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応接間にて公爵様と
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公爵家は見た目通りとても立派な屋敷だった。
男爵家の倍くらいはあるかしら?
応接間に案内されたジュリエットは周りを見回しながらそう思った。
「改めまして、ようこそジュリエット。我がハーロック公爵家へ。」
「ありがとうございます。不束者ですが公爵家の一員としてこの家を支えられるように頑張りますわ。」
そう答えながらジュリエットは正面に座ったウィリアムをチラッと見る。
ウィリアムは聞いていた通り美しい顔をしていた。
漆黒の髪と瞳はウィリアムにあっていて、先程から表情が変わらないせいか冷たく見えた。
しかしかけられる声は優しい響きでジュリエットに気を使ってくれているのが伝わってきた。
「旦那様の表情が変わらないのは気になさらないで下さい。照れてるだけなので。」
心を読んだのかと思えるほどのタイミングでアーノルドが声をかけて来て、ジュリエットはアーノルドへ振り向く。
「顔に出てますよ。気を使ってるのは伝わってる様ですがもう少しにこやかに出来ないのですか?」
「うるさい。これでも努力はしているんだ。」
アーノルドに答えるウィリアムも自覚はしているようで、気まずそうに目をそらす。
よく見ると頬が少し赤くなっている、アーノルドの言っていることは合っているようだった。
そんなウィリアムの姿にジュリエットも笑みが溢れる。
「何か面白いことでもありましたか?」
不思議そうに後ろから声をかけてくる侍女アンナに
「だってウィリアム様可愛らしいんですもの。夫となる方がどのような方かドキドキしてましたが、良い方のようで安心しましたわ。」
男爵家を出た時から緊張で肩に力が入ってたらしく、やっと体から力が抜けたのを感じた。
安心した様なジュリエットを見てウィリアムもうっすらと笑みを浮かべた。
「可愛らしいとはどう受け止めて良いのか複雑だが、安心してもらえた様でよかった。ジュリエットにとっては慣れないことばかりだが、妻になってもらうからには君を幸せに出来るよう努力するつもりだ。」
「褒め言葉として受け取っていて下さい。ありがとうございます、そのお気持ちが嬉しいですわ。ですが、私だけが幸せになるわけではありませんわ。みんなで一緒に幸せになりましょう?」
ジュリエットはアーノルドやアンナ、ウィリアムを見て言った。
そんな彼女の姿はとても好感が持てた、と後にアーノルドやアンナは公爵家使用人達に語った。
「ありがとう、君に嫁いできて貰えてみんな喜んでいる。何分私もいつ結婚するんだと周りに言われ続けていたからな。」
「ウィリアム様の様な美しい方が結婚されていないのは未だに不思議ですわ。周りの人が放って置かないでしょうに。」
緊張が完全に解けたのかにこやかにウィリアムと会話する。
「みんな顔と金目当てだということが、目に見えていたからな。それに気位が高すぎる。その点君は領地内の子供達の面倒も見ていたんだろう?」
「あら私はただ子供達が好きなだけですわ。それに社交界デビューしても馴染めずに今の今まで良い縁に巡り会えませんでしたの。」
「私が君を見つけたのも一つの縁だな。逆に今まで良い縁がなかったのは私達のこの出会いの為だと思えば、運命とも言えるだろう。」
サラッというウィリアムにジュリエットは頬を赤らめる。
「まさかウィリアム様から運命という言葉が出てくるとは思いませんでしたわ。」
「そうか?こう見えて私はロマンチストなんだが。」
そう答えるウィリアムに静かに会話を見守っていたアーノルドとアンナも笑いが堪えきれずに肩を震わせた。
「旦那様、それは冗談が過ぎます。」
「流石にロマンチストっていうのはないと思います」
アーノルドとアンナの声にウィリアムは首を傾げる。
「冗談のつもりはなかったのだが。」
そんな姿にジュリエットもクスクスと笑いを漏らした。
「まあまあ、見てわからない新たな一面が知れて良かったですわ。」
「受けを狙ったつもりはなかったのだが…。」
ウィリアムと会話していて気づいたら自然と話していることに気付く。
まだ公爵家に来て1日だがここで過ごすこれからに胸が踊るジュリエットだった。
男爵家の倍くらいはあるかしら?
