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家庭教師と今後の話
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ウィリアム達を見送り、部屋に残ったのはジュリエット、カリーヌ、アンナ、エルメールの4人だけになった。
「さて、では改めて家庭教師を勤めされて頂きます。といっても家庭教師を最後に勤めてから20年ほど経っているので私も様子を見ながらになりますが。」
「はい、お願いします。ダンスのレッスンだなんて久しぶりだわ!」
改めて挨拶するカリーヌにそう返すジュリエットはどことなく楽しそうだ。
「舞踏会から足が遠のいてから踊る機会が減りましたからね。家庭教師も昔に比べて来る回数が減ってレッスン自体もあまり多くなかったですもの。」
ジュリエットが実はダンスが好きであったことを知っているアンナも主人の楽しげな姿を見て嬉しくなる。
「前に教わっていた家庭教師にはどのような事を教わっていたのですか?」
今後の参考までにと質問する。
エルメールもウィリアムが飲んでいたカップを片付け、空になったジュリエット達のカップに紅茶を注いだ後興味があるのか静かにこちらを見つめる。
「そうね、外国語や絵画もやっていましたわ。といってもどちらもすぐに芽が出ないと思ったのかやめてしまったけど。後はマナー講座が多かったわね。」
「絵に関しては壊滅的でしたからね。ある意味芸術というか。」
思い出したように笑うアンナに「確かに事実だけど恥ずかしいわ」と頬を赤らめながら言う。
「なるほど、それはそれで見て見たい気もしますがまたの機会に致しましょう。」
その言葉にエルメールも頷き
「他にやりたいことはないのですか?カリーヌさんは多彩な才能をお持ちだったと伺っていますので、マナーだけでなく様々なことを教えていただけますよ。」
そう続けるとカリーヌは「そんなことはないわ。」と謙遜する。
「それでしたら前に楽器を習って見たいとおっしゃってませんでしたか?男爵家はあまり余裕がなかったので楽器を用意出来ずにそのままになってましたが、良い機会なので教えて頂いては?」
アンナがジュリエットに言うと「よく覚えていたわね」と苦笑しつつ「でも、嬉しいわ」と言った。
「それでしたらそのようにいたしましょう。楽器に希望はございますか?」
そう聞くカリーヌに「特には」と返す。
「かしこまりました。では坊ちゃんに手配してもらえるように言ってもらえますか?」
壁際に立っているエルメールに対してそう言うとかしこまりましたと返ってくる。
「結婚式まではダンスとマナーを重点的にやります。結婚式が終わりましたら楽器と立ち振る舞い、公爵家夫人としての仕事などを教えることになると思いますのでそのつもりで。」
「分かりましたわ。でも家庭教師は公爵家夫人としての仕事まで教えてくださるのですね。」
不思議そうな顔で聞くジュリエット。
「本来ならば教えることはないですが、ジュリエット様には教えて頂ける義理母がいらっしゃらないでしょう。私結婚後は侯爵家夫人として家を支えてきましたから教えれることも多いと思いますわ。それに一度嫁いできてくれた子に教えたこともありますから。」
カリーヌはそう答えて「おそらくあの執事が私に頼んだ理由の多くは公爵家夫人としての仕事を教えて欲しかったんだと思いますし。家庭教師はそこまで教えないですもの。義理母の様な役割も担ってもらいたかったのでしょう。」と続けた。
それに納得したようで「なるほど」と呟くと
「本来ならば教えなくても良い事まで教えることになってしまってすみません。」
そう謝るジュリエットに
「気になさらないで下さい。娘が増えたと思ってやらせて頂きますわ。」
にこやかにそう返すカリーヌに「ありがとうございます、私も義理母の様に思ってもよろしいですか?」と聞くと「勿論です。」と返ってくる。
それを聞いてとても嬉しそうな表情で「ありがとうございます」と言う。
「レッスンは明々後日からにしましょう。それまでゆっくりお休みになって下さい。私もそれまでにこちらに越して来ますわ。」
話をそう纏めるとジュリエットの同意する言葉を聞いてから
「それでは本日はここまでに致しましょう。」
と言った。
