11 / 28
11 グズグズネズミ
しおりを挟む
新米ネズミはヒマワリ畑の見下ろせる夕日ヶ丘に座っていた。
チュー太郎宅を後に無心にバイクを走らせたが、夕方まで特にする事も無い。
時間を潰せるあてもなく、取りあえずバイクを停めて野原に座り、ヒマワリ畑の向こうに見える川辺りを眺めていた。
畑一杯に咲くヒマワリは風にそよそよと大きな花を揺らしていた。
その風景はとても穏やかに押しては返すさざ波のように、何度も繰り返している。
それをぼんやり眺めながら新米ネズミは思った。
(何でもいいからさっさと受け取ってくれれば、、)
考えるのも疲れてしまって自分勝手な考えがよぎってくる。
そしてふと思う。
(どうしてチュー太郎は荷物を受け取ってくれないんだろう、、?)
そもそも配達した荷物は受け取ってもらうのが当たり前だと思っていた。
だからそれを拒否されたことがショックだったのと、荷物を自分が忘れた事への罪悪感で一杯だった。頭の中がそればかりで、チュー太郎の受け取らない理由について今までは考えてみたことがなかったのだった。
(よく考えるとチュー太郎は荷物を見ただけで受け取りを断わった。箱が温かろうと冷たかろうとどっちでも良かったんじゃないのか?)
(もし自分が荷物を配達するのが遅れていなくても実は受け取ってもらえてなかったんじゃないのか?)
、、、、、じゃあ、こっちのせいじゃないじゃないか、、。
そんな事を考えていると段々腹が立ってきた。
チュー太郎に対してムカムカするのと同時に、こっちのミスを正当化しようとしている自分にも腹が立ってきた。
新米ネズミは野原で体育座りのまま、顔を隠してまたグズグズと一人で泣いた。
今になってようやくこのネズミは工場の3番目のルールの本当の意味を、身に沁みて感じるのだった。
チュー太郎宅を後に無心にバイクを走らせたが、夕方まで特にする事も無い。
時間を潰せるあてもなく、取りあえずバイクを停めて野原に座り、ヒマワリ畑の向こうに見える川辺りを眺めていた。
畑一杯に咲くヒマワリは風にそよそよと大きな花を揺らしていた。
その風景はとても穏やかに押しては返すさざ波のように、何度も繰り返している。
それをぼんやり眺めながら新米ネズミは思った。
(何でもいいからさっさと受け取ってくれれば、、)
考えるのも疲れてしまって自分勝手な考えがよぎってくる。
そしてふと思う。
(どうしてチュー太郎は荷物を受け取ってくれないんだろう、、?)
そもそも配達した荷物は受け取ってもらうのが当たり前だと思っていた。
だからそれを拒否されたことがショックだったのと、荷物を自分が忘れた事への罪悪感で一杯だった。頭の中がそればかりで、チュー太郎の受け取らない理由について今までは考えてみたことがなかったのだった。
(よく考えるとチュー太郎は荷物を見ただけで受け取りを断わった。箱が温かろうと冷たかろうとどっちでも良かったんじゃないのか?)
(もし自分が荷物を配達するのが遅れていなくても実は受け取ってもらえてなかったんじゃないのか?)
、、、、、じゃあ、こっちのせいじゃないじゃないか、、。
そんな事を考えていると段々腹が立ってきた。
チュー太郎に対してムカムカするのと同時に、こっちのミスを正当化しようとしている自分にも腹が立ってきた。
新米ネズミは野原で体育座りのまま、顔を隠してまたグズグズと一人で泣いた。
今になってようやくこのネズミは工場の3番目のルールの本当の意味を、身に沁みて感じるのだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
知ったかぶりのヤマネコと森の落としもの
あしたてレナ
児童書・童話
ある日、森で見つけた落としもの。
動物たちはそれがだれの落としものなのか話し合います。
さまざまな意見が出ましたが、きっとそれはお星さまの落としもの。
知ったかぶりのヤマネコとこわがりのネズミ、食いしんぼうのイノシシが、困難に立ち向かいながら星の元へと落としものをとどける旅に出ます。
全9話。
※初めての児童文学となりますゆえ、温かく見守っていただけましたら幸いです。

神様は、いいました。
夜ノ烏
児童書・童話
どこにでもある、小さな町。
その町の片隅に、誰も訪れない神社がある。
そこにいるのは、神の座を追われた神様と、一匹のはぐれ猫。
――これは、誰も知らない、昔の話。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
はんぶんこ天使
いずみ
児童書・童話
少し内気でドジなところのある小学五年生の美優は、不思議な事件をきっかけに同級生の萌が天使だということを知ってしまう。でも彼女は、美優が想像していた天使とはちょっと違って・・・
萌の仕事を手伝ううちに、いつの間にか美優にも人の持つ心の闇が見えるようになってしまった。さて美優は、大事な友達の闇を消すことができるのか?
※児童文学になります。小学校高学年から中学生向け。もちろん、過去にその年代だったあなたもOK!・・・えっと、低学年は・・・?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる