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街に到着
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それからしばらく歩いてようやく街の入口へと到着した。街は石の防護壁で囲われており入り口には門のようなものは特になかった。街を囲っている壁は僕の身長の倍くらいの高さなのでそこまで高くはない。おそらく半分は街と外とを区別するためのものなんじゃないかと思う。入り口のすぐ近くの壁には街の名前が書いてあり、入ってすぐの所には詰所のような建物がある。この街の名前は「フィース」と言うらしい。詰所の前では兵士の人が街の出入りをする人と話をしている。きっと検問をしてるのだと思う。
「そこの君、君もこの街に入りたいのかい?」
兵士さんがこちらに気づいて話しかけてきた。さっきまで話していた人は検問が終わったようで、もう街に入ったみたいだ。
「は、はい。」
「それじゃあステータスプレートを見せてもらえるかな。特に問題がなければすぐに入れるよ。」
「ステータスプレート?」
頭に疑問符が浮かぶ。もしかして身元証明書みたいなものだろうか。もしそうだったらまずいことになるかもしれない。アッシュさんから貰ったもの以外は手ぶらと変わらない。つまり身元を証明するものが無い。
「もしかして持って無いのかい?」
「ええと、持ってないというか無くしたというか、えっと、あの…」
怪しまれないようにと思って言い訳をしようとするが言葉が出てこない。逆に怪しませてしまったとしか思えない。
「ああ、分かった。もしかして君、ラントから来たのかい?」
「…は、はいっ!そうです!そこからやって来ました!」
頭の中が真っ白になっていたので反射的に慌てた返事で返した。どうやら兵士さんがなにか勘違いしたみたいだ。もしかしたらこのまま上手くいくかもしれない。
「やっぱりそうか。ラントにはステータスプレートを作る施設が無いからね。君みたいな若い子がよくこっち作りに来るんだよ。」
「そ、それじゃあ僕は中に入れてもらえるんですかね…?」
「ああ、入れるよ。でもその代わりにプレートの発行が終わるまでは俺に同行してもらうことになるけどね。」
「分かりました。よろしくお願いします!」
「よし、それじゃあ少し待っててくれるかな」
そう言うと兵士さんが詰所の方へと歩いて行った。
「おい、ケーン!すまんが見張りを交代してくれないか」
兵士さんが詰所に向かって大きか声で叫ぶと中から同じ格好をしたもう一人の兵士の青年が出てきた。
「なんだよアクス、交代の時間はまだ早いぞ。」
「まあそう言うな。いつものお客さんだよ。お前も前に案内しただろう?」
「ああ、いつものか。今回も俺の時に来てくれりゃあ良かったのによ…」
二人が何やら話している。どうやらさっきまで僕と話してた兵士さんがアクス、詰所から出てきた兵士さんがケーンと言うらしい。二人を見比べるとアクスさんはガッシリとした体つきに対してケーンさんは少し細身な体つきをしている。どうやら話がついたみたいだ。アクスさんが戻ってきた。
「やあ、待たせたね。それじゃあ案内するよ。細かいことは道中に話すから安心してね。」
「はい、よろしくお願いします、アクスさん。あの、遅くなりましたけど僕の名前はコウキって言います。」
「おや、名前を名乗った覚えはないけはずだけど…。ああ、もしかしてさっきの会話を聞かれていたのかな。」
「すいません、こっちまで会話が聞こえてきたもので…。」
「いいよいいよ、別に聞かれたって困ることなんて無いしね。」
まったく気にしていないといった感じの笑顔でアクスさんが答えてくれた。自己紹介も終えて僕はアクスさんと一緒にプレートを作るために街へと入って行った。
「そこの君、君もこの街に入りたいのかい?」
兵士さんがこちらに気づいて話しかけてきた。さっきまで話していた人は検問が終わったようで、もう街に入ったみたいだ。
「は、はい。」
「それじゃあステータスプレートを見せてもらえるかな。特に問題がなければすぐに入れるよ。」
「ステータスプレート?」
頭に疑問符が浮かぶ。もしかして身元証明書みたいなものだろうか。もしそうだったらまずいことになるかもしれない。アッシュさんから貰ったもの以外は手ぶらと変わらない。つまり身元を証明するものが無い。
「もしかして持って無いのかい?」
「ええと、持ってないというか無くしたというか、えっと、あの…」
怪しまれないようにと思って言い訳をしようとするが言葉が出てこない。逆に怪しませてしまったとしか思えない。
「ああ、分かった。もしかして君、ラントから来たのかい?」
「…は、はいっ!そうです!そこからやって来ました!」
頭の中が真っ白になっていたので反射的に慌てた返事で返した。どうやら兵士さんがなにか勘違いしたみたいだ。もしかしたらこのまま上手くいくかもしれない。
「やっぱりそうか。ラントにはステータスプレートを作る施設が無いからね。君みたいな若い子がよくこっち作りに来るんだよ。」
「そ、それじゃあ僕は中に入れてもらえるんですかね…?」
「ああ、入れるよ。でもその代わりにプレートの発行が終わるまでは俺に同行してもらうことになるけどね。」
「分かりました。よろしくお願いします!」
「よし、それじゃあ少し待っててくれるかな」
そう言うと兵士さんが詰所の方へと歩いて行った。
「おい、ケーン!すまんが見張りを交代してくれないか」
兵士さんが詰所に向かって大きか声で叫ぶと中から同じ格好をしたもう一人の兵士の青年が出てきた。
「なんだよアクス、交代の時間はまだ早いぞ。」
「まあそう言うな。いつものお客さんだよ。お前も前に案内しただろう?」
「ああ、いつものか。今回も俺の時に来てくれりゃあ良かったのによ…」
二人が何やら話している。どうやらさっきまで僕と話してた兵士さんがアクス、詰所から出てきた兵士さんがケーンと言うらしい。二人を見比べるとアクスさんはガッシリとした体つきに対してケーンさんは少し細身な体つきをしている。どうやら話がついたみたいだ。アクスさんが戻ってきた。
「やあ、待たせたね。それじゃあ案内するよ。細かいことは道中に話すから安心してね。」
「はい、よろしくお願いします、アクスさん。あの、遅くなりましたけど僕の名前はコウキって言います。」
「おや、名前を名乗った覚えはないけはずだけど…。ああ、もしかしてさっきの会話を聞かれていたのかな。」
「すいません、こっちまで会話が聞こえてきたもので…。」
「いいよいいよ、別に聞かれたって困ることなんて無いしね。」
まったく気にしていないといった感じの笑顔でアクスさんが答えてくれた。自己紹介も終えて僕はアクスさんと一緒にプレートを作るために街へと入って行った。
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