やっぱりやらねば(続)

Anastasia

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アイラと廉

その3-02

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 アイラの手が廉の頭から離れ、キスをしたまま、廉の着ているシャツの前身ごろに届いていた。

 そのまま、アイラの手が器用に上のボタンを外していき、次のボタンも簡単に外される。
アイラが廉のシャツのボタンを外している間も、廉はアイラの唇以外には触れてこなかった。

 しっかりと、両手でアイラの顔を包み込み、その舌が唇をスーッとこすっていったり、そうかと思うと、呼吸もままならないほどの激しいキスを繰り返す。
 下唇が噛まれ、アイラが舌で廉の唇を舐めると、また、廉が覆いかぶさるように、その激しいキスでアイラを責め立てる。

 ボタンを全部外し終えたアイラが、襟元を掴んで、そのシャツを肩から抜き取ろうとした。
 だが、その動作を知っていても、廉は一向に自分の腕を上げない。

 大抵なら、キスをしていようが、男も腕を上げて、女にシャツを脱がさせるのに、アイラが引っ張っても、廉は腕を外そうともしなかった。

「レン――」
「――まだだ」

 アイラは自分の性欲も良く知っているし、キスも好きだし、触るのも触られるのも好きで、その気になりだしている体の刺激されるままに、肌と肌の接触が欲しかった。
 それで、更に熱くなる自分の欲望を燃えたたらせるのである。

 廉がアイラの邪魔をしてシャツを脱がさせないので、アイラは方法を変えて、また廉の頭を両腕で包み直していく。
 それで、自分の体を摺り寄せながら、腕を動かしていた分の間が縮まり、ピッタリと、自分の体を廉の体にくっつけていった。

「……ん……――反応してる、じゃない」
「当たり前だろう。他に何があるんだ?」

 これだけ互いに唇を貪っているような形なのに、その返事は相変わらず淡々としたものだった。
 アイラはその態度に笑ったような顔をしながら、舌を絡めていき、

「レン……もっと、触って」
「まだ」
「今よ」
「まだだ」

 頑固なアイラに負けじと、今夜は廉も一歩も引かないようである。

 アイラが、グイッと、自分を引き離すようにして、真っ直ぐ前にある廉の顔をちょっと睨み付けた。

「今がいい」

 廉もそのアイラを真っ直ぐに見つめ返し、そして、ふっと、少々不敵な笑みを投げて返す。

「最初の時にアイラに負かされたら、少々、後が引きそうだから」
「なによ、それ――」

 文句を言いかけたアイラの口が、またすぐに塞がれていた。

 それでも、アイラはまだ廉を少し睨め付けている。
 廉も真っ直ぐにアイラの瞳を覗きこんだまま、その瞳が不敵な笑みを映しているかのようだった。

 廉がその気なら、アイラもその挑戦を真っ向から受けてやる。
 アイラが廉にしがみつくように、更に、ピッタリとそのしなやかな体を廉の体に押し付けていく。
 柔らかな胸が廉の胸で押され、そのしなやかな体が、ピッタリと廉の体を押し合っている。

 立っている廉の足の間に、すかさずアイラの片足が入れられ、その動きで、更に互いの体が、隙間のないほどにくっつき合っていた。

 簡単には抱かせてくれないだろう――とは予想していた廉だったが、その予想通り、アイラは簡単に落ちる相手ではない。

 そのあからさまに誘い込むような腰の動きも、廉の反応を知っていて、更に焦らすかのようなキスを絡め、その長い腕が廉に絡みついていた。

 互いにどちらが早く落ちるか――と競争しているのではないが、アイラはその挑戦も喜んで受けるだろう。

 だが、ここで引いてしまっては、絶対に、後で立場が引いてしまうのは間違いない。

「――ん……はぁ……、いいわ――」

 好き嫌いもはっきりしているし、要望も多いアイラだけに、抱き合っていても、恥ずかしげもなくそんなことを口にしてくる。

 廉の片手が動き始め、アイラの顔を押さえながら、スーッと、首筋に片手が伸ばされた。
 また、スーッと、手の平がアイラの肩を滑って行き、そのままゆっくりと、アイラの体に滑り落ちていく。

 あまりに互いの体がピッタリとくっついているので、廉の腕がアイラのドレス越しに背中に回され、肩から背中へ、背中から、腰へ、腰から丸みがかったやわらかなお尻へと、その手の平が、器用にアイラの体を撫でまわる。

 キスをしている唇の合間に、アイラの満足げな溜め息が漏れていた。
 その吐息を吐き出す様子さえも男を更に刺激して、そして、もっと刺激を要求しているアイラの欲求が、絡みついてくる。

 キスだけで、抱き合って、まだ体にさえ触れていないのに、廉の頭の隅ではすでに、ある一つのことが浮かんでいた。


(癖になるかもしれない――――)


 外見が派手で、容姿も人並み外れてかなりの美麗である。
 それだけでも、男をそそるのに一分とてかからないだろうに、おまけに、幸か不幸なのか、誰しもが羨むこのボディーである。

 見た目からして、あまりに男の欲望を刺激し過ぎの体なのに、実際に触れてみて、そのしなやかな曲線が見た目以上に艶めかしく、柔らかで、その腕に抱き締める感触が――男をどん底に突き落とすのが明らかだった。

 ドレス越しに、廉の手の平がアイラの体をまさぐっていき、その熱さが心地よくて、アイラが身をよだねるように廉に寄りかかっていった。

 それで、廉がもう片方の手もアイラの背中に回し、抱き締めていく。
 長いアイラの髪の毛の先が揺れ、廉の手をくすぐるかのようだった。

 廉の両手の平がアイラの素肌に届き、スカートの下から丸みのあるお尻をゆっくりと撫で上げる。手の平の熱さが肌をこすり、フレアスカートをまくりあげていった先で、薄いソングの淵を誘うように指がこする。
 紐付きに指を絡めて外すのかと思いきや、廉は未だに焦らしてばかりだ。

 ちゅく、ちゅっ――――二人の唾液が絡まり、熱い舌が容赦なく口の中に攻め入って来るのに、レンの指だけは――あまりに、のんびりと、ゆっくりと、アイラの背中をこすっていくだけだ。

 うずうずとして、甘い吐息が口元から漏れても、まだ足りない。

 もっと、触って欲しいのに。

 ドレスの下で廉の手の平がアイラの背中を撫でていき、それで、ワンピースを下からまくり上げて、スッポリと脱ぎ落していた。
 すぐに、廉の両手が露わになった肩を撫で降りていき、そのスピードと共に、アイラの柔肌に押し付けた顔が、唇がそのまま肌を滑り落ちていく。

「――――……っ……はぁ……」

 胸の丸みを押し潰すように廉の顔が肌を滑り落ちていくが、両手が太腿にいき、少しずつ屈んで膝をついた廉の顔はソングの淵だけをこする。

「――レン……」
「なに? 足りないの?」
「足りな過ぎるわよ」

 太腿から膝小僧に、濡れた舌先が、ツーっと跡を残す。
 なのに、肝心の場所は――じくじくと、熟んでいるだけだ。

「―――レン」
「じゃあ、一度イかせようか」
「なによ、それ」

 重さも感じさせず立ち上がった廉が、グイッと、いきなりアイラの腰を掴み、半分抱きかかえたような状態でアイラを連れ去っていく。

 アイラを端に座らせると、すぐに、廉が伸し掛かって来たアイラを押し倒していた。
 だが、器用に、アイラの両脚を広げさせ、ベッドの端に乗せていく。

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