中年男が女性の井戸端会議の健康ネタを実践していく話☆

天仕事屋(てしごとや)

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第五章 思いもよらない

第十一話 合コン嫌い

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 私は合コンというものが苦手だった。
 人が嫌いという訳ではないし、友達がいなかった訳でもない。
 
 合コンには何回か人数合わせで行くことはあったけれどその場では自己紹介だけ済ませるとその後は自分をアピールすることなく、ただ時間が過ぎるまで普段通りに飲み食いしたり男友達と話したりして過ごした。
 もてない男の負け惜しみに聞こえるかもしれないが、ただあの女性の前で男が取り繕うだけの時間に楽しさを見いだせなかった。

 そんなこんなで33歳、独身道を爆進中なのである。この歳になると平穏ではあるが代わり映えのない毎日を淡々と過ごすことに慣れきってしまっていた。
 今や夜の風呂上がりの化粧水も、顔に浴びせられるだけ浴びせて手に残った水分は肘、膝、かかとのカサカサ部分に撫で付けるというテクまで習得するほど健康オタクも板についてきていた。
 特にこれといってやることもないので、携帯ゲームをしたりマンガを読んだりして過ごしている。

 そんな時、いつもと違う内容の電話が鳴る。
 幼なじみからのその電話は今時嬉しい紹介の話だった。
 友達は車屋をしていて、先日も連絡を取ったばかり。その友達が同級生とばったり出会って、妹の話をされたらしい。

 「おまえ、確かどんな女でも良かったよな?」

 「はぁ?何誰でもオッケーみたいな言い方。」
 「内面重視ってだけで、俺にも選ぶ権利ぐらいあるわ。失礼な。」

 「はは、悪い。」
 「そういう意味じゃなく、その妹さんってのがどうやらバツイチの子持ちらしくって。」
 「そういうのあんまり気にしないんだろ?」
 「昔、確か人妻に気に入られてどうにかなった事あったよなぁ~。」

 「、、まてまてっ!無い無いから、それはお前の勘違いだったやつ!」
 「そもそも向こうに勝手に言い寄られただけで、特に何も無かったし。いいだろ?もうこの話は。」
 「まぁ、いいや。で?その子が何?」

 「だから~、誰か良い人いないかって話。」
 「一応『冴えない真面目なやつがいる』ってオススメしといたからな。」
 「会ってみるだろ?」

 付き合いが長いだけあって、いつもこいつとは話が早い。
 こちらが「YES」を出す前に返事をするのだ。

 「まぁ、向こうが冴えないやつでも会うってんならこっちはいいけど、、。」

 結局私の事を良く分かってくれていて、強引だけどいつも感謝していたりする。

 という訳でわずか数分で女性に会うという事に決定してしまった。
 相手の顔も知らないままで良かったか、、?
 まぁ会ってみないとわからないし、流石に第一印象でゴメンナサイが出来るほど自分も若くはない。
 逆に冴えないからゴメンナサイされる事も充分に考えられる。その時は会ってくれてありがとう、ぐらいに思うことにしよう。
 けれど合コンでなく、紹介で助かった。



 後日、会う場所と日時を伝えてもらうとその日は子供連れでもいいですか?という返答だった。

 こちらとしては女性と何年ぶりかに二人で話すのはどうなることかと思っていたので、むしろ好都合で迷わず承諾した。

 
 こんな事は久しぶり過ぎてドキドキするなぁ、修学旅行前みたいだな、、。
 なんて事を思ってはいても疲れのためにいつも通り爆睡してしまう、体はやはり普通の中年男性なのであった。








 


 


 
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