517 / 530
Part 3
* Е.д 楽しみ *
しおりを挟む
「フィロ、馬車の中では仕事をせずに、少し休憩するべきですよ」
「いいえ、私は大丈夫です」
そして、セシルの領地で開発した移動式簡易テーブルの上で、フィロはせっせと手を止めず、書類に埋もれている状態だ。
とうとう、アトレシア大王国に出発する日がやって来た。
セシルはこれからアトレシア大王国で、大半の月日を生活することになるから、セシルが日頃から使用している日常品や、着替え、ドレス、アクセサリーやらなんやらと、セシル個人の荷物は、アトレシア大王国の王都に移動させなければならない。
大引っ越しである。
元々の予定では、11月の中頃からアトレシア大王国に向けて旅立つ予定だったのだが、予期していない天災の救助活動がセシルの時間を押してしまい、コトレア領での政を中途半端に投げ捨てておくこともできず、11月は年末の仕事締めで、毎日が多忙だったセシルだ。
それでも、いつでも、コトレアに居座っているわけにはいかない。
12月初めにはアトレシア大王国に旅立つという予定で、アトレシア大王国からはセシルの迎えに騎士団の護衛が送られてきた。
ずらりと並ぶ、騎士団の騎士達である。簡単に、20人近くはいる護衛だ。
そして、セシルの“お引越し”の荷物があるだけに、親切にも、大型の荷馬車を二台も引き連れてきてくれたのだ。
セシルの迎えには、残念なことにギルバートは一緒ではない。一カ月半近くも仕事を離れていた為、仕事が溜まっているギルバートは、王宮でお留守番、である。
アトレシア大王国騎士団の迎えがやって来ると、今度は、セシルの邸の使用人達が大忙しで、セシルの荷物を荷馬車に詰め込んでいく。
たくさんの木箱があり、それを順番に、丁寧に荷馬車に詰め込んでいく使用人達。
それで、一日が過ぎていった。
次の日はアトレシア大王国に向けて出発するので、邸の全員に見送られてセシルはコトレアを去っていた。
シリルと言えば――実は、あまりに溜まり過ぎている領地の仕事や書類整理の手伝いの為、豊穣祭後もシリルはコトレア領に残っていたのだ。
そして、未だにその仕事は終え切っていない……。
セシルとギルバートの婚儀が二月に予定されている為、ヘルバート伯爵一家は、一月末までにアトレシア大王国に到着していなければならない。
ただ、王国からの護衛がまた送られてくる予定だったのだが、ノーウッド王国の王都に入り、その場からヘルバート伯爵一家を迎えにいくことはあまりに目立ってしまうことを懸念して(なにしろ、アトレシア大王国の王家の紋章入りの馬車だから)、ヘルバート伯爵一家はコトレア領からアトレシア大王国に向かってもらうことになったのだ。
それで、シリルは12月と1月中をコトレアで過ごす羽目になる。
母親のレイナが、シリルの正装着をきちんと持ってきてくれるらしいので、シリルはセシルの仕事の手伝い(後始末) をさせられている以外は、アトレシア大王国での服装を心配する必要がない。
ここだけの話だが、荷馬車に積み込まれているセシルの日常の服は、ほとんどが新着である。
「ええ……? 新着なんて、ものすごい労力と時間がかかってしまうでしょう?」
「いいえっ! 夜なべしてでも、間に合わせて作りますから!」
セシルはその提案に賛成していなかったのだが、領地のお針子は一歩も譲らず。
なにしろ、コトレア領を治めている自分達の領主様が王城に出発するのに、日頃から着慣れている普段着を持ち込むなんて、お針子達だって絶対に賛成できなかったのだ。
自分達の敬愛する領主であるセシルには、アトレシア大王国内の貴族の令嬢達にも負けず、素晴らしい令嬢であることを見せびらかしたいのである。自慢したいのである。
それで、今年の豊穣祭は、十周年記念の大祝典を予定していたので、去年から一年もかけて、豪奢なドレスが制作されていた。
それと同時に、セシルの結婚が決まり、セシルのアトレシア大王国行きが決定すると、お針子達は、豊穣祭のドレスの制作に加えて、セシルの私用や普段着を作り出したのだ。
セシルは邸にいる間はズボン姿が多い。そうでない時は、セシルがデザインした“洋服”のスタイルの服を着ることもある。
この世界で“洋服”という単語は使用しない。なにしろ、“和服”の概念がないからだ。一般市民が着ている服は、ただ“服”という形容になる。
貴族の令嬢であれば、大抵、ドレス以外に身に着ける衣類はない。
でも、セシルは、シンプル、エレガント、身軽に動きやすい“洋服”が好きなので、上下分かれたツーピースの洋服も多い。ワンピースもたくさんある。
そのどれも、現代のデザインにスタイルだったが。
お針子達の張り切りと、必死の努力で、アトレシア大王国に旅立つセシルの荷物には、ごっそりと、新着の“洋服”が詰め込まれていたのだった。
今回の旅は、セシルが乗っている馬車に、大型の荷馬車が二台。セシルの領地からも荷馬車を一台、最後にオルガとアーシュリンの侍女達が乗っている馬車が一台、計四台も続く、大行列である。
アトレシア大王国の護衛が20人ほど。セシルの領地の護衛が10数人程(コトレアに帰る時の安全を考慮して)。
民族大移動並みの行列だ。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。Enkosi kakhulu ngokufunda le noveli
そろそろ、Part3も終わりに近づいてきました。話の流れから行きますと、Part3でセシルの独身時代が終わります。要は、”独身編”ですね。次からは、”結婚編”ということになるのでしょうか?
