4月の恋

太郎月

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前編

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『そんなつもりはなかった』って、やらかした後にどれだけ言っても意味なんてない。
主観だけで、対人関係が成り立ってる訳じゃないんだから。

お前の気持ちなんて聞いてないって相手が言えば、それで終わり。

俺は今、突然襲ってきた頭痛に負けて所謂ラブホテルにいる。その頭痛は少し寝たら治ったから、睡眠不足と緊張によるものだったんだと目が覚めてから分かった。

目の前にはラブホテルへ一緒に入った人が立っている。

男だ。
それも今日初めて会った。
厄介な姉のやばい彼氏の、友達。

背が高いので見下ろされるとめちゃくちゃ怖い。
会った時から不機嫌だったその人は、体格も良いので俺なんか殴られたら一発で頬骨を破壊されるだろう。

俺は慌てて寝ていたベッドから身を起こした。腹には布団が掛けられている。掴んで捲った下には、今日のために用意された黒のプリーツスカートと黒いストッキングを纏った脚がある。

その見慣れない下半身に一瞬怯んだ。
自分の下半身に間違いないのに。

でもすぐに、そのストッキングを纏う脚を折り曲げて、俺はベッドの上で正座した。
男はゆったりと首を傾いだ。寄っていた眉が、益々近付いてる。



「すっ!すみません!俺、男なんです!勘弁して下さい!!!!」



渾身の土下座をする。額をシーツに埋める程に頭を下げたら、ミディアムウルフの襟足が首を撫で下りた。硬く瞑った瞼の裏は当たり前に真っ暗だ。
そんな暗闇の中で、なんでこんな事になったのか、俺は只管思い返していた。




事の発端は、姉の家で起こった。

「1回1万円、バレなかったら払ってやるよ」

そんな事を言い出したのは姉貴の彼氏だった。右腕にタトゥーが入ってるやばそうな男で、自称バンドマン。見たことも聞いたこともない。
姉は両親の反対を押し切ってキャバ嬢をやってて、俺は心配してる母親の代わりにちょくちょく様子を見に来ていた。だから姉の彼氏とも顔見知りだ。

いつもは空気のように扱う癖に、この日はやけに機嫌が良かった姉貴の彼氏が意味不明な提案をして来たのだ。

友達を騙してくれと。

「この人、臨時収入あったんだって。アンタ、ガリだし、男の割に小さいし、顔はアタシと似ててかわいーからイケるイケる」

ソファにだらしなく座る彼氏の膝に、だらしなく寝そべる姉貴が適当な事を言っている。

「小さいって、170あんだけど」

姉貴が169あるから小さく思うだけだろう。

「そいつデカい女好きらしいから大丈夫だべ」

「じゃあ良いじゃん」

小さいを訂正しろバカ姉貴。

と、思っても面倒だから言わない。俺が何も言わずにいると、姉貴の彼氏は電子タバコの煙をふかしながら言った。

「男子校出身で女に免疫ねぇのか、全然女っ気なかったのに、今必死に彼女探ししてるらしいんだよ。ウケる」

ウケるか?別に普通だろ、放っておいてやれよ。

と、思っても姉貴の彼氏に口答えすると、もっと面倒な事になりそうなので絶対に言わない。

「だからさ、ちょっとドッキリ仕掛けてやろうと思って。題して、好みの女だと思ってたら男でしたドッキリ~!」

「いや、そのまま…」

くそ、思わず口に出た。
姉貴の彼氏は気にせずに話を続けるので、聞こえなかったようだ。良かった。

そう思ったのはその時だけで、その後は何の話も意見も聞いてくれない事に気付いて、全然良くなかった。

服は姉貴や姉貴のキャバ嬢仲間からのお下がり、姉貴はノリノリで、あれよあれよと俺は準備万端で居酒屋の個室に座っていた。

「アタシより美人になってんじゃん!やだやだ!そのまま掘られれば?」

正面に座る姉貴が「うえー」と舌を出した。お前がやったのに。

「ぎゃはは!アイツがホモになったら笑う。まー、ないと思うけど。女の趣味ハッキリしてるから」

その女の趣味とやらに、今の俺は扮してる訳だ。

「…あの、マジで大丈夫なんですか。友達を騙すとか…」

「だからァ、騙すんじゃねぇよ、ドッキリ!分かる?ただのドッキリ。そいつ気が良いからさ、何しても許してくれんだよ」

呑気にビール飲んでる姉貴の彼氏の言葉は、今までも何度も聞かされた。

『良い奴だから』
『優しいから』
『怒らない怒らない』

それでも俺は喉を鳴らす。喉仏が見えると男とバレるから、今日はタートルネックだ。何だか暑い気がして指で軽く伸ばす。その爪の先は薄桃のグラデーションに染まってる。人生初のネイルだ。

「お前は帰れよ」

「えっ!?なんでよ?アタシも見たい、そいつ!わざわざお店休んだんだよ!」

「ダーメ、蝶子が気に入られたらどうすんだよ」

「えー!ゲンちゃんヤキモチだ?」

「そう、ヤキモチ。だから帰れよ」

姉貴は嬉しそうにニヤニヤして、「仕方ないなー」と荷物を持って立ち上がると、俺の隣に来た。
帰るんじゃねぇのかよと目線を向けると、「男ゲットだぜ!」と耳打ちして来た。

俺は姉貴を睨み付ける。前々から姉貴は何故か俺をゲイにしたがるのだ。意味が分からない。
なろうと思ってなるもんじゃないだろ。

俺の睨みなんて気にもせず、姉貴は「じゃあね~」と個室から出て行った。姉貴の彼氏と2人きりは初めてだ。俺は気不味くて、目の前の水を手に取った。

「お前さぁ…」

姉貴の彼氏が無愛想に呟く。

「…はい」

「今から来る奴の写真とか、蝶子に見せんなよ」

「…え?」

「蝶子、ぜってぇ騒ぐから。だから外見の事も話すな。デカくて怖い男って言っとけ」

「………はあ…」

何が言いたいのかいまいち分からないが、ヤキモチなのは本当なのかもしれないと思った。

姉貴、良かったじゃん

曖昧に頷きながら水のグラスに口を付けた時、ハッと我に返る。

デカくて怖いの?

その言葉だけが反芻されて、俺は水を飲む前に顔を上げた。姉貴の彼氏は電子タバコをふかしながら、スマホを弄っている。

そう言えば外見の話は聞いてない。

俺はデカくて怖いのは嫌だった。いや、まだデカいのは良い。でも怖いのは嫌だ。

聞くか聞くまいか悩んでる内に、個室のドアが開いた。姉貴の彼氏が顔を上げて笑って、電子タバコを持った手を軽く上げた。

俺は勇気を出して振り返る。ドアをわざわざ潜って入るその人と目が合う。
見た目は悪くない。どころか、相当かっこいい方に見える。

だけど、第一印象は『怖い』だった。

その人が俺を見て「あ?」と言ったからだ。

短い黒髪を左へ流したオールバック。きっちり櫛を通された髪型。太めの眉も、少し濃いめの顔立ちも、俺は悪くないと思った。

しかし男は、その太めの眉を寄せて目を眇めたと思ったら、あからさまに顔を逸らした。

俺は硬直した。

「………なに?お前1人じゃねぇの?」

「じゃじゃーん!サプラーイズ!!コイツはサクラ!可愛いだろ?ハル、タイプだろ?だろ??」

「……は?サプライズとかいらねぇんだけど」

「良いから座れよ!!お前の席はそっち!!サクラ、ソイツはハル。デカくて怖いだろ?」

2人のやり取りが噛み合わな過ぎて、俺はそっと苦笑いしつつ顔を前に戻し、グラスを両手で握った。祈るように。実際祈った。

どうか、このまま帰ってくれますようにと。

祈りは虚しく、男は渋々と俺の隣に座った。
心臓が嫌な鳴り方をして、俺の意識はグラスについた口紅の跡へと向いた。いやグロスか。そう言えば、このグロスって、拭う時どうすんの?手で取れんの?おしぼり?え、姉貴っていつもどうしてた?女友達を思い出してもみるが、どうしても分からない。

現実逃避だ。

「…ちゃん、サクラちゃん」

「えっ!?あ!ひゃ、イ…ッ!」

隣から名前を呼ばれてると気付いた時、思わず声が裏返った。まずい、地声で反応していた。

「アイツ、帰ったよ」

「………え?」

前を見ると、姉貴の彼氏はもう居なかった。俺は固まったまま、頭に「???」を出すので精一杯だ。

「どうする?このまま飯食っても良いけど、…帰るか?どうせアイツに無理矢理連れて来られたんだろ?」

「………あ、…えっと…」

地声にならないように、精一杯高い声を作る。わざとらしくないだろうかと不安ばかりが頭を占拠する。

「……乗り気じゃねぇだろ、帰ろうぜ」

「えっ…えっと………」

「………なに?どっち」

抑揚のない声は不機嫌に聞こえて、俺は血の気が下がる。圧が、すごい。顔が良いからなのか、体がでかいからか、分からないが、問い詰められている気持ちになって萎縮してしまった。

緊張のあまり、何も食べてないのに吐きそうだ。

呆れたのか、男は溜息を吐いた。ビクッと勝手に肩が跳ねる。

「……帰ろう、送るよ」

立ち上がる男に俺は俯いたまま小さく頷いた。下半身を誤魔化す為に膝に掛けていたデニムジャケットを持って立ち上がる。スースーする脚は、肌が薄く透ける黒のストッキング。床で滑りそうな感覚に不安を覚えつつ、歩く練習までした5センチのヒールがあるサイハイブーツを履く。

男は見もしない。背を向けたまま、俺が立つのを待っていた。俺は慌てて立ち上がる。

このまま帰って良いのか?良いなら良いけど、姉貴の彼氏に何て言えば良い?そう言えば、バレなかったけどデートも出来なかった場合を聞いてない。まさかペナルティとかないよな?このまま帰ったらどうなんの?

肩越しに俺を確認すると、男は歩き出した。部屋で歩く練習はしたけど、実際には全然上手く歩けなくてめちゃくちゃ遅かった。前を歩く男は一度俺の方を確認したが、待たずにさっさとレジに向かって行った。

「あの、支払い…!」

辿り着いた時には会計が終わっていた。精一杯の声は上擦って、それ以上出なかった。

「何も食ってないから良いよ」

店員は不審げに千円ちょっと(姉貴の彼氏が頼んだ分)のレシートを差し出し、「あざっしたー…」と心が篭らない声を出しつつ俺達2人をチラチラと見ていた。

それもその筈だ。
俺はヒールで175くらいになってるのに、男はもっと大きい。180を超えてる。182?いや、もしかしたらもっと。デカいのが並んだら、そりゃ目立つよな。

外に出ると少し肌寒い風が吹いていた。男は立ち止まって振り返る。

「帰り道どっち」

「あ、あの、大丈夫、です…地下鉄までなんで…」

「地下鉄って、夜水よみ駅?」

「あ、は、はい…」

「そう、じゃあこっち」

男はそう言うと歩き出した。確かにそっちだよ。俺は戸惑いつつ、仕方なくついて行く。相変わらず遅い足取りだ。男は少しだけ前を歩いているが、さっきのように置いて行ったりはしない。

でも無言だ。もう、ずっと無言。駅まで20分はある。その間、無言のつもりか。いや、喋ることも特にないけれど。気まずい。

カコカコ鳴るヒールが耳障りだ。脚が寒くてしょうがない。スカートは股の開放感がえげつない。そう言えばデニムジャケットを羽織るタイミングを見失った。て言うかこのまま帰って良いのか?まじで?ボコられない?頭痛ぇ、え、マジの頭痛?マジの頭痛!

自覚してからはどんどん頭が痛くなってくる。本当にどんどん。

「………っ…」

我慢してたけど、俺は持ってたデニムジャケットと、財布とスマホしか入ってない小さなバッグを落として、その場にしゃがみ込もうとした。
男が音に気付いて振り返って、しゃがみ込む前に俺の体を掴んだ。多分、倒れると思ったんだろう。

バレる…!まずい…!

「大丈夫か?救急車…」

「い、いい…!呼ばないで…!」

こんな姿で病院なんて行きたくない。男の肩に凭れながら、男が操作しようとしたスマホを手で塞いだ。

「よ、横になれば、治る、治るから…!」

「横にって……女を地べたに寝かす訳には……」

女じゃないから、ほっといて。頭痛すぎて吐くかもしんない。

男がきょろきょろしてる気配がする。何かを考え込むような間の後、落とした荷物を拾い上げて、俺を肩に抱き上げて歩き出した。

揺れて頭痛がひどくなりそうなのに、俺は寧ろ心地良さに意識を失ったーーんじゃなくて、寝た。単純に。

そして冒頭に戻るのだ。

土下座する俺を見下ろしている気配だけする。
起き抜けに癖でスマホを探した俺は、近くに置いてあった鞄から覗いていたスマホを出して時間を見た。居酒屋を出たのが19時半くらいだったと思う。そして今は19時45分。そう、全然時間は経ってない。

