圧迫感で苦しいはずなのに、喜びのあまり泣いてしまう。心だけでは伝えきれなかった想いが肌を通してリヒターに届いているだろうか。俺はリヒターの背中に腕を回して、夢中で腰を振った。
 最初はゆっくりだった抜き差しのリズムが、やがて激しくなっていく。
 後孔を責められながら乳首をつままれば、俺は呆気なく精を吐いた。リヒターは俺の残滓を舐めると、律動を速めた。

「ああっ! や、あ……っ」
「ティノ……。ティノ……っ」

 切羽詰まった表情で名前を呼ばれる。俺は今、リヒターを独り占めしている。そう思うと後孔が疼いて仕方がなかった。リヒターの雄を咥え込み、きゅっと食い締める。
 泣きじゃくる俺の髪を、リヒターが優しく撫でた。

「ティノ、……愛している」
「俺も……っ」

 やがて、リヒターが果てた。
 繋がっているところがじゅわりと温かい。リヒターの精が俺の腹を満たしている。アヌスがやや腫れぼったい気がする。俺がボーッとしていると、リヒターが後孔をのぞき込んだ。飲み込みきれなかった白濁がぷしゅうっと垂れてくる。リヒターは精液でべたべたになった俺を満足げに見つめると、ぎゅっと抱き締めてきた。

「俺の花嫁は、なんてかわいらしいんだ」
「リヒター……」
「まだいけるな?」
「えっ、ちょ。初夜から飛ばすなよ!」
「乱れるきみを見ていたら、耐えられなくなった」

 ちゅっちゅっとキスを浴びるうちに、俺は目先の快楽に流されていった。愛があるから、いいか。
 結局、リヒターはなかなか俺を寝かせてくれなかった。
 翌日の午後になってようやく、俺は歩き出すことができた。




◇◇◇




「売り上げ一位になりたいかーっ!」
「おぉーっ」
「ポーション売りまくるぞーっ」
「おぉーっ!」

 アルセーディア社は今日も平常運転である。
 朝礼のあと、俺は外回りに出かけた。
 途中、噴水広場でリヒターと行き合う。リヒターは部下を引き連れていた。巡回中なので、凛々しい表情をしている。ベッドで見せるとろけた笑顔の面影はどこにもない。
 俺だけがリヒターの艶っぽい微笑みを知っているのだと思うと、嬉しくてたまらなかった。

「団長! 奥さんにキスしなくていいんですか?」
「ハンス。それは夜のお楽しみだろう? ね、団長」
「おまえたち、ティノを困らせるな」

 リヒターが目で合図をよこす。

『今夜は早く帰れそうだ』

 俺は赤くなった顔をカバンで隠した。
 
「おっ。新妻が恥じらっている!」
「ティノを困らせるな、ハンス」

 リヒターが俺の肩を抱いた。
 周囲から、大きな歓声が湧き起こる。
 もうモブではいられないけど、リヒターの隣にいられるなら別にいいか。
 俺は愛しい人と指を絡めて、そのぬくもりを感じた。





(完)
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