エピソードも500以上溜まりましたので、次からは、また、新たな作品をシリーズの一つとして投稿すべきか(例えば、『奮闘記2』など?)、それとも、このまま長く続けていくか考慮中です。
そろそろ、エピソードを読む時に、スクロールするが長くなり、探すことも難しくなってきましたので、どちらの方法がいいでしょうか?
感想をいただけたら助かります
~・~・~・~・~・~・~・~・
「いいえ、私は大丈夫です」
そして、セシルの領地で開発した移動式簡易テーブルの上で、フィロはせっせと手を止めず、書類に埋もれている状態だ。
とうとう、アトレシア大王国に出発する日がやって来た。
セシルはこれからアトレシア大王国で、大半の月日を生活することになるから、セシルが日頃から使用している日常品や、着替え、ドレス、アクセサリーやらなんやらと、セシル個人の荷物は、アトレシア大王国の王都に移動させなければならない。
大引っ越しである。
元々の予定では、11月の中頃からアトレシア大王国に向けて旅立つ予定だったのだが、予期していない天災の救助活動がセシルの時間を押してしまい、コトレア領での政を中途半端に投げ捨てておくこともできず、11月は年末の仕事締めで、毎日が多忙だったセシルだ。
それでも、いつでも、コトレアに居座っているわけにはいかない。
12月初めにはアトレシア大王国に旅立つという予定で、アトレシア大王国からはセシルの迎えに騎士団の護衛が送られてきた。
ずらりと並ぶ、騎士団の騎士達である。簡単に、20人近くはいる護衛だ。
そして、セシルの“お引越し”の荷物があるだけに、親切にも、大型の荷馬車を二台も引き連れてきてくれたのだ。
セシルの迎えには、残念なことにギルバートは一緒ではない。一カ月半近くも仕事を離れていた為、仕事が溜まっているギルバートは、王宮でお留守番、である。
アトレシア大王国騎士団の迎えがやって来ると、今度は、セシルの邸の使用人達が大忙しで、セシルの荷物を荷馬車に詰め込んでいく。
たくさんの木箱があり、それを順番に、丁寧に荷馬車に詰め込んでいく使用人達。
それで、一日が過ぎていった。
次の日はアトレシア大王国に向けて出発するので、邸の全員に見送られてセシルはコトレアを去っていた。
シリルと言えば――実は、あまりに溜まり過ぎている領地の仕事や書類整理の手伝いの為、豊穣祭後もシリルはコトレア領に残っていたのだ。
そして、未だにその仕事は終え切っていない……。
セシルとギルバートの婚儀が二月に予定されている為、ヘルバート伯爵一家は、一月末までにアトレシア大王国に到着していなければならない。
ただ、王国からの護衛がまた送られてくる予定だったのだが、ノーウッド王国の王都に入り、その場からヘルバート伯爵一家を迎えにいくことはあまりに目立ってしまうことを懸念して(なにしろ、アトレシア大王国の王家の紋章入りの馬車だから)、ヘルバート伯爵一家はコトレア領からアトレシア大王国に向かってもらうことになったのだ。
それで、シリルは12月と1月中をコトレアで過ごす羽目になる。
母親のレイナが、シリルの正装着をきちんと持ってきてくれるらしいので、シリルはセシルの仕事の手伝い(後始末) をさせられている以外は、アトレシア大王国での服装を心配する必要がない。
ここだけの話だが、荷馬車に積み込まれているセシルの日常の服は、ほとんどが新着である。
「ええ……? 新着なんて、ものすごい労力と時間がかかってしまうでしょう?」
「いいえっ! 夜なべしてでも、間に合わせて作りますから!」
セシルはその提案に賛成していなかったのだが、領地のお針子は一歩も譲らず。
なにしろ、コトレア領を治めている自分達の領主様が王城に出発するのに、日頃から着慣れている普段着を持ち込むなんて、お針子達だって絶対に賛成できなかったのだ。
自分達の敬愛する領主であるセシルには、アトレシア大王国内の貴族の令嬢達にも負けず、素晴らしい令嬢であることを見せびらかしたいのである。自慢したいのである。
それで、今年の豊穣祭は、十周年記念の大祝典を予定していたので、去年から一年もかけて、豪奢なドレスが制作されていた。
それと同時に、セシルの結婚が決まり、セシルのアトレシア大王国行きが決定すると、お針子達は、豊穣祭のドレスの制作に加えて、セシルの私用や普段着を作り出したのだ。
セシルは邸にいる間はズボン姿が多い。そうでない時は、セシルがデザインした“洋服”のスタイルの服を着ることもある。
この世界で“洋服”という単語は使用しない。なにしろ、“和服”の概念がないからだ。一般市民が着ている服は、ただ“服”という形容になる。
貴族の令嬢であれば、大抵、ドレス以外に身に着ける衣類はない。
でも、セシルは、シンプル、エレガント、身軽に動きやすい“洋服”が好きなので、上下分かれたツーピースの洋服も多い。ワンピースもたくさんある。
そのどれも、現代のデザインにスタイルだったが。
お針子達の張り切りと、必死の努力で、アトレシア大王国に旅立つセシルの荷物には、ごっそりと、新着の“洋服”が詰め込まれていたのだった。
今回の旅は、セシルが乗っている馬車に、大型の荷馬車が二台。セシルの領地からも荷馬車を一台、最後にオルガとアーシュリンの侍女達が乗っている馬車が一台、計四台も続く、大行列である。
アトレシア大王国の護衛が20人ほど。セシルの領地の護衛が10数人程(コトレアに帰る時の安全を考慮して)。
民族大移動並みの行列だ。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。Enkosi kakhulu ngokufunda le noveli
そろそろ、Part3も終わりに近づいてきました。話の流れから行きますと、Part3でセシルの独身時代が終わります。要は、”独身編”ですね。次からは、”結婚編”ということになるのでしょうか?
エピソードも500以上溜まりましたので、次からは、また、新たな作品をシリーズの一つとして投稿すべきか(例えば、『奮闘記2』など?)、それとも、このまま長く続けていくか考慮中です。
そろそろ、エピソードを読む時に、スクロールするが長くなり、探すことも難しくなってきましたので、どちらの方法がいいでしょうか?
感想をいただけたら助かります
~・~・~・~・~・~・~・~・
2
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました
雨夜 零
恋愛
ある日...スファルニア公爵家で大事件が起きた
スファルニア公爵家長女のシエル・スファルニア(0歳)が何者かに誘拐されたのだ
この事は、王都でも話題となり公爵家が賞金を賭け大捜索が行われたが一向に見つからなかった...
その12年後彼女は......転生した記憶を取り戻しゆったりスローライフをしていた!?
たまたまその光景を見た兄に連れていかれ学園に入ったことで気づく
ここが...
乙女ゲームの世界だと
これは、乙女ゲームに転生したモブ令嬢と彼女に恋した攻略対象の話
乙女ゲームの世界に転生した!攻略対象興味ないので自分のレベル上げしていたら何故か隠しキャラクターに溺愛されていた
ノアにゃん
恋愛
私、アリスティーネ・スティアート、
侯爵家であるスティアート家の第5子であり第2女です
そして転生者、笹壁 愛里寿(ささかべ ありす)です、
はっきり言ってこの乙女ゲーム楽しかった!
乙女ゲームの名は【熱愛!育ててプリンセス!】
約して【熱プリ】
この乙女ゲームは好感度を上げるだけではなく、
最初に自分好みに設定したり、特化魔法を選べたり、
RPGみたいにヒロインのレベルを上げたりできる、
個人的に最高の乙女ゲームだった!