そして飲屋街として有名な夜水駅の周辺には、ラブホテルも多い。

そんな場所で頭が痛いなどと言って、横になりたいなどと言って、少し寝たら治ったなどと言えば、変な勘繰りをされるかもしれない。

「ほ、ほんとにすみません!俺、男で!マジで具合悪いだけで、誘ったとかじゃなくて…!」

俺はもう必死で謝った。それなのに、返ってきた返事は、


「男?そうなんだ。分かった。具合悪いんだろ?良いから横になってろよ」


と、随分と想像と違ったものだった。
俺は顔を上げた。男は眉を寄せているままなのに、さっきみたいな怖さは感じなかった。

「え…あ…え?」

「体調悪い奴に何もしねぇから。ビビらせて悪い。横になれるトコって、近場じゃここしか思いつかなくて。マジで大丈夫?病院行くなら連れてくが」

「…いえ、だ、大丈夫です…す、すみません…」

「急に意識失うのが大丈夫とも思えねぇけど…」

「ほ、ほんとに平気です!!」

「…そう、じゃあせめて、もう少し横になったら?」

「あ、は、はい…」

声質とか、言い方とか、少し柔らかくなった気がする。心配してくれてるんだろうと伝わって来た。俺は安静にする事で、大丈夫だとアピールしようと思って横になった。

男はベッドに肘を乗せて、顔が見える位置に座り込んだ。つまり、床に座ってる。

「頭痛い時って何してやったらいいんだっけ…水飲ませるとか…?俺頭痛くなった事ねぇからなァ」

両手でスマホを操作する男は、なんだか少し愛嬌がある。

「そんな人間いる…?」

「いるいる。ここに。……あ」

ほんの少し笑う男の顔が、妙に優しそうに見えた。でもその笑みは、何かに気付いたようにすぐに消える。スマホから目線を外し、目が合う。男は自分の唇の前にそっと指を立てた。

「俺声でかかったよな。ちょっと静かにしてる…」

急に小声になった男。頭痛の時、声が頭に響く場合があると言う検索結果でも見つけたのだろう。
俺は瞬く。印象が全然違う。俺は勝手に怯えた事や、スッキリ治ってしまった事にさえ申し訳なくなって来て、布団をギュッと握ると同時に目もギュッと閉じた。
眠るフリでもしようと思って。

帰って良いですよ…って言えば良かったと思った時には、俺はもう夢うつつで、そのままストンと眠りに入ってしまった。




次に目が覚めた時、俺も男も体勢が変わってなかった。
また少しだけ眠ってしまったらしい。
俺は身をゆっくりと起こしながら、スマホを見ている男に顔を向けた。

「あ…あの、だいぶ落ち着きました。ほんと、すみません…」

「……そか、良かった」

男が微笑んだ。その時、俺の心臓が一度だけ強く高鳴って、俺は「?」となった。その横で男は立ち上がり、腰を伸ばすような動きをしている。

「もう終電ねぇし、タクシー呼ぶか?」

「……終電が、ねぇ?」

そんな馬鹿な。0時半が終電だった筈だ。
男はスマホの画面を見せて来た。時刻は0:52で表示されている。

「…………おれ、ガチ寝を…すみません…」

何を呑気に何時間も寝こけていたのか。こんな事なら、姉貴の彼氏が言ってた通りウィッグにすれば良かった。頭がズレれば起きたかもしれない。そもそも眠れなかっただろう。違和感とかで。
ミディアムウルフの髪型は女子にも居ると、姉貴が言ったので地の頭で来たのがいけなかったのか。それでも女子っぽさを出す為にコテで巻かれて、セットまでされているのに。整髪料でハゲないだろうか。いや、普段もそれはやらかすか。あれ?メイクしたまま寝て良いんだっけ。

混乱して何を考えているのか分からなくなってる俺の事も、何時間も放置されていた事も、男はあまり気にした様子はなくスマホをポケットへ戻す。

「もう宿泊で金払っちゃってるから、このまま泊まっていっても良いけど」

「………」

俺は何だか呆然と見上げてしまう。ウィッグだとか、メイクだとか、自分の思考で思い出した事がある。そんな俺の顔を見て、男は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに「あ」と呟いて瞼を押し開いた。

