32 / 37
公爵様との初デート4
しおりを挟む
「やはり色々なお店があって目移りしてしまいますわね。うちの領とは大違いですわ。」
串焼などの食べ物や冷たい飲み物、アクセサリーや似顔絵を描く露店など様々なお店たちを見回してそう言った。
「ジュリエットの領には露店などは出てないのか?」
「ええ、こんな栄えた大通りもありませんわ。小さな領内には農作業をする人ばかりでお店も青果店や服屋さんがあるくらいでカフェも最近出来たばかりですの。」
「そうなのか。落ち着いたら一度君の実家に帰ろうか。」
「ありがとうございます!その時は領内を案内させて下さい、お店は少ないですけど近くに山があって子供達はよくそこで遊んでいるんですのよ。」
「ああ、楽しみにしている。子供達も急にジュリエットが嫁ぐことになって寂しがっているだろうし、お土産を持って行ってあげよう。」
話をしながら歩いていると他とは違った雰囲気の露店が目に付いた。
アクセサリーを取り扱っているようだがデザインが変わっている。
「ウィリアム様、あのお店が気になるので立ち寄ってもよろしいですか?」
「勿論、折角だから気になるのなら立ち寄ろう。」
そう答えるとジュリエットの手を引いて店に近づく。
店番をしている女性がこちらに気づきニッコリと笑い声をかけて来た。
「いらっしゃいませ、ごゆっくりご覧くださいませ。」
それに礼を言い出ているアクセサリー類を見る。
見たことのない花の柄、形に目を奪われる。
「そちらの商品は東の島国から入荷したものになります。こちらの国では馴染みのない形ですよね。」
ジュリエット達が不思議そうな顔で見ているのに気付いた女性がそっと声をかけて来た。
「初めてみる形のアクセサリーですけど、どこにつけるのですか?」
「簪と言いまして髪の毛に挿して使って頂くものになります。シンプルなドレスでも簪1つ髪に挿して頂くだけでワンポイントになっておススメですよ。」
そう言って女性は自分のおろしている髪を軽くまとめて実演してみせる。
見てみると確かに簪にも柄が入っていてあまりこちらでは見ない柄の為目立って見えそうだ。
「この簪には桜と言って東の国に咲く花が描かれています。他にも紅葉や朝顔と言った花が描かれているものもありますので、ご覧になって見て下さい。」
初めてみる簪に心惹かれるジュリエット。
「簪の他にも櫛やとんぼ玉というガラスの玉を使ったブレスレットもございます。どれも東の島国独特の和柄が入っていて可愛いですよ。」
それを聞いて店頭に並んでいるものを見回すと魅力的な商品ばかりで目移りしてしまう。
ふと薄いピンク色のとんぼ玉を使用したブレスレットが目に入る。
とんぼ玉なんて初めて聞いたし、普段お世話になっているのだからアンナへのお土産に買って行こうかしら。
そう思ったジュリエットはそれを手に取り店員の女性に渡す。
「お土産に持って行きたいので包んでいただけますか?」
「かしこまりました、包んできますので商品ご覧になってお待ちください。」
それに返事をするとウィリアムと一緒に来ていたのを思い出して慌てて周りを見回す。
するとウィリアムも静かに商品を見ているようで、横から声をかける。
「おまたせしました、ウィリアム様と来ていたのに放置してしまってすみません。」
心底申し訳なさそうに謝るジュリエット。
「気にするな、それより自分の分は買わなくていいのか?」
「はい、どれも魅力的で選びきれなくて。一先ず今日はアンナの分だけを、領内にあるのならいつでも来れますし。」
話がひと段落した頃にタイミングよく店員の女性が戻ってきた。
そうしてジュリエットからとんぼ玉の代金を貰うと商品を手渡す。
「恋人の方とってもステキですね!女性の買い物に黙ってついてきて、優しい目で見ていて羨ましくなりました。デート楽しんできて下さいね!」
ジュリエットの耳元でそう言うとぱっちりウインクをしてみせる。
そのセリフに顔を赤く染めると、その様子を見ていたウィリアムが不思議そうな顔をする。
「ありがとうございます、また来ますわ。今度は自分のを買いに。」
「はい、お待ちしております。」
それにウィリアムも会釈で応えると2人は再び露店巡りに戻る。
