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第六章 にわかに信じ難い
第十三話 中年の恋バナ(序文)
しおりを挟む 以前の、幼なじみからの紹介の話を覚えておいでだろうか。
中年の恋バナなど興味も無いだろうが、出来れば少しでも聞いて頂きたい。しかし恋バナと言えるほど華やかなものではないが、内心色々とそわそわしていたのは間違いない。
中年の枯れた心にもまだ潤いが残っていたのかと、自分でも驚いている。
まさかこれも化粧水の効果なのか?ーーー(んな訳ねーだろー!)と心の声が囁くけれど、ここはそう思ってしまいたい。もしそうだと仮定して今までの話題を振り返ると、試し続けてきた知識にも箔が付くってもんだが、、。
※今回異様に口数が多く見て取れる文章になっているのは、恐らく平常心を取り戻そうという無意識の表れであると補足しておく。
____________________________
紹介の話があってから数日後、私は幼なじみのそいつと服を見にデパートへ行った。
正直に白状すると私には服に対するこだわりがあまり無く、こういう場合にどんな格好をしていいのかが全く分からない。
その点やつは服のセンスは目立たずにシンプルを心がけているようで、いつも服装と髪型に関しては男の私から見てもスッキリしている。
だからこの際、当日のコーディネートを丸々見立ててもらおうという寸法であった。
やつはそれを蘭○園のスペシャル定食ですんなり引き受けてくれたのである。
_____________________________
さて、待ち合わせ当日の話に戻そう。
私は職場から車で5分先のケーキ屋さんの駐車場で車を停めて先方を待っていた。
そこは彼女達の住んでいる家の付近だというので待ち合わせ場所にさせてもらったのである。
幼なじみの見立て通りの明るい色のデニムボタンシャツにグレーのシンプルなダウンジャケット(やつの言っていた説明を覚えた)、ズボンはベージュの今まで一度も履こうと思った事のない色の物を身に着けて及んでいる。
こちらは先方がどんな方かは結局確認していない。勝手なこちらの先入観を持ってしまっても申し訳ないし、というよりはあれこれ考え過ぎる自分が煩わしいのでむしろ知らないほうが良いかと思ったのもあった。
先方にはこちらの顔写真を見せているらしい。
今思えば、その時点でお断りを頂かなかった事に心底感謝している。
早めに駐車場に着いた私は、ようやく面接まで辿り着いた就活生のような心持ちで車内で待つ。
しばらくしてタバコを吸いたくなってくるが、ここはぐっと我慢して缶コーヒーをぐいっとカラカラの喉に流し込む。
すると眼の前に小さな女の子を連れた女性がキョロキョロしているのが見えた。
中年の恋バナなど興味も無いだろうが、出来れば少しでも聞いて頂きたい。しかし恋バナと言えるほど華やかなものではないが、内心色々とそわそわしていたのは間違いない。
中年の枯れた心にもまだ潤いが残っていたのかと、自分でも驚いている。
まさかこれも化粧水の効果なのか?ーーー(んな訳ねーだろー!)と心の声が囁くけれど、ここはそう思ってしまいたい。もしそうだと仮定して今までの話題を振り返ると、試し続けてきた知識にも箔が付くってもんだが、、。
※今回異様に口数が多く見て取れる文章になっているのは、恐らく平常心を取り戻そうという無意識の表れであると補足しておく。
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紹介の話があってから数日後、私は幼なじみのそいつと服を見にデパートへ行った。
正直に白状すると私には服に対するこだわりがあまり無く、こういう場合にどんな格好をしていいのかが全く分からない。
その点やつは服のセンスは目立たずにシンプルを心がけているようで、いつも服装と髪型に関しては男の私から見てもスッキリしている。
だからこの際、当日のコーディネートを丸々見立ててもらおうという寸法であった。
やつはそれを蘭○園のスペシャル定食ですんなり引き受けてくれたのである。
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さて、待ち合わせ当日の話に戻そう。
私は職場から車で5分先のケーキ屋さんの駐車場で車を停めて先方を待っていた。
そこは彼女達の住んでいる家の付近だというので待ち合わせ場所にさせてもらったのである。
幼なじみの見立て通りの明るい色のデニムボタンシャツにグレーのシンプルなダウンジャケット(やつの言っていた説明を覚えた)、ズボンはベージュの今まで一度も履こうと思った事のない色の物を身に着けて及んでいる。
こちらは先方がどんな方かは結局確認していない。勝手なこちらの先入観を持ってしまっても申し訳ないし、というよりはあれこれ考え過ぎる自分が煩わしいのでむしろ知らないほうが良いかと思ったのもあった。
先方にはこちらの顔写真を見せているらしい。
今思えば、その時点でお断りを頂かなかった事に心底感謝している。
早めに駐車場に着いた私は、ようやく面接まで辿り着いた就活生のような心持ちで車内で待つ。
しばらくしてタバコを吸いたくなってくるが、ここはぐっと我慢して缶コーヒーをぐいっとカラカラの喉に流し込む。
すると眼の前に小さな女の子を連れた女性がキョロキョロしているのが見えた。
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