「変な意味はねぇから。何なら俺は帰るよ」

無言で見上げる俺に勘違いしたのか、男は片手を振った。俺は思わず、同じように首を振った。

「いえ…怒んねぇのかなって、思っただけです。俺、その…お兄さん、騙しちゃって…」

思い出したのは、自分が女装していると言う事だ。自分すら忘れていたから、きっとこの人も忘れているんだろう。俺はもう、怒られる覚悟で改めて告げた。

だが男は再び不思議そうな顔をした。

「騙した?……俺、騙されてんのか?え、何を?」

「え、いや、男なのに女のフリして…」

「………ん?じゃあ、なに、普段は普通に男ってこと?そういう恰好が好きとかじゃなく?俺を騙す為に女装してんのか?」

「……………」

そうか、この人、忘れてるとかではなく、女装男子と思って接してくれてんのか。そしてそれについては、何とも思ってなかったのか。

「……は?何のため?」

「……す、すいません!!!金で!つられました!!」

俺は再び渾身の力で謝り、姉貴と姉貴の彼氏とのやり取りも、ドッキリの内容も、報酬まで洗いざらい白状した。

そしてベッドの端に座っていた男は、聞き終わるなり呆れたような重い溜息を吐いた。

「……アイツ、昔っから変なドッキリする奴だけど…流石にこれは……」

「マジでマジでマジですみません!!」

加担した罪悪感が今になって湧き上がって来る。謝る道しか今はない。

「いや………うーん…まあ、全面的にアイツが悪いな。でも、サクラちゃんも乗ったらダメだろ。騙されんのはやっぱ、気分良くないし、危ない目に遭うかもしんねぇし」

「はい、反省してます。…ホント、すいませんでした…」

「うん、ま、良いよ。アイツには呆れるけどサクラちゃんには怒ってねぇから。今後はこんな馬鹿な提案には乗らないって、約束だけして」

「……は、はい」

男が微笑むと、また心臓が一度だけ大きくなった。俺は耐えるように足に掛けてる布団を握り込む。
全然怒らないし、本当に優しい人なんだと思った。

「それにしてもアイツ…他人巻き込むのは、度が過ぎてんだよな」

そして姉貴と姉貴の彼氏はクソだと改めて認識した。俺は小さく「すいません…」ともう一度謝った。男は耳聡く聞き取ったのか、視線を向けて来る。もう怖くはないが、気まずくて目を合わせられない。

男はベッドに手をついて、顔を寄せて来た。視界に入る手が大きい。

「…1日1万円だっけ?サクラちゃんが貰える金って」

「…そうです」

「サクラちゃんはお金欲しいんだよな?」

手を見詰めていたが、問い掛けに「え?」と顔を上げた。男の目から責めてるんじゃないと伝わって来る。

「…そう、ですね。あ、いや、でも、切羽詰まってるとかじゃないんです。あの人、その…ちょっと怖いんで、逆らうの面倒だし言う事聞いて金になるなら、良いかなって…」

「彼女の弟に面倒って見抜かれてんの面白いな。サクラちゃんがそんなにイヤイヤってワケじゃねぇなら、やり返してやろうぜ」

「え?やり返す?」

「アイツが払えなくなる金額まで、金を吊り上げてやるんだよ。まあ、サクラちゃん、暫く俺とデートする事になるけど」

男がニヤッと笑う。童心に戻ったのだろうか、悪戯をする前の子供のような顔に見えて、俺はつられて笑ってしまった。

「………ふ、…それ、良いですね。…でもお兄さんこそ、良いんですか。俺とデートしてて。彼女、欲しいんでしょ」

「うーん、彼女が欲しいだとちょっと違うんだよな。俺、好きな子が欲しいんだよ」

「……好きな子?…同じ…じゃないんすか」

「最終的には一緒なんだけど、なんて言うか、一緒にいたいなぁって、この子が良いなぁって、思える子をさ、…見つけたい」

「………意外と、ロマンチックなんですね」

「…………これってロマンチックなの?」


.
.
.


「サクラちゃん、お待たせ」

「春風さん」

男の名前は春に風で、まんま春風はるかぜだった。本人は「変な名前だよな」と気にしてたけど、俺は良い名前だと思ったから春風さんと呼んでる。

春風さんは名前を呼ぶと少し照れ臭そうにした。みんなはハルって呼ぶからって。それが妙に胸をくすぐる。

「上着は?まだ夜は冷えるだろ」

「実は忘れちゃって…」

今は19時前、駅前の公園で俺達は落ち合った。

あのラブホ事件(て程じゃないけど)の後、春風さんは姉貴の彼氏(幻太ゲンタなので、ゲンさんと呼ぶ)に俺の目の前でメッセージを送った。

『サクラちゃんと2軒目まで行った。話合うし、可愛いし、お前にしては良い仕事すんじゃん』と。

俺は笑いを堪えつつも、その文面がちょっと嬉しかった。嘘なのに。

ゲンさんから即返事が来た。内容は『マジ!!??良いじゃん良いじゃん!ハルとサクラでお似合いだと思ってたんだよなー』と、向こうは向こうで笑ってんだろうなと言う感じだった。

ここでゲンさんが正直に打ち明けたら、春風さんは許すつもりだったのだが、その文を見て呆れたように肩を竦めた。

『だから2度目のデートの約束もした』と送り返す。
春風さんは作戦のスタートを切ったのだ。

そして、今日、俺と春風さんは5度目のデートになる。

「ああ、そうなの。じゃあコレどうぞ」

春風さんは着ていたジャケットをわざわざ脱いで、俺の肩に羽織らせてくれる。

「え、でも春風さん、下半袖じゃないですか」

「腕出してる俺より、脚出してるサクラちゃんの方が寒いだろ。……それにしても、今日の格好、また凄いね」

言われて俺は下を見た。今日はパーカーワンピ?で黒の網タイツにブーツだ。裾が尻を隠す程度しかないので、下にショートパンツを履いてるが、思ったより隠れてしまうので、履いてないように見えるだろう。

「姉貴がもう着せ替えに飽きたらしくて…コーディネートも適当なんですよ」

「………つかさ、サクラちゃん脚長いよな」

「そうですか?」

「うん、スタイル良いし、メイク取った所は見てないけど、顔整ってそうだし、モテそう」

「俺がですか?全然そんな事ないです。春風さんの方がモテるでしょ、消防士さんだし」

そう、春風さんは消防士だった。聞いた時はびっくりした。

「俺は全然。まだ下っ端だしな。職場じゃ出会えないし、かと言って合コンとかには参加したくねぇし」

「あ、そか、女の人の前だと緊張しちゃうんすもんね」

「………中高で男子校だったから」

「また言ってる。それ言い訳だと思います。初対面の時の態度、めっちゃ怖かったですよ俺」

更に春風さんは女性の前だとぶっきらぼうになるとか。全然目も合わせられないし、何喋れば良いのか分からないし、緊張して声が低くなるしで、よく勘違いされるそうだ。

「…いや、だって、めちゃくちゃ好みだったから。ホント。びっくりしたんだよ」

「…………」

「まあ、だから男って聞いて正直少し気が楽になった。じゃねぇと、まだ緊張してたかも。………って、これ、サクラちゃんがホントに女の子になりたい場合とか、失礼になんのかな」

「……ホントに女の子になりたい人はショックかもしんないですけど、俺は普通に男なんで、分かんないです」

嘘だ。
俺は少し胸が痛んだ。

春風さんは女っ気がなかったんじゃなくて、ゲンさんがうるさいから紹介しなかっただけで、過去には普通に女性とお付き合いしてたらしい。

だから本当に、俺とはただの友達。ううん、多分それ以下。ゲンさんに仕返しするだけの期間限定の相棒。

たった5回会っただけ。
それなのに俺は

「サクラちゃんとはホントに話が合うし、一緒に居て楽しいんだよな」

そう言って笑う春風さんに心臓の辺りをギュッと掴まれてしまう。

肩に掛けられた少し重いデニムジャケット。
女の子扱いなんだろうと思う。なのに俺のだらしない頬がふにゃふにゃと緩みそうになる。ぐっと口の端に力を入れて耐えた。

「サクラちゃん」

いきなり肩を抱き寄せられて、俺は硬直してしまう。春風さんからはいつもほんのりと香水の匂いがする。その匂いが強くなって、俺は思わず目を固く瞑った。

「あの野郎、ふらふら歩きやがって」

耳に届いた春風さんの声で、状況が分かった。どうやらぶつかりそうになってたみたいだ。俺は恥ずかしくなって、そっと春風さんの胸を押した。俺とは違う、鍛えられてる体だ。

「あ、あの、すみません。俺もボーッとしてて…」

「いや、アイツは吸い寄せられるようにサクラちゃんに向かって来てたから。急に肩に触ってごめんな」

「え?いえ、全然大丈夫、です。大体ぶつかっても大丈夫ですよ、女じゃないんですし…」

「女じゃないならぶつかって良いなんて事ねぇから。サクラちゃん、普通に可愛いから。触りたくてわざと当たりに来てる奴もいるかもしんねぇじゃん、だからぶつかって欲しくない」

熱があるんじゃないかってくらい、急に体が熱くなって、俺は何も返せなくなった。

「……行こうか、サクラちゃんが食べたがってたナポリタンの店。すぐそこだから」

黙り込んだ俺を見て、春風さんが微笑んだ。手を引かれて歩き出す。
もう俺はされるがままで、幼い子供みたいに春風さんの手を握ってついて行くだけ。

春の夜は肌寒いなんて誰が言ったんだ。ずっと熱があるみたいに暑いのに。

「そう言えば、春風さん何で消防士になったんですか?」

ナポリタンを食べて満足したら、俺を襲っていた高熱は落ち着いた。鏡で口周りを見ながら質問する。ケチャップを紙ナプキンで拭う。
食べるのが早い春風さんは、いつも食べ終わるとコーヒーを頼む。スマホも出さず、暇じゃないかと思うのだけど、「食後はのんびりしてぇから、急がなくて良いよ」と言って待っててくれる。

申し訳ないと思いつつ、その時間が結構好きだったりする。
食べ終わった後の、少しダラダラする今の時間も。

「ん?ああ…」

「あれ?聞いちゃまずかったですか?」

「いや、違う。なんつーか……ガキの頃にな、帰省してた祖父の家で火事にあったんだ。その時助けてくれた消防士達がすごくかっこよくて……って、ベタだろ?よく笑われる」

春風さんは照れ臭そうに笑った。
カムバック動悸息切れから目を逸らすように、俺は手元のグラスを両手で握った。氷は溶け切っていて結露に指が湿る。ジンジャーエールの小さな気泡を見詰めた。

「俺も」

「うん?」

「俺も春風さんみたいな消防士さんに助けられたら、きっと同じように思ったと思う」

「消防士になりたいって?」

「そう…かっこいい、消防士になりたいって」

たったこれだけの言葉が照れ臭くなって、俺は顔を伏せた。変な奴だと思われたかもしれない。春風さんにはいつも可愛いと褒めて貰えるから、偶には俺も素直に言おうと思っただけなのに。

「…はは」

春風さんの笑い声が耳をくすぐる。すごく貴重な笑い声だ。俺は顔を跳ね上げる。

「嬉しい」

本当に嬉しそうに笑った春風さんの細められた目が、俺の胸の奥の更にまた奥にまで入り込んできて、心臓の裏側にある今まで気付かなかった俺の触っちゃいけない柔らかい所を刺激する。

俺はむず痒い気持ちになって、ジンジャーエールに刺さってるストローで意味もなく中を混ぜた。炭酸は抜けかけていて、特に何も起こらない。

「あれ、外雨降ってんのか?」

「…あ、ホントだ」

春風さんの声に、窓へと顔を向けた。
窓ガラスに点々と雨粒が付いてて、夜の街灯が滲んでいる。

「ちょっと電話してくる」

「え?あ、はい」

春風さんはそう言ってどこかに向かった。「もう出ましょうか?」って言えば良いのに、俺はその言葉を言えない。外に目を向けた。

傘を差した人々の中に、諦めたように濡れながら歩く人や、諦め切れずに走る人がいる。笑いながら走る男女カップルがいた。俺と同じ歳くらいだ。2人の間を繋ぐ、握られた手によく分からないモヤモヤとした気持ちが湧く。

俺は膝に置かれた春風さんのジャケットを軽く握りしめた。

ぼんやりしていると春風さんが戻って来て、向かいに座る。もう帰るかな、と思ってたら、「デザート食べたいの俺だけ?」と言われた。変な聞き方に笑ってしまって、一気にモヤモヤは吹き飛んで、俺は頷いた。

「雨止まないですね」

会計を終えて外に出たら、空気は濡れてて寒かった。店の軒下で雨宿りするように並んで空を見た。暗くて見えにくいけど、細い光の線が、見えない雨を可視化している。

ハザードを点けたタクシーが、丁度店の前に停まる。『予約』と赤文字がフロントガラスに映っていた。誰か予約してたのか、ラッキーだな。

「サクラちゃん、行こう」

「え?」

肩に掛けていたジャケットを頭まで被せられ、手を引かれてタクシーの方へと歩く。窓から運転手と話す春風さん。ドアが開けられ、俺はエスコートされた。

「どうぞ、サクラちゃん。気を付けて帰ってな」

「えっ!?で、でも、春風さんは?」

「俺はそんな遠くねぇから。それにほら、ヒールじゃねぇし」

言いながら笑顔で押し込められる。ジャケットは攫われるように春風さんの手元に戻り、代わりに俺の手元には五千円札がやって来た。

「俺が勝手に呼んだから使って」

「いやそんな!大丈夫ですって!」

ゲンさんからの一万円もあるし、とは何となく他人がいる前では言えなかった。

「ここでウダウダやってると運転手も困るから。お返しは次のデートでな。じゃあ、お願いします」

そう言って春風さんはドアから離れた。ドアはゆっくりと閉まった。車内が少し濡れてしまった事は申し訳ないが、俺に運転手を気遣う余裕はなかった。

遠ざかって行く春風さんを目で追い掛ける。見送ってくれる彼の姿が街路樹や街灯に隠れてしまう。
完全に隠れてしまうと俺は蹲る気持ちで項垂れた。五千円札を握り締めて。

(…かっ、彼女いない理由がマジで分からん)

身体が沸騰するように熱くなる。汗が滲むんじゃないかってくらいに熱い。
俺は会う度にときめかされて、本当に大事にされてる彼女みたいな気持ちにさせられる。

こんな風に気遣われるのは一度や二度じゃない。

女の子みたいに守られて、俺は全然嫌じゃなくて、そう思うのは、今までこんな風な扱いされた事なかったからだ。なんて言い訳してたけど、別にときめくポイントは気遣いだけじゃない。

あの照れ臭そうに笑う顔が、本当にやばい。

あの顔に、俺はどうしようもなく胸が締め付けられて、このかっこよくて可愛い人をどうしたら良いのか分からなくなる。いや、どうも出来ないんだけど。

知らなかった表情をひとつ知る度に俺は嬉しくて、ニヤケそうになって、その度に気を引き締めるのだが、春風さんと離れた後は身悶えてしまうのだ。

「お客さん、大丈夫ですか?」

運転手が心配して声を掛けてくるほど、俺はずっと蹲っていた。俺は慌てて身を起こす。

「だ、大丈夫です。すみません」

女声を作って返す。そして目に入ったガラスに映る、自分の顔。がっつりメイクした姉に似た女の顔。心に咲いた花が萎れていくのが分かる。

(男相手にこんな気持ちになって、バカかよ)

窓ガラスの自分に頭を打ち付けたい気持ちになったが、本当に打ち付ける訳にはいかないので、ただ寄り添った。

(春風さん、ホントはロングが好きなんだ。少しふわふわした黒髪のロング。強めの美人が好きで、背が高いすらっとした女が好きで。胸もそれなりに欲しいとか)

二度目のデートで何気なくした好みの話。その時は、俺と全然違うじゃねーかとゲンさんの適当っぷりを恨んだだけだったのに、今では心を抉られるような気持ちになってしまう。

(あの人の優しさを勘違いするな)

ぼんやり眺める窓の外。滲む光が後方へと過ぎ去って行く。

ガラスに映る自分の頬を、雨粒が涙のように滑り落ちた。

.
.
.

デートを終える度、姉の家に服を返しに行く。姉貴はいつも居るわけじゃないが、ゲンさんはいる。一応約束通りに報酬をくれる為だ。

今日も着替え終わった俺に、ゲンさんは剥き出しの一万円札を差し出した。

これで5万だ。いつも春風さんにこの金を折半しようと提案するのだけど、春風さんは俺に貰っときなと言うだけだった。

(何か、プレゼントしたら迷惑かな)

そんな事を考えながら、一万円札を掴む。だが引いても取れない。ゲンさんの手が離してくれない。

「……あの」

「ギ」

「はい?」

「ギブアップ…」

ゲンさんがついに根を上げた。

「どんだけ鈍いんだよアイツ!流石に3回目くらいで気付くだろ!お前ら1日デートした時もあったんだろ!?何を気に入られてんだよお前も!!」

「…いや、ゲンさんが言い出した事だし」

やっと一万円札を離し、ゲンさんはソファに大きく両手を広げて深く凭れた。

「あーマージ最悪、最悪なんだけど」

「……春風さんには、ネタバラシするんですか?」

ぶつくさとボヤきながら、電子タバコの煙を天井に向けて吹いていたゲンさんがガバッと顔を起こした。

「殺される」

「は?」

「アイツお前の事気に入り過ぎ。毎回『可愛い子をありがとう』って礼を言われる。アイツがンな事言うの初めて。これでお前を男だってバラしたら、殺される」

「いや、春風さん人殺したりしないんで…」

言いつつ、俺はニヤケそうになる。ゲンさんを騙す為の嘘だって分かってるのに。俺の知らない所で、俺を褒めてくれる春風さんに胸がそわそわする。

「だからさ、フェードアウトしてくんねぇ?」

「………え?」

「アイツにはガチの女を紹介するからさ。お前は何も言わずにさりげなくフェードアウトしてくれよ」

胸が、ざわざわする。

俺は碌に返事なんて出来なかったのに、ゲンさんは勝手に話を進めていった。

「久々に3人で会おう」

そんなメッセージを、春風さんに送ったみたいだ。
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