応接間に案内されたジュリエットは周りを見回しながらそう思った。
「改めまして、ようこそジュリエット。我がハーロック公爵家へ。」
「ありがとうございます。不束者ですが公爵家の一員としてこの家を支えられるように頑張りますわ。」
そう答えながらジュリエットは正面に座ったウィリアムをチラッと見る。
ウィリアムは聞いていた通り美しい顔をしていた。
漆黒の髪と瞳はウィリアムにあっていて、先程から表情が変わらないせいか冷たく見えた。
しかしかけられる声は優しい響きでジュリエットに気を使ってくれているのが伝わってきた。
「旦那様の表情が変わらないのは気になさらないで下さい。照れてるだけなので。」
心を読んだのかと思えるほどのタイミングでアーノルドが声をかけて来て、ジュリエットはアーノルドへ振り向く。
「顔に出てますよ。気を使ってるのは伝わってる様ですがもう少しにこやかに出来ないのですか?」
「うるさい。これでも努力はしているんだ。」
アーノルドに答えるウィリアムも自覚はしているようで、気まずそうに目をそらす。
よく見ると頬が少し赤くなっている、アーノルドの言っていることは合っているようだった。
そんなウィリアムの姿にジュリエットも笑みが溢れる。
「何か面白いことでもありましたか?」
不思議そうに後ろから声をかけてくる侍女アンナに
「だってウィリアム様可愛らしいんですもの。夫となる方がどのような方かドキドキしてましたが、良い方のようで安心しましたわ。」
男爵家を出た時から緊張で肩に力が入ってたらしく、やっと体から力が抜けたのを感じた。
安心した様なジュリエットを見てウィリアムもうっすらと笑みを浮かべた。
「可愛らしいとはどう受け止めて良いのか複雑だが、安心してもらえた様でよかった。ジュリエットにとっては慣れないことばかりだが、妻になってもらうからには君を幸せに出来るよう努力するつもりだ。」
「褒め言葉として受け取っていて下さい。ありがとうございます、そのお気持ちが嬉しいですわ。ですが、私だけが幸せになるわけではありませんわ。みんなで一緒に幸せになりましょう?」
ジュリエットはアーノルドやアンナ、ウィリアムを見て言った。
そんな彼女の姿はとても好感が持てた、と後にアーノルドやアンナは公爵家使用人達に語った。
「ありがとう、君に嫁いできて貰えてみんな喜んでいる。何分私もいつ結婚するんだと周りに言われ続けていたからな。」
「ウィリアム様の様な美しい方が結婚されていないのは未だに不思議ですわ。周りの人が放って置かないでしょうに。」
緊張が完全に解けたのかにこやかにウィリアムと会話する。
「みんな顔と金目当てだということが、目に見えていたからな。それに気位が高すぎる。その点君は領地内の子供達の面倒も見ていたんだろう?」
「あら私はただ子供達が好きなだけですわ。それに社交界デビューしても馴染めずに今の今まで良い縁に巡り会えませんでしたの。」
「私が君を見つけたのも一つの縁だな。逆に今まで良い縁がなかったのは私達のこの出会いの為だと思えば、運命とも言えるだろう。」
サラッというウィリアムにジュリエットは頬を赤らめる。
「まさかウィリアム様から運命という言葉が出てくるとは思いませんでしたわ。」
「そうか?こう見えて私はロマンチストなんだが。」
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「旦那様、それは冗談が過ぎます。」
「流石にロマンチストっていうのはないと思います」
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「冗談のつもりはなかったのだが。」
そんな姿にジュリエットもクスクスと笑いを漏らした。
「まあまあ、見てわからない新たな一面が知れて良かったですわ。」
「受けを狙ったつもりはなかったのだが…。」
ウィリアムと会話していて気づいたら自然と話していることに気付く。
まだ公爵家に来て1日だがここで過ごすこれからに胸が踊るジュリエットだった。
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