ちなみにセーブしても一度死んだらやり直しという悲しい設定も有った、
私は熱プリ世界のモブに転生したのでレベルを上げを堪能しますか!
ステータスオープン!
あれ?
アイテムボックスオープン!
あれれ?
メイクボックスオープン!
あれれれれ?
私、前世の熱プリのやり込んだステータスや容姿、アイテム、ある‼
テイム以外すべて引き継いでる、
それにレベルMAX超えてもモンスター狩ってた分のステータス上乗せ、
何故か神々に寵愛されし子、王に寵愛されし子、
あ、この世界MAX99じゃないんだ、、、
あ、チートですわ、、、
※2019/ 7/23 21:00 小説投稿ランキングHOT 8位ありがとうございます‼
※2019/ 7/24 6:00 小説投稿ランキングHOT 4位ありがとうございます‼
※2019/ 7/24 12:00 小説投稿ランキングHOT 3位ありがとうございます‼
※2019/ 7/24 21:00 小説投稿ランキングHOT 2位ありがとうございます‼
お気に入り登録1,000突破ありがとうございます‼
初めてHOT 10位以内入れた!嬉しい‼
乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい
ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。
だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。
気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。
だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?!
平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。
流星群の落下地点で〜集団転移で私だけ魔力なし判定だったから一般人として生活しようと思っているんですが、もしかして下剋上担当でしたか?〜
古森きり
恋愛
平凡な女子高生、加賀深涼はハロウィンの夜に不思議な男の声を聴く。
疎遠だった幼馴染の真堂刃や、仮装しに集まっていた人たちとともに流星群の落下地点から異世界『エーデルラーム』に召喚された。
他の召喚者が召喚魔法師の才能を発現させる中、涼だけは魔力なしとして殺されかける。
そんな時、助けてくれたのは世界最強最悪の賞金首だった。
一般人生活を送ることになった涼だが、召喚時につけられた首輪と召喚主の青年を巡る争いに巻き込まれていく。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスに掲載。
[お願い]
敵役へのヘイト感想含め、感想欄への書き込みは「不特定多数に見られるものである」とご理解の上、行ってください。
ご自身の人間性と言葉を大切にしてください。
言葉は人格に繋がります。
ご自分を大切にしてください。
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
転生不憫令嬢は自重しない~愛を知らない令嬢の異世界生活
リョンコ
恋愛
シュタイザー侯爵家の長女『ストロベリー・ディ・シュタイザー』の人生は幼少期から波乱万丈であった。
銀髪&碧眼色の父、金髪&翠眼色の母、両親の色彩を受け継いだ、金髪&碧眼色の実兄。
そんな侯爵家に産まれた待望の長女は、ミルキーピンクの髪の毛にパープルゴールドの眼。
両親どちらにもない色彩だった為、母は不貞を疑われるのを恐れ、産まれたばかりの娘を敷地内の旧侯爵邸へ隔離し、下働きメイドの娘(ハニーブロンドヘア&ヘーゼルアイ)を実娘として育てる事にした。
一方、本当の実娘『ストロベリー』は、産まれたばかりなのに泣きもせず、暴れたりもせず、無表情で一点を見詰めたまま微動だにしなかった……。
そんな赤ん坊の胸中は(クッソババアだな。あれが実母とかやばくね?パパンは何処よ?家庭を顧みないダメ親父か?ヘイゴッド、転生先が悪魔の住処ってこれ如何に?私に恨みでもあるんですか!?)だった。
そして泣きもせず、暴れたりもせず、ずっと無表情だった『ストロベリー』の第一声は、「おぎゃー」でも「うにゃー」でもなく、「くっそはりゃへった……」だった。
その声は、空が茜色に染まってきた頃に薄暗い部屋の中で静かに木霊した……。
※この小説は剣と魔法の世界&乙女ゲームを模した世界なので、バトル有り恋愛有りのファンタジー小説になります。
※ギリギリR15を攻めます。
※残酷描写有りなので苦手な方は注意して下さい。
※主人公は気が強く喧嘩っ早いし口が悪いです。
※色々な加護持ちだけど、平凡なチートです。
※他転生者も登場します。
※毎日1話ずつ更新する予定です。ゆるゆると進みます。
皆様のお気に入り登録やエールをお待ちしております。
※なろう小説でも掲載しています☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる