7 / 7
6話 覗き見
しおりを挟む アカリエの工房に来た私を、アカリは歓迎してくれる。そもそも歓迎してくれないって事の方があり得ないけど。
「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」
私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。
「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」
私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。
────────────────────────
【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。
【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。
────────────────────────
どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。
「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」
【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。
「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」
アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54
────────────────────────
統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。
「あっ……」
「どうしたの?」
自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。
「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」
道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。
「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」
アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。
「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」
双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。
「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」
スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。
「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」
他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。
「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」
スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。
「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」
まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」
私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。
「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」
私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。
────────────────────────
【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。
【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。
────────────────────────
どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。
「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」
【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。
「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」
アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54
────────────────────────
統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。
「あっ……」
「どうしたの?」
自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。
「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」
道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。
「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」
アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。
「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」
双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。
「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」
スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。
「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」
他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。
「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」
スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。
「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」
まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる