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公爵様との初デート4

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「やはり色々なお店があって目移りしてしまいますわね。うちの領とは大違いですわ。」

串焼などの食べ物や冷たい飲み物、アクセサリーや似顔絵を描く露店など様々なお店たちを見回してそう言った。

「ジュリエットの領には露店などは出てないのか?」

「ええ、こんな栄えた大通りもありませんわ。小さな領内には農作業をする人ばかりでお店も青果店や服屋さんがあるくらいでカフェも最近出来たばかりですの。」

「そうなのか。落ち着いたら一度君の実家に帰ろうか。」

「ありがとうございます!その時は領内を案内させて下さい、お店は少ないですけど近くに山があって子供達はよくそこで遊んでいるんですのよ。」

「ああ、楽しみにしている。子供達も急にジュリエットが嫁ぐことになって寂しがっているだろうし、お土産を持って行ってあげよう。」

話をしながら歩いていると他とは違った雰囲気の露店が目に付いた。

アクセサリーを取り扱っているようだがデザインが変わっている。

「ウィリアム様、あのお店が気になるので立ち寄ってもよろしいですか?」

「勿論、折角だから気になるのなら立ち寄ろう。」

そう答えるとジュリエットの手を引いて店に近づく。
店番をしている女性がこちらに気づきニッコリと笑い声をかけて来た。

「いらっしゃいませ、ごゆっくりご覧くださいませ。」  

それに礼を言い出ているアクセサリー類を見る。

見たことのない花の柄、形に目を奪われる。

「そちらの商品は東の島国から入荷したものになります。こちらの国では馴染みのない形ですよね。」

ジュリエット達が不思議そうな顔で見ているのに気付いた女性がそっと声をかけて来た。

「初めてみる形のアクセサリーですけど、どこにつけるのですか?」

かんざしと言いまして髪の毛に挿して使って頂くものになります。シンプルなドレスでも簪1つ髪に挿して頂くだけでワンポイントになっておススメですよ。」

そう言って女性は自分のおろしている髪を軽くまとめて実演してみせる。

見てみると確かに簪にも柄が入っていてあまりこちらでは見ない柄の為目立って見えそうだ。

「この簪には桜と言って東の国に咲く花が描かれています。他にも紅葉や朝顔と言った花が描かれているものもありますので、ご覧になって見て下さい。」

初めてみる簪に心惹かれるジュリエット。

「簪の他にも櫛やとんぼ玉というガラスの玉を使ったブレスレットもございます。どれも東の島国独特の和柄が入っていて可愛いですよ。」

それを聞いて店頭に並んでいるものを見回すと魅力的な商品ばかりで目移りしてしまう。

ふと薄いピンク色のとんぼ玉を使用したブレスレットが目に入る。


とんぼ玉なんて初めて聞いたし、普段お世話になっているのだからアンナへのお土産に買って行こうかしら。


そう思ったジュリエットはそれを手に取り店員の女性に渡す。

「お土産に持って行きたいので包んでいただけますか?」

「かしこまりました、包んできますので商品ご覧になってお待ちください。」

それに返事をするとウィリアムと一緒に来ていたのを思い出して慌てて周りを見回す。

するとウィリアムも静かに商品を見ているようで、横から声をかける。

「おまたせしました、ウィリアム様と来ていたのに放置してしまってすみません。」

心底申し訳なさそうに謝るジュリエット。

「気にするな、それより自分の分は買わなくていいのか?」

「はい、どれも魅力的で選びきれなくて。一先ず今日はアンナの分だけを、領内にあるのならいつでも来れますし。」

話がひと段落した頃にタイミングよく店員の女性が戻ってきた。

そうしてジュリエットからとんぼ玉の代金を貰うと商品を手渡す。

「恋人の方とってもステキですね!女性の買い物に黙ってついてきて、優しい目で見ていて羨ましくなりました。デート楽しんできて下さいね!」

ジュリエットの耳元でそう言うとぱっちりウインクをしてみせる。

そのセリフに顔を赤く染めると、その様子を見ていたウィリアムが不思議そうな顔をする。

「ありがとうございます、また来ますわ。今度は自分のを買いに。」

「はい、お待ちしております。」

それにウィリアムも会釈で応えると2人は再び露店巡りに戻る。

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