その言葉にエルメールが「玄関ホールまでお見送り致します。」とジュリエットに言い、カリーヌを連れて部屋を出て行った。
「さて、では改めて家庭教師を勤めされて頂きます。といっても家庭教師を最後に勤めてから20年ほど経っているので私も様子を見ながらになりますが。」
「はい、お願いします。ダンスのレッスンだなんて久しぶりだわ!」
改めて挨拶するカリーヌにそう返すジュリエットはどことなく楽しそうだ。
「舞踏会から足が遠のいてから踊る機会が減りましたからね。家庭教師も昔に比べて来る回数が減ってレッスン自体もあまり多くなかったですもの。」
ジュリエットが実はダンスが好きであったことを知っているアンナも主人の楽しげな姿を見て嬉しくなる。
「前に教わっていた家庭教師にはどのような事を教わっていたのですか?」
今後の参考までにと質問する。
エルメールもウィリアムが飲んでいたカップを片付け、空になったジュリエット達のカップに紅茶を注いだ後興味があるのか静かにこちらを見つめる。
「そうね、外国語や絵画もやっていましたわ。といってもどちらもすぐに芽が出ないと思ったのかやめてしまったけど。後はマナー講座が多かったわね。」
「絵に関しては壊滅的でしたからね。ある意味芸術というか。」
思い出したように笑うアンナに「確かに事実だけど恥ずかしいわ」と頬を赤らめながら言う。
「なるほど、それはそれで見て見たい気もしますがまたの機会に致しましょう。」
その言葉にエルメールも頷き
「他にやりたいことはないのですか?カリーヌさんは多彩な才能をお持ちだったと伺っていますので、マナーだけでなく様々なことを教えていただけますよ。」
そう続けるとカリーヌは「そんなことはないわ。」と謙遜する。
「それでしたら前に楽器を習って見たいとおっしゃってませんでしたか?男爵家はあまり余裕がなかったので楽器を用意出来ずにそのままになってましたが、良い機会なので教えて頂いては?」
アンナがジュリエットに言うと「よく覚えていたわね」と苦笑しつつ「でも、嬉しいわ」と言った。
「それでしたらそのようにいたしましょう。楽器に希望はございますか?」
そう聞くカリーヌに「特には」と返す。
「かしこまりました。では坊ちゃんに手配してもらえるように言ってもらえますか?」
壁際に立っているエルメールに対してそう言うとかしこまりましたと返ってくる。
「結婚式まではダンスとマナーを重点的にやります。結婚式が終わりましたら楽器と立ち振る舞い、公爵家夫人としての仕事などを教えることになると思いますのでそのつもりで。」
「分かりましたわ。でも家庭教師は公爵家夫人としての仕事まで教えてくださるのですね。」
不思議そうな顔で聞くジュリエット。
「本来ならば教えることはないですが、ジュリエット様には教えて頂ける義理母がいらっしゃらないでしょう。私結婚後は侯爵家夫人として家を支えてきましたから教えれることも多いと思いますわ。それに一度嫁いできてくれた子に教えたこともありますから。」
カリーヌはそう答えて「おそらくあの執事が私に頼んだ理由の多くは公爵家夫人としての仕事を教えて欲しかったんだと思いますし。家庭教師はそこまで教えないですもの。義理母の様な役割も担ってもらいたかったのでしょう。」と続けた。
それに納得したようで「なるほど」と呟くと
「本来ならば教えなくても良い事まで教えることになってしまってすみません。」
そう謝るジュリエットに
「気になさらないで下さい。娘が増えたと思ってやらせて頂きますわ。」
にこやかにそう返すカリーヌに「ありがとうございます、私も義理母の様に思ってもよろしいですか?」と聞くと「勿論です。」と返ってくる。
それを聞いてとても嬉しそうな表情で「ありがとうございます」と言う。
「レッスンは明々後日からにしましょう。それまでゆっくりお休みになって下さい。私もそれまでにこちらに越して来ますわ。」
話をそう纏めるとジュリエットの同意する言葉を聞いてから
「それでは本日はここまでに致しましょう。」
と言った。
その言葉にエルメールが「玄関ホールまでお見送り致します。」とジュリエットに言い、カリーヌを連れて部屋を出て行った。
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