串焼などの食べ物や冷たい飲み物、アクセサリーや似顔絵を描く露店など様々なお店たちを見回してそう言った。
「ジュリエットの領には露店などは出てないのか?」
「ええ、こんな栄えた大通りもありませんわ。小さな領内には農作業をする人ばかりでお店も青果店や服屋さんがあるくらいでカフェも最近出来たばかりですの。」
「そうなのか。落ち着いたら一度君の実家に帰ろうか。」
「ありがとうございます!その時は領内を案内させて下さい、お店は少ないですけど近くに山があって子供達はよくそこで遊んでいるんですのよ。」
「ああ、楽しみにしている。子供達も急にジュリエットが嫁ぐことになって寂しがっているだろうし、お土産を持って行ってあげよう。」
話をしながら歩いていると他とは違った雰囲気の露店が目に付いた。
アクセサリーを取り扱っているようだがデザインが変わっている。
「ウィリアム様、あのお店が気になるので立ち寄ってもよろしいですか?」
「勿論、折角だから気になるのなら立ち寄ろう。」
そう答えるとジュリエットの手を引いて店に近づく。
店番をしている女性がこちらに気づきニッコリと笑い声をかけて来た。
「いらっしゃいませ、ごゆっくりご覧くださいませ。」
それに礼を言い出ているアクセサリー類を見る。
見たことのない花の柄、形に目を奪われる。
「そちらの商品は東の島国から入荷したものになります。こちらの国では馴染みのない形ですよね。」
ジュリエット達が不思議そうな顔で見ているのに気付いた女性がそっと声をかけて来た。
「初めてみる形のアクセサリーですけど、どこにつけるのですか?」
「簪と言いまして髪の毛に挿して使って頂くものになります。シンプルなドレスでも簪1つ髪に挿して頂くだけでワンポイントになっておススメですよ。」
そう言って女性は自分のおろしている髪を軽くまとめて実演してみせる。
見てみると確かに簪にも柄が入っていてあまりこちらでは見ない柄の為目立って見えそうだ。
「この簪には桜と言って東の国に咲く花が描かれています。他にも紅葉や朝顔と言った花が描かれているものもありますので、ご覧になって見て下さい。」
初めてみる簪に心惹かれるジュリエット。
「簪の他にも櫛やとんぼ玉というガラスの玉を使ったブレスレットもございます。どれも東の島国独特の和柄が入っていて可愛いですよ。」
それを聞いて店頭に並んでいるものを見回すと魅力的な商品ばかりで目移りしてしまう。
ふと薄いピンク色のとんぼ玉を使用したブレスレットが目に入る。
とんぼ玉なんて初めて聞いたし、普段お世話になっているのだからアンナへのお土産に買って行こうかしら。
そう思ったジュリエットはそれを手に取り店員の女性に渡す。
「お土産に持って行きたいので包んでいただけますか?」
「かしこまりました、包んできますので商品ご覧になってお待ちください。」
それに返事をするとウィリアムと一緒に来ていたのを思い出して慌てて周りを見回す。
するとウィリアムも静かに商品を見ているようで、横から声をかける。
「おまたせしました、ウィリアム様と来ていたのに放置してしまってすみません。」
心底申し訳なさそうに謝るジュリエット。
「気にするな、それより自分の分は買わなくていいのか?」
「はい、どれも魅力的で選びきれなくて。一先ず今日はアンナの分だけを、領内にあるのならいつでも来れますし。」
話がひと段落した頃にタイミングよく店員の女性が戻ってきた。
そうしてジュリエットからとんぼ玉の代金を貰うと商品を手渡す。
「恋人の方とってもステキですね!女性の買い物に黙ってついてきて、優しい目で見ていて羨ましくなりました。デート楽しんできて下さいね!」
ジュリエットの耳元でそう言うとぱっちりウインクをしてみせる。
そのセリフに顔を赤く染めると、その様子を見ていたウィリアムが不思議そうな顔をする。
「ありがとうございます、また来ますわ。今度は自分のを買いに。」
「はい、お待ちしております。」
それにウィリアムも会釈で応えると2人は再び露店巡りに戻る。
0
お気に入りに追加
1,526
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる