1 / 28
01 キモチハート工場
しおりを挟む
がたがた…ぴー……ぷるん!
工場のベルトコンベアーにハートが等間隔で乗っかって流れていく。
きっちりと作業服に作業帽を被ったネズミ達がハートを箱に入れて丁寧に梱包していく。
がたがた…ぴー……ぷるん!
流れてきた言葉のデータをハートに入れて、温かい気体と液体を詰めてぷるんとホカホカとした質感になれば完成のようだ。
『キモチハート工場』建物にでかでかと会社の名前が刻まれている。
箱詰めされたハートはすぐにスタンバイしていたバイクの荷台に1つずつ乗せられ、届け先を確認すると急いで運転手のネズミが届け先へ向けて、次々にバイクのエンジンをかけて出発していく。
ーーーーーーーーー
大きな洋館の、大きな門の前にバイクを付けるものがあった。
エンジンをかけたままでスタンドを立て、バイクを停車すると、温かくなったダンボール箱を抱えて大きな門の呼び鈴を押す。
ピンポーン…
「キモチハート工場でっす。」新米ネズミの彼は声が少しうわずってしまったので、1人そわそわしながら緊張した面持ちで、返答を待った。
『はーい、ただいま開けますね。』と女性の声がしてすぐに
キー……
と門が開いた。
新米ネズミが門の中に入るとすぐに家のドアが開いた。
そこには中年の優しそうな奥さん風のネズミが出てきて軽く会釈をすると新米ネズミの持っている箱に目をやる。
「お届け物です。」と新米ネズミ。
奥さんネズミが少しの間、不思議そうな顔をして
「どなたからなのかしら?」と訊ねた。
新米ネズミはしまった!という顔をして慌てて伝票に目を通すと「ちゅ、チュー吉さんからです!」
と伝えた。
奥さんネズミは「あぁ」と笑顔になって両手を差し出した。
そこへ新米ネズミは持っていた箱を渡した。途端に箱は ポンッ と音をたてて開き、中から温かいハートが浮かび上がった。
ハートには何か文字が書いてある。
「贈り物を、ありがとうございます。」
奥さんネズミがそれを読むと、ハートは箱ごと温かい空気を残してゆっくりと消えていった。
奥さんネズミは「ありがとう、ご苦労様でした。」とお礼を言って頭を下げる。
新米ネズミも出れながら一緒に頭を下げた。
ドアが閉められると、新米ネズミは少し誇らしげに帽子のつばを触るともう一度ペコリとお辞儀をして門を後にした。
バイクの空っぽになった荷台を見てから、工場へとエンジンをかけてまたバイクを走らせるのであった。
工場のベルトコンベアーにハートが等間隔で乗っかって流れていく。
きっちりと作業服に作業帽を被ったネズミ達がハートを箱に入れて丁寧に梱包していく。
がたがた…ぴー……ぷるん!
流れてきた言葉のデータをハートに入れて、温かい気体と液体を詰めてぷるんとホカホカとした質感になれば完成のようだ。
『キモチハート工場』建物にでかでかと会社の名前が刻まれている。
箱詰めされたハートはすぐにスタンバイしていたバイクの荷台に1つずつ乗せられ、届け先を確認すると急いで運転手のネズミが届け先へ向けて、次々にバイクのエンジンをかけて出発していく。
ーーーーーーーーー
大きな洋館の、大きな門の前にバイクを付けるものがあった。
エンジンをかけたままでスタンドを立て、バイクを停車すると、温かくなったダンボール箱を抱えて大きな門の呼び鈴を押す。
ピンポーン…
「キモチハート工場でっす。」新米ネズミの彼は声が少しうわずってしまったので、1人そわそわしながら緊張した面持ちで、返答を待った。
『はーい、ただいま開けますね。』と女性の声がしてすぐに
キー……
と門が開いた。
新米ネズミが門の中に入るとすぐに家のドアが開いた。
そこには中年の優しそうな奥さん風のネズミが出てきて軽く会釈をすると新米ネズミの持っている箱に目をやる。
「お届け物です。」と新米ネズミ。
奥さんネズミが少しの間、不思議そうな顔をして
「どなたからなのかしら?」と訊ねた。
新米ネズミはしまった!という顔をして慌てて伝票に目を通すと「ちゅ、チュー吉さんからです!」
と伝えた。
奥さんネズミは「あぁ」と笑顔になって両手を差し出した。
そこへ新米ネズミは持っていた箱を渡した。途端に箱は ポンッ と音をたてて開き、中から温かいハートが浮かび上がった。
ハートには何か文字が書いてある。
「贈り物を、ありがとうございます。」
奥さんネズミがそれを読むと、ハートは箱ごと温かい空気を残してゆっくりと消えていった。
奥さんネズミは「ありがとう、ご苦労様でした。」とお礼を言って頭を下げる。
新米ネズミも出れながら一緒に頭を下げた。
ドアが閉められると、新米ネズミは少し誇らしげに帽子のつばを触るともう一度ペコリとお辞儀をして門を後にした。
バイクの空っぽになった荷台を見てから、工場へとエンジンをかけてまたバイクを走らせるのであった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。

こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる