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アイラと廉
その6-02
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電話も持ったまま居間に戻っていき、椅子に座っている廉の横に、ストンと、アイラも腰を下ろしていく。
レンはニュースを見ていたが、アイラが隣に来て、テレビのリモコンを取り上げ、テレビの音量を下げていた。
アイラは電話の向こうのグレナの話を聞きながら、ちょっと受話器を手で隠すようにしながら、
「レン~、お腹空いた。喉も渇いたの。ジュースがいい。後は、簡単なサンドイッチ」
「デザートは?」
「後で。全部、持ってきてくれたら、ちゅっ、してあげるから」
「はいはい」
アイラの約束の前に、廉がアイラの顎を引き寄せて、先に軽くキスをしていた。
「その電話は長くなるだろうから、その約束はいつになるか判らないし」
それで、アイラの要望通り、廉が椅子から立ち上がってキッチンに戻っていった。
「――ねえ、アイラ。それで? 次のデートは?」
全部の詳細を聞くまで、絶対に、アイラを離す気はないグレナに、アイラも笑いながら、その会話に戻っていた。
その夜は、軽い夕食を済ませた二人だったが、アイラとグレナが長話をしているので、すぐに夜が簡単に更けていた。
だが、娘のアイラから事情の説明を全部聞きだしたグレナは、甚(いた)く満足下に、一人ほくそ笑んでいた。
すぐに、グレナの情報網に電話をして、グレナのすぐの身内には、その日のうちに、アイラと廉の話が伝えられていた。
「ええ、そうなの!?」
「あらぁ、そうなの?!」
女同士の会話では、揃って皆、ご機嫌である。
すぐに、それぞれの旦那さまにその話が告げられ、時間が合う場所にいる子供達にも、一気にその話題が広められていた。
子供達の反応は、
「へえ、アイラが。ふうん」
「ええ、アイラが? あら、いいわね」
「アイラが――? あいつと?」
色取り取りではあったが、アイラと廉の話題は、全員が知るとこととなっていたのだった。
怖ろしいかな――アイラの一族内では、大抵、全員が知らされないニュースはないというほど、全員が全員のニュースを聞かされているのだった。
「アイラ、あんた怠慢っ。なんでそのニュースを、私が聞いてないのよ」
シャワーも済ませ、ベッドに戻っていたアイラの前に、その日最後の電話がかかってきて、もちろんのこと、その相手は、アイラの従姉である美花だった。
美花とは姉妹同様の扱いなので、いつも、何でも互いに情報を交換しているのだったが、今回は、アイラの母親同様に、すっかり、その話をすることを忘れてしまっていたアイラだったのだ。
「ごめーん。忙しくて忘れてた」
「なにが忘れてたよ。こんな朝っぱらから、ママから電話かかってきて、何事かと思ったら、あんたが同棲するなんて話になるのよ。なによこれ。全然、その話、聞いてないわよ」
「仕事じゃないの? 今――そっち、何時?」
アイラは、昨日、今日の疲れが出てきて、ふあっと、軽いあくびを漏らしていた。
「そんなことは関係ないのよ。仕事なんて、私が行く時に行けばいいのよ」
「あっそ」
「あっそ、じゃないわよ。私はその話、聞いてないのよ。いつからなのよ」
「ええ? いつから――って、先月かなぁ」
「先月? 先月のいつよ」
「そんなの、覚えてないわよ」
「なにが、覚えてないのよ。そこら辺の説明が抜けてるのよ、あんたは。しっかり、説明しなさいよ」
「ええ、もう寝るんだけど」
「なによ。説明してないあんたが悪いんじゃない」
グレナに説明を終えたばかりのアイラは、次の長電話のセッションに入るには、その気力が上がってこなかった。
眠そうに、美花の話を聞きながら、枕に頭を埋めて横になっているアイラの上に少し重さが圧し掛かって、アイラはぼんやり目を開けてみた。
廉がアイラの着ている短いローブの紐を抜き取って、スッと、その前身ごろを外していく。
「――それで? いつからデートしてるのよ」
「ええ? 先月の――うーん、16日かなぁ」
「それから? まさか、知り合いだからって、初っ端から、ベッドに直行じゃないでしょうね」
「違うよ。それは後」
「いつよ」
「うーん――結構いった後よ」
「へえ、その“結構後”の割には、一ヶ月もしないで同棲になるのね。へえぇ」
「だって、結構、毎日だったし」
「デートが? セックスが?」
美花もその外見に反して、アイラに似た、かなりお飾りのない率直な性格だった。
それで、恥ずかしげもなく、そんなことを簡単に聞いてくる。
「デートは、ほぼ毎日――かな」
「そんなことまで話すんだ」
アイラの首筋をゆっくりと這っていた廉の唇が降りていく。
鎖骨に下りて行って、それと同時に、廉の手がアイラの柔らかな胸を持ち上げていく。
「――だって――ミカが聞くんだもん」
「ちょっと、私と喋ってるんだから、男は放っておきなさいよ」
受話器から、ミカの冷たい言いつけが飛んでくる。
だが、自分の胸を緩やかに揉まれて行くその動きが気持ちよくて、アイラは、また、瞳を瞑っていた。
「じゃあ、セックスしたのはいつよ」
「次の週」
「随分、手が早いことで。あの顔で、やることはやるのね」
「そうね」
「自慢するな」
「だって、ミカが聞いてるんでしょ――んっ……」
廉の口がアイラの胸に届いて、アイラが、咄嗟に、それを漏らしていた。
それを止めるには遅くて、電話の向こうでは、シーンと、完全に沈黙である。
レンはニュースを見ていたが、アイラが隣に来て、テレビのリモコンを取り上げ、テレビの音量を下げていた。
アイラは電話の向こうのグレナの話を聞きながら、ちょっと受話器を手で隠すようにしながら、
「レン~、お腹空いた。喉も渇いたの。ジュースがいい。後は、簡単なサンドイッチ」
「デザートは?」
「後で。全部、持ってきてくれたら、ちゅっ、してあげるから」
「はいはい」
アイラの約束の前に、廉がアイラの顎を引き寄せて、先に軽くキスをしていた。
「その電話は長くなるだろうから、その約束はいつになるか判らないし」
それで、アイラの要望通り、廉が椅子から立ち上がってキッチンに戻っていった。
「――ねえ、アイラ。それで? 次のデートは?」
全部の詳細を聞くまで、絶対に、アイラを離す気はないグレナに、アイラも笑いながら、その会話に戻っていた。
その夜は、軽い夕食を済ませた二人だったが、アイラとグレナが長話をしているので、すぐに夜が簡単に更けていた。
だが、娘のアイラから事情の説明を全部聞きだしたグレナは、甚(いた)く満足下に、一人ほくそ笑んでいた。
すぐに、グレナの情報網に電話をして、グレナのすぐの身内には、その日のうちに、アイラと廉の話が伝えられていた。
「ええ、そうなの!?」
「あらぁ、そうなの?!」
女同士の会話では、揃って皆、ご機嫌である。
すぐに、それぞれの旦那さまにその話が告げられ、時間が合う場所にいる子供達にも、一気にその話題が広められていた。
子供達の反応は、
「へえ、アイラが。ふうん」
「ええ、アイラが? あら、いいわね」
「アイラが――? あいつと?」
色取り取りではあったが、アイラと廉の話題は、全員が知るとこととなっていたのだった。
怖ろしいかな――アイラの一族内では、大抵、全員が知らされないニュースはないというほど、全員が全員のニュースを聞かされているのだった。
「アイラ、あんた怠慢っ。なんでそのニュースを、私が聞いてないのよ」
シャワーも済ませ、ベッドに戻っていたアイラの前に、その日最後の電話がかかってきて、もちろんのこと、その相手は、アイラの従姉である美花だった。
美花とは姉妹同様の扱いなので、いつも、何でも互いに情報を交換しているのだったが、今回は、アイラの母親同様に、すっかり、その話をすることを忘れてしまっていたアイラだったのだ。
「ごめーん。忙しくて忘れてた」
「なにが忘れてたよ。こんな朝っぱらから、ママから電話かかってきて、何事かと思ったら、あんたが同棲するなんて話になるのよ。なによこれ。全然、その話、聞いてないわよ」
「仕事じゃないの? 今――そっち、何時?」
アイラは、昨日、今日の疲れが出てきて、ふあっと、軽いあくびを漏らしていた。
「そんなことは関係ないのよ。仕事なんて、私が行く時に行けばいいのよ」
「あっそ」
「あっそ、じゃないわよ。私はその話、聞いてないのよ。いつからなのよ」
「ええ? いつから――って、先月かなぁ」
「先月? 先月のいつよ」
「そんなの、覚えてないわよ」
「なにが、覚えてないのよ。そこら辺の説明が抜けてるのよ、あんたは。しっかり、説明しなさいよ」
「ええ、もう寝るんだけど」
「なによ。説明してないあんたが悪いんじゃない」
グレナに説明を終えたばかりのアイラは、次の長電話のセッションに入るには、その気力が上がってこなかった。
眠そうに、美花の話を聞きながら、枕に頭を埋めて横になっているアイラの上に少し重さが圧し掛かって、アイラはぼんやり目を開けてみた。
廉がアイラの着ている短いローブの紐を抜き取って、スッと、その前身ごろを外していく。
「――それで? いつからデートしてるのよ」
「ええ? 先月の――うーん、16日かなぁ」
「それから? まさか、知り合いだからって、初っ端から、ベッドに直行じゃないでしょうね」
「違うよ。それは後」
「いつよ」
「うーん――結構いった後よ」
「へえ、その“結構後”の割には、一ヶ月もしないで同棲になるのね。へえぇ」
「だって、結構、毎日だったし」
「デートが? セックスが?」
美花もその外見に反して、アイラに似た、かなりお飾りのない率直な性格だった。
それで、恥ずかしげもなく、そんなことを簡単に聞いてくる。
「デートは、ほぼ毎日――かな」
「そんなことまで話すんだ」
アイラの首筋をゆっくりと這っていた廉の唇が降りていく。
鎖骨に下りて行って、それと同時に、廉の手がアイラの柔らかな胸を持ち上げていく。
「――だって――ミカが聞くんだもん」
「ちょっと、私と喋ってるんだから、男は放っておきなさいよ」
受話器から、ミカの冷たい言いつけが飛んでくる。
だが、自分の胸を緩やかに揉まれて行くその動きが気持ちよくて、アイラは、また、瞳を瞑っていた。
「じゃあ、セックスしたのはいつよ」
「次の週」
「随分、手が早いことで。あの顔で、やることはやるのね」
「そうね」
「自慢するな」
「だって、ミカが聞いてるんでしょ――んっ……」
廉の口がアイラの胸に届いて、アイラが、咄嗟に、それを漏らしていた。
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