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第2話 天パの付き合い方
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ある日のお昼どきの公園、
取引先の文房具店の帰り。
公園のベンチに座って
彩芽はコンビニのおにぎりを
頬張っていた。
おにぎりの具は大好きな
辛子明太子。
公園の大きな木の下にある
ベンチはちょうど陰になっていて
とても涼しい。
あぁ、、このまま
寝転んでしまいたい、、。
などとぼんやりしていると
不意に声をかけてくるものがいる。
えっ?
引っ越したばかりな事もあり
まわりに知り合いがいるなんて
考えにはならず、
声の主を不審者を見るような目で
見つめてしまう。
「しんじょう、、あやめちゃん
でしょ?」
「この間、お店に来てくれた。」
よーく見てみると
わりと最近の見覚えのある笑顔と
天然パーマの髪。
美容院で最初に対応してくれた
男の子だ。
「あ、あぁ
美容院の!こ、こんにちは。」
いきなり知った顔が現れて
危うく持っていたおにぎりを
落としそうになってしまう。
「お昼、
ここで食べてるの?」
「はぁ、まだあんまりお店とか
知らなくて、、。」
「そっか、俺も今日
コンビニなんだよね。」
「一緒に食べて、いい?」
えっ?
はっ、、はい、と言えずに
こくこくと頷く。
茶色の髪の毛の天然パーマの青年は
私の隣に少し間を空けて
腰を掛けた。
横目で見ると以外に体格が良い。
スマートだけど
しまった体つきをしているようだ。
濃いグレーのTシャツから
程よく筋肉のついた長い腕と
黒い時計がとてもスッキリと見せている。
などと短時間で女子は
しっかりと観察してしまう。
あれ、、?
初対面では少し若く感じたけど
なんか少し前と印象が
違うかも、、?
一人称、、確かお店では
「僕」だったような、、。
「いつもはね、
そこのお店でランチしたり」
と指をさしながら
野菜ジュースを飲む。
そういえば、ここの公園
あの美容院の近くだっけ。
私もちょうど得意先のお店と
公園がわりと近い場所にある。
だからいつもこの公園に
いつの間にか
立ち寄るようになっていた。
「、、あの、お名前、」
私はまだ目の前の彼のことを
天然パーマの青年としか
認識しておらず、
社会人として名前ぐらいは
名乗って欲しいとか、思っていた。
「あ、ごめんね。俺
金子隆次っていいます。」にこっ
あ、、いつものは
営業スマイルなのかな?
ハンバーガーをもぐもぐ食べながら
彼がこっちを見ているのが分かる。
私が口にした一口を
なかなか飲み込めずにいると、
「髪、どんな感じです?」
少しはまとまりやすく
なったと思うんだけど、、。」
喋ってくれた事に少し安心して
「今のところ、
すごーく良いですよ。」
と返す。
「いや~、八神さんが
ちゃんと見ててやらないと
ダメだぞって
言われてるんで!!!
ごめんなさい、じっと
見ちゃって、、」
ハンバーガーを手に
照れ笑いをする彼は
子供のように可愛い。
「八神さんて、この間の、、」
私もつられて照れているのを
悟られまいと聞いてみる。
「うん、俺が20歳の時に
バカやって雨の中泣いてるのを
拾ってくれた人。」
えー、何その捨て猫を拾った
みたいな話!?
詳しく聞きたい!!
「雨の中??」
「そー、俺その頃
友達に騙されて
借金作っちゃうわ、
同棲してた彼女には振られるわで
もう人生終わりだ~って。」
「家追い出されそうになって
お金とか生活これから
どうしようかなって時に
雨降ってきて、、
アパートの階段に
座ってたんだよね。」
「そしたら
誰かが俺に傘差してくれてんの。」
「その人、俺のことしばらく見てたみたいで
俺の横にしゃがんで、」
「クセや性格ってのは
元々持って生まれたもんだから
治そうと思ったらダメなんだ。」
「好きなとこも嫌いなとこも
全部受け入れて、
上手に付き合っていけば
そのうち楽しくなってくるぞ。」
「なぁ、天パの兄ちゃん。」って。
あぁ、この人
髪の毛の事言ってんのかー、、
って思ったんだけど
なんでか涙が止まらなくなって
やべぇ、
俺弱ってたんだなって気付いた。
「髪のこともっと知りたきゃ
ついてくるか?」
って言われたから
そのままついて行って今に至るってわけ。
「その人が八神さんですか。」
「そう、今考えれば
ただのバイトを探してただけ
だったのかもだけど、
そん時の俺には
めちゃ刺さったんだよね~。」
そう言いながら彼は
ハンバーガーを完食して
深く頷く。
~ピロリロリン~
電話が鳴る。
「はーい、予約の山手様?
了解で~す。
戻りまーす。」
「予約のお客様
来られたので自分、
これで戻ります!
じゃあまたねっ。」
手を軽く振って
こちらも振り返ることなく
彼は風のように去って行った。
ポツンと残された私は
その雨の日のエピソードを
反芻しながら
おにぎりの残りを食べる。
あぁ、彼もまた
心を掴まれた
人間の一人なんだと知って
仲間が出来たような気持ちで
少し嬉しくなる彩芽であった。
____________________
天パの金子
「八神さんさっき、この間の彩芽ちゃんとランチしましたよ。」
八神「えぇ!で、どうだった!?
彩芽ちゃん(の髪は)!」
金子「なかなか良かったですよ。」
八神「俺も見たかったな(髪を)。」
金子「、、、やっぱこの人
変態、、。(苦笑)」
取引先の文房具店の帰り。
公園のベンチに座って
彩芽はコンビニのおにぎりを
頬張っていた。
おにぎりの具は大好きな
辛子明太子。
公園の大きな木の下にある
ベンチはちょうど陰になっていて
とても涼しい。
あぁ、、このまま
寝転んでしまいたい、、。
などとぼんやりしていると
不意に声をかけてくるものがいる。
えっ?
引っ越したばかりな事もあり
まわりに知り合いがいるなんて
考えにはならず、
声の主を不審者を見るような目で
見つめてしまう。
「しんじょう、、あやめちゃん
でしょ?」
「この間、お店に来てくれた。」
よーく見てみると
わりと最近の見覚えのある笑顔と
天然パーマの髪。
美容院で最初に対応してくれた
男の子だ。
「あ、あぁ
美容院の!こ、こんにちは。」
いきなり知った顔が現れて
危うく持っていたおにぎりを
落としそうになってしまう。
「お昼、
ここで食べてるの?」
「はぁ、まだあんまりお店とか
知らなくて、、。」
「そっか、俺も今日
コンビニなんだよね。」
「一緒に食べて、いい?」
えっ?
はっ、、はい、と言えずに
こくこくと頷く。
茶色の髪の毛の天然パーマの青年は
私の隣に少し間を空けて
腰を掛けた。
横目で見ると以外に体格が良い。
スマートだけど
しまった体つきをしているようだ。
濃いグレーのTシャツから
程よく筋肉のついた長い腕と
黒い時計がとてもスッキリと見せている。
などと短時間で女子は
しっかりと観察してしまう。
あれ、、?
初対面では少し若く感じたけど
なんか少し前と印象が
違うかも、、?
一人称、、確かお店では
「僕」だったような、、。
「いつもはね、
そこのお店でランチしたり」
と指をさしながら
野菜ジュースを飲む。
そういえば、ここの公園
あの美容院の近くだっけ。
私もちょうど得意先のお店と
公園がわりと近い場所にある。
だからいつもこの公園に
いつの間にか
立ち寄るようになっていた。
「、、あの、お名前、」
私はまだ目の前の彼のことを
天然パーマの青年としか
認識しておらず、
社会人として名前ぐらいは
名乗って欲しいとか、思っていた。
「あ、ごめんね。俺
金子隆次っていいます。」にこっ
あ、、いつものは
営業スマイルなのかな?
ハンバーガーをもぐもぐ食べながら
彼がこっちを見ているのが分かる。
私が口にした一口を
なかなか飲み込めずにいると、
「髪、どんな感じです?」
少しはまとまりやすく
なったと思うんだけど、、。」
喋ってくれた事に少し安心して
「今のところ、
すごーく良いですよ。」
と返す。
「いや~、八神さんが
ちゃんと見ててやらないと
ダメだぞって
言われてるんで!!!
ごめんなさい、じっと
見ちゃって、、」
ハンバーガーを手に
照れ笑いをする彼は
子供のように可愛い。
「八神さんて、この間の、、」
私もつられて照れているのを
悟られまいと聞いてみる。
「うん、俺が20歳の時に
バカやって雨の中泣いてるのを
拾ってくれた人。」
えー、何その捨て猫を拾った
みたいな話!?
詳しく聞きたい!!
「雨の中??」
「そー、俺その頃
友達に騙されて
借金作っちゃうわ、
同棲してた彼女には振られるわで
もう人生終わりだ~って。」
「家追い出されそうになって
お金とか生活これから
どうしようかなって時に
雨降ってきて、、
アパートの階段に
座ってたんだよね。」
「そしたら
誰かが俺に傘差してくれてんの。」
「その人、俺のことしばらく見てたみたいで
俺の横にしゃがんで、」
「クセや性格ってのは
元々持って生まれたもんだから
治そうと思ったらダメなんだ。」
「好きなとこも嫌いなとこも
全部受け入れて、
上手に付き合っていけば
そのうち楽しくなってくるぞ。」
「なぁ、天パの兄ちゃん。」って。
あぁ、この人
髪の毛の事言ってんのかー、、
って思ったんだけど
なんでか涙が止まらなくなって
やべぇ、
俺弱ってたんだなって気付いた。
「髪のこともっと知りたきゃ
ついてくるか?」
って言われたから
そのままついて行って今に至るってわけ。
「その人が八神さんですか。」
「そう、今考えれば
ただのバイトを探してただけ
だったのかもだけど、
そん時の俺には
めちゃ刺さったんだよね~。」
そう言いながら彼は
ハンバーガーを完食して
深く頷く。
~ピロリロリン~
電話が鳴る。
「はーい、予約の山手様?
了解で~す。
戻りまーす。」
「予約のお客様
来られたので自分、
これで戻ります!
じゃあまたねっ。」
手を軽く振って
こちらも振り返ることなく
彼は風のように去って行った。
ポツンと残された私は
その雨の日のエピソードを
反芻しながら
おにぎりの残りを食べる。
あぁ、彼もまた
心を掴まれた
人間の一人なんだと知って
仲間が出来たような気持ちで
少し嬉しくなる彩芽であった。
____________________
天パの金子
「八神さんさっき、この間の彩芽ちゃんとランチしましたよ。」
八神「えぇ!で、どうだった!?
彩芽ちゃん(の髪は)!」
金子「なかなか良かったですよ。」
八神「俺も見たかったな(髪を)。」
金子「、、、やっぱこの人
変態、、。(苦笑)」
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