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Part 3
Е.д 楽しみ - 04
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「ギルバート様」
「なんだ?」
アーリーが、そそと、邪魔にもならないほどでギルバートの傍にやって来た。
「今は、セシル様の荷を片している最中で慌ただしくもございますから、もしよろしければ、お二人でお部屋を移動なさってはいかがかと?」
「ああ、そうだな」
くるりと、ギルバートがセシルを振り返る。
「もしよろしければ、部屋を移動しませんか?」
「よろしいのですか?」
まだ、ギルバートは勤務中ではないのだろうか?
セシルが王宮に到着したのは、まだまだ日も明るい午後だ。きっと、セシルを迎えに来た護衛の王国騎士団が、早くもなく、遅くもなく、丁度いい時間帯にセシルが王宮に到着するように、完璧なほどの計画で、セシルを移動させていたはずなのである。
だから、午後のお茶の時間には丁度よい時間だった。
「ええ、問題ありません」
今朝、部下からの報告で、セシルが午後に到着するだろうと聞いたギルバートは、その足で、すぐに、自分の上官である第三騎士団団長のヘインズの執務室に向かっていた。
もちろん、午後から休みます、と伝えに行く為に(許可を貰いに行く為にではなく)。
「お疲れですか、セシル嬢?」
「いいえ、そのようなことはありません。ずっと座りっぱなしでしたので、少し、足をほぐした方がいいかな、と考えておりました」
「それでしたら、私の館を案内したいのですが、どうでしょう? 少しの間ですが、セシル嬢は王宮に滞在しますからね。館の勝手が判った方が、安心なさるでしょう?」
「ありがとうございます、ギルバート様」
実は、セシルは、王宮で滞在する間、余程のことがない限り、セシルに与えられたゲストルームや、食事をする部屋以外は、ほとんど立ち入らないようにしようと考えていたのだ。
下手に、アトレシア大王国の貴族に出くわすのも面倒で、うろうろしているセシルの行動を咎められるのもギルバートに悪く、今回は、大人しく閉じこもっていようと、そんな心構えをしてアトレシア大王国の王宮にやって来ていたのだ。
だが、ギルバートの方だって、セシルが窮屈な思いをしないように、ギルバートの館にいる間、セシルをゲストルームに閉じ込めてばかりいるつもりはない。
短期間でも、ギルバートとしては、セシルが自分の館で快適に過ごして欲しいと、切に願っているのだ。
セシルが遠慮ばかりして、ギルバートの前で一歩引いた態度をされてしまったら、ギルバートも寂しくなってしまう。
二人の思惑が少々異なっているは、二人とも気付いていないのだが、まあ、これから婚儀を控えた若々しいカップルには、そう言った時間も有意義なものになること間違いなし。
「では」
ギルバートが腕を出してきたので、セシルは自分の手をギルバートの腕にそっと乗せた。
「皆は、ここの部屋の片づけが終わりましたら、それぞれの部屋で、自分の荷を片し始めていいですよ。夜まで待たずに。その後は休憩していいですよ」
「わかりました、マイレディー」
全員に見送られて、ギルバートにエスコートされたセシルも、ゲストルームをゆっくりと後にしていた。
もちろんのこと、いつも通り、ひっそりと、気配を殺し、影のように控えているクリストフは、ギルバートの護衛をしている。
でも、セシルがギルバートと一緒にいるので、普段よりはかなり離れた位置から護衛している。
なにしろ、もう、ここずっと、セシルの到着が待ちきれなくて、ソワソワ、ソワソワと忙しない自分の主の幸せである。
今日の所は、邪魔をせず、ギルバートの心行くまで、ずっと待ち望んでいた“幸せ”を満喫させてあげようとの、クリストフの気遣いである(主思いであるから、一応、ね?)。
「この館の二階は、ほとんどが私室やゲストルームになっています。ダイニングホールや、応接室、図書室とかは、一階にあります」
そうやって説明をしてくれるギルバートは、ゆっくりとした足並みで、ギルバートの居住している館を案内してくれた。
ドアを開けて、簡単に部屋の中を見せてくれたり、色々な場所への出入りを教えてくれたり、違う階段が続く場所を教えてくれたりと、ゆっくりとした散歩がてら、館の案内をしてくれている。
案内された大きなダイニングホールを見て、
(これ……すでに、一般家庭のダイニングホールの大きさじゃないわよね……)
王宮の中央に設置されている大ホールほどの大きさではなくても、ちゃんと、貴族を招待できるほどの夜会用のホールを見て、
(やっぱり、王子殿下なのね……)
大したものもなくて、つまらないかもしれませんが――は、やはり、セシルの見知っている経験とは大違い。
大国の王子殿下が居住する館である。所謂。王宮の別館である。
スケールからして、全く違う。
それで、はぁ……と、口には出さずに、セシルも随分感心してしまっていた。
部屋が大きいだけではなく、どの部屋も豪奢な飾り付けがされていて、家具がピカピカに磨かれていて、廊下には日差しが入り込むように、ほとんどがガラス張りだ。
実は、この時代、この世界、ガラスの生産が現代ほど発達しているわけではないから、ガラスは貴重品で、高級な部類に入る。
そのせいで、コトレアでグリーンハウスの建設をする際、ものすごい出費が出てしまったのだ。もう、あの時のセシルは、
――なんで、こんな高額な値段なのよ……!
と一人、叫びたい心情だったのは言うまでもない。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
Siyabonga ngokufunda le noveli
~・~・~・~・~・~・~・~・
「なんだ?」
アーリーが、そそと、邪魔にもならないほどでギルバートの傍にやって来た。
「今は、セシル様の荷を片している最中で慌ただしくもございますから、もしよろしければ、お二人でお部屋を移動なさってはいかがかと?」
「ああ、そうだな」
くるりと、ギルバートがセシルを振り返る。
「もしよろしければ、部屋を移動しませんか?」
「よろしいのですか?」
まだ、ギルバートは勤務中ではないのだろうか?
セシルが王宮に到着したのは、まだまだ日も明るい午後だ。きっと、セシルを迎えに来た護衛の王国騎士団が、早くもなく、遅くもなく、丁度いい時間帯にセシルが王宮に到着するように、完璧なほどの計画で、セシルを移動させていたはずなのである。
だから、午後のお茶の時間には丁度よい時間だった。
「ええ、問題ありません」
今朝、部下からの報告で、セシルが午後に到着するだろうと聞いたギルバートは、その足で、すぐに、自分の上官である第三騎士団団長のヘインズの執務室に向かっていた。
もちろん、午後から休みます、と伝えに行く為に(許可を貰いに行く為にではなく)。
「お疲れですか、セシル嬢?」
「いいえ、そのようなことはありません。ずっと座りっぱなしでしたので、少し、足をほぐした方がいいかな、と考えておりました」
「それでしたら、私の館を案内したいのですが、どうでしょう? 少しの間ですが、セシル嬢は王宮に滞在しますからね。館の勝手が判った方が、安心なさるでしょう?」
「ありがとうございます、ギルバート様」
実は、セシルは、王宮で滞在する間、余程のことがない限り、セシルに与えられたゲストルームや、食事をする部屋以外は、ほとんど立ち入らないようにしようと考えていたのだ。
下手に、アトレシア大王国の貴族に出くわすのも面倒で、うろうろしているセシルの行動を咎められるのもギルバートに悪く、今回は、大人しく閉じこもっていようと、そんな心構えをしてアトレシア大王国の王宮にやって来ていたのだ。
だが、ギルバートの方だって、セシルが窮屈な思いをしないように、ギルバートの館にいる間、セシルをゲストルームに閉じ込めてばかりいるつもりはない。
短期間でも、ギルバートとしては、セシルが自分の館で快適に過ごして欲しいと、切に願っているのだ。
セシルが遠慮ばかりして、ギルバートの前で一歩引いた態度をされてしまったら、ギルバートも寂しくなってしまう。
二人の思惑が少々異なっているは、二人とも気付いていないのだが、まあ、これから婚儀を控えた若々しいカップルには、そう言った時間も有意義なものになること間違いなし。
「では」
ギルバートが腕を出してきたので、セシルは自分の手をギルバートの腕にそっと乗せた。
「皆は、ここの部屋の片づけが終わりましたら、それぞれの部屋で、自分の荷を片し始めていいですよ。夜まで待たずに。その後は休憩していいですよ」
「わかりました、マイレディー」
全員に見送られて、ギルバートにエスコートされたセシルも、ゲストルームをゆっくりと後にしていた。
もちろんのこと、いつも通り、ひっそりと、気配を殺し、影のように控えているクリストフは、ギルバートの護衛をしている。
でも、セシルがギルバートと一緒にいるので、普段よりはかなり離れた位置から護衛している。
なにしろ、もう、ここずっと、セシルの到着が待ちきれなくて、ソワソワ、ソワソワと忙しない自分の主の幸せである。
今日の所は、邪魔をせず、ギルバートの心行くまで、ずっと待ち望んでいた“幸せ”を満喫させてあげようとの、クリストフの気遣いである(主思いであるから、一応、ね?)。
「この館の二階は、ほとんどが私室やゲストルームになっています。ダイニングホールや、応接室、図書室とかは、一階にあります」
そうやって説明をしてくれるギルバートは、ゆっくりとした足並みで、ギルバートの居住している館を案内してくれた。
ドアを開けて、簡単に部屋の中を見せてくれたり、色々な場所への出入りを教えてくれたり、違う階段が続く場所を教えてくれたりと、ゆっくりとした散歩がてら、館の案内をしてくれている。
案内された大きなダイニングホールを見て、
(これ……すでに、一般家庭のダイニングホールの大きさじゃないわよね……)
王宮の中央に設置されている大ホールほどの大きさではなくても、ちゃんと、貴族を招待できるほどの夜会用のホールを見て、
(やっぱり、王子殿下なのね……)
大したものもなくて、つまらないかもしれませんが――は、やはり、セシルの見知っている経験とは大違い。
大国の王子殿下が居住する館である。所謂。王宮の別館である。
スケールからして、全く違う。
それで、はぁ……と、口には出さずに、セシルも随分感心してしまっていた。
部屋が大きいだけではなく、どの部屋も豪奢な飾り付けがされていて、家具がピカピカに磨かれていて、廊下には日差しが入り込むように、ほとんどがガラス張りだ。
実は、この時代、この世界、ガラスの生産が現代ほど発達しているわけではないから、ガラスは貴重品で、高級な部類に入る。
そのせいで、コトレアでグリーンハウスの建設をする際、ものすごい出費が出てしまったのだ。もう、あの時のセシルは、
――なんで、こんな高額な値段なのよ……!
と一人、叫びたい心情だったのは言うまでもない。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
Siyabonga ngokufunda le noveli
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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